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2007年3月31日 (土)

Bookcover サラ金崩壊―グレーゾーン金利撤廃をめぐる300日戦争 [a]
井手 壮平 / 早川書房 / 2007-03
著者は共同通信の若い記者。なんでこの版元から出るのかわからない。
 去年,グレーゾーン金利の話が新聞を賑わせていたのだが,話がややこしくてついて行けなかった。だから上限金利が引き下げられたのには驚いた。消費者金融業界はもちろん銀行・財界に至るまで,金持っている人が揃って反対する法案が,まあよくも通ったものだ。
 この本によれば,貸金業法の成立は数々の偶然の産物ではあるものの,金融庁の一部の官僚たちの奮闘も重要だったし,政治家では与謝野馨・後藤田正純の役割が大きかったらしい。ふうん。
 最新号の日経ビジネスによれば,大手消費者金融が店舗を大幅に減らすせいで,オフィス賃貸の業界で異変が起きているのだそうだ。派手な看板で街々を埋め尽くし,衰退など考えられないように思えた業種が,あっというまに斜陽となるのである。普段はあまり意識しないけれど,政治の力とは本当に大きいものだ。
Bookcover <スピリチュアル>はなぜ流行るのか (PHP新書) [a]
磯村 健太郎 / PHP研究所 / 2007-03-16

ノンフィクション(-2010) - 読了:03/31まで (NF)

Bookcover GUNSLINGER GIRL 8 [a]
相田 裕 / メディアワークス / 2007-03-27

Bookcover シグルイ 8 (チャンピオンREDコミックス) [a]
山口 貴由 / 秋田書店 / 2007-03-20

Bookcover 団地ともお 9 (ビッグコミックス) [a]
小田 扉 / 小学館 / 2007-03-30

コミックス(-2010) - 読了:03/31まで (C)

2007年3月28日 (水)

Bookcover ロング・グッドバイ [a]
レイモンド・チャンドラー / 早川書房 / 2007-03-08
このたび出た新訳。つり革につかまって揺られながら読了。
 旧訳(清水俊二)を読んだのはいつだっけ? もう十年以上も昔の話だ。いま「長いお別れ」を読んでいるんだ,と電話の相手にふと話したら,ああ「ギムレットには早すぎる」でしょう,と返されたのを覚えている。
 この人の小説にはなにかすごく歪んだところがあるような気がして,そこに魅力を感じる面もあるし,どうにもついて行けないと感じる面もある。その印象は今回読み直してみても変わらなかった。この小説でいうと(いま手元にないのでうろ覚えだが),作家が死んだ日の夜,ようやく帰宅したマーロウが一杯飲んで寝る場面で,都会のさまざまな情景を描写した非常に感傷的な文章が一パラグラフ挿入される。なんだか唐突な印象を受ける。ああいうところが,俺にはどうもよくわからない。
 今回の発見は,主人公のマーロウにもちょっと気味の悪いところがある,という点であった。あなたはなにを考えておるのですか,というような薄気味悪さがある。真夜中にコンビニに行ったらカウンターの内側に店員が座っていて,品出しをするでも帳面をつけるでもなく,無人の店内を無表情に眺めて微動だにしない,というような感じである。うーん。小説の仕組みとして必然性があるのかもしれないけれども,個人的には,もう少し気の抜けたところがあるほうが助かる。
 訳者の村上春樹さんが巻末で,チャンドラーは脇道に逸れるところが面白い,という意味のことを書いていて,そうそうそうだよね,となんだか嬉しかった。正直なところ,チャンドラーの小説で記憶に残っているのは,三人の医者を訪ねるところだったり,「プレイバック」での老人の長演説だったり,「高い窓」で娘を実家に送り届けるあたりだったりで,本筋と関係のない場面だけが,明け方の奇妙な夢のように,脈絡も無くふと思い出されるのである。

フィクション - 読了:03/28まで (F)

Bookcover 迷いと決断 (新潮新書) [a]
出井 伸之 / 新潮社 / 2006-12-14
えらい人はいかに大変かという話。「クオリア」ブランドをやめたのはいまでも心残りである由。ふーん。

ノンフィクション(-2010) - 読了:03/28まで (NF)

Bookcover 大東京トイボックス(1) (バーズコミックス) [a]
うめ / 幻冬舎 / 2007-03-24
掲載誌を講談社から幻冬舎に移しての1巻目。ちょっと読者層が若めになった感じだけど,連載が続いてなによりである。
Bookcover HELLSING 1 (ヤングキングコミックス) [a]
平野 耕太 / 少年画報社 / 1998-09

Bookcover 大地獄城・血だるま力士 [a]
平田 弘史 / 青林工藝舎 / 2007-02

コミックス(-2010) - 読了:03/28まで (C)

2007年3月25日 (日)

Bookcover 丁庄の夢―中国エイズ村奇談 [a]
閻 連科 / 河出書房新社 / 2007-01
眠れずにふと手にとって,そのまま引き込まれ一気に読了した。黄河下流の河南省には,村中で売血した末に村中がエイズに罹ってしまった"エイズ村"が散在しているのだそうだ。そんな村のひとつを舞台にした小説。
 なんだかガルシア・マルケスみたいだなあと思いながら読んだのだが(実際,この著者は中国のマルケスと呼ばれている由),中国の実情に照らしてどこまでリアルでどこからホラ話なのか,判断がつかないところがもどかしい。ものすごく立派な棺桶に,技巧を凝らした彫刻が施されていて...というあたりまでは,まあ秦俑のお国柄だからなあ,と納得する。最新のAV機器の絵が彫ってあって...というあたりも,まあそういうこともあるのかなあ,と。しかし,死者の足下には高層ビルが彫ってあり,その天辺には「中国人民銀行」と書いてある...というあたりになると,いくらなんでもそれはないだろうと思う次第である。私の判断は当たっているでしょうか? ひょっとしたら中国では棺桶に銀行の絵を描いたりするものなのか?
 などなど,いろいろ感想があって書ききれない。大変読みでのある小説であった。

フィクション - 読了:03/25まで (F)

Bookcover かたき討ち―復讐の作法 (中公新書) [a]
氏家 幹人 / 中央公論新社 / 2007-02
著者は江戸の社会文化についての読み物を書きまくっている人。
 江戸中期からは武士の敵討ちが減り,入れ替わりに庶民の敵討ちが増えるのだそうで,三田村鳶魚は当時の庶民に「どこまでも武士をいいものと思いこんで,武士の真似をする気持」があったと述べているそうだ。日本の精神は武士道である云々という藤原先生流の世迷い事は,旧日本軍から来ているのかと思っていたのだけれど,こうしてみると,案外根の深いものであるらしい。
Bookcover ギリシアとローマ (世界の歴史) [a]
桜井 万里子,本村 凌二 / 中央公論社 / 1997-10
ひょんなことから手に取ったのだが,面白いものでつい最後まで読んでしまった。こういうのは老後にとっておくつもりだったんだけど。まあ考えようによっては,いまが老後なのかもしれないし。

ノンフィクション(-2010) - 読了:03/25まで (NF)

2007年3月23日 (金)

Bookcover ケータイからあふれたLOVE STORY [a]
/ ゴマブックス / 2005-12-20
ケータイサイトの投稿小説集らしい。彼女が薬害エイズで死んじゃう悲恋モノとか,まあそういうの。
 これも社会勉強だと思ってめくったが,あまりに突き放していい加減な読み方をしたもので,特になにも学ばなかった。こういうのが一番良くない,どうせなら真剣に読まないといけない。反省。

フィクション - 読了:03/23まで (F)

Bookcover 新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書) [a]
河内 孝 / 新潮社 / 2007-03
毎日の元経営幹部が,新聞社の経営について書いた本。知らなかった話が山盛りで,大変勉強になった。
 日産のゴーン改革のあおりで,ビデオリサーチの新聞閲読調査(J-READ)が大きな影響力を持つようになり,その結果がABC調査とかなりちがうので,広告主の新聞広告不信を招いている由。そもそもABC調査は実配部数を調べるものではないんだそうで,公査部数には押し紙(販売店が買って配らず捨てる分)も含まれており,真の実配部数は新聞社にさえわからないんだそうだ。おそろしい世界だなあ。
Bookcover ブッシュのホワイトハウス(上) [a]
ボブ・ウッドワード / 日本経済新聞出版社 / 2007-03-07
Bookcover ブッシュのホワイトハウス(下) [a]
ボブ・ウッドワード / 日本経済新聞出版社 / 2007-03-07
ここのところの通勤本。ウッドワードのブッシュ政権リポートのなかで,第三弾のこの本が一番印象にのこった。ベスト・アンド・ブライテストな高官たちが人生を賭けて取り組むイラク政策が,なぜかことごとく失敗していく様子は,なんだか古典悲劇のようでさえある。
 イラクの戦後運営を任された退役将校のガーナーは,官僚主義と政治的暗闘に翻弄されたあげく事実上更迭されてしまうのだが,後任のブレマー特使が深刻な過ちを犯していると考え(たとえばイラク軍の解体),上司のラムズフェルドにその旨諫言するものの,まったく聞き入れられない。で,退任のあいさつにホワイトハウスを訪れ,大統領と歓談する機会を得るが,そのときに自分の意見を口にすることはなかった。なぜそうしなかったのかと後に問われていわく,「わたしは大統領の部下ではなかった」「ラムズフェルドの部下だった。わたしは軍人なんだ」
 なんだかどこかで聞いたような話だ。仮にこれが日本のエピソードなら,タテ社会に埋もれて真実をおろそかにする,これこそ日本人の典型的な欠点だね,と誰もがいうだろう。ここにあるのは文化の問題ではなく,組織というものが普遍的に抱えている宿痾なのだと思う。

ノンフィクション(-2010) - 読了:03/23まで (NF)

Bookcover 団地ともお 8 (ビッグコミックス) [a]
小田 扉 / 小学館 / 2006-09-30

コミックス(-2010) - 読了:03/23まで (C)

2007年3月18日 (日)

Bookcover ヒルズ黙示録―検証・ライブドア [a]
大鹿 靖明 / 朝日新聞社 / 2006-04

ノンフィクション(-2010) - 読了:03/18まで (NF)

Bookcover 二・二六事件とその時代―昭和期日本の構造 (ちくま学芸文庫) [a]
筒井 清忠 / 筑摩書房 / 2006-10
1920-30年代の日本は大衆社会化が進行し,思想面でも社会の平準化への志向が顕著になった。その原型として,(1)社会主義思想,(2)総力戦思想(永田鉄山とか),(3)一君万民主義があった。岸信介ら革新官僚の社会観はこの3つを混ぜ合わせたもので,中には社会党に入党寸前の官僚もいた(以上は2章から)。へええ。

日本近現代史 - 読了:03/18まで (CH)

Bookcover 団地ともお 2 (ビッグコミックス) [a]
小田 扉 / 小学館 / 2004-06-30
Bookcover 団地ともお 3 (ビッグコミックス) [a]
小田 扉 / 小学館 / 2004-11-30
Bookcover 団地ともお 4 (ビッグコミックス) [a]
小田 扉 / 小学館 / 2005-03-30
Bookcover 団地ともお 5 (ビッグコミックス) [a]
小田 扉 / 小学館 / 2005-07-29
Bookcover 団地ともお 6 (ビッグコミックス) [a]
小田 扉 / 小学館 / 2005-12-26
Bookcover 団地ともお 7 (ビッグコミックス) [a]
小田 扉 / 小学館 / 2006-04-27

Bookcover 街角花だより (アクションコミックス) [a]
こうの 史代 / 双葉社 / 2007-03-12

コミックス(-2010) - 読了:03/18まで (C)

2007年3月 6日 (火)

Bookcover ららら科學の子 (文春文庫) [a]
矢作 俊彦 / 文藝春秋 / 2006-10
帰りに買って,電車と夕飯で一気読み。終盤に至ってようやく気がついたのだが,これは徹頭徹尾センティメンタルな小説なのである。妹とのやりとりなんて,寅さんかと思ったぞ。面白かったけど。

フィクション - 読了:03/06まで (F)

Bookcover グラフィカルモデリング (統計ライブラリー) [a]
宮川 雅巳 / 朝倉書店 / 1997-02
よんどころない事情により本日は仕事にならなかったもので,午後いっぱいかけてこの本を読んだ。少し飛ばしたところもあるけれど(グラフィカル対数線形モデリングのところとか),読み終えたことにしておこう。
 耳慣れないグラフ理論の概念が導入されるところで挫折しそうになったが,それは俺が数学が大の苦手だからであって,この本自体はわかりやすいと思った。著者の書き方も良いのだろうけれど,そもそもグラフィカルモデリングという手法そのものの敷居が低いじゃないかと思う。重回帰を勉強する前にグラフィカルモデリングを学んだほうが良いんじゃないか,というようなことを誰かが書いていたけれど,調査データを相手にする限り,それは当たっていると思う。
 最終章で紹介されるTipsには,相関構造のちがう2群について別々に無向グラフを描いて比較する,というような話が書いてあった。へえー,そんなのもありなのか。。。

データ解析 - 読了:03/06まで (D)

Bookcover 団地ともお(1) ビッグコミックス [a]
小田 扉 / 小学館 / 2004-02-28

コミックス(-2010) - 読了:03/06まで (C)

2007年3月 4日 (日)

Bookcover 職場はなぜ壊れるのか―産業医が見た人間関係の病理 (ちくま新書) [a]
荒井 千暁 / 筑摩書房 / 2007-02
産業医のエッセイであった。
Bookcover 経済学の考え方 (岩波新書) [a]
宇沢 弘文 / 岩波書店 / 1989-01-20
いささか浮世離れした人生航路を辿ってきたもので,経済のケの字もわからん次第だが,せっかく虎ノ門で会社員やってんのに,さすがにちょっとまずいかしらんと反省し,ここしばらくの昼飯時にめくっていたのであった。そういう動機に照らせば,この本を手に取ったのはまさに見当違いであった。どうみても素人向けの内容ではない。正直いって,内容の1割も理解できなかった。
 ま,経済学って面白そうだなあという漠然とした印象を持つことができたので,それでよしとしよう。一般均衡理論のところまでは数式をきちんと追いかけて読んだのだが,うまいこと考えるもんだなあ,と感心した。
 俺ですら名前を知っている歴史的大学者の本だけあって,好き嫌いが遠慮会釈なく表明されていて,そういうところも面白かった。70年代の反ケインズ経済学は「理論的前提条件の非現実性,政策的偏向性,結論の反社会性を持ち,いずれも市場機構の果たす役割に対する宗教的帰依感を持つもの」であり,「紙数を割くのに忍びない」とまで仰る。いいなあ。十分な知識があればもっと感興深く読めただろうに,残念だ。

ノンフィクション(-2010) - 読了:03/04まで (NF)

Bookcover レイモンド 1 (ドラゴンコミックス 56-5) [a]
田丸 浩史 / KADOKAWA(富士見書房) / 2007-03-01
田丸浩史ファン向けの一冊でした。。。なんだかなあ。
Bookcover 米吐き娘 1 (イブニングKC) [a]
古林 海月 / 講談社 / 2005-01-21
著者は公務員の出身だそうで,役所の描写に妙なリアリティがあった。
Bookcover (被)警察24時 (マンサンコミックス) [a]
小田 扉 / 実業之日本 社 / 2002-12
話の終盤で唐突に犯人と刑事の記憶が入れ替わってしまうのだけれど,その設定はちょっとしたギャグにつながるだけで,本筋に生かされることなく放置されてしまう。何考えてんだかわからない,そのいい加減さがとても面白い。これはやはり,一種の才能なのだろうなあ,と感心する。
Bookcover 時事ネタ [a]
とり・みき / 文藝春秋 / 2007-02
「オール読物」連載。読んで面白いマンガではない。

コミックス(-2010) - 読了:03/04まで (C)

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