2011年3月31日 (木)
お読みのみなさま:
三月末をもちまして,現勤務先シノベイト株式会社を退職することになりました。
一緒に仕事させていただいたみなさまには,なんとお礼を申し上げて良いか,言葉もありません。もし私がこの五年の間に少しでも成長することができていたとしたら,それはひとえに皆様のおかげだと思います。本当に,有り難うございました。
みなさまのご活躍を心よりお祈りします。またお会いできるのを楽しみにしております。
4月からは,リサーチを基軸にしたコンサルテーション・ファームで働きます。
株式会社インサイト・ファクトリーという屋号です。実証的かつ深い消費者理解,的確かつ迅速な意思決定支援のために,微力をつくす所存です。
今後とも何卒よろしくお願い致します。
友人のみなさま:
こんどは明治神宮前(原宿)です。近所に来たら連絡くださいまし。
2011年3月30日 (水)
丸山眞男をどう読むか (講談社現代新書)
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長谷川 宏 / 講談社 / 2001-05-18
ずいぶん前に読み始めて途中で挫折した本。そのときは,いったいどういうスタンスの本なのかがわからず混乱したのである。最初から読み直してみると,これは「丸山真男読書ノート」といった内容で,丸山の講義録や論文のいくつかをコメント付きで紹介する前後に,丸山をダシにして知識人と社会との関わりを問う章がくっついている,という構成なのであった。ふうん。
原因と結果の迷宮
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一ノ瀬 正樹 / 勁草書房 / 2001-09
因果性に関する哲学の専門書。自分なりにシンケンに読みはじめたのだが,ほとんど理解できなかった。分析哲学らしくない,なんというか含みのある文章に面食らったせいもあるが,とにかく予備知識が足りないせいであろう。
それなりに面白く読めたのは,ハンソンにおける因果性概念についてのくだり(2章)であった。こういうとき,ハンソンやクーンが出てくると議論がぐっとラフになり,素人にわかりやすくなるような印象がある。気のせいかしらん。いっぽうさっぱりわかんなかったのは,マイケル・ダメットが提起した「結果は原因に先立ちうるか」という問題のあたり(3章)。いやもう,なにがなんだか...
哲学・思想(2011-) - 読了:「丸山真男をどう読むか」「原因と結果の迷宮」
精神科医がものを書くとき (ちくま学芸文庫)
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中井 久夫 / 筑摩書房 / 2009-04-08
心理学を勉強していたわりには精神医学方面にからきし疎いので,著者についてはせいぜい「サリヴァンやハーマンを訳した偉い人」という程度の認識しかなかったのだが,どうやら当該業界のカリスマ的存在の一人らしい。この本は著者の短い文章を集めたもの。とても面白い本だった。
「公的病院における精神科医療のありかた」という講演録のなかに出てきた話だが,国際的合意が成り立っている診断基準を持っている科は精神科くらいじゃないか,とのこと。そういうものですか。
日本中世都市の世界 (ちくま学芸文庫)
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網野 善彦 / 筑摩書房 / 2001-01
記念碑的著作「無縁・公界・楽」の前後に書かれた論文を集めたもの。細かいところはよくわからないので,ふがふがと読み飛ばすしかないのだが,無責任にめくっているぶんには面白かった。
世紀の空売り
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マイケル・ルイス / 文藝春秋 / 2010-09-14
自分の信念に基づきサブプライム債の崩壊に賭け,結果として大儲けした,ごく少数の(奇矯な)投資家たちを主人公にしたノンフィクション。どうやって賭けるのかというと,サブプライム債ではなく,サブプライム債の債務不履行の保険を買うのである。そんなことができるのか。
面白い本なんだけど,だんだんサツバツとした気分になってきたぞ。
ノンフィクション(2011-) - 読了:「精神科医がものを書くとき」「日本中世都市の世界」「世紀の空売り」
ムダヅモ無き改革 (6) (近代麻雀コミックス)
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大和田 秀樹 / 竹書房 / 2011-03-26
雀鬼小泉ジュンイチローが腹心であるホンダアシモとともに,人類の未来を賭けて月面でヒトラーと麻雀するマンガ,いよいよ最終巻。最終対決では,あがった際の牌13枚を1枚づつ見開きアップで,つまり26頁費やして紹介するのであった。脱力...
他人暮らし (クイーンズコミックス)
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谷川 史子 / 集英社 / 2011-03-15
吐息と稲妻 (りぼんマスコットコミックス クッキー)
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谷川 史子 / 集英社 / 2011-03-15
私が尊敬してやまない職人的少女漫画家・谷川史子さんの新刊2冊。前者は3人の30代女性を主人公にした,結婚をめぐるコメディ。相変わらず素晴らしい。後者は高校生・大学生の甘い恋愛短編で,真面目に読むのはいささかツライのだが,これもなにかの修行だ,とがんばって読みました。
ハチワンダイバー 19 (ヤングジャンプコミックス)
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柴田 ヨクサル / 集英社 / 2011-03-19
コミックス(2011-) - 読了:「ムダヅモなき改革 6」「他人暮らし」「吐息と稲妻」「ハチワンダイバー 19」
2011年3月 9日 (水)
以下の本は,ウェブレンの悪夢から抜け出したくて,途中で割り込んで読んだ本。
エロティック・ジャポン
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アニエス・ジアール / 河出書房新社 / 2010-12-18
フランス人ジャーナリストによる日本のエロ産業ガイドブック(風俗産業とか,日本の男がどれだけ白いパンティが好きかとか)。突っ込みどころ満載。俺は面白おかしく読んだし,なにはともあれ注目して頂けるだけありがたいと思うのだが,真面目な方はお怒りになるかも。
A3【エー・スリー】
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森 達也 / 集英社インターナショナル / 2010-11-26
高校生のための経済学入門 (ちくま新書)
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小塩 隆士 / 筑摩書房 / 2002-03
これは年初に読んだ本で,記録を忘れていた。
とにかく経済の話は苦手で苦手で,頭が痛くなってくる。これではいかんのかなあという不安に駆られて,わかりやすい入門書を求めて下降を続けた結果,ついには高校生になってしまいました。
それはともかく,この本はほんとにわかりやすかった。ながらく胸に抱いていた疑問もようやく氷解。やれやれ,ようやく俺に適した本にたどり着いた。
恥ずかしながら書きとめておくと... 需要供給曲線は横軸に数量,縦軸に価格をとるが,いったいなぜあんなわかりにくいチャートを描くのだろう? 普通は「価格が下がると需要が増える」というように説明するのだから,横軸に価格をとるのが自然ではないか。と前々から気持ち悪く感じていたのである。
さて,著者いわく,「高校生のみなさんなら,この需要曲線の考え方に戸惑いを感じるはずです」 ありがとう先生! 自分が高校生レベルであることがよくわかりました。で,注目のお答えは:「(歴史的事情により) 逆にすることが経済学の流儀になっているのです」 ありがとう,ありがとう先生! 目からウロコです!
都知事―権力と都政 (中公新書)
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佐々木 信夫 / 中央公論新社 / 2011-01
ウェブレンから解放された喜びのあまり,一晩で読了。
2000年の地方分権一括法施行にともない,地方の自治権は飛躍的に拡大しており,地方議会はいまや立法機関として強大な権限を握っている。にもかかわらず,地方議員はそれにまだ気がついておらず,いまだ行政の監視・批判役だと勘違いしている由。なるほど。
ノンフィクション(2011-) - 読了:「エロティック・ジャポン」「A3」「高校生のための経済学入門 」「都知事」
ここ2ヶ月ほどはほとんど本を読めない日々であった。過度に忙しかったり(突然の海外出張とかで),過度に暇だったり(諸事情により),電車のなかで文庫本を読まなくなったり(スマフォのせい)... いくつか理由はあったのだが,いずれにせよ,こんなに本を読まない日々を過ごしたのは久しぶりである。意図してのことではないので,なんだかちょっとストレスが溜まる。
有閑階級の理論―制度の進化に関する経済学的研究 (ちくま学芸文庫)
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ソースティン ヴェブレン / 筑摩書房 / 1998-03
読書から縁遠くなっていた理由のひとつは,この本! 年明けからこの本がずっと鞄にはいっていたせいである。
もうとにかく!わかりにくいのなんの! 不必要にまわりくどい文章を必死に読み返してなんとか文意をつかむと,今度は前提としている文脈が全く理解できない。ちょっとでも気を抜くと,文章が視線の先をつつーっと滑っていく。実際,内容の9割5分がたは理解できていないと確信できる。
それでも,ごく稀にとても面白いと感じる部分があるし(「代行的閑暇」という概念とか),途中で投げ出すのも気持ち悪いと思ったので,ほとんど苦行のように頁をめくった。昨夕ついに最終頁にたどり着いたときは,心からほっとした。こんなにつらい読書は久しぶりであった。
伊藤博文―知の政治家 (中公新書)
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瀧井 一博 / 中央公論新社 / 2010-04
伊藤博文の政治思想家としての側面に光を当てた本。従ってこの本における伊藤はドスケベの機会主義者ではない。
維新後の伊藤は留学経験を武器に権力の階段を駆け上る。日本人の王道ですね。
ここのところ本を全然読んでいないように思ったが,マンガだけは読んでいたようだ...
夢みごこち
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フジモト マサル / 平凡社 / 2011-01-30
悪夢的なファンタジー短編連作。平凡社のwebサイトで連載していたらしい。面白い。
コミックいわて
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池野恋,神田♥ジョセフィーヌ,とりのなん子,そのだつくし,吉田戦車,佐藤智一,地下沢中也,飛鳥あると,小田ひで次,くどうよしと / メディア・パル / 2011-01-25
岩手県の旗振りで,県出身のマンガ家に短編の描き下ろしを委嘱するという企画。この本,売れているらしい。追随する県が出てくるかも。
イムリ 9 (ビームコミックス)
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三宅 乱丈 / エンターブレイン / 2011-02-25
この壮大なファンタジーは,細かい設定のせいで最初はとっつきが悪かったのだが,物語が動き出してからは非常に面白い。次巻が待ち遠しい連載マンガのひとつである。
ヨメキン[ヨメとド近眼](1) (イブニングKC)
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葛西 りいち / 講談社 / 2011-01-21
マンガ制作裏話でブレイクした人の新刊。今度は講談社。すっかり売れっ子になった模様だ。
ものものじま 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
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野村 宗弘 / 小学館 / 2011-02-26
そう言やのカナ 1巻 (ニチブンコミックス)
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野村 宗弘 / 日本文芸社 / 2011-02-09
著者は鉄工所経験を基にしたエッセイマンガで世に出た人だが,この二冊はストーリーマンガ。前者は架空の島の奇想天外な生活を描いたもので,なかなか面白い。この島の唯一の発電所では,唯一の職員「韋駄天ハーリー」が,回転ケージで朝から晩まで疾走して必死に発電しているのである。
レッド(5) (KCデラックス イブニング )
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山本 直樹 / 講談社 / 2011-02-23
連合赤軍事件を丁寧に描いた作品。このマンガには,いずれ(リンチなどによって)死ぬ登場人物には,常に死の順番を示す番号が付記されるという仕掛けがある。読み進めていて,たまに番号がない人がいると,なんだかほっとする。
明日の夜は千の眼を持つ (ビームコミックス)
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上野 顕太郎 / エンターブレイン / 2011-01-29
前衛的ギャグマンガ家の新刊。シリアスな私マンガ「さよならもいわずに」の前後に発表したギャグマンガを収録。毎回すごく面白いとは必ずしもいえないのだけれど,その摩訶不思議な情熱には頭が下がる。ゴルゴ13の顔面アップを,ミニマル・ミュージック風にひたすら模写する,とか...
つめたく、あまい。
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シギサワ カヤ / 白泉社 / 2010-03-26
同人誌での作品を集めた本らしい。正直いって,なにがなんだかよくわからない...文脈を共有していないからだと思う。
おかめ日和(10) (KCデラックス BE LOVE)
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入江 喜和 / 講談社 / 2011-02-10
市井の人々のごくごくささやかな哀歓を描かせたら,このマンガ家さんほど凄い人はいないと思うのだけれど... この物語の展開は,ちょっと読者を減らしそうだ。
ききみみ図鑑 (ビームコミックス)
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宮田 紘次 / エンターブレイン / 2010-11-15
音をテーマにした連作。いかにもエンターブレインらしい,マンガ好きが好みそうな作品。音が形となって見えてしまう高校生の話がなかなか良いと思った。
よるくも 1 (IKKI COMIX)
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漆原 ミチ / 小学館 / 2011-01-28
小学館IKKI連載。面白いのかどうか,まだよくわからない。
深夜食堂 7 (ビッグコミックススペシャル)
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安倍 夜郎 / 小学館 / 2011-02-26
思ってたよりフツーですね (2) (単行本コミックス)
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榎本 俊二 / 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2011-02-28
毎日かあさん7 ぐるぐるマニ車編
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西原 理恵子 / 毎日新聞社 / 2011-01-19
7人のシェイクスピア 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
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ハロルド 作石 / 小学館 / 2011-01-28
おやすみプンプン 8 (ヤングサンデーコミックス)
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浅野 いにお / 小学館 / 2011-02-26
極道めし(7) (アクションコミックス)
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土山 しげる / 双葉社 / 2011-02-28