投稿者「elsur」のアーカイブ

どうでもよい覚え書き:映画”Go Fight”の謎

2020年、現実逃避の一環としてamazonプライムビデオで配信されている中国語映画のリストを作成し、いまでも折をみてはちくちくと更新している。収録作品数は1500本を超え、記事の分量が多すぎて、更新時にエラーが頻発する。

いくつかの作品についてはコメントをつけているのだが、そのコメントのなかでももっとも長大なものは、amazonプライムビデオ上にかつて存在した”Go Fight”なる作品についての謎解きである。少しでも記事の分量を減らすため、このコメントだけは別記事として切り出しておこうと思う。

つくづく、読んでも仕方がない内容です。なにしろ、この作品の配信はとっくに停止されており、作品ページへのURLも無効となっているのである。
——–
[配信停止] Go Fight (2004? タイ?)
続きを読む

読了: 「雍正帝 中国の独裁君主」

 読んだ本はすべて記録しようと思っているのだけれど、2025年1月中旬以降に読んだ本の記録をさぼっていて、ただただ部屋の隅に積み上げている。例年、年明けには前年読んだ本を整理していたのだけれど、今年は身辺の激動により、とてもじゃないけど読書どころではなかった。
 2月の声を聴き、ようやく仕事の合間や移動中に本の頁をめくるというところまで生活を立て直すことができた。順序は狂ってしまうけれど、たまたま読んだ本がとても面白かったのでメモしておく。


雍正帝: 中国の独裁君主 / 宮崎市定 / 中公文庫 / 1996
著者は云わずと知れた中国史の大家。雍正帝って? と思いながら手に取ったんだけど、清朝の皇帝、康熙帝と乾隆帝の間に位置する人である。えーっと… ああそうか、香港映画「空とぶギロチン」における陰険な皇帝か。在位は1722-1735。調べてみたところ、日本でいうと享保年間である。
続きを読む

読了: Wild (2016) Rのlsaパッケージでお手軽に潜在意味解析

 年末から家庭の事情に追いまくられ、ほとほと疲弊した。ようやく勤務先にも復帰し、徐々に日常を取り戻しつつあるけれど、頭に霞がかかったような感覚はいまだ消えない。参ったなあ。

Wild, F. (2016) Representing and Analysing Meaning with LSA. in “Learning Analytics in R with SNA, LSA, and MPIA“, Chap.4. Springer.

 仕事の都合でめくった奴。テキスト分析の手法のひとつLSA(潜在意味解析)のためのRパッケージlsaについて、なにか簡単な紹介はないかな、と探してみつけたもの。著者はlsaパッケージの開発者。えーと、この先生は社会ネットワーク分析とLSAをあわせたMeaningful Purposive Interaction Analysis (MPIA)というのを提唱していて、その解説書のなかの一章らしい。
続きを読む

読了: Bengio & Elmoznino (2025) AIは意識を持つ(と人々は思う)か

Bengio, Y., Elmoznino, E. (2025) Illusions of AI consciousness. Science, 389(6765):1090-1091

 勤務先のプリンタの横にプリントアウトが転がっていたのを発見。きっと私が「ひとつ目を通しておこう」と思って印刷したきり忘れてたんだろうな、と思って掴んで持って帰ってきた(違ってたらスイマセン)。たった2pのコラムだけど、読んだものはなんでもメモっとこうと思って。
 AIに自己保存の欲求を持たせたらまずいよね、的な、なんか「2001年宇宙の旅」みたいな話が真面目に書いてあって、ひいいい、って思いました (中学生並みの感想)

読了: Zhang, et al. (2025) LLMエージェント・ベース・モデルSocioVerse

Zhang, X., et al. (2025) SocioVerse: A World Model for Social Simulation Powered by LLM Agents and A Pool of 10 Million Real-World Users. arXiv:2504.10157

 LLMにエージェントをやらせたエージェント・ベース社会シミュレーションというのは最近論文がいっぱい出ていて、仕事の都合で読み漁っていたのだけど、なんだか疲れてしまった。むりやり思い出して一本だけメモしておく。
 内容のメモは他のところでとったので省略。えーっと、これはなんだったっけ… そうそう、SNSの実アカウントに対応するLLMエージェントを1000万体作って持ってますよという話だ。

読了: Gao, et al.(2024) LLMエージェント・ベース・モデリング・レビュー

Gao, C., Lan, X., Li, N., Yuan, Y., Ding, J., Zhou, Z., Xu, F., Li, Y. (2024) Large language models empowered agent-based modeling and simulation: a survey and perspectives. Humanities & Social Science Communications. 11:1259.

 LLMエージェントを導入したエージェント・ベース・モデリングについてのレビュー。
 内容のメモは他の形でとったので省略。このテーマについてのレビュー論文は他にも何本か出ていて、このたび読み比べてみたのだが、この論文が他を圧倒する出来であった。いま気が付いたんだけど、掲載誌はNatureが出しているのね。へー。

読了: Arora, et al. (2025) デプス・インタビューやサーヴェイ調査をLLMで代替するためのガイドライン

諸事情により、ここんとこLLMの社会科学系の応用についての論文を読みまくっていた。わりかしきちんと読んだ奴をいくつか思い出してメモしておく。

Arora, N., Chakraborty, I., Nishimura, Y. (2025) AI–Human Hybrids for Marketing Research: Leveraging Large Language Models (LLMs) as Collaborators. Journal of Marketing, 89(2), 43-70.

 マーケティング・リサーチにおける調査対象者のLLM代替についての提案論文。
 メモは他のかたちで取ったので省略。定性調査(デプス・インタビュー)の対象者のLLM代替や、分析者のLLM代替まで視野に入れているところがポイントである。実証研究としてはかなりしょぼいのだが、そういう主旨の論文ではないというのもよくわかる。

読了: Li, et al. (2024) シリコン・サンプリングで知覚マップを再現

Li, et al. (2024) Determining the Validity of Large Language Models for Automated Perceptual Analysis. Marketing Science, 43(2), 254–266.

 しばらく前に読んだ奴。えーと、これ、まだここに記録してなかったよね… もう記録しているのに俺が忘れちゃってるわけじゃないよね… (疑心暗鬼)

 シリコン・サンプリング(調査対象者のLLMによる代替)の実証研究のひとつ。既存ブランドの知覚マップを再現する。
 内容については別のところで要約を作ったので省略。マーケティング・リサーチ分野での調査課題のなかで、いちばんLLM代替がうまくいきそうな課題を選んだねえ、というのが感想でありました。

読了: Cloud, et al. (2025) LLMのサブリミナル学習

Cloud, A., Le, M., Chua, J., Betley, J., Sztyber-Betley, A., Hilton, J., Marks, S., Evans, O. (2025) Subliminal Learning: Language Models Transmit Behavioral Traits Via Hidden Signals In Data. arXiv:2507.14805

 そうそう、これも読んだのを記録し損ねていた。LLMの「サブリミナル学習」なる現象を報告し話題を呼んだプレプリント。内容は別のところでメモしたので省略。興味深い内容であった。

追記: うわあ!これ、もう記録していたよ… すっかり忘れてた。俺、もうだめかもしれない…

読了: Argyle, et al. (2022) シリコン・サンプリング

最近バタバタしていて、なにかに目を通しても記録する気力がない。ここしばらくの間に読んだ論文を思い出しつつメモしておくと…

Argyle, L.P., Busby, E.C., Fulda, N., Gubler, J., Rytting, C., Wingate, D. (2023) Out of One, Many: Using Language Models to Simulate Human Samples. Political Analysis, 31(3), 337-351.

 シリコン・サンプリング(調査対象者のLLMによる代替)の初期論文。著者らは政治学者。
 メモは別のところでとったので省略。シリコン・サンプリングの未来はこの論文が主張するほどバラ色ではないと思うけれど、初期の実証研究として名を残すことになるだろう。

読了: Dall’Olio & Vakratsas (2023) 広告クリエイティブ戦略と広告効果の関係

Dall’Olio, F., & Vakratsas, D. (2023). The Impact of Advertising Creative Strategy on Advertising Elasticity. Journal of Marketing, 87(1), 26–44.

 仕事の都合で目を通した。広告クリエイティブが広告の効果にもたらす影響についての観察研究。

 こういうのって、巨大なコードブックを使って各クリエイティブを山のような変数についてコーディングし、モデルに全部ぶちこむんだろうと思っていたのだが(そういう研究ありますよね? あんまし読む気にならないけれど)、この研究は「まず広告クリエイティブ戦略のフレームワークを作りました」という話で、変数もメッセージ面が3個、形式面が9個しかない。そこのところに関心を惹かれた。
続きを読む

読了: Cloud, et al. (2025) LLMのサブリミナル学習

Cloud, A., Le, M., Chua, J., Betley, J., Sztyber-Betley, A., Hilton, J., Marks, S., Evans, O. (2025) Subliminal Learning: Language Models Transmit Behavioral Traits Via Hidden Signals In Data. arXiv:2507.14805

 この7月末に公開され大いにバズッたらしきプレプリント。ちょっと検索するだけで、この論文を紹介するブログ記事が山のようにみつかる。ついでにいうと、最近はブログでの論文紹介は全く読まなくなってしまった。どうせ生成AIで書いたんだろ、と思うと急速に読む気が失せてしまうのである。なぜだろう、不思議だ。AIに任せた方が的を得た要約になるかもしれないのにね。
続きを読む

読了: Wang & Praet (2016) 広告メッセージ戦略の分類 in 2016

Wang, L., & Praet, C.L C. (2016). Message Strategy Typologies: A Review, Integration, and Empirical Validation in China. In P. Verlegh, H. Voorveld, & M. Eisend (Eds.), Advances in Advertising Research, VI. 201–213.

 これも仕事の都合で目を通したやつ。広告クリエイティブ戦略のうちメッセージ戦略(what to say)について分類を提案する論文。著者らは小樽商大の先生らしい。
続きを読む

読了: Laskey, Day, & Crask (1989) 広告メッセージ戦略の分類

Laskey, H. A., Day, E., & Crask, M. R. (1989). Typology of Main Message Strategies for Television Commercials. Journal of Advertising, 18(1), 36–41.

いわゆる広告クリエイティブ戦略のうちメッセージ戦略(what to say)について分類を提案する論文。仕事の都合でざーっと読んだ。
続きを読む

読了: Yoshida, Tsukatsune, Niida (2020) webページが表示されないことのメンタルモデル

Yoshida, H., Tsukatsune, K., Niida, S. (2020) Analysis of mental model of users with network mulfunction. Human Interface and the Management of Information. Designing Information (HCII 2020).

 仕事の都合で読んだやつ。
 個別のデバイスについてのユーザのメンタルモデルを調べる研究はたくさんあると思うけれど、インターネットのような大きなシステムについてのメンタルモデルを調べたのはないかなあと思い、たまたま見つけて目を通した。情報コミュニケーション技術(ICT)の動作不全に対するユーザのメンタルモデルを調べますという話。KDDI研究所におられた方々による発表らしい。
続きを読む

読了: Sugasawa & Kubokawa (2020) 混合モデルによる小地域推定のレビュー

Sugasawa, S., Kubokawa, T. (2020) Small area estimation with mixed models: a review. Japanese Journal of Statistics and Data Science. 3, 693–720.

 勉強のためにめくったやつ。小地域推定という地味な分野にも、なんか新しい展開とかあるんじゃないかなと思って。
 小地域推定のうち混合モデルを使う手法についてのレビュー論文(小地域推定の多くの議論は混合モデルに基づくので、ほぼ小地域推定レビューといえよう)。第二著者は「現代数理統計学の基礎」の著者の先生であろう。
 2章が基礎、3章が分散推定の話。4章が本題である。
続きを読む

読了: Smith, Pettigrew, Pippin, & Bialosiewicz (2012) 相対的剥奪研究レビュー

Smith, H.J., Pettigrew, T.F., Pippin, G.M., Bialosiewicz, S. (2012) Relative Deprivation : A Theoretical and Meta-Analytic Review. Personality and Social Psychology Review, 16(3), 203-232.

 街を歩くと憂鬱になる。あちこちに目につくオレンジ色の選挙ポスター。ついに日本にも極右ポピュリズムの高波が押し寄せてきた。欧州諸国のニュースをみるに、いつかはそのときが来ると頭ではわかっていたのだが、世情の変化は想像を超えて速い。これから見たくないものをたくさん見なければならないだろう、という絶望感がある。
 あの人たちの主張に対してはどうかしているとしかいいようがないし、オレンジ色の政党そのものはいずれ別の何かに代わるかもしれないけれど、その背後にある人々の「大事なものを奪われた」という感覚は、これからの社会を突き動かし、毒し続けるだろうと思う。私にできることはあまりないけれど、せめてこれから起きることを少しでも理解したいものだ、とあれこれ思いあぐね、相対的剥奪に関するレビュー論文に目を通した。心理学のリジッドな実証研究に目の前の生々しい現象についての示唆を期待するのは、ちょっと筋違いかなという気もするんだけど。
続きを読む

読了: Godambe & Thompson (1986) 推定関数理論からみた超母集団パラメータと調査母集団パラメータ

Godambe, V.P., Thompson, M.E. (1986) Parameters of Superpopulation and Survey Population: Their Relationships and Estimation. International Statistical Review, 54(2), 127-138.

 有限母集団特性の推定の話を読んでいるとときどき出てくる、推定関数・推定方程式という考え方がどうにも理解しにくく、悔しい思いをしている。腹立ちまぎれに、標本抽出論の解説書Arnab (2017) の該当章を読んでみたんだけど、やはりよくわからない。よし、原典に戻ってみよう! 逐語訳に近いレベルでメモを取れば俺にだって少しはわかるだろう! と思って、Godambeさんの論文を読んでみた。無謀だなあ。
 短い論文だが、たぶん当該領域の重要文献だと思う。google様曰く被引用回数238。
続きを読む

読了: Yang, Kim, & Song (2020) 非確率標本に基づく二重頑健推定の際の共変量選択法

Yang, S., Kim, J.K., Song, R. (2020) Doubly robust inference when combining probability and non-probability samples with high dimensional data. Journal of the Royal Statistical Society Series B: Statistical Methodology, 82(2), 445–465.
 
 非確率標本と確率標本があるとき、前者をうまいことウェイティングしましょうとか、前者でモデルを組んで後者にあてはめて母集団特性を予測しましょうといった方法があるけれど、最近ではその延長線上に、両方やって二重頑健推定しましょうという話もある。ひゅー、かっこいい、今流行りの因果推論みたいだ。私も市場調査みたいな地味な仕事じゃなくて、web広告の最適化とかでぶいぶいいわせられるかもしれない。よーし転職してタワマンの上の方に住んで港区女子と不倫するぞ! (←貧困なイメージ)
 まあとにかくそういうとき、かつ、共変量がたくさんありすぎて困っちゃうとき(どんどんSFっぽくなっていくね)、罰則付き回帰で変数選択するぞ、という論文。
続きを読む

読了: Arnab (2017) 推定関数とはなにか

Arnab, R. (2017) Estimating Function. in “Survey Sampling Theory and Applications“, Chapter 22. Academic Press.

 有限母集団推定の話を読んでいると、ときどきGodambeの推定方程式アプローチというのが出てきて、話のポイントが全然つかめず困惑することがある。いらいらしてきたので教科書的な説明を探して読んでみた。著者とこの書籍についてはまったく初見だが、標本抽出についての難しめの教科書である模様。
 全部で23ページあるが、読むのは前半の14ページ。
続きを読む