読了: Basu, Kumar, & Kumar (2023) 消費者脆弱性についての論文の定量分析

Basu, R., Kumar, A., Kumar, S. (2023) Twenty-five years of consumer vulnerability research: Critical insights and future direction. The Journal of Consumer Affairs. 57, 673-695.

 調べ物のついでにパラパラめくったやつ。消費者脆弱性の文献の定量分析である。
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読了: Hill & Sharma (2020) 消費者行動論からみた消費者脆弱性

Hill, R.P. & Sharma, E. (2020) Consumer Vulnerability. Journal of Consumer Psychology, 30(3), 551-570.

 先日、仕事の都合でメモを取りながら読んだ奴。
 消費者行動論研究の文脈での消費者脆弱性についてのレビュー。「消費者脆弱性」で検索すると消費者保護の法整備の話ばかりヒットするので、こういうレビューは助かる。
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読了: Broniecki, Leeman, & Wuest (2022) MrPで地域レベル変数が多すぎるとき、機械学習でいい感じにやる方法

Broniecki, P., Leemann, L., & Wuest, R. (2022) Improved Multilevel Regression with Post-Strati cation Through Machine Learning (autoMrP). The Journal of Politics, 84(1), 597–601.

 先日仕事の都合で読んだ奴。みんな大好きMr.Pことマルチレベル回帰・事後層別を機械学習で改善しますという話。RパッケージautoMrPの元論文である。
 これ、以前から読もうと思っていたのだけど、勤務先の同僚が読んでくれていたので放置していたのである。トシを取ると多様な言い訳を思いつくようになることがわかる。
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読了: 矢野目(1997) 上海映画人・張善琨、その波乱の人生

 仕事とはぜんっぜん関係ないけど、読んだものはなんでもメモしておこう、というわけで…

 youtubeなどをぼんやり眺めていて(現実逃避)、昔のカンフー映画「拜錯師父叩錯頭」(“Eagle’s Killer”, 1979)の製作会社が「新華影業公司」となっていることに気づき、へーそんな会社があったのか、だれが経営したんだろうか、とふと気になった(現実逃避)。
 HKMDB(有志による香港映画データベース)をみると、「新華影業公司」として1934年から1975年まで出品作があり、1957年に「香港新華影業公司」に改名との注記があり、「香港新華影業公司」としては1952年から1983年まで出品作がある。えええ? 香港で戦前から戦後まで継続した会社だったの? そんな映画会社がありえたの? とさらに気になった(現実逃避)。

矢野目直子 (1997) 日中戦争下の上海に生きた映画人-張善琨 (上). 中国研究月報, 589, 1-9.
矢野目直子 (1997) 日中戦争下の上海に生きた映画人-張善琨 (下). 中国研究月報, 591, 14-32.
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読了: 坂地ほか (2024) 人工知能学会誌「ナラティブと人工知能」特集号

武富有香・須田永遠 (2024) 物語の読解技術とその応用 -文学研究におけるナラティブ-. 人工知能, 39(5), 588-594.
土井智暉・谷中瞳 (2024) 自然言語処理を用いたナラティブ分析の可能性. 人工知能, 39(5), 608-614.
坂地泰紀・塩野剛志・金田規靖・新谷元嗣 (2024) 経済におけるナラティブ. 人工知能, 39(5), 651-657.

昨年9月の人工知能学会誌「ナラティブと人工知能」特集号より。仕事の都合で読んだ。ほんとは所載の13本を全部読んだんだけど、全部書くのは手間なので、特に面白かった3本をメモしておく。

読了: Escalas (2007) 自己に結びつける広告メッセージであっても、それが物語的に処理される場合と分析的に処理される場合では効果が違う

Escalas, J.E. (2007) Self-referencing and persuasion: Narrative tranportation versus analytical elaboration. Journal of Consumer Research, 33(4), 421-429.

 ちょっと経緯があってざっと目を通したやつ。著者のEscalasさんは新製品のメンタル・シミュレーションについて調べていた時になんどか見かけた名前である。
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読了:「香港電影城」「キーウで見たロシア・ウクライナ戦争」「反逆罪」「香港デモ戦記」

90年代後半、小学館が香港映画のガイド本のシリーズを出していたことがあった。これはその1冊目。中央線沿線の駅の近くの古本屋で見つけてつい買ってしまった。奥付には編集:新企画社とある(小学館傘下の編プロで、後に小学館スクウェアに吸収された模様)。
 国立国会図書館のデータベースによれば以下が出版されたらしい。売れたんでしょうね。

  • 冬門稔弐ほか「香港電影城 : 香港映画スーパーガイド」(1995)
  • 冬門稔弐ほか「香港電影城 : 香港映画スーパーガイド 2」(1996)
  • 冬門稔弐ほか「香港電影城 : 香港映画スーパーガイド. 3 (香港銀幕特急)」(1996)
  • 冬門稔弐ほか「香港電影城 : 香港映画スーパーガイド. 4 (香港映画時代) (Popcom business)」(1997)
  • 香港電影城編集部編「香港街歩き大丈夫ガイド」(1997)
  • 冬門稔弐ほか「香港映画ルネッサンス : 香港映画スーパーガイド(香港電影城 ; 5)」(1998)
  • 香港電影城編集部編「香港スター伝説 : 新・香港電影城 (エスノブックス)」(1999)

小学館は同時期に谷垣健治「燃えよ!!スタントマン : 香港電影」(1997)も出版している。かのアクション監督・谷垣健治さんの最初の著書だと思う。それらしい古本屋に行くたびに探している本である。
 1995年と言えば、香港返還は目の前に迫り、ジョン・ウーはハリウッドで「ハード・ターゲット」を撮ったが、ジョニー・トーはあまたの職人監督のひとりに過ぎず、レスリー・チャンは全然元気、という時期である。パラパラめくっただけだけど、なんだかしんみりしちゃいました。
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読了:「宿命の子」「あいまいさに耐える」「現代アジアの民主と独裁」「ルポ フィリピンの民主主義」

2024年末までに読んだ本、ノンフィクション、その3。

意外にもこれは大変興味深い本であった。フィリピンって政治にはいろいろ問題がある国だと思ってはいたが、他人ごとではない面もあるのね…
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読了:「老いゆく団地」「人事と権力 日銀総裁ポストと中央銀行の独立」「コーカサスを知るための60章」「ジョージア映画全史: 自由、夢、人間」「引き裂かれるアメリカ トランプをめぐるZ世代の闘争」

2024年末までに読んだ本、ノンフィクション、その2。

東京都北区の都営桐ヶ丘団地でのフィールドワークに基づく本。
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読了:「吟遊詩人の世界」「バブルの後始末」「民主主義の源流 古代アテネの実験」「されど魔窟の映画館 浅草最後の映写」「社会主義の誤解を解く」

2024年末までに読んだ本、ノンフィクション、その1。

12月に学会で大阪豊中に行き (消費者行動研究コンファレンス)、帰りにちょっと寄り道して千里万博公園の国立民族学博物館に寄った。特別展が面白そうだったから。実際とても面白く、図録まで買ってしまった。
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読了: 「アルテ」「深夜食堂」「秋日子かく語りき」「乙嫁語り」「スーパースターを唄って。」

2024年末までに読んだ本を記録しておく。まずはコミックスから。冊数が激減している… 人生の危機だ…

フィレンツェ共和制の崩壊前後を背景にした物語なのだが、本巻は回想エピソード。次巻あたりで終了となる模様。
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