読了: Dittmar, Beattie, & Friese (1995) 男と女の衝動購買

Dittmar, H., Beattie, J., Friese, S. (1995) Gender identity and material symbols: Objects and decision considerations in impulse purchases. Journal of Economic Psychology, 16, 499-511.

そうそう、記録するのを忘れていたけど、これもしばらく前に読んだやつ。
メモは他のところでとったので省略するけど、風呂敷としては、衝動購買についての社会構築主義モデルを提案する論文である。なんだかすごそうですね。
でも、この研究が実際にやっていることって… 要するに、男と女で衝動購買する財がちがう、購買時の検討内容がちがう、という調査研究である。うーん。社会構築主義とおっしゃるからには、「消費者の衝動買いは消費社会にどのように支えられ、かつ消費社会をどのように支えているのか」とか、「女性の衝動購買において感情的側面が重視され、男性において機能的側面が重視されるという現象はなぜ生じているのか」とか、そういうことを説明なさるのかと思ったんですけど? いや、まあ、いいですけどね。私がなんか理解し損ねているだけかもしれないし。

読了: Mandolfo & Lamberti (2021) 衝動購買研究方法論システマティック・レビュー

Mandolfo, M., Lamberti, L. (2021) Past, Present, and Future of Impulse Buying Research Methods: A Systematic Literature Review. Frontiers in Psychology, 12:687404.

先日仕事の都合で読んだやつ。衝動購買の研究の方法論についてのシステマティック・レビュー。

 メモは他のところでとったので省略するけど、実のところ大多数の論文は定量調査&SEMなのだそうで、ちょっとげんなり。目に浮かびますね。いかにもアンケート一発で検証できそうな仮説を列挙しておいて、アンケート一発で検証する論文… いや、どんな研究にも価値があると思いますけど…
 面白そうだなと思ったのをメモしておくと、Vohs & Faber (2007 JCR)。自己制御資源が枯渇すると衝動購買しやすいという話らしいのだが、目的変数はただの購買意向とかじゃなくて、実際の購買行動をみているらしい。それからDe Vries & Fennis (2019 Int.Mktg.Rev.)ってのも面白そうだな。ローカルブランドは解釈レベルがどうのこうので衝動購買がどうのこうのという話らしいのだが(ふーん)、これも実際に購買行動をアウトカムに取っている模様。

読了:Redine, Deshpande, Jebarakakirthy, Surachartkumtonkun (2023) 衝動購買研究システマティック・レビュー

Redine, A., Deshpande, S., Jabarakakirthy, C., Surachartkumtonkun, J. (2023) Impulse buying: A systematic literature review and future research directions. International Journal of Consumer Studies, 43, 3-41.

 衝動購買研究のシステマティック・レビュー。183本の論文を集計している。
 きちんと読めてないけど、整理の都合上読了にしておく。メモは他の形で取ったので省略。

 個人的な読みどころは理論的枠組みによる分類であった。
 さあ、目を閉じて、衝動購買の研究がどういう理論に基づいてなされているかを想像してみましょう。本数カウントだと、一番多いのはきっと個人差研究、ビッグ・ファイブとかだろう。横断調査一発で研究できるからお手頃だ(すいません)。認知過程の研究だったら… あ、解釈レベル理論が絶対出てくるな、消費者行動の研究ときたら猫も杓子も解釈レベルなんだから(すいません)。そうだなあ、きっと精緻化見込みモデルとかも出てくるだろう。。。
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読了:Salmon, Schumacher, Hohle (2016) Rパッケージsurveillanceで君も感染症のアウトブレイクを監視しよう

Salmon, M., Schumacher, D., Hohle, M. (2016) Monitoring Count Time Series in R: Aberration Detection in Public Health Surveillance. Journal of Statistical Software. 70(10).

 カウント時系列監視のためのRパッケージsurveillanceの解説。実戦投入しようかな? と思ってめくってみた。サーベイランスと言っても広うございますが、これは疫学の文脈での、アウトブレイク検出を意図したパッケージである。
 個人的な好みの問題だと思うけど、品質管理系の論文より10倍くらいわかりやすいような気がする…
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読了: Borror, Shamp, Rigdon (1998) カウント時系列監視のためのポアソンEWMA管理図

Borror, C.M., Shamp, C.W., Rigdon, S. (1998) Poisson EWMA Control Charts. Journal of Quality Technology, 30(4), 352-361.

 カウント時系列の監視手法のひとつ、ポアソンEWMA管理図について知りたくて読んだ。初学者向けの解説論文である。ありがてえ、ありがてえ。
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読了: Shen, Tsui, Woodall, Zou (2015) カウント時系列のEWMA管理図の管理限界をブートストラップ法で決める

Shen, X., Tsui, K., Woodall, W., Zou, C. (2015) Self-starting monitoring scheme for Poisson count data with varying population sizes. Technometrics, 58(4), 460-471.

 仕事の都合で読み漁った、カウント時系列の監視の論文のひとつ。残念ながら提案手法が理解できず、途中で読むのをやめてしまった奴である。いちおう記録しておくが、うーん、残念。
 時系列監視の分野では、平常時のパラメータが未知なのに監視を始めないといけないという問題を自動スタートself-startingというらしい。機械学習とかでいうところのcold startと似た意味だと思う。
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読了: Lucas (1985) カウント時系列のCUSUM法による監視

Lucas, J. (1985) Count Data CUSUM’s. Technometrics, 27(2), 129-144.

 時系列監視手法のうち、件数データに対するCUSUM法の解説。難しい話はなし、実務家向けな啓蒙論文である。
 なぜ私が生まれる前の論文を読まなければならないのかと思うが(すいません嘘です、超生まれてましたね、ヒゲ剃ったりしてましたね)、温故知新っていうことで…
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読了: Praus, Schindel, Fescharek, Schwarz (1993) 処方薬発売後の副作用サーベイランスによる警告システム

Praus, M., Schindel, F., Fescharek, R., Schwarz, S. (1993) Alert systems for post-marketing surveillance of adverse drug reactions. Statistics in Medicine, 12, 2383-2393.

 医学分野での時系列監視についての解説論文。処方薬の副作用件数の監視の話である。これこれ、こういうのが読みたかったのよ…
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読了: Bourazas, Kiagias, & Tsiamyrtzis (2002) ベイジアンな管理図

 仕事の都合で時系列のオンライン監視のことを考えているんだけど、データ生成過程とかはもうどうでもよくて、なんかこう、折れ線が点線を超えたらブザーが鳴るというか… なんていうんですかそういうの… 管理図… そう、管理図みたいなものがあればいいんじゃないかと… そう思えてきました… (ずいぶん弱気になってきた)

Bourazas, K., Kiagias, D., Tsiamyrtzis, P. (2002) Predictive Control Charts (PCC): A Bayesian approach in online monitoring of short runs. Journal of Quality Technology, 54(4), 367-391.

 というわけで、なんだかそれっぽいのをみつけたのでめくってみた次第である。google様的には被引用件数12件だが、CRANのbayespmパッケージの元論文だというのが読みどころである。
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読了:Sonesson & Bock (2003) 公衆衛生における時系列監視

Sonesson, C., Bock, D. (2003) A review and discussion of prospective statistical surveillance in public health. Journal of Royal Statitical Society, A. 166, 5-21.

 公衆衛生分野での時系列監視のレビュー。やれやれ、なぜこんな面白くもない話を勉強しているのか… (すいません、頭の悪い奴のひがみです)
 とはいえ、品質管理の話よりはとっつきやすい。あとファイナンスね! いったいなんなのあれ。疫学や品質管理の専門家は人類にとって必要だけど、ファイナンスの専門家なんて全員拉致して離島に閉じ込めてしまえば世界はかえって平和になるのではないだろうか。(ごめんなさい、貧乏人のそねみです)
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読了:Frisen (2009) 時系列の監視

Frisen, M. (2009) Optimal Sequential Surveillance for Finance, Public Health, and Other Area. Sequential Analysis, 28, 310-337.

 仕事の都合で読んだやつ。時系列監視についての解説論文。
 著者のFrisenさんはこの分野の有名な人だと思う(前に仕事で翻訳をやったことがある)。google様いわく、本論文の被引用件数は82。招待論文という位置付けで、10人のコメントと返答がついている。っていうか、Sequential Analysisなんていうジャーナルがあるのね。掲載論文を読むのははじめてだと思う。

 時系列の監視の話って、いろんな分野に専門家がいて全然違う用語を使うのでどうもとっつきにくく、あまり関わりたくない話題のひとつである。とはいえ、それをいうならそもそも万物に関わり合いを持ちたくないし(枕と布団を除く)、仕事とあらば好き嫌いはいってられない。がんばりましょう、と気合をいれて…
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読了: Skwara (2023) 購買意思決定過程における心的会計の研究のシステマティック・レビュー

Skwara, F. (2023) Effects of mental accounting on purchase decision processes: A systematic review and research agenda. Journal of Consumer Behavior, 22, 1265-1281.

仕事の都合で読んだ。心的会計と購買意思決定についてのシステマティック・レビュー。
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読了: Willemsen & Johnson (2010) 意思決定における情報獲得過程の追跡

Willemsen, M.C., Johnson, E.J. (2010) Visitin the Decision Factory: Observing Cognition with MouselabWEB and other information acquisition methods. In Schulte-Mecklenbeck, M., Kuhberger, A. & Ranyard, R. (Eds.) “Handbook of Process Tracing Methods for Decision Making“.

意思決定の心的過程を追跡する方法のひとつ、情報ボード法についての解説。draftで読んじゃったけど、失敗したなあ。本を買えばよかった。第二版が出ているようだし。
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読了: Payne, Bettman, & Johnson (1988) リスク下選択の方略は時間圧力のような文脈特性・課題特性によって適応的に変わる

Payne, J.W., Bettman, J.R., Johnson, E. (1988) Adaptive Strategy Selection in Decision Making. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition. 14(3), 534-552.

 仕事の都合で大慌てで読んだやつ。情報ボード法による情報探索実験の論文である。
 まさかのJEP:LMC。まさかこのトシになって、我ながらよくわかんない仕事で生計を立てつつ、なぜか80年代のJEP論文を読んでおるとは。若いころの自分が知ったらどう思うのだろうか。(どう思うのかもなにも… どっかから飛び降りてるよね)
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読了: Berger & Tille (2009) 確率不均一な標本抽出

Berger, Y.G., Tille.Y. (2009) Sampling with Unequal Probabilities. Handbook of Statistics, Vol. 29A. Sample Surveys: Design, Methods and Applications. 39-54.

 ポアソン抽出みたいな感じの標本抽出についてあれこれ調べていたんだけど、基礎知識が足りないのに論文ばかり読んでいても… と思って、試しに読んでみたやつ。
 これもぼやきになっちゃいますけど、標本抽出論っていったいどこで学ぶんだ? 皆目見当がつかない。
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読了: Sever & Salehi (2013) 逆抽出デザインのための推定量

Seber, G.A.F., Salehi, M.M. (2013) “Adaptive Sampling Design: Inference for Sparse and Clustered Populations.” Springer. Chapter 5. Inverse Sampling Methods.

 ちょっと関心があって、適応的抽出デザインについてのモノグラフ(全6章)を読んできた(1章, 2章, 3章)。いよいよ、この本を読み始めた目的である第5章、逆抽出についての解説である。
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読了: Ohlsson (1998) 系列ポアソン抽出

Ohlsson, E. (1998) Sequential Poisson Sampling. Journal fo Official Statistics, 14(2), 149-162.

 いまやっている調べ物のついでに読んだやつ。標本サイズを固定した確率不均一抽出デザインのひとつ、系列ポアソン抽出を提案した論文である。
 標本抽出法について調べていると、考案したあなたしか使ってないんじゃないかというようなマイナーな新手法提案がちらほらあるんだけど、この論文はgoogle様曰く被引用回数116。実際に現役の抽出デザインだと思う。
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読了: Seber & Salehi (2013) 適応的抽出デザインに関心があるおまえが学ばなねばならないRao-Blackwell化

Seber, G.A.F., Salehi, M.M. (2013) “Adaptive Sampling Design: Inference for Sparse and Clustered Populations.” Springer. Chapter 3. Rao-Blackwell Modifications.

 適応的抽出デザインについてのモノグラフの第3章。実をいうと5章の逆抽出についての章を読みたいだけなんだけど、いきなり読んでも訳が分からないので最初から目を通している次第である。
 出たよ、Rao-Blackwellの定理… 恥ずかしながら、このあたりの話が理解できたためしがない。そもそも数学がからきしだめだから文系の学部に行ったのに、なんでこの年になってこんな目にあっているのだろうか。憂鬱だなあ。
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読了: Seber & Salehi (2013) 適応的クラスタ抽出デザイン、そして適応的抽出デザインでの母平均推定量

Seber, G.A.F., Salehi, M.M. (2013) “Adaptive Sampling Design: Inference for Sparse and Clustered Populations.” Springer. Chapter 2. Adaptive Cluster Sampling.

 適応的抽出についてのモノグラフ、全6章のうちの第2章。適応的クラスタ抽出についての章だが、この抽出デザインが主題というより、この抽出デザインを題材として適応的抽出の際の主要な推定量を導出する、という主旨だと思う。
 苦手分野だけど、たったの12ページだ。がんばろう! と気合をいれて…
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読了: Seber & Salehi (2013) 適応的標本抽出デザインの世界へようこそ

Seber, G.A.F., Salehi, M.M. (2013) “Adaptive Sampling Design: Inference for Sparse and Clustered Populations.” Springer. Chapter 1. Basic Ideas.

 適応的な標本抽出についての70ページくらいのモノグラフの第一章。
 著者らが書いた別の資料を読んでいて、理屈が全くわかんなかったので(特にMurthey推定量というのがわからんかった)、勉強のために読んでみた。不得意分野でもあることだし、細かくメモを取るぞ!と気合を入れて読み始めたのだが、まだイントロなもので、あんましややこしい話はない。
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