投稿者「elsur」のアーカイブ

読了: Escalas (2007) 自己に結びつける広告メッセージであっても、それが物語的に処理される場合と分析的に処理される場合では効果が違う

Escalas, J.E. (2007) Self-referencing and persuasion: Narrative tranportation versus analytical elaboration. Journal of Consumer Research, 33(4), 421-429.

 ちょっと経緯があってざっと目を通したやつ。著者のEscalasさんは新製品のメンタル・シミュレーションについて調べていた時になんどか見かけた名前である。
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読了:「香港電影城」「キーウで見たロシア・ウクライナ戦争」「反逆罪」「香港デモ戦記」

90年代後半、小学館が香港映画のガイド本のシリーズを出していたことがあった。これはその1冊目。中央線沿線の駅の近くの古本屋で見つけてつい買ってしまった。奥付には編集:新企画社とある(小学館傘下の編プロで、後に小学館スクウェアに吸収された模様)。
 国立国会図書館のデータベースによれば以下が出版されたらしい。売れたんでしょうね。

  • 冬門稔弐ほか「香港電影城 : 香港映画スーパーガイド」(1995)
  • 冬門稔弐ほか「香港電影城 : 香港映画スーパーガイド 2」(1996)
  • 冬門稔弐ほか「香港電影城 : 香港映画スーパーガイド. 3 (香港銀幕特急)」(1996)
  • 冬門稔弐ほか「香港電影城 : 香港映画スーパーガイド. 4 (香港映画時代) (Popcom business)」(1997)
  • 香港電影城編集部編「香港街歩き大丈夫ガイド」(1997)
  • 冬門稔弐ほか「香港映画ルネッサンス : 香港映画スーパーガイド(香港電影城 ; 5)」(1998)
  • 香港電影城編集部編「香港スター伝説 : 新・香港電影城 (エスノブックス)」(1999)

小学館は同時期に谷垣健治「燃えよ!!スタントマン : 香港電影」(1997)も出版している。かのアクション監督・谷垣健治さんのの最初の著書だと思う。それらしい古本屋に行くたびに探している本である。
 1995年と言えば、香港返還は目の前に迫り、ジョン・ウーはハリウッドで「ハード・ターゲット」を撮ったが、ジョニー・トーはあまたの職人監督のひとりに過ぎず、レスリー・チャンは全然元気、という時期である。パラパラめくっただけだけど、なんだかしんみりしちゃいました。
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読了:「宿命の子」「あいまいさに耐える」「現代アジアの民主と独裁」「ルポ フィリピンの民主主義」

2024年末までに読んだ本、ノンフィクション、その3。

意外にもこれは大変興味深い本であった。フィリピンって政治にはいろいろ問題がある国だと思ってはいたが、他人ごとではない面もあるのね…
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読了:「老いゆく団地」「人事と権力 日銀総裁ポストと中央銀行の独立」「コーカサスを知るための60章」「ジョージア映画全史: 自由、夢、人間」「引き裂かれるアメリカ トランプをめぐるZ世代の闘争」

2024年末までに読んだ本、ノンフィクション、その2。

東京都北区の都営桐ヶ丘団地でのフィールドワークに基づく本。
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読了:「吟遊詩人の世界」「バブルの後始末」「民主主義の源流 古代アテネの実験」「されど魔窟の映画館 浅草最後の映写」「社会主義の誤解を解く」

2024年末までに読んだ本、ノンフィクション、その1。

12月に学会で大阪豊中に行き (消費者行動研究コンファレンス)、帰りにちょっと寄り道して千里万博公園の国立民族学博物館に寄った。特別展が面白そうだったから。実際とても面白く、図録まで買ってしまった。
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読了: 「アルテ」「深夜食堂」「秋日子かく語りき」「乙嫁語り」「スーパースターを唄って。」

2024年末までに読んだ本を記録しておく。まずはコミックスから。冊数が激減している… 人生の危機だ…

フィレンツェ共和制の崩壊前後を背景にした物語なのだが、本巻は回想エピソード。次巻あたりで終了となる模様。
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読了: Turner (2017) ユーザ経験としての時間つぶし

Turner, P. (2017) Killing Time with Technology. “A Psychology of User Experience“, Chapter 6. Springer

仕事の関連で、これって消費者が時間つぶしのために消費しているものですよね… という事柄があったのだけれど、不意に「いやまて、そもそも時間つぶしとはなんなのか」という哲学的な疑問にとらわれた。なにか役に立ちそうなものを探して読んでみた次第。
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読了: Baucells & Sarin (2010) 飽和と習慣形成を説明する効用モデル

Baucells, M., Sarin, R.K. (2010) Predicting Utility Under Satiation and Habit Formation. Management Science, 56(2), 286-301.
 研究会で経済学の先生が引き合いに出していた論文。なんだか面白そうだし、仕事と直接に関連しない論文を読むのは楽しいなあ(現実逃避)… と思って読み始めたんだけど、残念ながら途中で力尽きた。
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読了: Quinn & Bederson (2011) ヒューマン・コンピュテーションを分類する

Quinn, A.J., & Bederson, B.B. (2011) Human Computation: A Survey and Taxonomy of a Growing Field. CHI’11: Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems. 1403-1412.

ヒューマン・コンピュテーションについてのレビュー。誰かと話していてうっかりヒューマン・コンピュテーションという言葉を使ってしまい、自分もよく意味がわかっていないな… と思って読んだ奴。google様によれば被引用回数1182なんだけど、この分野では13年前の国際会議発表なんて古文書に近いでしょうね…
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読了:Jindal & Aribarg (2021) 消費者の価格探索についての研究において、消費者が真の価格分布を知っているとか信念をベイズ更新しているといった仮定はどのくらいクリティカルか

Jindal, P., Aribarg, A. (2021) The Importance of Price Beliefs in Consumer Search. Journal of Marketing Research, 58(2), 321-342.

 しばらく前に途中まで読んで放棄していたやつ。えーと、仕事の都合で価格知覚の実証研究を調べていて、その流れで読んだ奴だと思う。整理がつかないので最後までむりやりめくった。
 消費者の価格知覚についての実験研究とかだろうとと思ったら、そうではなくて、価格探索についての規範的モデルと探索行動に基づき探索コストを逆算するという研究であった。こういう分野があるんですね。はじめて聞くような話ばかりで、かなり戸惑った。
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読了: Lally, et al. (2010) 習慣形成を個人レベルで追跡する実験をやりました

Lally, P., van Jaarsveld, C.H.M., Potts, H.W.W., & Wardle, J. (2010) How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40, 998-1009.

 仕事の都合でめくった奴。
 えーと、Gardner & Lally (2018) いわく、人間の習慣形成を個人内で追いかけた定量研究はこの論文ともう一本しかない、のだそうである。現時点でもそうなのかどうかは知らんけど。
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