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2008年1月29日 (火)

Bookcover 真相―イラク報道とBBC [a]
グレッグ ダイク / 日本放送出版協会 / 2006-06
イラク戦争の時にブレア政権の圧力で辞職したBBC会長の手記。買ったまま積んであったのをこのたび発見。辞職に至るまでの内幕を暴露した本だと思っていたのだが(だってそういう邦題だし),それは全体の1/4くらいで,むしろ異色の放送人の自伝とでも呼ぶべき本であった。自伝であるからして,おおよその内容は自画自賛なのだが,シニカルなユーモアのおかげで面白く読み終えた。著者はもう大変な自信家で,嫌いな人をこき下ろしはじめたら容赦がない。きっと味方も敵も大変多い人にちがいない。こんな人がよくBBCの会長なんかになったねえ。
 日本の事情と比較しても仕方がないんだけど,無理矢理あてはめるならば,元敏腕プロデューサーが経営側に転身,民放の社長を経てNHK会長となるが,報道の独立性をめぐる政府・自民党との争いに敗れて辞職,しかしその日は全国のNHK職員が放送局の前で反対デモをやった,というような話である。すごいなあ。

ノンフィクション(-2010) - 読了:01/29 (NF)

Bookcover くらしのいずみ (ヤングキングコミックス) [a]
谷川 史子 / 少年画報社 / 2008-01-28
著者はたしか通好みな少女漫画家だと思う。若い夫婦の愛と信頼を甘く歌い上げる短編連作。非常に苦手なタイプのマンガなのだが,もうとにかく上手いのなんの,読みやすく,絵柄が美しく,台詞が繊細で,男も女も実に魅力的である。よく知らないけど,90年代少女漫画の精髄!という感じであった。

Bookcover アジ玉。〈3〉 [a]
黒川 あづさ / 中央公論新社 / 2008-01
バングラデシュの人と国際結婚した女性マンガ家によるエッセイコミック。「インド夫婦茶碗」の流水りんこさんが切り開いたジャンルだと思うけれど,これはこれでちょっと面白い。最終巻とのこと。

コミックス(-2010) - 読了:01/29まで (C)

2008年1月27日 (日)

Bookcover 裸者と裸者〈上〉孤児部隊の世界永久戦争 (角川文庫) [a]
打海 文三 / 角川書店 / 2007-12
Bookcover 裸者と裸者〈下〉邪悪な許しがたい異端の (角川文庫) [a]
打海 文三 / 角川書店 / 2007-12
先日急逝した作家による,2004年刊の長編。
舞台は内乱下にある日本。孤児となった8歳の少年が凄まじい暴力と混乱のなかを生き延びていく,というのが前半。14歳の双子の姉妹が武装した少女たちを率いて闘う,というのが後半。京王線の稲田堤あたりから多摩センター近辺までが武装勢力が割拠する日本最大のスラムと化しており,永山駅前の大学病院あたりが不気味な排外的宗教団体の本拠地になっているという設定である。
評判通り,これは前作の「ハルビン・カフェ」に匹敵する,大変に面白い小説であった。巻末の解説で北上次郎さんが書いているとおり,ある意味では爽やかな成長小説である。極めて陰惨で救いのない暴力描写は,爽やかな成長譚を可能にするための仕掛けだと捉えるべきだと思う。
と同時に,なぜこれだけの作家がマイナーなまま世を去ることになってしまったのか,なんとなくわかるような気がした。たとえば後半の主役である双子姉妹は,個々人のアイデンティティがはっきりしておらず,常に「姉妹」としてのみ扱われる。不気味で面白い設定だけど,この主役に感情移入するのは難しい。

フィクション - 読了:01/27まで (F)

Bookcover ハンバーガーの教訓―消費者の欲求を考える意味 (角川oneテーマ21) [a]
原田 泳幸 / 角川書店 / 2008-01
著者はアップル日本の社長から転身したことで知られるマクドナルドCEO。マクドナルドといえば,グローバリズムの先兵,店長の過労死,労働のマクドナルド化。。。とすっかり悪役イメージがあるので,この本ではどうなっているかしらん,と底意地悪く手に取った。そういう話は露ほども言及されていなかったが(やっぱりなあ),冒頭数頁に最近起きた賞味期限偽装問題について反省する文章が突っ込んであった。発行日からみて緊急処置であったに違いない。やるなあ。
大企業の経営者が書いたという本を読んで,面白いと思ったことは滅多にないのだけれど,それは俺が組織を動かす経験に乏しく,むしろ組織に振り回され使い捨てられる悲しい星の下にあるからで,だからこの本がつまらなかったのは俺の問題だと考えるべきであろう。あえて学ぶべき点を探すと,(1)CEO様いわく,データやリサーチは戦略立案のためにではなく,戦略検証のためにあるとのこと。なるほどね,そりゃそうかもね。(2)こういう世間話本だからこそ構成が大事だ。読みやすさを決めるのはテニオハではなく話の流れ方なのだ。その点,この本は腕の立つライターさんを雇っている。

マーケティング - 読了:01/27まで (M)

Bookcover AV産業―一兆円市場のメカニズム [a]
いのうえ せつこ / 新評論 / 2002-09
出版時に買って(ということは5年前か),途中まで読んで放置してあった。整理がつかないので無理矢理読了。
市民運動出身のフリーライターが,アダルトビデオ産業について書いた本。取材も議論も一人称に留まり,中途半端な印象を受けた。周囲の人100人(!)にアンケートを配り,自由記述欄への回答を延々と紹介するところなど,ちょっといかがなものかと思う。事実と思いこみが混在しがちなあたり,なんだか朝日新聞の投書欄の長ーい奴を呼んでいるような気分であった。しかしまあ,きっとこのテーマを正面から扱うこと自体が貴重なのであろう。

ノンフィクション(-2010) - 読了:01/27まで (NF)

Bookcover よい子への道 [a]
おかべ りか / 福音館書店 / 1995-10-10
年明けに読んだのだが,ここに書くのを忘れていた。渋谷の児童書専門店「ちえの木の実」で購入。歴史と伝統を誇るあの福音館書店の絵本シリーズに(「ぐりとぐら」ですぜお母さん),なんとマンガがあるとは知らなかった。それもちょっと一筋縄ではいかない一コママンガである。なにしろ一頁目は,「学校へ持っていってはいけないもの:その一,ことばづかいの悪い石」(小さな石が周囲の子どもたちを罵倒しているマンガ)。シュールだ。。。親世代が爆笑するのはいいとして,子どもの反応が知りたいところだ。

コミックス(-2010) - 読了:01/27まで (C)

2008年1月22日 (火)

Bookcover 社会学への招待 [a]
ピーター・L. バーガー / 新思索社 / 2007-11
ここ数ヶ月,ずっと持ち歩いていた本。著者は俺でさえ名前を知っているくらいだから,非常に有名な社会学者だと思う。
 題名に反して,これは社会学入門というよりも,「私が思うに社会学とはこのような学問だ(そうあるべきだ)」という本であった。説明のために引き合いに出されるちょっとした事例や,本筋とはあまり関係のない余談が分量の大半を占めているので,内容は決して厚くない。ところが,その事例や余談があまりに面白く,話の本筋を見失ってしまいそうになる。この大先生ときたら,大変な皮肉屋で,極論が大好きで,かなりヒトが悪いのである。
 しかし,その皮肉と極論の背後には,ほとんどナイーブとさえいえるほどの,学問への深い信頼があるように思う。この先生実はショッテルナア,と可笑しく思いながらも,ちょっぴり胸打たれてしまった箇所がいくつかあった。もっともこういう感想は,俺が幸いにして社会学とはあまり縁がないからであって,職業としての社会学に従事している人からみたら,この本はあまりにシニカルに過ぎ,あまりに高い理想を掲げすぎる,敬して遠ざけたいタイプの名著なのかもしれない。
 通勤電車で細切れに開いているので,落ち着いて読めなかったのが残念だ。ストレス溜まるなあ。
 
Bookcover 反米大陸―中南米がアメリカにつきつけるNO! (集英社新書 420D) [a]
伊藤 千尋 / 集英社 / 2007-12-14
全国紙の偉い人による,アメリカ帝国主義はこんなにもひどいことをしてきた,中南米の人々はいまや立ち上がったぞ,云々という本。門外漢の俺が偉そうなことを書くのもおかしいんだけど,どうも浅薄な感じがする内容であった。
 「キューバについて一般のアメリカ人や日本人が知っている情報の大半が,アメリカのホワイトハウス発表や,アメリカのテレビの偏った報道による悪意に満ちたものだ。キューバを訪れた日本人の多くは,これまで聞いていた情報と,自分の目で見た現実の違いの大きさに驚いている」なあんてね。キューバに行ったことがないのでわからないのだが,「日本人の多く」って誰だ。こういう文章を見ると,かつての「北ベトナムの人々は貧しいけれど,子どもたちの瞳は輝いていた」式の報道を思い出してしまう。オピニオン色の強い文章というのも,それはそれでなかなか難しいものらしい。

Bookcover アイデアのつくり方 [a]
ジェームス W.ヤング / CCCメディアハウス / 1988-04-08
大昔の広告マンによる,とても短い,ひどく有名な本。幅広い情報収集が大事だとか,incubationが大事だとか。ふうん。。。読んでも特に人生が変わったような気がしないのは,この本の現代風の焼き直しがすでに巷にあふれているからだろうか,それとも俺の心が汚れているからか。

Bookcover 合理的とはどういうことか (講談社選書メチエ) [a]
岡部 勉 / 講談社 / 2007-05-11
残念ながら,この本は内容がさっぱり頭に入らなかった。文章そのものは平易なのだが,なぜこんな問題について考えなければならないのかがわからない,というか,話の枠組みにうまく入っていけない,というか。。。あっちこっちに登場する進化論的な説明も,あまりに思弁的に感じられて,ちょっとついていけない。残念だが,今回は縁がなかったと思ってあきらめよう。

ノンフィクション(-2010) - 読了:01/22まで (NF)

Bookcover マーケティングゲーム―世界的優良企業に学ぶ勝つための原則 (Best solution) [a]
エリック シュルツ / 東洋経済新報社 / 2002-04
実務家が書いた,企業のマーケティング担当者のための実践手引書という感じの本。よくわからないけど,類書のなかではかなり良い本なのではないかと思う。事例をただ羅列するのではなく,一般的な説明を試みているし,少なくとも構成がはっきりしていて読みやすい。そもそも実務寄りの解説書にはくっだらない本が多いのだ。
 広告の効果を激減させる大罪が6つあるとのこと。傲慢(社名の過剰露出),暴食(目を引くが関係ないビジュアル),嫉妬(他社のまね),貪欲(ベネフィットの誇張),などなど。大罪なのになぜ7つではないのか? 答:「色欲は広告においては美徳だから」。は,は,は。いかにもスーツ着た人のジョークって感じですね。

マーケティング - 読了:01/22まで (M)

2008年1月20日 (日)

Bookcover 通貨燃ゆ―円・元・ドル・ユーロの同時代史 [a]
谷口 智彦 / 日本経済新聞社 / 2005-03

ノンフィクション(-2010) - 読了:01/20まで (NF)

Bookcover この世界の片隅に 上 (アクションコミックス) [a]
こうの 史代 / 双葉社 / 2008-01-12
下巻が待ち遠しい。。。

Bookcover まだ旅立ってもいないのに [a]
福満 しげゆき / 青林工芸舎 / 2003-07

Bookcover 平田弘史傑作選 1 介錯 (ニチブンコミック文庫 HH 1) [a]
平田 弘史 / 日本文芸社 / 2007-05
Bookcover 平田弘史傑作選 2 無惨 (ニチブンコミック文庫 HH 2) [a]
平田 弘史 / 日本文芸社 / 2007-06

Bookcover モリのアサガオ 7―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (アクションコミックス) [a]
郷田 マモラ / 双葉社 / 2007-07-03

コミックス(-2010) - 読了:01/20まで

「細木数子」という占い師・TVタレントがいる。テレビを全く観ない俺でもこの人の名前を知っているくらいだから,有名な人だと思う。俺がこの人の名前を知ったのは,ノンフィクション作家の佐野眞一さんがかつてこの人についての記事を書いていたからで,その記事を掲載しようとした雑誌編集部に単身乗り込んできて「あんた!畳の上では死ねないよ!」とすごんだ,というエピソードが印象に残っている。
 それはともかく,ひょんなことから気が付いたのだが,

この占い師の名前をいまざっとgoogleで検索して,上位にみつけたURLである。どのページもつくりが似かよっていて泣かせる。最後のやつなんかすごいぞ。この奥様はいったい何回「細木数子」と書けば気が済むのか。

 これらのページは業者さんの手によるものじゃないかと思うのだが,なにを目的にしているのかが俺にはよくわからない。単にアフィリエイトやadsenseで小銭を稼ぐのが目的なのか。SEO対策としてつくられた偽装ページ群(リンク・ファーム)だとしたら,どのページのランクを上げるのが目的なのだろうか。
 SEOスパムやリンク・ファームは,業者と検索エンジンとのいたちごっこが続いている問題だが,いずれは技術の進歩によって過去の話題となってしまうだろう。一傍観者としては,こういうグレーなSEO対策をきちんと観測している人がいれば面白いのになあ,と思う。別に機械的に判別する必要はないし,多少間違えても構わないから,見つけた人が投稿できるwikiのような仕組みをつくっておけば,後々貴重な資料になると思うんだけどなあ。
 。。。まあどうでもいいや,寝よう。

雑記 - 細木数子のファンページ群

2008年1月15日 (火)

Potter, F.J. (1990). "A study of procedures to identify and trim extreme sampling weights." Proceedings of the Section on Survey Research Methods, American Statistical Association, 225-230.
仕事の空き時間に読んだ。
 層別抽出とか事後層化とかで,各ケースを抽出確率の逆数でウェイティングして集計するとき,不幸にして抽出確率が小さい層があったりすると,ウェイトがすごく大きくなっちゃって困る。そこで,ある基準を上回ったウェイト値はトリミングしちゃおうという発想が出てくる。その基準を決める方法として,
- 既存の方法を2つ紹介します(MSEの推定値を最小にする方法,NAEPで使われている方法)。
- さらに新手法を二つご提案します(テイラー級数を使う方法,ウェイトの理論分布を使う方法)。
4つの手法をARFデータに適用して結果を比較してみました。という内容。

 ARF(Area Resource File)というのは米保健社会福祉省による大規模データベースらしい。実データに適用したところで優劣はいまいちはっきりしないわけだが(そりゃそうだよな),論文の主旨はむしろ4つの手法を並べてみせるところにあるようだ。
 テイラー級数を使う方法とMSEを最小化する方法は,ターゲットになる調査変数が同定されているときの話である。調査データにウェイティングするとき,なにが主要な調査変数かは決まっていないのが普通だろうし,もし決まっているのならマルチレベルモデルをつくればいいんじゃないかと思う。というわけで,適用範囲がかなり狭いような気がする。いっぽう,ウェイト分布を使うやり方は魅力的だけど,あいにく難解なもので(ウェイト値はベータ分布に従うと仮定すると...云々。降参),実装しているソフトがないことにはお手上げである。それにNAEP方式でやってもさほど変わらないそうだから,だったらNAEP方式でやればいいやね。
 NAEP(全米の学力テスト)で使っている方式とは:ウェイト値はすべて二乗する。その平均のc倍を基準と定める(cは分布をみて決めればよい。NAEPでは10)。基準を上回っているウェイト値は基準まで切り詰め,その分ほかのウェイト値を底上げして(平均が変わらないように),やおら基準を再計算する。これを繰り返す。んだそうな。案外ローテクだなあ。
 PotterというのはRTI internatinalというところのひとで,ここはSUDAANという複雑な調査データの分析に特化したソフトをつくっているから,きっとその開発関係者なのであろう。それにしても,延々と検索してもこの種の議論が公的調査の文脈でしかみつからないのが不思議である。マーケティングリサーチでも同じ事が起きるだろうに。みなさんどうしておられるんですかね。想像するに,こんな勉強をしている暇があったら,もっとお金儲けに直結したことを考えた方が良いのであろう。いくら勉強しても統計学者になれるわけではなし。。。

SUDAANをgoogleで検索すると,日本語で言及しているページもあることはあるのだが,最初に出てくるのは大洗町の割烹「寿多庵」である。アンコウ鍋か,いいなあ。。。

論文:データ解析(-2014) - 読了:01/15 (A)

2008年1月13日 (日)

Bookcover みなさん、さようなら [a]
久保寺 健彦 / 幻冬舎 / 2007-11
久しぶりに面白い小説を読んだ。
 都営団地で生まれ育ち,小学校を卒業以来,団地の外に一歩も足を踏み出さずに成長していく青年を描いた青春小説。いわゆるひきこもりとは異なり,彼はひとりで読書しひとりで身体を鍛え,団地のケーキ屋に弟子入りし手に職をつけ,なんと素敵な恋人までつくってしまう。一種の奇妙なファンタジーだが,それ故にその後の失望も苦い。なにしろ,都営団地は高齢化が進み,次第に寂れていくのである。
 読み終えて思うに,これは上手い小説とは言い難い。母親とのエピソードはもっと伏線を引いておけばいいのにと思うし,最後にとんでもない悪人が現れるあたりもちょっと都合が良すぎる。それでも,こうやって力尽くで最後まで書き上げるということが大事なのだろう。うーん,すごいなあ。
 この小説の美点は,紆余曲折あっても最後まで緊張感が失われないところだと思う。素人考えだが,物語そのものが団地に限定されているという極端な閉鎖性がミソなのではないだろうか。高校生の頃に大岡昇平の「野火」を読んで,戦争だろうがなんだろうが,とにかく閉じられた空間から人物も読者も出られないという状況をつくってやれば,それだけでちょっとした小説が書けちゃうんじゃないかしらん,と思ったのを思い出した。

Bookcover 殉教・微笑 (講談社文芸文庫) [a]
小島 信夫 / 講談社 / 1993-12-03
これは昨年ほぼ読み終えていた本。短編「アメリカン・スクール」を読んでいないのだが,整理がつかないので読了にしておく。
 「アメリカン・スクール」は,敗戦国日本の英語教師たちがアメリカン・スクールを見学にいく,その卑屈にも屈折した姿をコミカルに描いた傑作である。俺は中学校の図書室でこれを読み(なんでこんな小説を読んだのかよくわからないが),登場人物たちの姿の恥ずかしさにひとり身もだえしたのを覚えている。この恥ずかしさは尋常ではありません。極東の島国に生きる我々の本質に関わる恥ずかしさである。以来二十数年のあいだ,英語で困った目に遭うたびに,俺はよくこの小説を思い出した。
 で,久々に読み返そうと試みたところ,数頁読んだだけで,もう恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて。。。主人公が英語で話しかけられるのを避けたいあまり,いきなり弁当を食べ始めちゃう,というあたりで涙目になって挫折した。外資系企業で日常的に悲惨で滑稽な姿をさらしている俺を鏡でみているような,あ行の音に濁点をつけて絶叫したいような気分である。

フィクション - 読了:01/13まで (F)

Bookcover 新宗教―その行動と思想 (岩波現代文庫) [a]
村上 重良 / 岩波書店 / 2007-02-16
80年に評論社から出た本の文庫化。新宗教を(1)幕末・維新期(如来教,天理教,黒住教etc.), (2)近代神道系(大本教,PL, 生長の家etc.),(3)近代法華系(霊友会,創価学会etc.)に整理し,おもな教団について解説している本であった。
ずいぶん昔の本だから,新しい話題は載っていない(創価学会でいえば,創共協定は載っているが,宗門からの破門まではもちろんカヴァーされていない)。それはともかく,時折あらわれる分析的記述にも,なんだかそこはかとなく戦後な香りが漂っている。市民社会と折り合う普遍的な教団は善,そうでないのは保守反動,というあたりとか。巻末の解説(島薗進)によれば,執筆当時の著者はマルクス主義の影響下にあったのだそうだ。ふうん。

Bookcover 自治体格差が国を滅ぼす (集英社新書) [a]
田村 秀 / 集英社 / 2007-12-14
自治官僚出身の人が書いた本。いまいちコンセプトがはっきりしない内容であった。

ノンフィクション(-2010) - 読了:01/13まで (NF)

Bookcover 失われた時を求めて フランスコミック版 第1巻 コンブレー [a]
ステファヌ・ウエ,マルセル・プルースト / 白夜書房 / 2007-11-20
 年始に読んだのだが,書くのを忘れていた。プルーストを読んだことがないので良し悪しは分からないが,絵柄も美しく,楽しめる内容であった。本家のほうも読んでみようか,という気にさせられた。
版元の名前に驚いた(「写真時代」「パチンコ必勝ガイド」のあの白夜書房である)。最近はアダルト向け出版を子会社のコアマガジンに移し,一般書にシフトしているのだそうだ。売れるといいですね。

Bookcover モリのアサガオ―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (5) (ACTION COMICS) [a]
郷田 マモラ / 双葉社 / 2006-07-28
Bookcover モリのアサガオ―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (6) (ACTION COMICS) [a]
郷田 マモラ / 双葉社 / 2006-12-26

Bookcover その後のツレがうつになりまして。 [a]
細川 貂々 / 幻冬舎 / 2007-11

コミックス(-2010) - 読了:01/13まで (C)

2008年1月 8日 (火)

Bookcover 北朝鮮は、いま (岩波新書) [a]
/ 岩波書店 / 2007-12-20

Bookcover 私はこうして受付からCEOになった [a]
カーリー・フィオリーナ / ダイヤモンド社 / 2007-11-30
夕飯食べつつ一気読み。実にインパクトのある邦題だが,実際には平凡なOLとはほど遠い(スタンフォード大卒,UCLAロースクールを中退,数年後に名門ビジネススクールに入り直すが,その間ちょっと受付やってました,という話)。やるなあダイヤモンド社。
 前半はもちろん成功譚であるからして,過去の経験をすべて肯定する自己充足ぶりにうんざりさせられたが,HPのCEOになってからの泥沼の苦労話は面白い。無能な人をばっさりと切り捨てるあたり,さぞや周囲から怖れられていただろうなあと思わされる。うかつにこういうことを書くと,女性への偏見ではないかと痛くもない腹を探られるかもしれないが(ちがいます),もしフィオリーナさんが同僚だったら,俺はもうびびって近寄らない。自伝読んでるくらいがちょうどいいや。
 解任される際にせしめたといわれる二十数億円の退職金については,特に言及がなかった。そういうものか。

どうにもうまくいかないことばかりなので,なにも考えないことにして無理矢理ページをめくった。こういうとき,普通の大人はどうするんだろうか。ジムで汗を流すとか? パチンコとか? 旅行とか? 残念,スポーツにもギャンブルにもとんと縁がないし,外出は近所の公園で十分だ。最近つくづく思うのだけれど,我ながら実につまらない男だ。足りないのは能力と精神力だけではない,どうやら魅力にも欠けているのさ。

ノンフィクション(-2010) - 読了:01/08まで (NF)

Bookcover 西南戦争―西郷隆盛と日本最後の内戦 (中公新書) [a]
小川原 正道 / 中央公論新社 / 2007-12
明治政府の高官たちも,まさか西郷さんが挙兵するとは思わなかったのだそうだが,その西郷さんは薩摩の若者たちに祭り上げられるあまり,かえって決定から隔離されていたのだそうだ。なるほど,カリスマ的指導者というのも良し悪しだなあ。

日本近現代史 - 読了:01/08まで (CH)

2008年1月 7日 (月)

Bookcover ワイルダネス 6 (サンデーGXコミックス) [a]
伊藤 明弘 / 小学館 / 2007-12
こんなつまらん人生にも,それなりにいろいろ思い悩むところある次第で,そうした諸般の都合により,読む本といったらもうマンガばっかし。
いや,「ワイルダネス」は面白いですけどね。この銃撃戦の鮮やかさ,ジョン・ウーにだって負けない。もう最高,とホレボレしつつも,やれやれ,他人のつくったものを喜んで消費して,こうやって人生をやり過ごすわけか,と少々気が滅入るのである。

Bookcover 花輪和一初期作品集 [a]
花輪 和一 / 青林工芸舎 / 2007-10

Bookcoverぼく、オタリーマン。2 [a]
よしたに / 中経出版 / 2007-08-31

Bookcover モリのアサガオ―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (1) (ACTION COMICS) [a]
郷田 マモラ / 双葉社 / 2004-12-06
Bookcover モリのアサガオ―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (2) (ACTION COMICS) [a]
郷田 マモラ / 双葉社 / 2005-04-28
Bookcover モリのアサガオ―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (3) (ACTION COMICS) [a]
郷田 マモラ / 双葉社 / 2005-08-27
Bookcover モリのアサガオ―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (4) (ACTION COMICS) [a]
郷田 マモラ / 双葉社 / 2006-02-25

コミックス(-2010) - 読了:01/07まで (C)

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