2010年4月アーカイブ

いつも安物の服ばかり着ている私は,激安紳士服量販チェーンから大切なお得意様として遇されています。毎週のように葉書が届きます。「このクーポンで19,800円のビジネス・スーツを5,000円引き! 選ばれた上質を知るハイセンスなあなただけにプレゼント!」 いやあ,照れるなあ。

店員さんの上手なお世辞はお客を喜ばせ,財布の紐を緩くします。では,見え透いたお世辞はどうでしょうか? かえって逆効果だ,と思うのがふつうだと思います。香港科学技術大のエレイン・チャンたちはこの常識に異議を唱えています。二重態度モデルと呼ばれる考え方に基づけば,いかにミエミエのお世辞でも効き目があるはずだ,その効き目は時間が経つと強くなるはずだ,というのです。

先日発表された調査結果によれば,もっとも顧客満足度が高い業界は通信販売,もっとも低い業界は携帯電話だったそうです。今日の食事にも事欠く国の人々のことを思えば,携帯の電波が弱いなどと不平をいうのも大人げない,なんて思うのですが...

近年では厳しい競争を勝ち抜くために,多くの企業が顧客満足の向上に力を注いでいます。では,国中の企業の顧客満足がみんな高くなったら,いったい何が起こるのでしょうか。自社も競合他社も顧客満足が高くなるのですから,結局はなにも変わらないのでしょうか? ミシガン大学のクレス・フォーネルたちは,アメリカ中の企業の顧客満足が全体的に高くなると,米国民の消費支出の合計が増える,と考えています。アメリカのGDPの7割以上は個人消費であることを考えれば,顧客満足の全体的向上は経済成長につながる,といってもよさそうです。

おばちゃんたちが世間話をしていました。共通の知人であるナントカさんについての噂話です。「あの人ちょっとねー,自分の意見を無理やり通すところあるでしょう?」「そうそう。私もそう思ってたのよー」「でもあの人,まわりの意見に流されちゃうこと多いのよー」「そうそう,そういうところあるわよねー」...どっちなんだ!

調査対象者に「人生において最も大事なのはお金だ」という文を示し,同意できる程度を聴取しました。その結果,「非常に同意できる」にマルをつけた人の割合は日本人よりもアメリカ人で大きい,という結果が得られました。さて,この結果は,アメリカ人のほうが拝金主義的だということをあらわしているのでしょうか? それとも,アメリカ人はどんな質問文に対しても「非常に同意できる」と答えやすいイエスマンたちだ,ということに過ぎないのでしょうか?...これが「回答スタイル」の問題です。オランダ・エラスムス大学のファン・ロスマーレンたちは,評定データにおける回答スタイルの影響を統計的に取り除き,対象者の態度だけを取り出す手法を提案しています。

スターバックスが大好きな知人がいます。新製品は真っ先に試し,暇さえあれば店内のソファーでくつろいでいます。安くない値段なのに,ずいぶんリッチだねえ,と冷やかすと,真顔でいわく,「スタバのインスタント・コーヒーがあったらいいのに」。そ,そうかなあ...

企業がブランド拡張に失敗したとき,親ブランドはどのくらい傷を負うのでしょうか? シンガポール・南洋理工大学のシャロン・イングは,ブランド拡張の失敗が親ブランドを傷つける程度は文化によって異なると主張し,興味深い実験をおこなっています。

近所のベーカリーに,一斤500円もする高級食パンが登場しました。一度買ってみたいなあと夢膨らむ反面,これまで喜んで食べてきたふつうの食パンが,なんだか安っぽく思えてきたりして。。。

米エモリー大のライアン・ハミルトンたちは,売り場の品揃えに高級品を追加したり廉価品を追加したりしたとき,消費者がそのお店に対して持つイメージがどう変わるかを,実験によって調べています。彼らが注目したのは,「あのお店は値段が高そうね」といった,小売店の価格イメージの変化です。

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Bookcover 統計的因果推論
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目から鱗が落ちまくり。しまいには涙が出そうになりました。

Bookcover ゆたかな社会
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経済学が苦手な私たちの心も鷲掴み。歴史的名著と呼ばれるのは伊達じゃありません。

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「マーケティング」と名の付く本は数あれど,知的興奮を与えてくれる本は珍しいと思います。その稀な一冊。

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