どうもこんにちは! あっという間に2016年も折り返し点近くとなりました。

 マーケティング・リサーチ関係の論文をちまちま読む、という主旨のこのブログでありますが、例によって日本マーケティング・リサーチ協会「マーケティング・リサーチャー」の連載コラムをご紹介させていただきたいと思います。
 えーと、こちらは下書き原稿ですので、もしご関心をお持ち下さった方がいらっしゃいましたら、ぜひ本誌をお手にとって頂ければと思いますです。

 今回は、身体化認知と呼ばれる研究群についての紹介です。今日や明日の仕事に役に立つ話じゃないかもしれませんが、気楽にお目通し頂ければと思います。
 このブログをどなたがお読みになっているのかわかりませんが、どうもこんにちは!寒いですね!

 マーケティング・リサーチ関係の論文をちまちま読む、という主旨ではじめたこのブログでありますが、力及ばず中断しております。そのかわりといってはなんですが、日本マーケティング・リサーチ協会「マーケティング・リサーチャー」の連載コラム原稿を、前回に引き続きご紹介したいと思います。あくまで下書きですので、もしご関心をお持ち下さった方がいらっしゃいましたら、ぜひ本誌をお手にとって頂ければ幸いです。

 今回は、調査に回答したせいでその後の行動が変わってしまうという現象(「質問-行動効果」)についてご紹介しております。ここだけの話(?)、この現象はこれからのマーケティング・リサーチにとって極めて重要な問題になる...と個人的には確信しているのですが、それはまた別の話。気楽にお目通し頂ければと思います。
 2010年から更新していないブログが突然更新されたら、びっくりしますよね。少なくとも私はびっくりしてます。どうも、こんにちは! お元気ですか!

 マーケティング・リサーチ関係の論文をちまちま読んでは紹介する、という主旨であったこのブログですが、9本書いたところでストップしてしまいました。何をやらせても継続できない。これは成功できない人の典型だなあ... と、時々思い出しては気に病んでおりました。

 その後、御声掛けいただきまして、市場調査の業界団体である日本マーケティング・リサーチ協会の機関誌「マーケティング・リサーチャー」に、ときどき短いコラムを載せていただいております。もともと「海外の動向紹介」というざっくりしたご依頼からスタートした連載なので、このブログの延長戦というか、出張版というか、江戸の敵を長崎で討つというか、吉原の敵を雄琴で討つというか(すいません冗談です)、そんな気持ちで書いております。

 毎回すっごく苦労して書いているのですが(自慢できることではありませんけど)、あまり人目に触れるタイプの雑誌ではないので、以前の原稿のドラフト版をこちらに載せてみたいと思います。下書きですので、雑誌に掲載されたものと言い回しが違ってたり、図表が汚かったりすると思います。もしご関心をお持ち下さった方がいらっしゃいましたら、ぜひ本誌をお手にとって頂ければと思います。
[2014/08/14追記] 以下で紹介している論文の第二著者 Dirk Smeesters 氏が、研究上の不正を犯していたことがあきらかになりました。エラスムス大学の調査委員会は、2014年5月の最終報告書(PDF)において、この論文を含む7本の論文に不正を認めています。委員会はこの論文の撤回を勧告しています。 興味深い研究なのに、とても残念です...
昔の経済学者の名台詞に,「長期的にみれば我々はみんな死ぬ」というのがあるんだそうです。偉い先生にいわれるまでもなくあたりまえの話ですが,ふだんは死ぬことなんてあまり考えずのんきに暮らしているのが,我々凡人というものでして...

オランダ・フローニンゲン大学のJ. リウたちは,死に関連する情報への接触がその後の消費者のブランド選択に影響する,と主張しています。彼女たちによれば,人々は死について考えると,知らず知らずのうちに自国のブランドを選びやすくなるのです。

「毎週金曜更新」などと触れ込みつつ,実に2ヶ月間も放置されていたこのブログでありますが,単なる再開では芸がありません。人は日々の経験に学び,不断のプロセス改善を心がけるべきだ,とこないだ雑誌で盗撮マニアの人がいってました。というわけで! 再開にあたって宣言いたします!
新規投稿が順調に遅れております! ご愛読の皆様(って誰だ?),何卒ご容赦くださいませ。 次回記事は「死の恐怖とブランド選択」(仮題)であります。面白そうですよね? 実際に面白いといいんですけど。
居酒屋の精算時にアンケート用紙を渡されました。ぜひご回答くださいませとのこと。<とても満足>にマルをつけながら,内心うしろめたい気持ちが。だって,今夜の打ち上げには大幅に遅れてしまい,ついさっき店に着いたばっかりなんですよ?

近年では,多くの企業が顧客満足の向上に力を注いでいます。しかし,顧客満足が向上すれば売上・利益が伸びるとは限らないことも,広く知られている事実です。たとえば,満足度調査では「とても満足している」と答えている顧客が,なぜか競合他社に乗り換えてしまったりするのです。顧客満足などあてにならない,と考えるべきなのでしょうか? 豪ニュー・サウス・ウェールズ大のM.チャンドラセカランたちは,そうではない,と答えます。彼らによれば,顧客満足の高さだけではなく,その評価の確実さが重要なのです。

「最近の消費者は買い物をするときに地球に優しい製品を選んでいることが,調査の結果あきらかになりました!」という主旨の記事をみかけたことがあります。いったいどうやって調べたのか,よく読んでみると,「私は環境に配慮した製品を買うように心がけている」という設問に対して「はい」と回答する人が多かった由。ううむ,人を信じるのは素晴らしいことだけど,調査に対する回答をあまりに真に受けるのは,ちょっといかがなものかしらん?

マーケティング・リサーチでは,質問紙をつかった調査が大きな役割を果たしています。質問紙調査のひとつの問題点は,回答者が自分の本当の態度や行動に基づいて回答せず,自分を良くみせるように回答を歪めてしまうのではないか,という点です。この現象は「社会的に望ましい回答」(SDR)と呼ばれています。SDRは質問紙調査の本質的な特徴であり,決め手となる対策はなかなかないのですが,対処の手がかりとして,SDR傾向の個人差,つまり自分を良く見せるような回答をする傾向の個人差に注目するアプローチがあります。ノースカロライナ大チャペルヒル校のJ.E.M.スティーンカンプたちは,マーケティング分野でのSDR傾向の研究を概観し,SDRへの対処のガイドラインを提案しています。

ええと,05/14掲載予定の記事が,著者急病のため(←マンガ週刊誌的言い訳。実際には健康),遅れております。16日掲載を目指しております。全国1000万の読者のみなさま(←読売新聞的カウント。実際にはそれほど読まれていない),何卒ご容赦くださいませ。
職場の同僚のAさんはつぶあん派です。餡たるもの,すべからくつぶあんであるべし,と熱く力説します。そうですね,あの食感がいいですよね,と私は適当に相槌を打ちます。いっぽうBさんはこしあん派です。濾す手間を省くなんて全く信じられない,と嘆きます。なるほど,あの上品さがいいですよね,と適当に相槌を打ったところで,ふと見ると,Aさんが嫌な目つきで私をにらんでいます。「いや,つまり,その... その日の気分で好みが変わるんですよ...」 ご理解頂けるとよいのですが。

マーケティング・リサーチの重要な課題のひとつは,製品に対する消費者の好みを定量的に捉えることです。ここで問題になるのは,たとえひとりの消費者に注目したとしても,その好みは一種類ではなく,状況によって変動することがある,という点です。ニューヨーク市立大のジャック・リーたちは,消費者の複数の好みを定量的に表現する方法として「多重理想点モデル」を提案しています。この方法を用いると,個々の消費者の購買履歴データだけを用いて,その消費者の複数の好みを定量的に表すことができます。

いつも安物の服ばかり着ている私は,激安紳士服量販チェーンから大切なお得意様として遇されています。毎週のように葉書が届きます。「このクーポンで19,800円のビジネス・スーツを5,000円引き! 選ばれた上質を知るハイセンスなあなただけにプレゼント!」 いやあ,照れるなあ。

店員さんの上手なお世辞はお客を喜ばせ,財布の紐を緩くします。では,見え透いたお世辞はどうでしょうか? かえって逆効果だ,と思うのがふつうだと思います。香港科学技術大のエレイン・チャンたちはこの常識に異議を唱えています。二重態度モデルと呼ばれる考え方に基づけば,いかにミエミエのお世辞でも効き目があるはずだ,その効き目は時間が経つと強くなるはずだ,というのです。

先日発表された調査結果によれば,もっとも顧客満足度が高い業界は通信販売,もっとも低い業界は携帯電話だったそうです。今日の食事にも事欠く国の人々のことを思えば,携帯の電波が弱いなどと不平をいうのも大人げない,なんて思うのですが...

近年では厳しい競争を勝ち抜くために,多くの企業が顧客満足の向上に力を注いでいます。では,国中の企業の顧客満足がみんな高くなったら,いったい何が起こるのでしょうか。自社も競合他社も顧客満足が高くなるのですから,結局はなにも変わらないのでしょうか? ミシガン大学のクレス・フォーネルたちは,アメリカ中の企業の顧客満足が全体的に高くなると,米国民の消費支出の合計が増える,と考えています。アメリカのGDPの7割以上は個人消費であることを考えれば,顧客満足の全体的向上は経済成長につながる,といってもよさそうです。

おばちゃんたちが世間話をしていました。共通の知人であるナントカさんについての噂話です。「あの人ちょっとねー,自分の意見を無理やり通すところあるでしょう?」「そうそう。私もそう思ってたのよー」「でもあの人,まわりの意見に流されちゃうこと多いのよー」「そうそう,そういうところあるわよねー」...どっちなんだ!

調査対象者に「人生において最も大事なのはお金だ」という文を示し,同意できる程度を聴取しました。その結果,「非常に同意できる」にマルをつけた人の割合は日本人よりもアメリカ人で大きい,という結果が得られました。さて,この結果は,アメリカ人のほうが拝金主義的だということをあらわしているのでしょうか? それとも,アメリカ人はどんな質問文に対しても「非常に同意できる」と答えやすいイエスマンたちだ,ということに過ぎないのでしょうか?...これが「回答スタイル」の問題です。オランダ・エラスムス大学のファン・ロスマーレンたちは,評定データにおける回答スタイルの影響を統計的に取り除き,対象者の態度だけを取り出す手法を提案しています。

スターバックスが大好きな知人がいます。新製品は真っ先に試し,暇さえあれば店内のソファーでくつろいでいます。安くない値段なのに,ずいぶんリッチだねえ,と冷やかすと,真顔でいわく,「スタバのインスタント・コーヒーがあったらいいのに」。そ,そうかなあ...

企業がブランド拡張に失敗したとき,親ブランドはどのくらい傷を負うのでしょうか? シンガポール・南洋理工大学のシャロン・イングは,ブランド拡張の失敗が親ブランドを傷つける程度は文化によって異なると主張し,興味深い実験をおこなっています。

近所のベーカリーに,一斤500円もする高級食パンが登場しました。一度買ってみたいなあと夢膨らむ反面,これまで喜んで食べてきたふつうの食パンが,なんだか安っぽく思えてきたりして。。。

米エモリー大のライアン・ハミルトンたちは,売り場の品揃えに高級品を追加したり廉価品を追加したりしたとき,消費者がそのお店に対して持つイメージがどう変わるかを,実験によって調べています。彼らが注目したのは,「あのお店は値段が高そうね」といった,小売店の価格イメージの変化です。

 

このブログは

マーケティング・リサーチに関係する英語圏の学術論文を紹介します。 主にJournal of Marketing Researchの最新号から紹介していきますが,以前の号や 別の雑誌に浮気することもあります。書いているのは こんな奴

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学術書でありつつも,実務への示唆がてんこ盛り。さすがにその道の第一人者はちがいます。

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さまよえる統計手法ユーザの道しるべ。必携のガイドブック。

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なぜこの本はもっと評判にならないんだろう? 不思議で仕方ありません。

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かのExperidge社・岸川さんのデビュー作。お世話になっているのでいうわけじゃないけど,とても勉強になる本です。

泣く子も黙るおもしろ本

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著者の最高傑作。日本のイメージが変わります。

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学部卒業前にこの本を読んでいたら,人生ちょっと変わっていたかも...

Bookcover 統計的因果推論
宮川 雅巳
目から鱗が落ちまくり。しまいには涙が出そうになりました。

Bookcover ゆたかな社会
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経済学が苦手な私たちの心も鷲掴み。歴史的名著と呼ばれるのは伊達じゃありません。

Bookcover マーケティングの神話
石井淳蔵
「マーケティング」と名の付く本は数あれど,知的興奮を与えてくれる本は珍しいと思います。その稀な一冊。

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