書籍:フィクション」カテゴリーアーカイブ

読了:「ギリシア悲劇III エウリピデス(上)」「パートタイマー・秋子」

現代日本を代表する劇作家、永井愛の2003年の作品。食品スーパーを舞台に、倫理的課題に直面する人々を描く。このたび再演されることになり単行本となった模様。
 これから全国ツアーをやるらしいけれど、私は池袋の東京芸術劇場で観て、衝撃のあまり物販コーナーでこの本を買い、項垂れてとぼとぼと帰ってきた。永井愛さんの作品は喜劇の形をとって、私たちの虚飾と偽善に満ちた生活をあまりに鋭く抉るので、とてもじゃないが平常心ではいられないのである。
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読了:「イリアス」「オデュッセイア」「ジプシー歌集」「過去を売る男」「刑罰」「祖父の祈り」

フィクション、その2。

年明けからだったか、突如「イリアス」ブームが訪れ、ほとんど熱狂的にページをめくっていたのであった。とにかく面白い。加えて云えば、現代の価値観では考えられないような行為と、現代人にとってもごくなじみ深い心の動きの両方を描いているところがサスペンスフルである。
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読了:「更級日記」「黒石 新宿鮫XII」「焔」「煉獄の獅子たち」「スパイはいまも謀略の地に」

昨年9月以降に読んだ本、フィクション、その1。

フィクションに分類していいのかどうかわからないけれど… コロナ禍や疫病について考えていて、不意に読みたくなった。
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読了:「農婦譚」「厳寒の街」「羊の国の『イリヤ』」「ベルリンに落ちる闇」「喪失の冬を刻む」

農婦譚
 住井すゑの短編集(底本は1940年刊)。土浦市の出版社・筑波書林の1983年刊のハードカバーで、当然ながらISBNはついていない。本屋さんの自由価格本コーナーで見つけた。
 意外にも、ちょっぴりピランデッロを連想させる硬質な農民小説であった。著者は「橋のない川」で知られる作家だが、戦争協力の逸話が記憶にあり、予断があったかもしれない。
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読了:「自転車泥棒」「同志少女よ敵を撃て」「龍膽寺雄 焼夷弾を浴びたシャボテン」

台湾の人気作家による長編小説。「歩道橋の魔術師」がなかなか面白かったのでなんとなく手に取ってみたら、都会に生きる青年のノスタルジックなストーリーが、時間と空間が入り乱れる壮大な物語へと広がり、引きずり込まれるようにして読み終えた。ここのところ読んだ本のベストワン。
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読了:「ヘルドッグス 地獄の犬たち」「パワー・アントワネット」

記録するのを忘れていた本。

ふだんは全く読まないライト・ノベルなんだけど、アイデアが馬鹿馬鹿しくて良いなあと思って手に取った。マリー・アントワネットがなぜか筋肉モリモリの武術の達人で、ギロチンでは首を切れなくて… という話。マリーがポーズをとるとボディ・ビルディングの大会同様、侍女たちが「ナイスバルク!」「肩にちっちゃい鉄馬車乗せてんのかい!」などと声を掛けるのだそうである。
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読了:「羊の頭」「深い疵」「夜の爪痕」「マイ・シスター、シリアルキラー 」「見えない都市」「わかって頂けますかねえ」「20世紀ジョージア短篇集」

2021年8月以降に読んだフィクション。最近自分に甘くなり、海外ミステリをなしくずしに解禁してしまっている。

えーと、ドイツのミステリ小説「ヴァルナー警部&クロイトナー巡査」シリーズの2冊目。いまいち憎めないクロイトナーという粗暴な巡査が狂言回しになるやつね。
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読了:「ペスト」「白い病」「ペスト」「湖の男」「神と罌粟」

今春、部屋に閉じこもっていて読んでいた本。わかりやすい選択だ…
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