今年に入ってから読んだ本を記録しておく。まずはコミックスから。
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Kunda, Z. (1990) The case for motivated reasoning. Psychological Bulletin, 108(3), 480-498.
都合により読んだ論文。「動機づけられた推論」概念を提唱した論文として広く引用されている。google scholar上の被引用件数は11422件。化け物だ。
メモは別のところでとったので省略。
よしひとつ読んでおくか、とめくり始めたのはよいが、掲載誌からも想像がつくように、文章が延々とつづくハードなレビュー論文で… 数ページ目から大後悔。なんとか読み終えるまでに何日もかかり、メモはpptで19ページに至った(一部を端折っているのに)。いちサラリーマンが気軽に読むようなもんじゃないよ、これ。
Gengler, J.J., Tessler, M., Lucas, R., Forney, J. (2021) ‘Why do you ask?’ The nature and impacts of attitudes towards public opinion surveys in the Arab world. British Journal of Political Science, 51, 115-136.
調べ物の途中でみつけてなんとなくPDFを保存し、今回フォルダを整理していてなんとなく読み終えてしまった論文。現実逃避だ…
調査参加者の調査に対する一般的態度と、調査参加行動との関係を調べた論文。そういう研究はほかにもあるが、中東のカタールでやったというのが売りである。
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Taylor, C., Webb, T.L., Sheeran, P. (2013) ‘I deserve a treat!’: Justifications for indulgence undermine the translation of intentions into action. British Journal of Social Psychology, 53(3), 501-520.
都合により読んだもの。google様曰く、被引用件数72。
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山本隆久(2023) 『おそれとおののき』におけるキェルケゴールの信仰理解への神学的考察. 聖書と神学, 34, 23-47.
ひょんな経緯で読んだもの。掲載誌は日本聖書神学校というところの紀要誌のようなものだと思う。DOIはついていないようだ。
これはあれだな、やっぱりキルケゴール「おそれとおののき」というのを先に読んでないとわかんないな。調べたところ、キルケゴールの文庫はいまだ新刊で入手可能だが(まじか。すごいな)、この文章については全集にあたらないといけないようだ。
De Witt Huberts, J.C., Evers, C., De Ridder, D.T.D. (2014) “Because I am worth it”: A theoretical framework and empirical review of a justification-based account of self-regulation failure. Personality and Social Psychology Review. 18(2), 119-138.
ちょっと都合があって読んだもの。セルフ・コントロールの失敗(つまり、長期的な自己制御目標と短期的な誘惑目標が対立したときに後者を追及してしまうこと)を、自己制御資源の枯渇とかネガティブ感情下の衝動的行動とかで説明するのではなく、むしろ熟慮的システムによる正当化プロセスの結果として説明することができるのではないでしょうか。という、ガチに心理学な理論論文。
メモは他の形でとったので省略。いやあ、疲れた… 勉強になったけど、そして面白かったけど(2014年の時点でバウマイスターさんたちに正面から喧嘩を売っている)、でもほんとに疲れた…
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私は普段ぼんやりと、あまり他人と会話することなく生きているので、たまに年齢の近いクライアントさんなどとお話しているとき、「役職定年」とか「企業人としての残りの人生を…」などという発言を耳にし、息を吞むような感じになることがある。俺は先のことをなんにも考えてないなあ、と痛感する。
柄にもなく反省し、これからやってみたいことを頭のなかに書き出してみると、これがすごくたくさんある。まず数学を勉強したいですね。私が高校生の頃、授業はGHQの指導により数学Iまでだったんです(すいません冗談です)。英語ももう一度本腰をいれて勉強したいし、中国語もやりたい。仕事の都合でデータ解析とか調査法とか消費者行動論の論文を読むことが多いんだけど、それはそれで面白いので可能な限り続けたい。積読の本の山の大きさはもう一生本屋に行かなくていいくらいだし、映画も観たい。音楽も聴きたい。これまであまり行かなかったが観光にだって行きたい。趣味のジョギング鑑賞の時間も確保したい。ジョギング鑑賞とは、公園のベンチに座ってジョギングする人々を鑑賞するという高雅な趣味である。足長いなあとか、胸が揺れているなあとか、いろいろな着眼点があり奥が深い。いずれ広く普及し、創設者である私の銅像が行きつけの公園に立つはずである。
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Vosgerau, J., Scopelliti, I., Huh, Y.E. (2019) Exerting Self-Control (not equal) Sacrificing Pleasure. Journal of Consumer Psychology, 30(1), 181-200.
ぜいたく品購買の正当化について調べていてたまたま見つけた論文。食品消費におけるセルフコントロールについての理論的主張論文である。
この雑誌にはResearch Dialogueという、招待論文と数人のコメントと返答をまとめて載せる企画があるようで、この号には、企画趣旨説明(Aradhna Krishnaさんによる)、この論文、LambertonとMochon & Schwartzという人のコメント、コメントへの返答が載っている模様。最初の説明をざっとみたところ、コメンテーターとの間で鋭い意見対立があるわけではなさそうなので、ま、これだけ読んでおけばいいかな。
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Xu, J., Schwarz, N. (2009) Do We Really Need a Reason to Indulge? Journal of Marketing Research, 46(1), 25-36.
調べ物の一環で読んだやつ。てっきりぜいたく消費の正当化の論文かと思ったんだけど(題名からはそう思いますわね)、ちょっと毛色の変わった問題設定で… 途中から面白さに気づきメモを取った。
あとで気が付いたんだけど、第二著者は調査法研究のシュワルツじゃん! そうか、本業は感情の認知的研究の人だもんね。マーケティング領域でも身体化認知の論文とか書いてたし。
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谷口忠大 (2023) 自由エネルギー原理と記号・言語創発: 集合的予測符号化から大規模言語モデルまで. 人工知能, 38(6), 810-817.
谷口忠大 (2024) 集合的予測符号化に基づく言語と認知のダイナミクス: 記号創発ロボティクスの新展開に向けて. 認知科学, 31(1), 186-204.
研究会の予習で大急ぎで読んだ論文を2本。前者は、人工知能学会誌の「自由エネルギー原理とAI」への寄稿である。
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後藤崇志 (2020) 「セルフコントロールが得意」とはどういうことなのか: 「葛藤解決が得意」と「目標達成が得意」に分けた概念整理. 心理学評論、63(2), 129-144.
都合によりざっとめくった論文。
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Splichal, S. (2022) In data we (don’t) trust: The public adrift in data-driven public opinion models. Big Data & Society, 1(13).
調べものして、寄り道して読んじゃった奴。そんなことをしている暇はないはずなのに…
ビッグデータと社会科学、というような感じの学術誌に載った、哲学的エッセイというか、そういう感じの論文。前半は世論概念の歴史なんだけど、リップマンどころか、マキャベリからスタートいたします。
著者Slavko Splichalさん(77歳)はスロベニアの社会学者?らしい。近著に”Datafication of Public Opinion and the Public Sphere”というのがある。ひー。難しそうな本ですね。
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Rogelberg, S. G., Fisher, G. G., Maynard, D. C., Hakel, M. D., & Horvath, M. (2001). Attitudes toward Surveys: Development of a Measure and Its Relationship to Respondent Behavior. Organizational Research Methods, 4(1), 3-25.
ちょっと関心があってめくってみた論文。調査に対する一般的な態度を測る尺度を作ったよという話である。
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Mukhopadhyay, A., & Johar, G.V. (2009) Indulgence as self-reward for prior shopping restraint: A justification-based mechanism. Journal of Consumer Psychology, 19, 334-345.
仕事の都合で読んだやつ。無関係なぜいたく品購買機会のあいだで生じるダイナミクスの話。第一著者の博論とのこと。
消費者購買行動の研究で、お金を快楽的に無駄遣いしたり高カロリー食品を買っちゃったりすることをindulgenceというのだけれど、良い訳語が見当たらない。「放縦」というのも硬すぎてわかりにくいし…
時間の都合で実験の部分をとばして読んだ。いずれメモを取りなおそう。いずれっていつだよ… → 実験の部分のメモを追記しました。
Okada, E.M. (2001) Trade-ins, Mental Accounting, and Product Replacement Decisions. Journal of Consumer Research, 27(4), 433-446.
ちょっと都合があって読んだ。耐久財の買い替えの意思決定についての、心的会計の観点からの実験研究。著者の先生は前に読んだ購買正当化についての論文の著者で(あれは美しい実験研究であった)、謝辞によればこの論文はPenn U.での博論(ちょっと待って、じゃ購買正当化の論文は修論とかだったの?)。現在は一橋大の先生らしい。
前の論文でも感心したんだけど、これまた、実にスマートな論文で…
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Spears, N. (2006) Just Moseying Around and Happening Upon It versus a Master Plan: Minimizing Regret in Impulse versus Planned Sales Promotion Purchases. Psychology & Marketing, 23(1), 57-73.
仕事の都合で読んだやつ。計画購買vs. 衝動購買、販促、後悔最小化、そしてぶらぶらファクター(なにそれ)と、なかなかキーワードが多くて一言で説明しにくい論文である。
google様いわく被引用件数64。掲載誌はメジャーとはいいにくいと思うが、そのわりにはちょっと多めかな。
いやー、それにしても、超わかりにくい論文であった…
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Dittmar, H., Beattie, J., Friese, S. (1995) Gender identity and material symbols: Objects and decision considerations in impulse purchases. Journal of Economic Psychology, 16, 499-511.
そうそう、記録するのを忘れていたけど、これもしばらく前に読んだやつ。
メモは他のところでとったので省略するけど、風呂敷としては、衝動購買についての社会構築主義モデルを提案する論文である。なんだかすごそうですね。
でも、この研究が実際にやっていることって… 要するに、男と女で衝動購買する財がちがう、購買時の検討内容がちがう、という調査研究である。うーん。社会構築主義とおっしゃるからには、「消費者の衝動買いは消費社会にどのように支えられ、かつ消費社会をどのように支えているのか」とか、「女性の衝動購買において感情的側面が重視され、男性において機能的側面が重視されるという現象はなぜ生じているのか」とか、そういうことを説明なさるのかと思ったんですけど? いや、まあ、いいですけどね。私がなんか理解し損ねているだけかもしれないし。
Mandolfo, M., Lamberti, L. (2021) Past, Present, and Future of Impulse Buying Research Methods: A Systematic Literature Review. Frontiers in Psychology, 12:687404.
先日仕事の都合で読んだやつ。衝動購買の研究の方法論についてのシステマティック・レビュー。
メモは他のところでとったので省略するけど、実のところ大多数の論文は定量調査&SEMなのだそうで、ちょっとげんなり。目に浮かびますね。いかにもアンケート一発で検証できそうな仮説を列挙しておいて、アンケート一発で検証する論文… いや、どんな研究にも価値があると思いますけど…
面白そうだなと思ったのをメモしておくと、Vohs & Faber (2007 JCR)。自己制御資源が枯渇すると衝動購買しやすいという話らしいのだが、目的変数はただの購買意向とかじゃなくて、実際の購買行動をみているらしい。それからDe Vries & Fennis (2019 Int.Mktg.Rev.)ってのも面白そうだな。ローカルブランドは解釈レベルがどうのこうので衝動購買がどうのこうのという話らしいのだが(ふーん)、これも実際に購買行動をアウトカムに取っている模様。
Redine, A., Deshpande, S., Jabarakakirthy, C., Surachartkumtonkun, J. (2023) Impulse buying: A systematic literature review and future research directions. International Journal of Consumer Studies, 43, 3-41.
衝動購買研究のシステマティック・レビュー。183本の論文を集計している。
きちんと読めてないけど、整理の都合上読了にしておく。メモは他の形で取ったので省略。
個人的な読みどころは理論的枠組みによる分類であった。
さあ、目を閉じて、衝動購買の研究がどういう理論に基づいてなされているかを想像してみましょう。本数カウントだと、一番多いのはきっと個人差研究、ビッグ・ファイブとかだろう。横断調査一発で研究できるからお手頃だ(すいません)。認知過程の研究だったら… あ、解釈レベル理論が絶対出てくるな、消費者行動の研究ときたら猫も杓子も解釈レベルなんだから(すいません)。そうだなあ、きっと精緻化見込みモデルとかも出てくるだろう。。。
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Salmon, M., Schumacher, D., Hohle, M. (2016) Monitoring Count Time Series in R: Aberration Detection in Public Health Surveillance. Journal of Statistical Software. 70(10).
カウント時系列監視のためのRパッケージsurveillanceの解説。実戦投入しようかな? と思ってめくってみた。サーベイランスと言っても広うございますが、これは疫学の文脈での、アウトブレイク検出を意図したパッケージである。
個人的な好みの問題だと思うけど、品質管理系の論文より10倍くらいわかりやすいような気がする…
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