投稿者「elsur」のアーカイブ

読了:「マックス・ウェーバー」「EU離脱」「コンビニチェーン進化史」「カラヴァッジョ<聖マタイの招命>」「かんぽ崩壊」

この本は意外に面白かった。どうでもいいけど、プロテスタンティズムの倫理となんとやらに出てくる「鉄の檻」って、正確に訳すと檻というより「殻」とか「外衣」なのだそうだ。ふーん。
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読了:「半グレと芸能人」「コロナ後の世界」「中東政治入門」「アメリカ大統領選」「物語 東ドイツの歴史」

東西統一の暗い側面についてはじめて知った。東ドイツ出身の人々が統一前の東ドイツにノスタルジーを感じることがあるという事情が、ようやく理解できたように思う。
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読了:「県警VS暴力団」「ビジネス・フレームワークの落とし穴」「人類と病」「ジョージ・オーウェル」「白人ナショナリズム」

元福岡県警刑事の回顧録。東海テレビの「ヤクザと憲法」というドキュメンタリーについて批判していて、変な感想だけど、あ、映画もご覧になるのか…と思った。(そりゃみますよね)
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読了:「ドキュメント 強権の経済政策」「難民問題」「イスラームからヨーロッパをみる」「マックス・ウェーバー」「インドネシア大虐殺」

どちらかといえば伝記的記述に焦点を当てた内容。読んでから半年くらい経っちゃったので細かいところは忘れたけど、ヴェーバーさん、結構つきあいにくそうな人だった…
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読了:「健康で文化的な最低限度の生活」「7人のシェイクスピア」「愚者の星」「銀の匙」「はじめてのひと」

シェイクスピアの作品群は社会からはじき出された疑似家族の共同製作であったという設定の下での、大変に面白い歴史マンガ。13巻を読んでいて気づいてちょっと嬉しくなっちゃったことがあるのでメモしておくと、シェイクスピアのソネット集にはW.H.という謎の人物に宛てられた献辞がある。この物語におけるシェイクスピア集団のひとり、ワース・ヒューズ青年の名前は、きっとこれを踏まえているんだろうな。
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読了:「OL進化論」

日本の4コママンガの歴史に残る記念碑的作品(そう思いません? )。この三十年の社会変動と併走しつづけた、暖かくも鋭い世情観察の記録である。連載は続いていたものの単行本化が停止していたのが、なぜか今年に入って唐突な連続刊行。もしかして、ついに…

読了:「ビューティフル・エブリデイ」「おいおいピータン!!」「おひとり様物語」「ニュクスの角灯」「邦キチ!映子さん」

なぜか全6巻セットが表示されるけど、読んだのは1巻目。このマンガ家の初期の作品については、なんだか大学でマンガの研究をしているインテリの習作のようだなあという感想で、どこが良いのかわからなかったんだけど(すいません)、これを読んで見直した。こんなに面白いマンガを描く人だったとは。
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読了:「メタモルフォーゼの縁側」「夢の端々」「神は細部に宿るのよ」「きょうも厄日です」「女のはしょり道」

少女期に同性愛的な一瞬を共にした二人の女性の半生を、映画「ペパーミント・キャンディ」のような時系列逆順で描く。いやあ、女の人って、怖い…
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読了:「大奥」「不思議の国のバード」「チェイサー」「九龍ジェネリックロマンス」「我らコンタクティ」

冴えない平凡な若者がなぜか宇宙にロケットを飛ばそうとする話。雑誌連載時に読んでいたんだけど、単行本で読み直して感銘を新たにした。これ、ほんとに面白く、感動的な物語です。
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読了:「ランド」「あせとせっけん」「カフェでカフィを」「ダンジョン飯」「いちげき」

ひたすらホンワカした恋愛コメディ。このマンガ、なかなか人気あるのだそうで、それってなにを意味しているのだろうか… と考え込みながら読んでいる。みんな疲れているのかな、というのがひとつの仮説である。
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読了:「ハコヅメ」「高丘親王航海記」「無尽」「ヴィンランドサガ」「春とみどり」

現在連載中のマンガのなかでもっとも気になる作品。労働者としての警察官に焦点を当てたコメディなのだが、労働環境や組織内の葛藤が実に生々しい。
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読了:「イヌジニン」「夢で逢いましょう」「そしてボクは外道マンになる」「ディオサの首」「ヘルドッグス」

ここからは電子書籍で読んだマンガ。

室井大資さんの旧作が電子書籍で復刊されたので読んでみた。オカルトアクションというふだんなら手を出さないタイプのマンガなんだけど、いやこれが面白くて… 異様な才能だなあと感心した。タイトルの「イヌジニン」とは主人公たちの属する謎の国家機関かなんかなんだけど(これ自体は子供じみた設定ですね)、「ボクたちは××だ」などと名乗ることは一切なく、テンポの良い活劇の後に警官から名を問われ黙って微笑む、そのアップにタイトルが被って幕となる。演出のキレの良さ、痺れますね。
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読了:「リウーを待ちながら」「フルーツ宅配便」「オールドボーイ」「バイオレンスアクション」「極主夫道」

静岡の御殿場市をモデルとした地方都市を舞台に、パンデミックの中での人々の葛藤を描く(題名はカミュ「ペスト」に因んでいる)。数年前に発表された際にはそのときはあまり食指が動かなかったんだけど、コロナ禍の始まりの頃に思い出して読んでみた。意外な佳作であった。それにしても、作家の想像力が現実を予告している面もあり(スーパーから食品が消えるとか)、さすがに思い至らなかったかと思う面もあり…(政府が小さな布マスクを2枚配るのに大金をつぎ込むなんて、誰が想像できただろう?)
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読了:「ブランチライン」「ワカコ酒」「赤狩り」「カラオケ行こ!」「あさひなぐ」

読んだ本の記録を長いことさぼっていた。今年2月以降に読んだ本、まずはコミックスから。
残念ながら、書影の取得に使っているamazonのAPIがちょっとコールしただけですぐにロックされてしまうもので、少しずつ記録することにする。

完結。なんで女子高生の部活の話を読まねばならんのだろうか…と思いながら、結局連載完走まで見届けてしまった。物語の力だねえ…
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読了:Rudolph et al. (2014) 大規模調査の標本の一部について別のデータがあるとき、そこで推定された平均処理効果を母集団へと一般化する方法

Rudolph, K., Diaz, I., Rosenblum, M., Stuart, E. (2014) Estimating Population Treatment Effects From a Survey Subsample. Americal Journal of Epidemiology, 180(7), 737-748.

 これ仕事の役に立つんじゃないかしらんと思って読んでみた奴。Google様的な引用件数は20。
 自分の仕事に近づけて言うと、えーっと、大規模な消費者調査のデータがあり、そのなかの一部の対象者についてだけ広告接触有無と製品購買有無がわかっているとき、母集団における広告効果を推定したい、というような話である。RCTの結果を一般化するんじゃなくて観察研究の結果を一般化するというのがポイント。
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読了:Fattorini (2006) 標本抽出デザインが複雑すぎて、そこから推定しようにも抽出確率がわからない、よし電子計算機の力でなんとかしよう

Fattorini, L. (2006) Applying the Horvitz-Thompson criterion in complex designs: A computer-intensive perspective for estimating inclusion probabilities. Biometrika, 93(2), 269-278.

 仕事の関連で調べものをしていて、適切なキーワードがわからず迷走していたんだけど、この論文のイントロ部分にあまり期待せず目を通し、探していたタイプの研究がついに目の前に現れたことに気が付いた。長かった。Google様いわく引用回数93。
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読了:Wang, et al. (2006) 観察データからの因果効果推定に使うIPTW推定量は処理の割付についてのある仮定が破られていると歪むのでその歪みの大きさを推測する方法を考えたぞ

Wang, Y., Petersen, M.L., Bangsberg, D., van der Laan, M.J. (2006) Diagnosing Bias in the Inverse Probability of Treatment Weighted Estimator Resulting from Violation of Experimental Treatment Assignment. Working Papter 211, Division of Biostatistics, University of California, Berkeley.

 仕事の関係でこの1ヶ月近く延々と悩んでいることがあるんだけど、あまりにspecificな問題で、より一般的な問題として捉え直したいもののどう捉えたらいいのかわからず悶々としている。で、なんとジャスト・フィットなタイトルを持つ論文をみつけて大喜びし、アブストラクトは理解不能だったが、勢い込んで読んでみた。
 いや、動機は間違ってなかったと思うんだけど… たしかに私が抱えている問題は、ある種の実験条件の割付の話で、しかし割付は完全には無作為化できておらず、分析にあたって割付確率の逆数でウェイティングしようとしていて、でもそこにはある種のバイアスがあって、それを診断したい、という話なんだけど… 蓋をあけてみたら、求めていたのとはまるきり違う内容で、途方に暮れた。
 意地を張って少しだけ目を通したけど、もうね… 地獄でしたよ…
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