読了:「川本耕次に花束を」「歴史の話」「東京の台所」「ポエニ戦争」「日本霊異記」「仕事」

川本耕次に花束を 増補改訂版. 虫塚虫蔵(編). 2023/10.
 一昨年亡くなった編集者・作家・ライター・ブロガー、川本耕次さんの追悼文集。コミケで頒布されたもので、通販で買った。
 享年69歳。きわめて多岐にわたる仕事をした方であったが、そのほとんどは時代とともに失われていく性質のものであったと思う。長く残るのは、やはりちくま新書「ポルノ雑誌の昭和史」なんだろうなあ。

 記録のためにメモしておくと、さきほどamazonで著者名で検索した結果、現在入手可能なのは「ポルノ雑誌の昭和史」の電子書籍版のみ。他の検索結果は、浜ひとみという人の写真集と、著者が80年代末から90年代初頭にかけて書きとばしたライトノベル「トワイライトタイム: 茉莉子・冬物語」、そしてエロ小説「淫らな相姦日記 妹の下着調べ」「美少女の秘密」「セーラー服変態図鑑」「教え子蜜の匂い」「美処女欲情」「セピア色の人形たち」「義妹桃肉いじめ」「美少女学園初体験授業」「若草のいたずら」「早熟の部屋」「ナイロン100%スクール水着」「美処女喪失」「思春期そーしつ休暇」「早熟の三姉妹」「美少女の体験」「花芯伝説: セーラー服も女教師も人妻も」であった(疲れた…)。やまだひろなが名義では「史上最強のタイみやげ」「面白いほどよくわかるタイ裏ワザの旅」「アジア雑貨屋さんの仕入れ術」。

クセジュ文庫を読むとよく思うのだけれど、いきなり読むには少しハードルが高かった… カルタゴ史についての日本語の本を先に読んでおけばよかった。

この本はとても面白かった。著者曰く、生活を支える労働の蔑視というのは、ギリシア以来、近代のプロテスタンティズムに至るまで続いたのであって、ウェーバーがいっているのは、それ自体は無意味な労働に没価値的に没頭することの結果として合理的な生活態度が生まれたということなのだ、と。労働が価値を生むという考え方は、19世紀、日常の全域における市場経済の侵入とともに成立したとのこと。そうかー。