Dhiman, A., Sen, A., & Bhardwaj, P. (2015) Effect of self-accountability on self-regulatory behaviour: A quasi-experiment. Journal of Business Ethics, 148, 79-97.
都合により大慌てで読んだ論文。自分の決定についてのself-accountability (自分の決定を自分に対して説明しなければならないという知覚) が自己制御に効くか、という話。
なぜか仕事と称して、こういうビジネスの皮をかぶった心理学の論文をちくちく読んでいるのって、ほんとに奇妙な人生だ。冷静に考えると辛くなる。
メモは他のところでとったので省略するけれど、仮説構築のところが大上段で、Higginsのself-discrepancy理論とか、いにしえのロキーチの価値観研究とかが乱舞し、ロジックも明確でなく、閉口した。勘弁してよ、もう… と愚痴りながらなんとか読み終え、実験に進んでようやく、この実験で検証できる仮説につなげるために必死で理屈をこねていたのだということに気が付いた。ご苦労様でした、という感じ。ときには実験手続きを先に読んだほうがよい場合もあるな。
どういう実験かというと、これがめちゃくちゃシンプルなフィールド実験で、インドの大学の食堂で、食器を下げる際にいちいち食べ残しを量って表示したという話である。はっはっは。この表示により食べ残し量が徐々に減ったが、量りを撤去したら再び徐々に増えた由。分析のパートも、時系列モデルを組んだりしていて一見難しそうだが、読んでみたら案外シンプルであった。
著者いわく、accountabilityの研究はTetlockとかが有名だけど、その多くは他者に対する説明を指していて、かつ心理学の研究は少なく健康とか政治とかの領域が多い。自分自身に対する説明となるとさらに研究が減る、とのこと。えええ、ほんと? google scholarとかで検索すると、self-accountabilityってたくさんヒットするんですが。