2018年に著者は防衛白書の編纂に関わっているという防衛庁職員の訪問を受ける。ちょうどロシア軍の大規模軍事演習が終わったところで、演習が北方領土で行われたことをどう評価するか著者が訊ねてみたところ、「北方領土では実施されていない」とロシア政府の公式見解の一点張りで、衛星画像を見せてもかたくなに認めない。当時は安倍政権とプーチン政権の蜜月期であった。へええ… 官僚の忖度ってそこまで根が深いものなのか…
本の内容とはあまり関係ないけど… 著者はエラスムス「痴愚神礼讃」の訳書を出版していて、後書きで先行するとある訳書のことをコテンパンに批判しているのだけれど、その表現が実にバラエティ豊かで、悪口というのもここまでくると芸術だなあと感心したことがあった。本書の著者紹介には「狂詩・戯文作者」と付記されており、なるほどなあと思いました。