読了:「天幕のジャードゥーガル」「本気のしるし」「いたいお姉さんは好きですか?」「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」「アンダーニンジャ」

モンゴル帝国の支配下で復讐を胸に生き延びようとするイラン人女性を主人公にした歴史ドラマ。まだ一巻だけど、これは面白い…

著者は軽いコメディを得意とするベテラン漫画家なのだけれど、2000年ごろ、新境地を開くべくシリアスな恋愛サスペンスを手掛けたことがあった。それが本作。私はデビューから「りびんぐゲーム」(-1993年)までのファンで、次第に心が離れ、本作をもって完全に関心を失ってしまったという記憶がある。
 このたび深田晃司監督による映像化作品をみることになり、そのついでに読んでみた。いま読んでみると、コメディ作品とそれほどの距離はないですね。要するに著者は、ある状況下における葛藤とその解決を描いているわけで、その状況を作り出しているのが、犬の幽霊だったり、だらしないマンガ家の父親だったり、このマンガでいえば、その場しのぎの嘘を繰り返す女だったりするわけである。

スーパーの女性店員とくたびれた中年サラリーマンとの交友を描く、ささやかな日常ファンタジー。現代人はみんな疲れておるんだなあ、というのが率直な感想である。

単行本ではちょっと荒唐無稽の度が過ぎるなあという印象で、ドロップアウトしてしまったのだが、電子書籍で読み直してみると、なかなか面白い。デバイスとコンテンツの相性があるのかもしれない。