人生に展望なく、サブディスプレイで映画を流しながらじくじくと机にしがみつく日々を過ごしておるわけですが、しばらく前からなぜかインドネシア映画に関心を持つようになり、積極的に観るようになった。といっても、言葉もわからないし、詳しい知識もないし、せいぜい動画配信サービスをあさる程度ですが。
インドネシアの映画? と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、日本国内でめったに劇場公開されないからといって馬鹿にしてはいけない。なにしろ人口4位の大国である。UNESCOの統計では、2017年の映画製作本数は117本、アジア諸国では中・日・韓に次ぐ。
インドネシアの映画なんて、海外輸出されるのはホラーかアクション映画、いずれもB級娯楽作でしょ? とご不審の方もいらっしゃるかもしれませんが、これが案外そうでもない。衰退する日本と違って発展が著しい国であり、映画製作の状況もどんどん変わっているようで、目が離せない。
Netflixでは現在64本ものインドネシア映画が公開されており(2022/10/09)、誰もにお勧めできるエンタメ快作や、社会問題を背景にした心揺さぶる名作も含まれる。ご関心あるかたは Netflixで配信されているインドネシア映画 をご覧下さい。
実はしばらく前から、amazonプライムビデオで視聴できるインドネシア映画についてもリストを作り、時々眺めていたのだが、せっかくなのでブログにアップすることにした。
このリストは随時更新しております。更新履歴に関しましては末尾をご覧ください。
もくじ
- (1)amazon.co.jpにアクセスし、(2)検索窓でプライムビデオを指定し、とりあえず「インドネシア」で検索してEnter、(3)すると左側のメニューの元言語にインドネシア語が現れるので、元言語=インドネシア語、コンテンツ種類=映画と指定しEnter、(4)URLのなかの文字列「k=インドネシア」 を消してEnter。という方法で、元言語がインドネシア語である映画の検索結果 を得た。2022年10月の時点で11本を発見した。
- amazonの商品データベースにはかなり不備があり、上記のやり方では漏れが多い。そこでさらに緻密な方法を採用した。(1)amazon.co.jpにアクセスし、(2)検索窓でプライムビデオを指定し、「インドネシア」「indonesia」などと検索してEnter、(3)結果を眺め、あっこれ怪しいという奴を書き留める。2022年10月の時点で7本を発見した。
- というわけで、きっと抜け漏れがあると思います。
- 原則として、たとえ内容がインドネシア映画を思わせるものであっても、IMDb上に掲載された製作国の筆頭がインドネシアでない作品は除外する(備忘のため「リストから除外した映画」の項にまとめる)。具体的には「アクト・オブ・キリング」など。
- 70-80年の東アジア・東南アジアでは香港映画的武術映画が国境の壁を越えて製作された。インドネシアでも製作作品があり、amazon上で数本をみつけることができる。こうした作品についてはamazonで配信されている中国語映画のリストのインドネシア映画の項で扱うことにし、ここでは省略する。具体的には、ビリー・チョンが出演した”Kera Sakti”(1978), “Karate Sabuk Hitam”(1979)の2本(2022/10/09時点)。
- 表示順: 製作年、配信有無、題名(日本語五十音順、英語アルファベット順)の順で並べる。
- 配信停止タグ: 現在配信されていない作品にはタグ[配信停止]をつけた。ただし、amazonはどんどん作品の配信を停止するし、不意に配信を再開したりするので、このタグはあまり信用できない。
- 日本語題名: amazonに準拠した。amazonににリンクを張った。
- 原題名: Webを検索してみつけたものを載せた。あまり正確でない。
- 英語題名: IMDbに準拠した。IMDbにリンクを張った。
- 製作年・製作国: IMDbに準拠した。
- 公開履歴: 国内での劇場公開、映画祭・イベント上映がみつかった場合には[ ]内にメモしておく。パッケージソフトに関しては省略する(amazonで配信されている作品はたいていソフト販売されている)。
- ★タグ: 個人的な覚え書きです。気にしないで下さい。
それでは参りましょう!
- [配信停止] Primitives / Primitif / Primitives (1978 インドネシア)
- 「夜霧のジョギジョギモンスター」のシスウォロ・ゴータマ・プトラ監督作。日本での上映記録は見当たらなかった。
- [配信停止] The Intruder / Pembalasan Rambu / The Intruder (1985 インドネシア)
- シルベスタ・スタローン「ランボー」のインドネシア産模倣品。日本では「超人ランブ-」としてVHS発売されたらしい。香港カンフー映画のレーベル Wu Tang Collection によって提供されている作品のひとつで、マニア向け珍品という位置づけであろう。Youtube上にたくさん動画がアップされている。世の中には暇な人が多いなあ(私にいわれたくはないだろうけれど)。
- 呪いのフェイスブック / Setan Facebook / Horror in Facebook (2010 インドネシア)
- ホラー。
- [配信停止] ザ・レイド / Serbuan maut / The Raid (2011 インドネシア・フランス・米国)[2012年劇場公開] ★
- 低予算アクション映画ながら大ヒットを記録し、アジアの映画製作に大きな影響を与えた記念すべき作品。
- 監督の英国人ギャレス・エヴァンスは大学で映画製作を学び、同窓であるインドネシア人の彼女を追ってインドネシアに渡る。もともとインドネシアの格闘技シラットのドキュメンタリーを撮っていたんだそうだけど、製作中に運転手を務めた、いまだ少年の面影を残すシラットの達人イコ・ウワイスに目を付け、彼を主役に据えた劇映画を企画する。こうして作られたのが、田舎から出てきたシラット使いの青年を描いた「ザ・タイガーキッド 旅立ちの鉄拳」Merantau (2009) である。なかなか良い映画です。
- で、彼と彼女が率いる映画製作会社 Merantau Films が次に企画したのが、潜入捜査官の葛藤を描く本格的アクション・ノワールであった。しかし予算の関係で規模が縮小され、舞台はとあるビルの中に限定、登場するのはほぼ警官とギャングのみ、最初から最後まで戦い続ける… という超シンプルなストーリーとなった。これが本作「ザ・レイド」なのだそうです。
- 本作以降、アジア諸国では類似の低予算アクション映画が多数作られたが (カンボジア映画”Jail Break”、フィリピン映画”BuyBust”など)、見比べて痛感するに、この映画はほんとに良くできている。空間の見せ方とそこでの移動のダイナミズムにひとつの鍵があるのではないかと思う。警官隊がビルを見上げて→入り口の見張りを倒し→階段を駆け上り→階数表示がどんどん変わる、とか。吹き抜けの上側から斜めに銃撃される、蹴り飛ばした悪人が吹き抜けを斜めに横切ってすっ飛ぶとか、敵が吹き抜けをよじ登る、床をぶち抜いて飛び降りる、ベランダから垂直に落ちる、とか。そこにはなんらかの構造があるのではないかと思うのだが、よくわからない。
- もっとも感心したのは、主演イコ・ウワイスがマチェーテを振りかざす男たちに追い詰められる場面。主人公の警官は廊下を走りに走って逃れようとするも、突き当たりのドアが開かない。警官を袋小路に追い詰めた男たちはその場に立ち止まって構える。主人公はしばらくドアを揺さぶるものの、敵と向き合い、そっと息を吐き、彼らを皆殺しにしてでも生き延びようと決意する。アクションシーン直前の溜めのカットだが、アクション映画の精髄は実はアクションそのものにではなく、たとえばこういう瞬間にあるのだ、と思うわけです。
- 血まみれアクションが苦手という方は仕方がありませんが、とにかく必見であります。観て!
- 2023/03/02追記: あろうことか、現時点では配信が見当たらない。困ったものですね。わたしゃDVD持ってるんで困りませんけど。
- KILLERS キラーズ / Killers / Killers (2014 インドネシア・日本)[2014年劇場公開]
- インドネシアにモー・ブラザーズを名乗る二人組の映画作家がいて、彼らが日本から出資を得て撮ったホラー映画。主演は北村一輝とオカ・アンタラ。つまり、同年製作の「ザ・レイド GOKUDO」における日本のヤクザとインドネシアのギャングである。
- [配信停止] ザ・レイド GOKUDO / Serbuan maut 2: Berandal / The Raid 2: Berandal (2014 インドネシア・US) [東京国際映画祭2014で上映、2014年劇場公開] ★
- ギャレス・エヴァンス率いるMerantau Filmsが、前作「ザ・レイド」の大成功で得た資金を投じ、満を持して製作したアクション・ノワール。主演のアクション俳優イコ・ウワイス、そしてシラットの達人にして優れたコレオグラファーであるヤヤン・ルヒアン師の国際的名声を定着させた作品でもある。
- 本作と比べて、前作「ザ・レイド」の極度にシンプルなストーリーと緊張感の持続を支持する人が多いと思うし、その意見もわかるんだけど、私はこの作品のほうがさらに好きです。この作品のポイントはですね(頼まれてもいないのに語り出す)、登場人物すべてが敗者だというところにあると思うんですよ。それぞれが状況に逆らいつつも、運命の定めた必然に従って闘い、そして死んでいく。そうした悲劇を描いた作品だと思うわけです。
- この映画の美点について語りはじめると1時間くらい掛かっちゃうので、それは横に置いとくとして、ちょっと関係ない話を書くと、何種類か公開された本作の予告編のうち、下に貼る予告編が出色の出来だと思う。これはギャレス・エヴァンス監督自らの編集ではないだろうか。たった2分半の間にひとつの物語があります。
- [配信停止] ゴールデン・アームズ 導かれし者 / Pendekar Tongkat Emas / The Golden Cane Warrior (2014 インドネシア) [福岡国際映画祭2015で「黄金杖秘聞」として上映]
- 格闘アクション。いっけん安っぽい中華武侠劇だが(最近の中国ではこの手のネット配信専用映画が佃煮にできるくらい量産されている)、そもそもこういう映画が現代インドネシアで作られるという点が興味深いし、作品としてもなかなか面白そう。
- 小池誠「『黄金杖秘聞』に描かれた風土 インドネシアにおける地方再発見の動き」に詳しい紹介がある。
- amazonでは配信停止の状態だが、Youtubeなどで配信してます。
- [配信停止] SARAH サラ 守護者 / Guardian / Guardian (2014 インドネシア)
- B級格闘アクションらしいが、ティオ・パクサデウォさん(「ザ・レイド GOKUDO」のギャングの親分)が出演している点が気になっている。監督は「呪いのフェイスブック」のヘルフィ・カルディット。
- amazonでは配信停止の状態だがApple TVなどで配信中。
- 珈琲哲學 恋と人生の味わい方 / Filosofi Kopi / Filosofi Kopi (2015 インドネシア) [東京国際映画祭2016で上映] ★
- ジャカルタで都会的カフェ「フィロソフィ・コピ」(珈琲哲学)を経営する二人の青年の友情と、家族との葛藤を描いたハートウォーミングな佳作。なお本作の撮影セットは、二人の主演俳優がオーナーである現実のカフェ「フィロソフィ・コピ」となり、観光名所となっているそうです。
- 本作には続編”Filosofi Kopi 2″(2017), TVミニシリーズ”Filosofi Kopi”(2018)、そして衝撃的な続々編”Ben & Jody”(2022)がある。なにがどう衝撃的なのかというと… 「ベン&ジョディ」としてNetflixで配信されてますので、そちらをご覧下さい。
- レボリューション・ティガ / 3: Alif, Lam, Mim / 3: Alif, Lam, Mim (2015 インドネシア) [大阪アジアン映画祭2016で「3 TIGA」として上映] ★
- アクション映画。なかなか面白い映画なんだけど、私のような外国人からみるといろいろ戸惑う点が多い。以下は数年前に観た際の記憶に基づく感想で、事実誤認があるかもしれないけれど…
- 舞台は近未来のインドネシア。極端な世俗化が進行し、イスラムへの信仰を露わにする人は職場でも暗黙の差別を受ける。さらに、管理社会化が進み銃が放逐され、警察さえ実弾は使用しない。さらにさらに、武術が広く推奨され老若男女が格闘技を学んでいる。そんな社会を舞台に、少年期に共に武術を学び心の奥底に篤い信仰心を隠し持つ三人の青年が、警官・ジャーナリスト・宗教家と立場を異にしつつも、社会を陰で操る真の悪と戦う。
- 多くの娯楽映画では、悪として全体主義的抑圧が設定されることが多いと思うんだけど、ここではその抑圧が宗教ではなく世俗主義と結びついている。要するに、善玉のほうが宗教心が強いのである。そのため、たとえばLGBTはこの物語のなかでは否定的に言及される。西欧的価値観からみたらあんましpolitically correctではないわけです。
- それではこの物語における真の悪玉はなんなのか、欧米の秘密組織なのかCIAなのか… というと、そこがなかなか複雑で、物語の後半で登場する真の悪玉とは、過激化したイスラム勢力なのである。つまり、三人の主人公は良いイスラム、敵は極端な世俗主義を裏で支配している悪いイスラムなのです。複雑じゃありませんか?
- というわけで、面白く鑑賞しつつも、「こ、これは… いったいどういうことなの…」と戸惑った次第である。現地の状況に詳しい方の解説を伺いたいところだ。
- まあそういうややこしさは置いておいても、シラット・アクションには見応えがあります。「ザ・レイド GOKUDO」の最強の悪役セセプ・アリフ・ラーマン師がご出演なさっているというだけで、一見の価値があります。
- [配信停止] Clown of the Dead / Badoet / Clown of the Dead (2015 インドネシア)
- ホラー。
- ヘッド・ショット / Headshot / Headshot (2016 インドネシア) [2017年劇場公開] ★
- モー・ブラザーズが監督した、「ザ・レイド」の正統的フォロアー作品。イコ・ウワイス、ジュリー・エステル、ベリー・トリ・ユイスマンらが出演している。インドネシア映画が映画祭や企画上映ではなくいきなり劇場公開されたのは、「ザ・レイド」シリーズを別にすれば、近年では本作くらいだろう。
- この作品について声を大にしていいたいのは、ヒロインのチェルシー・イスランさんが可愛い、鬼神のように可愛いということである。ちょっとちょっと! なんなのこの美人は! この方、インドネシアのTV局とフジテレビが共同製作したドラマ「When You Wish Upon A Sakura ~桜に願いを~」に主演なさっているのだが、日本では放映されていないらしい。いったいどういうことですかそれは。
- 悪魔の奴隷 / Pengabdi Setan / Satan’s Slaves (2017 インドネシア・韓国) [「未体験ゾーンの映画たち」2018で上映]
- ホラー。1987年の同題名のインドネシア映画(邦題「夜霧のジョギジョギモンスター」)のリメイク。
- 監督は「珈琲哲學 恋と人生の味わい方」のジョコ・アンワル。
- ヒットしたようで、続編”Pengabdi Setan 2: Communion”(2022)も製作されている。
- ザ・レイド レディ・ミッション / Ten: The Secret Mission / Ten: The Secret Mission (2017 インドネシア)
- 女優さんたちが殴ったり蹴ったりするB級アクション映画らしい。
- 監督は「呪いのフェイスブック」のヘルフィ・カルディット。
- 「ザ・レイド」シリーズとは無関係。
- マルリナの明日 / Marlina si pembunuh dalam empat babak / Marlina the Murderer in Four Acts (2017 インドネシア・フランス・マレーシア・タイ) [東京フィルメックス2017で「殺人者マルリナ」として上映、2017年劇場公開] ★
- なかなか説明が難しい。現代インドネシアの荒野を舞台にした西部劇。ある平凡な女性が残酷な暴行を受け、復讐を誓う。
- 女性の個としての自立を描いた作品といえると思うのだが、それが前近代と近代との対立の中で描かれるのではなく、むしろ土俗的な世界のなかで、なかば神話的に描かれる… というところが面白かった。一方で、知識不足でなにかを理解し損ねているのではないかという不安も感じた。もう一度観てみようかな。
- 監督Mouly Suryaは1980年生まれの女性で、前作「愛を語るときに、語らないこと」が東京国際映画祭2013で紹介されている。次作”This City Is a Battlefield”はコロナ禍で公開が遅れているらしい。
- 22ミニッツ / 22 Menit / 22 Menit (2018 インドネシア) [「未体験ゾーンの映画たち」2020で上映] ★
- これはちょっと不思議な作品で… 2016年ジャカルタにおける爆弾テロ事件を描いたサスペンスなのだが、終盤にいたって、警察当局を称え国民の団結を促すあまりにダイレクトなメッセージが前面に押し出され、ちょっと引いてしまった記憶がある。これ、どういう経緯で製作された作品だったのだろうか?
- もっとも、あれですね、別に国が作ったわけなくて、商業的論理によって作られたのだけれど、結果的に強力な政治宣伝を含む娯楽作というのは珍しくないですね。ピーター・バーグの映画とか。どこまでダイレクトに提示するかという点にちがいがあるだけで、つまり演出上の問題かもしれない。
- バッファロー・ボーイズ / Buffalo Boys / Buffalo Boys (2018 インドネシア・シンガポール)
- インドネシア産西部劇。
- 監督のMike Wiluanは、シンガポール映画「881 歌え!パパイヤ」「TATSUMI マンガに革命を起こした男」、インドネシア映画「ヘッドショット」「シャドー・オブ・ナイト」などにプロデューサーとして名を連ねている人。
- メッセージマン / Message Man / Message Man (2018 インドネシア・オーストラリア・英国・UAE)[「未体験ゾーンの映画たち」2019で上映] ★
- 孤独な殺し屋がインドネシアのさびれた漁村の親子と親交を結び、村を牛耳るギャングと戦う羽目になる… というアクション映画。おそらくオーストラリアの映画会社が、いまインドネシアに優れたアクション・チームがいるから出張して一本撮っちゃおう、という感じで作った映画だと思う。襲いかかる現地ギャングのリーダーは、「ザ・レイド」でイコ・ウワイスを台所に追い詰めたマチェーテマン、Alfridus Godfredさんです。
- 細かいところがいいかげんだし、主人公が肝心なところで謎の殺し屋支援国際組織の助けを借りちゃうところで脱力しちゃうし、なんといっても「白人のヒーローが無垢な現地人を助けます」的なニュアンスがあまりに古くさく思われるのだけれど… 良い点を挙げると、インドネシアの名優ヴェルディ・ソライマンさんがパラノイアックな悪党をキレッキレに演じている点が楽しい。えーと、それからお札が爆発するというアイデアも馬鹿馬鹿しくて良いですね。なんのことだか知りたい方は映画をご覧下さい。
- アブラカダブラ 魔法の箱 / Abracadabra / Abracadabra (2019 インドネシア)[2022年WOWOWで放映]
- ファンタジー。ビジュアルはウェス・アンダーソンみたいな感じですね。主演は人気俳優レザ・ラハディアン。
- グンダラ ライズ・オブ・ヒーロー / Gundala: Putra Petir / Gundala: Son of Lightning (2019 インドネシア) [「のむコレ」2020で上映]
- インドネシアのコミックの実写化。監督が「珈琲哲學 恋と人生の味わい方」のジョコ・アンワルであるところが気になっている。
- フォックストロット・シックス / Foxtrot Six / Foxtrot Six (2019 インドネシア・US) [東京国際映画祭2019, 「未体験ゾーンの映画たち」2020で上映] ★
- インドネシア映画史上最大の製作費を投じたという触れ込みのSFアクション大作。オカ・アンタラ、ジュリー・エステル、アリフィン・プトラ、ヴェルディ・ソライマンという「ザ・レイド」シリーズ出演陣と、チコ・ジェリコ、リオ・デワントの「珈琲哲學」コンビを取り揃えている。いずれ観なければとは思っているのですが… これ、どうなんですかね…
- 観てみました。まず驚かされたのは、舞台はインドネシア、キャストはインドネシアのトップスターたち、しかし言語は英語だという点。吹き替えじゃなくて、最初から全員が英語を喋っている。ストーリーもローカルな要素を排し、徹底して国際市場を狙った娯楽作となっている。野心的だなあ。
- 充実した格闘アクションは「ザ・レイド」のイコ・ウワイス・チームによるものだそうで、なるほど納得である。残念ながらプロットには穴も多いけれど、今後のインドネシア映画のひとつの方向性を示す重要作ではないだろうか。
- ところで、ローカルな文脈を排除しようとしてもやはり完全に無国籍になることはできないわけで… 本作でいうと、事実上の反政府活動家である主人公たちになぜか海兵隊が協力するというところが興味深かった。いくら彼らが海兵隊OBだからといって、それはちょっとないんじゃない? 国軍をこのように自律的で倫理的なアクターとして位置づける発想は、たぶん東南アジアの近代化のプロセスと関係しているのだろうと思う。知らんけど。
- 2023/03/01追記: 西(2021)「夢見るインドネシア映画の挑戦」によれば、本作の背景には1965年の軍事クーデターがある、とのこと。神保町の本屋さんで立ち読みしていて驚きの声を上げてしまった(本は買いました)。思いもよらない指摘であった。
- [配信停止] Riki Rhino / Riki Rhino / Riki Rhino(2020 インドネシア)
- アニメーション。現時点ではamazonの検索結果に異常があり、個別商品ページへのリンクが無効になっている。
- 2023/08/27追記: 題名での検索もできなくなっていることを発見。なんだったんですかね。
- 復讐は私にまかせて / Seperti Dendam Rindu Harus Dibayar Tuntas / Vengeance is Mine, All Others Pay Cash (2021 インドネシア・シンガポール・独) [東京国際映画祭2021で「復讐は神にまかせて」として上映; 2022年劇場公開; ソフトあり]
- 国内での上映は小規模であったが、なんだか面白そうで気になっていた作品。なんと、ソフト化されたんですね。観てみよう。
- Nussa / Nussa/ Nussa(2021 インドネシア)
- アニメーション。日本語字幕なし。
- Backstage / Backstage / Backstage(2021 インドネシア・マレーシア・米国)
- これも日本語字幕なし。面白そうなのにね。
- 呪餐 悪魔の奴隷 / Pengabdi Setan 2: Komuni / Satan’s Slaves 2: Communion (2022 インドネシア)
- ホラー映画「悪魔の奴隷」の続編。
- スリ・アシィ / Sri Asih / Sri Asih (2022 インドネシア)
- マーベル的なアクション映画。日本では2023年に劇場公開。
- 沈黙の自叙伝 / Autobiography / Sri Asih (2022 インドネシア・ポーランド・ドイツ・シンガポール・フランス・フィリピン・カタール) [東京フィルメックス2022で「自叙伝」として上映; 2023年劇場公開]
- インドネシア近現代史を背景にした寓話的物語だそうだ。これは観なければ。
- Ashiap Man / Ashiap Man / Ashiap Man (2022 インドネシア)
- アクションコメディらしい。日本語字幕なし。
- Ivanna / Ivanna / Ivanna (2022 インドネシア)
- ホラーらしい。日本語字幕なし。2023/03/02時点では、配信されているが題名でさえ検索できず、なんらかの手段で直接リンクを知らないと視聴できない状態である。これは過渡的な状態なのでしょうか。
- 2023/05/30追記: 検索できるようになりました。
- Kuntilanak 3 / Kuntilanak 3 / Kuntilanak 3(2022 インドネシア・マレーシア・米国)
- ホラー映画。日本語字幕なし。
- Kuntilanakとは幽霊のことだそうだ。IMDb上にはKuntilanakという語が含まれた作品がたくさん掲載されており、単にKuntilanakという題名の作品も、”Kuntilanak“(2006), “Kuntilanak 2“(2007), “Kuntilanak 3“(2008)というシリーズと、”Kuntilanak“(2018), “Kuntilanak 2“(2019), 本作というシリーズがある。すべて監督はRizal Mantovaniなので区別しにくい。前者は「ザ・レイド2」「珈琲哲学」のジュリー・エステルが出ていて後者は出ていない、というのが見分け方。Netflixでは後者の1作目が配信されている。
- Mendarat Darurat / Mendarat Darurat/ Mendarat Darurat (2022 インドネシア)
- 恋愛コメディらしい。日本語字幕なし。”Ivanna”と同様で、2023/03/02時点で配信されているが題名でさえ検索できず、なんらかの手段で直接リンクを知らないと視聴できない状態である。
- 2023/05/30追記: 検索できるようになりました。
- Qodrat / Qodrat / Qodrat (2022 インドネシア・マレーシア)
- ホラーらしい。日本語字幕なし。
- [配信停止] Before Night Falls / Menjelang Magrib / Before Night Falls (2022 インドネシア)
- ホラー。
- パッケージ画像には”BEFORE THE NIGHT FALLS”とある。
リストから除外した映画
うっかりインドネシア映画だと勘違いしちゃいそうだが実は違う、という作品を挙げます。主に私の備忘のためである。
- アクト・オブ・キリング / The Act of Killing (2012 英国・デンマーク・ノルウェー) [2014年劇場公開] ★
- 1965年、スカルノによるクーデター後の虐殺事件に関わった実行犯たちの現在を描いたドキュメンタリー。怖い、怖い映画だった…
- ルック・オブ・サイレンス / The Look of Silence (2014 デンマーク・インドネシア・フィンランド・ノルウェー・英国・イスラエル・フランス・ドイツ・オランダ) [2015年劇場公開]
- 大評判となったドキュメンタリー「アクト・オブ・キリング」の続編。虐殺の被害者に焦点を当てる。
- スカイライン 奪還 / Beyond Skyline (2017 US・カナダ・インドネシア・英国・中国・シンガポール)[2018年劇場公開] ★
- 「スカイライン 征服」という低予算SF映画があった。未見だけど、評判はかなり悪かったと思う。ところがその続編が作られることになった。細かいところは忘れちゃったけど、なんかこう主人公のフランク・グリロがですね、悪の宇宙人のでっかい宇宙船にびゅーんと吸い上げられちゃって、その宇宙船が東南アジアに墜落しちゃって、そこにたまたまイコ・ウワイスとヤヤン・ルヒアン師がいて、みんなで一緒にエイリアンと戦うわけです、格闘技で。はっはっは。「ザ・レイド」のヒットをうけて作られた迷作のひとつといえよう。
- 映画の内容についてはとくに印象もないんだけど… メダカの水槽の水を替える際、ポンプみたいなので底を掃除するんだけど、たまにうっかりメダカを吸い上げそうになっちゃうことがある。そのときこの映画のことを思い出します。「うわー宇宙船に吸い上げられる-」って。
- トゥルーノース / True North (2020 日本・インドネシア)[東京国際映画祭2020, 2021年劇場公開]
- 北朝鮮の強制収容所を描く長編アニメーション。ジャカルタのスタジオで製作したのだそうだ。
- 2022/10/09: 公開しました。見つかった作品は18本。
- 2023/03/01: amazon プライムビデオ上にインドネシア映画Ivanna, Mendarat Daruratを発見。ところがこの2作、「インドネシア」といった検索語にひっかからないどころか、作品名から検索することさえできないのである(左記リンクのURLはgoogle検索で調べた)。いったいどういうこと??
- 2023/03/02: 「Ivanna」「Menderat Derurat」を追記しました。
- 2023/03/16: 「復讐は私にまかせて」を追記。
- 2023/06/02: 「Qodrat」「Ashiap Man」「Backstage」「呪餐 悪魔の奴隷」を追記。
- 2023/07/03: 「Kuntilanak 3」「Nussa」「Riki Rhino」を追記。
- 2023/10/29: 「Primitives」を追記。
- 2024/01/03: URL変更(旧:https://elsur.jpn.org/diary/2022/10/09/7274/, 新:https://elsur.jpn.org/diary/indonesian-movies-on-amazon-prime-video/)
- 2024/02/08: 「Before Night Falls」を追記。
- 2024/02/22: 「アブラカダブラ 魔法の箱」を追記。
- 2024/03/08: 「Clown of the Dead」を追記。
- 2024/04/02: 「スリ・アシィ」を追記。
- 2024/05/30: レイアウトを変更しました。
- 2024/11/05: 「沈黙の自叙伝」を追記。