読了:Herbison, et al. (2011) 臨床試験における「二重盲検化したといってはいるが実はいい加減な手続き」によるバイアス

Herbison, P, Hay-Smith, J., Gillespie, W.J. (2011) Different methods of allocation to groups in randomized trials are associated with different levels of bias. A meta-epidemiological study. J. Clinical Epidemiology, 63, 1070-1075.

 読み始めてすぐに「これは俺が探しているものではない…」と気が付いてしまったのだが、面白半分に読み終えてしまった。
 臨床試験で、患者を統制群と処置群に割り当てるとき、どちらに割り当てられたかは患者には知らせないわけだが、隠し方が甘いこともあるよね。そういうときどうなるか、というメタ分析。

1. イントロダクション
 ランダム化試験であっても割付が秘匿されていないと結果は歪む。これは従来メタ分析で指摘されてきた。それらは秘匿有無を二値、あるいは「不明」をいれて3値でコーディングしてきた。しかし、割付方法は多様で、秘匿の程度もいろいろで、秘匿性がなくはないけど低い、というような割付方法もある。
 もっと細かく調べるぞ。

2. 方法
 システマティック・レビューを集めてきて、メタ分析の対象となっている研究に戻って割付の秘匿性を分類した。次の6段階。

  • central randomization。
  • 不透明で番号が振られた封筒に入れている。[臨床試験の知識が乏しいのでなかなかイメージできないんだけど、実験者が各患者をどっちに割り付けるかを封筒に入れて担当医に渡し、担当医は開けずに薬剤師に渡し、薬剤師がこっそりそれを開ける、って感じなんでしょうか? 薬剤師と医者が付き合っていたらどうするんだ? それはともかく、封筒に番号が振ってあるってどういう意味なんだろうか]
  • 封筒に入れているが詳細不明。
  • 「二重盲検」だと書いてはあるが詳細不明。
  • 「無作為化した」と書いてあるが詳細不明。
  • ちゃんと秘匿されてない。オープンリストとか、日付とか誕生日とかで割り付けている。

[分析手法。省略]

3. 結果
 18本のシステマティック・レビューから65個のメタ分析、389研究を得た。central randomizationを参照水準にとったオッズ比の比(ROR)を求めると(処置の効果が過大になっていたら1より低くなる)、上から順に、1.02, 0.87, 0.86, 0.76, 0.89となった。

 云々、云々… [考察とか本研究の限界とか… メモ省略]
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 ちゃんと秘匿してないと明記している研究のRORがむしろ高めであるところが面白かった。実験のやりかたや論文の書き方だって無作為割付ではないわけで、オープンなリストを使いましたと報告している研究って、そもそも秘匿性があまり重要でなさそうなテーマの実験だったんでしょうね、きっと。「無作為化試験です」と言いつつ詳細不明な研究というのが怪しいわけだ。