読了:「辻」「古都」「地球星人」「殺人出産」「エウロペアナ: 二〇世紀史概説」「城下 安政飢民抄」

今年に入って読んだ本、フィクション編、その2。

古井由吉の小説って文体が独特で、なんどか挑戦しては内心挫折していたのだけれど、このたびはじめて、少しだけ読み方が分かってきたかも、と思った。

なぜ買ったんだっけ? たしか古い本屋さんでひとときを過ごして、なにか買って帰りたかったんだけど買いたい本が見当たらなかったんだと思う。えーと、この小説に関しては、様々なしがらみから抜け出せない人々の話だなあ、という印象であった。もう家も土地も売っ払って千里か多摩あたりに引っ越しちゃえよ、と思っちゃったけど、そういう問題じゃないですよね、すいません。

この本は大変面白かった。気持ちはわかるな、などと思いながら読み進めていると大変なことになる。

いずれamazonから書誌情報が消えるかもしれないので書いておくと、西敏明「城下 安政飢民抄」、風媒社、1975年。都合により金沢駅近辺で少し時間を過ごさなければならなくなった際に、駅から近江町に歩く途中の古本屋さんで見つけて買った本。加賀藩では安政年間に卯辰山叫喚と呼ばれる一種の一揆があったのさそうで、それに材をとった小説であった。著者は北陸放送で管理職を務めた人とのこと。