読了: Basu, Kumar, & Kumar (2023) 消費者脆弱性についての論文の定量分析

Basu, R., Kumar, A., Kumar, S. (2023) Twenty-five years of consumer vulnerability research: Critical insights and future direction. The Journal of Consumer Affairs. 57, 673-695.

 調べ物のついでにパラパラめくったやつ。消費者脆弱性の文献の定量分析である。

1. イントロダクション
 Baker et al.(2005)いわく、消費者脆弱性とは「marketplace encountersにおける不均等性、ないしマーケティング・メッセージと製品の消費から生じる、無力な状態のこと」である。
 […中略…]
 というわけで、本研究では、ビジネス・経営の分野における消費者脆弱性の文献859本の定量分析をやります。リサーチ・クエスチョンは:

  • RQ1. 年でみたときの出版パターンは?
  • RQ2. 重要な著者・国・雑誌・組織は?
  • RQ3. 主要なテーマとトピックは?
  • RQ4. 今後の研究の方向は?

2. データ収集と方法
[パス]

3. 知見
 1997年からみられる。2013年あたりから急増している。[年x被引用件数別の頻度分布が示されている。もっとも引用されているのは1999年の論文、次が2013年の論文。なんだろうこれ]
 h-indexとか被引用件数とかでみたとき、有力誌はJ. Public Policy and Marketing, ついで J. Macromarketing。[なるほど。用事があってちょっとだけ論文を探したんだけど、その際の実感とあっている。正直、マクロ的介入については仕事上の関心が低いので、やっぱしなあ… という感じである。あ、でも、消費者行動論系ではPsych.&Marketing, JCB, JCR, JCPがtop 25に入っているぞ]
 大学は…[略]
 著者をみると、トップ5はHill, Baker, Grier, Viswanathan , Walsh。[おおお、トップのHillって先日たまたま論文を読んだ人だ]
 国は… [パス]
 著者の引用ネットワークは… 共著ネットワークは… 著者・大学・国の組み合わせは… [楽しそうだなあ。パスするけどさ]

キーワードをみると4クラスタにわかれる。(1)マーケティングと消費者。広告、消費者well-being、etc. (2)消費者脆弱性とwell-being。子供、貧困、質的、ソーシャルマーケティング、etc. (3)倫理と脆弱性。倫理、CSR、持続可能性、etc. (4)障害とジェンダー。障害、ジェンダー、母親、etc。
 時間的変化をみると、2014年まではCSR、倫理、詐欺、etcが多かった。2015年からごろからはwell-beingとかが増えている。[なるほどねえ]

4. 考察、将来の方向、結論
[パス]
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 なるほどね。大雑把にいうと、消費者脆弱性の研究って最初は市場における企業の倫理という文脈だったんだけど、2015年ごろから消費者の資源とかwell-beingに注目する研究が増えた、ということのようだ。