Quoquab, F., Mohammad, J. (2020) A Review of Sustainable Consumption (2000 to 2020): What We Know and What We Need to Know. Journal of Global Marketing.
サステナブル消費(SC)研究レビュー。仕事の都合で大急ぎで読んだ。
google様的には被引用回数36件というさみしさだが、なんであれ、レビューというのはありがたいものである。
1. イントロダクション
[略]
2. レビューのスコープ
2000-2020の論文62本を選んだ。[手続きは省略。雑誌名でいうとJournal of Business Researchが5本。マーケティング系のメジャー誌では他にJMRがはいっているけど、J.Mktgとかはない。消費者行動系ではPsych. & Mktg.ははいってるけどJCRとかJCPとかはない。ふうん、こんな感じなのか]
4. SCについてわかっていること
4.1 概念の進展
[SC概念の歴史が紹介されている。略]
4.2 概念化
[メモは省略するけど、いろんな研究者によるSCの定義が一覧表になっている。へえええ]
4.3 ファセット
というわけで、SCは5つのファセットを持っている。
- 基本的欲求の充足
- 環境的なwell-beingへの配慮
- 生活の質についての配慮
- 未来世代への配慮
- 「ライフサイクル思考」アプローチの採用
先行研究の多くは環境的側面に注目している。
4.4 理論
特に理論について考えていない研究も多いが、理論的基盤として用いられているのは…. [以下、理論の名前がだらだら列挙される。とくに関心あるやつについてメモを付記する]
- 計画行動理論
- 文化理論
- イノベーション普及理論
- 刺激反応理論
- 自己決定理論
- 合理的行為の理論 [Fishbein & Ajzenのこと?? Minton, et al.(2018 J.BusinessRes.)というのがreferされている]
- 社会認知理論
- 経済理論
- 感情制御理論 [Kadic-Maglajlic, et al.(2019 J.BusinessRes.)というのが挙がっている。面白そう]
- 価値-信念-規範理論
- シグナリング理論 [Brach, et al.(2018 Euro.Mgmt.J)]
- 社会ネットワーク理論
- 近代経済学理論
- 世界観理論
- 構造化理論
他にも、現象の説明になんらかモデルを使っている研究は多い。[メモは省略するけど、Park & Lin(2020 J.BusinessRes.)の「意図-購入ギャップ」, Quoquab et al.(2019)の「態度-行動ギャップ」というのが面白そう。あ、Quoquab et al.って読みかけの奴だ…そしてQuoquabさんてこの論文の著者だ… 気づかなかった…]
4.5 方法論
62本中、概念研究が27本, 10本が質的研究、5本が混合研究、残りが量的研究。
4.6 予測子
SC行動の先件としては、主観的規範とか、教育とか、[…中略…] が挙げられている。なお、たいていの研究は環境的側面(グリーン購買行動とか)に注目している。
4.7 媒介変数
[メモ省略]
4.8 調整変数
[メモ省略]
5. わかっていないこと – 知識のギャップ
- 定義: 消費者行動やライフスタイルの観点から定義している人もいれば、生産プロセスの観点から定義している人もいる。定義について合意が得られているのかどうか怪しい。
- 次元: 多くの研究がグリーンをサステナビリティのプロキシにしているが、それはほんとにサステナビリティなのか。SCについて語るとき、いくつ次元が必要なのか。エシカル消費とか社会的に責任ある行動とかとどうちがうのか。
- 指標: 尺度もいろいろ。これらの指標が異なる国・文化に適用できるのかどうかよくわからない。
- SCの行動的側面と態度的側面: 行動だけみてればいいのか、態度についても別途検討すべきか。
- 理論的基盤: 既存理論でSC現象を完全に説明できるのか、新たな理論が必要か。
- 方法論: 尺度構成の論文みたいに、混合的な方法論が必要か、それとも量的研究と質的研究で良いか。
- 予測子と結果: SCの予測子は他にないか、SC概念は環境的側面だけで捉えられるのか。SCのアウトカムはなにか、それはサステナブルな発展につながるのか。[←そうそう。これ気になるよね]
- 媒介変数と調整変数: これまで指摘されてきた変数の他になにか変数があるのか。
- SCの実践: 多くの発展途上国でSCが実践されていないのはなぜか。[…後略…]
政策への示唆について。[…中略…]
6. 結語
[略]
————–
しかしまあ、世の中にはいろんな研究をしている人がいるものだ。疲れるなあ…