Donaghy, K., McMahon, U., McDowell, D. (1995) Yield Management: an overview. Int. J. Hospitality Management, 14(2), 139-150.
イールド・マネジメントの概観論文。仕事の都合で読んだ。得意・不得意関わらず何だって読むのだが、それにしても節操がない。
掲載誌の想定読者はホテルの実務家・研究者であろう。
イントロダクション
ホテルは固定コストが高く、変動性の高い市場において、製品在庫を抱える余地がない。その結果、需要と供給の均衡を目指すのはもはや賢明ではなく、むしろ、ホテルの部屋が需要と一致する点における収入の「利回り」(イールド)が重要になる。
本論文の焦点
ホテル産業にとってイールド・マネジメント(YM)という概念は比較的に新しい。本論文はYMについての研究をレビューする。
YMとはなにか
YMは70年代の航空業界の規制緩和とともに発展・精緻化された。YMは収入最大化のひとつの手法で、事前に決められたマーケット・セグメントに対して、利用可能な寝室のキャパシティを最適価格で配分するにはどうしたらよいかを予測する。なお、YMのある種の形式は多くのホテルにとって新発明ではない。ホテルは繁閑の間での需要変動を緩和するため部屋の料金を調整してきた。
航空業界におけるYMは2つの機能に分けられる。オーバーブッキングと割引管理である。ホテルの文脈で言うと、YMは…[何人かの論者の定義を紹介して…] より広く解釈すると、YMは、収入と顧客サービス能力を拡大するためのツールである。結局は収入の最大化を狙っているわけで、YMという名前はちょっと的外れだという意見もある。
YMが有効なのは、(1)容量が比較的固定されていて、(2)需要をいくつかのセグメントに分解できて、(3)在庫が廃棄可能で、(4)製品を消費よりもずっと前に売ることができて、(5)需要に実質的な変動があって、(6)限界販売コストが低く限界製造コストが高いとき、である。
測定と効率性
一般に、パフォーマンスを評価する基準の選択は難しいものである。ホテル経営者の目標は利用可能な資源を使って多くの収入を生むことである。需要と供給をうまく摺り合わせて儲けることもできなくはないが、多くのホテルマンにとっては利益を拡大する以前にやるべきことがたくさんある。
YMの哲学は、平均単価と稼働率の両方を最大化することである。そのため、次のイールド効率性という指標が提案された。
(イールド効率性) = (実現された収入) / (潜在的な収入)
分子は実際の売上、分母は規定料金ですべての部屋を売り切ったときの収入である。
ところがこの指標にはいくつか欠点がある。
規定料金の不整合性
第一に、多くの非営利ホテルは少数の短期滞在客のための規定料金しか持っていない。団体客や会議ビジネスに適用するイールド効率性は非現実的に低くなる。また、そもそも規定料金を決めるための基準がないことが多い。
収入 vs 利益
第二に、宿泊による収入だけに注目し、その他の部門からの収入もコストも切り離している。イールドを効率的に拡大したいのならそれらも含める必要がある。
そこで登場したのが市場セグメント利益分析(MSPA)である。この考え方では収入最大化ではなく利益最大化が目標となる。提案者たちに言わせれば、市場需要に基づく価格決定によって収入を最大化するのは長期的には効率的でない。高価格帯プロバイダーは価格競争で利益を上げられないからである。MSPAは活動ベース費用計上とそれぞれの市場zセグメントの潜在収入という概念に基づく。[いまいち雲をつかむような話だ… Dunn & Brooks (1990 Cornell HRA Quarterly)というのを読むといいらしい]
というわけで、YMは以下を考慮に入れなければならない。(1)ホテル製品の供給に伴うコスト、(2)ビジネスミクスのそれぞれのセクターでの支出見込み、(3)コスト増大と潜在利益という観点からもっとも望ましい利用客ミクス。
[なんか大きな話になってきたので1パラグラフスキップ]
オペレーションからみたYM
YMシステムはいろんなことを変える。10個の分野について順にみておこう。
[この論文を最後まで読んでも総括的な話しか書いていないということに今頃になって気づき、落胆して急にメモが粗くなる]
- 経営の焦点。価格を何度も変えられるようにするとか。
- データ収集。
- 最適利用客ミクスの決定。
- 容量の水準。部屋をどのセグメントにどう配分するか。
- 技術的入力。AIを使うとか。
- 価格決定。ちゃんとセグメンテーションしてそれぞれのセグメントにどうのこうの。
- 顧客-ホテルのインタフェイス。
- HRへの含意。[いま興味ないのでスキップ]
- インセンティブ・スキーマ。
- トレーニング
YMの未来
[略]
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途中から流し読みになってしまった。すいません、もう少しテクニカルな話を読みたかったのです…