読了:Balmer & Gray (2003) コーポレート・ブランドとはなにか

Balmer, J.M.T., Gray, E.R. (2003) Corporate brands: what are they? What of them? European Journal of Marketing, 37, 972-997.

仕事の都合で目を通した奴。題名通り、コーポレート・ブランドについての解説である。Google Scholar上の被引用回数は1714件。第一著者はこの分野の偉い人らしい。

1. コーポレート・ブランドってなんのこと?
 [コーポレート・ブランドは大事だ、という能書きがあって…]
 ブランディングについていろんな見方がある。紹介しよう。

  • ブランドはオーナーシップを指示する印だ。つまり紋章みたいなものだ。
  • ブランドはイメージ構築装置だ。ガルブレイスは”The Anatomy of Power”のなかでそういう意味のことをいっている[この本、邦訳はなさそう]。これもトップダウンな見方。
  • ブランドは鍵となる価値と連合したシンボルだ。つまり品質保証とか、リスクに対する保証とかだ。
  • ブランドは個人がアイデンティティを構築する際の手段だ。
  • ブランドは喜ばしい経験が消費されるに至る導管だ。これはSchmitt(1999, J.Mktg.Mgmt.)が述べている。

 上記はコーポレート・ブランドにも当てはまるのだが、製品ブランドと違ってステークホルダーが多岐にわたる。従業員、サプライヤー、政府など。

2. コーポレート・ブランドは見かけよりも大事だ
 [研究小史という感じの話。メモ省略]
 我々はコーポレート・ブランドの特徴を整理してCCITEと呼んでいる。

  • Cultural. コーポレートブランドは強い文化的ルーツを持つことが多い。
  • Intricate. コーポレートブランドは多くのステークホルダーに影響し、コミュニケーションのチャネルも複数あり、本質的に複雑だ。
  • Tangible. コーポレートブランドは、製品品質、ビジネススコープ、地理的カバレッジ、パフォーマンスに関連する事柄、純利益率、賃金水準、組織、ロゴ、などを含む。
  • Ethereal. コーポレートブランドはライフスタイルやstyle of deliveryといったものを含む。
  • Commitment. コーポレートブランドは多様なステークホルダーから関与を引き出さなければならない。

3. コーポレート・ブランド、コーポレート・アイデンティティ、製品ブランド
 コーポレートブランドと製品ブランドのあいだには次の違いがある。[表になっている]

  • 責任を持つ管理者: コーポレートブランドはCEO/製品ブランドはブランドマネージャー
  • 責任を持つ部署: 全部門/マーケ部門
  • 一般的な責任: 全従業員/マーケ部門の従業員
  • 領域のルーツ: 多分野/マーケティング
  • 立案期間: 長い/短い
  • [なんかめんどくさくなってきちゃったので以下省略]

 コーポレートブランドとコーポレートアイデンティティのちがいは、後者がwhat are we, who are weに関わっており、ビジネススコープとか文化とかを導くという点。後者は必須だが前者はそうでない。[とかなんとかいろいろ書いてあり、表にまとめてある。省略]

4. コーポレート・ブランドという約束
 コーポレートブランドとは組織とステークホルダーとの間の約束である。[…中略…]
 コーポレートブランドという約束は、アイデンティティのひとつのタイプとみることができる。他のタイプとして次の5つがあり、コーポレートブランドはそれらと整合していなければならない:

  • 現実のアイデンティティ
  • コミュニケートされているアイデンティティ
  • 信じられているアイデンティティ
  • 理想のアイデンティティ
  • 望まれるアイデンティティ

 さらに、コーポレートブランドを持つ組織においては、上記のアイデンティティ要素は約束されたアイデンティティ(つまりコーポレートブランドの根底にある存在価値)と整合していなければならない。もっとも、組織はコーポレートブランドの根底にある約束の本質についてよくわかっていないことも多い。

5. 新たなるコーポレント・ブランディング・アーキテクチャ
 ブランド・アーキテクチャとはコーポレート・ブランド、企業(部門)ブランド、製品ブランドの関係を指す。Olins(1978)はブランドの構造をmonolithic(コーポレートブランドが主体), endorsed(併用), branded(製品ブランドが主体)に分類したが、この分類はいまではちょっと時代遅れて、もっと新しい構造もある:

  • Familial. 同じセクターの2つのエンティティ(たとえば地域別の会社)が同じコーポレートブランドを共有している。Hilton UK とHilton USAとか。
  • Shared. 異なる市場を通じて同じコーポレートブランドを共有している。ロールスロイスとか(航空エンジン、BMWの下位部門)
  • Surrogate. ある組織の製品・サービスが他の組織の製品・サービスのようにブランディングされている。British Regeional Airwaysとか(British Airwayとは別の会社)
  • Supra. 航空セクターで一般的。One worldとか Starとか。
  • Multiplex. 日本の「系列」みたいなやつ。Virginとか。
  • Federal. 複数企業が新しいコーポレートブランドをつくる。Airbus Consortiumとか。[←へー]

6. コーポレント・ブランドと企業の資源ベース理論
 コーポレートブランディングの価値を理解するためには資源ベース理論が役に立つ。
 資源ベース理論によれば、企業はその資源と内的ケイパビリティに関して異質性があり、資源とケイパビリティが特定の基準に達したとき、それらは企業の優れたパフォーマンスの基礎となる。その基準とは:

  • rare: 競合がそれを市場で簡単に買えない
  • durable: 急速に減衰したりしない
  • inappropriable: そこから利益の大部分が生まれる
  • imperfect imitability: 競合が真似しにくい
  • imperfect substituability: 他の資源で代替しにくい

コーポレートブランドについて考えると、

  • Value. コーポレートブランドは製品ブランド同様、企業とその価値の識別を容易にし、ステイクホルダーに対して品質とパフォーマンスを保障する。[…] しかしその拡張には限度がある。限度は価値の弾力性と、そのコーポレートブランドがどこまで産業特定的かに依存する。[…] なお、コーポレートブランドを財務的価値としてみる見方もあるけれど、その方法については議論がある。[とかなんとか、いろいろ書いてあるけど、どうもとりとめの無い話のような気がしてしまう。私の読解力の問題だろうか。まあとにかくメモ省略]
  • Rarity. コーポレートブランドは組織のアイデンティティや文化と切り離せない…[メモ省略]
  • Durability. コーポレートブランドは長持ちする。[とかなんとか…]
  • Inappropriatability: [従業員とちがってコーポレートブランドは逃げない、というような話]
  • Imperfect imitability: コーポレートブランドは真似しにくい。なぜなら(1)名前やロゴが法で守られているから、(2)その根底にあるものが、social complexityとcausal ambiguityによって真似しにくくなっているから。[そりゃそうなんだろうけど、それって、コーポレートブランディングってなかなか思い通りに進まないよということも意味しているのではなかろうか]
  • imperfect substitutability: これがコーポレートブランドの弱点。継続的に改善していくことが必要。

7. 結論
[メモ省略]
——
 なんだかエッセイ調の文章で、私にとっては読みづらかった。
 話題の性質上そうならざるを得ないんだろうけど、なんだか雲をつかむような話だったなあ… ま、頭の中が少しだけ整理できたのでよしとしよう。