読了: Okada (1995) 消費者は購買を正当化しなければならない、そのせいでこんなことが起きる

Okada, E.M. (1995) Justification Effects on Consumer Choice of Hedonic and Utilitarian Goods. Journal of Marketing Research, 42(1), 43–53.

 仕事で読んだ論文。
 内容のメモは別の形でとったので省略するけれど…

 たとえばレストランのデザートメニューに、おいしそうだけどカロリー高めのやつともう少し低脂肪のやつがあるとして、もしどっちかしか載ってなかったらそれを頼むけど(カロリー高めだからやめとこうということにはならないけど)、両方載ってたら後者を選んじゃうでしょう?
 あるいは、高いカメラを買うとき、「離れた店で同じカメラがもっと安く売ってるよ」といわれたとして、必要に迫られてではなくて趣味で買うときのほうが、じゃあそっちの店まで歩くかってことになるでしょう?

 というような現象を、シンプルな観察事例と超しょぼい実験(←ほめてます)で示し、購買の正当化という観点からきれいに説明した論文。実用財より快楽財で、単独より比較で、時間払いより金銭払いで、正当化の必要性が高まるんだよ、という説明である。

 実験研究の醍醐味って、凝った手続きとか精緻な分析とか意外な知見にあるのではなく、まあそういえばそうかもなという現象を、誰にでもできるような非常にシンプルな形で示し、ぐうの音も出ないような説明を与え、それを読んだ人のものの見方をちょっと変えてしまう… というところにあると思う。その意味で、もう絵に描いたように美しい実験研究であった。夜中に読み終えてその場で小さく拍手しちゃいました。
 調べてみたところ、著者は日本の方で、現在は一橋大の先生だそうだ。へー。