読了: 宋, 王, 应(2020) 新製品マーケティングにおけるメンタル・シミューション研究レビュー

宋金, 王胜, 应嘉明(2020) 新产品营销中的心理模拟研究述评 (A Literature Review of Mental Simulation in New Product Marketing). 外国经济与管理, 42(7), 36-47.

 新製品マーケティング(リサーチではなくて)におけるメンタル・シミュレーション研究のレビュー。
 仕事の都合で調べものしていてたまたまみつけて、中国語なのでふだんなら無視するんだけど、英文要旨を眺めていたらなんだか虫が知らせて… 機械翻訳を駆使してどうにか目を通した。いやー、これは勉強になりました。

 いくつかメモ。

  • 以下の順でレビューする。
    1. メンタル・シミュレーション(MS)とは
    2. マーケティング・コミュニケーションにおけるMS
    3. 新製品マーケティングにおけるMS
    4. 新製品マーケティングにおけるMSの効果の規定因
  • 2.について。従来の研究は、どういうメッセージやメッセージ処理モードが(MSを経由して)消費者の選好・行動に影響するか、というのを調べていて、これは説得研究と似ている。MSが選好・行動に影響するメカニズムは十分に説明されていない。[なるほど…]
  • 3.について。Hoeffler(2003JMR)が早かった。たいていの研究はMSの中身に注目しているが、製品の革新性(Zhao,Hoeffler,Dahl, 2012JPIM), 情報流暢性(Cho & Schwarz, 2006ACR)に注目した研究もある。いずれにせよ、情報や知識が限られているという点が2.の研究と異なる。
  • 4.について。研究されてきた規定因として以下がある。
    • MSのタイプ … プロセス/アウトカム, 自己関連/他者関連, 想像ベース/記憶ベース
    • 広告の情報… テキスト/写真, 具体的/抽象的, 認知的負荷
    • 消費者の属性 … イメージを生成する能力, 内的焦点/外的焦点
  • 今後の課題。
    • 視覚以外のMS。
    • MSが効果を生むメカニズム。availability–valence hypothesisとか、narrative tranportation mechanismとか。
    • MSが新製品マーケティングにもたらす負の効果。
    • MSと新製品の相互作用におけるメタ認知の役割[←これは、あっそうか!と膝を打つ思いであった。Zhao, Hoeffler, & Dahl(2012JPIM)ってメタ認知研究だよね。確かに!!]