読了:Naik, Prasad, Sethi (2008) ブランド認知の競争モデル

Naik, P.A., Prasad, A., Sethi, S.P. (2008) Building Brand Awareness in Dynamic Oligopoly Markets. Management Science, 54(1), 129-138.

 これも仕事の都合で読んだ奴。内容メモは別のところに取ったので省略。
 題名に競争っぽいワードが入っているし、キーワードにdynamic gamesなんて書いてあるし、うわあ出た、ゲーム理論が出てきた… と夜道で幽霊にあったような悲鳴を上げ(だってむやみに難しいじゃないですか、ああいうの)、放り出していたのであった。しかし仕事とあらば仕方が無い。覚悟を決めて恐る恐る読んでみたところ、個々のプレイヤーのモデルにおいて意思決定変数は完全に外生だし、ナッシュ均衡解を求めはするけれども完全情報下の解というリアリティのないもので、実証データとの突き合わせはしない。単に均衡解を観察して教訓を引き出すだけ。拍子抜け。幽霊の正体みたり普通のモデル… という感じであった。むやみにびびってはいかんですね。

 あ、それから、研究者の人も大変だなあ、と思った。市場反応モデルのパートと規範的分析のパートを分けて2本にしたほうが、読み手にとっても親切だし(前者にしか関心を持たない人は多いと思う)、書き手にとってもありがたいだろうに。いまどきのトップジャーナルに載せるためには、1本でここまでやらないといけないんでしょうね。