いやもう、ほんとにどうでもいい話なのですが…
小人閑居して不善を為すとはよくいったもので、わたしゃろくに仕事もせずにネトフリばかり眺めているのですが、Netflixの言語設定にはよく分からない点がある。
Netflixの言語設定
PCのブラウザからアクセスし、[アカウント(Account)]-[プロフィールとペアレンタルコントロール(PROFILE & PARENTAL CONTROLS)]-(プロフィール)-[言語(Language)]を選ぶ。すると、
- 画面の上部に[ページの表示に使用する言語(Display Language)]の選択肢(単一選択)が並び、
- 画面の下部に[映画やドラマの視聴に使用する言語(Shows & Movies Languages)]の選択肢(複数選択)が並ぶ。
↓こんな感じです。
日本語字幕がついていない外国語作品を探すには?
Netflixで視聴できる作品のなかには、実は日本国内で視聴できるものの、外国語の映画でありかつ日本語字幕がついていない、というものがある。こういう作品は、検索しても検索結果に出現しない。
検索結果に出現させるためにはどうしたらよいか?
結論からいうと、視聴可能な作品を全て表示するためには、[ページの表示に使用する言語]を英語にするとよいらしい。
正確には、日本語でないなにかにするとよい、というべきかもしれない。設定すべきは[映画やドラマの視聴に使用する言語]ではないというのが不思議なところである。後述する。
日本語字幕がついていない外国語作品を視聴するには?
検索しても結果に出現しない作品は、視聴不能であると考えてよさそうだ。作品への直接のURL (https://www.netflix.com/title/[作品番号])にアクセスすると、作品の詳細ウィンドウが出現するものの、[再生]ボタンのかわりに[配信日に通知]ボタンが表示される。結局、上述のように、[ページの表示に使用する言語]を英語にする必要がある。
[2023/04/18追記] 最近Netflixの仕様が変わった模様。[ページの表示に使用する言語]を日本語にした状態では検索結果に出現しない作品でも、直接URLにアクセスすれば視聴できるようだ。つまり、直接のURLがわかるならば、[ページの表示に使用する言語]を英語にする必要はなくなった。
[2023/12/06追記] さきほど試してみたら、元に戻っていた模様。[ページの表示に使用する言語]を日本語にした状態で、検索結果に出現しない作品のURLに直接アクセスしたとき、作品の詳細ウィンドウが出現するものの、[再生]ボタンのかわりに[配信日に通知]ボタンが表示される。
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ここから先は細かい話になります。よほど暇な方のみご覧ください。
以下では映画に限定して話を進めます。ドラマについては調べてません。
詳細: 言語設定と検索結果
配信されている作品を、言語(英語, 日本語, ほか), 英語字幕有無, 日本語字幕有無によって分類してみよう。論理的には3x2x2=12通りあるが、言語が英語のときの英語字幕有無、言語が日本語の時の日本語字幕有無を無視すると8通りとなる。さて、日本国内からアクセスしたとき、それらの作品は検索結果に出現するだろうか。
現時点(2022/10/07)では以下のようになる模様である。表頭の[表示言語]は[ページの表示に使用する言語]の略記。
分類 | 音声 | 英語字幕 | 日本語字幕 | 作品例 | 検索結果に出現するか | |
---|---|---|---|---|---|---|
[表示言語]=英語 | [表示言語]=日本語 | |||||
1 | 英語 | - | あり | 「トップガン」 | 出現する | 出現する |
2 | なし | 「ラブラブ大騒動」 | 出現する | 出現しない | ||
3 | 日本語 | あり | - | 「あん」 | 出現する | 出現する |
4 | なし | 「翔んで埼玉」 | 出現する | 出現する | ||
5 | ほか | あり | あり | 「親友の結婚式」 | 出現する | 出現する |
6a | なし | 「ピノイ・サンデー」 | 出現する | 出現しない | ||
6b | 「炎のアンダルシア」 | 出現する | 出現する | |||
7 | なし | あり | ? | ? | ||
8 | なし | 「マジック・キャッスル: おとぎ話の国」 | 出現する | 出現しない |
いくつか注記する。
- 分類4について:
- いささか奇妙に感じるが、英語の映画で日本語字幕がない作品は[ページの表示に使用する言語]を日本語にすると出現しないのに対して(分類2)、日本語映画で英語字幕なしの作品は、[ページの表示に使用する言語]を英語にした状態でも出現する。
- 分類6a, 6bについて:
- 英語・日本語以外の映画で、英語字幕はあるが日本語字幕はない場合、基本的には、[ページの表示に使用する言語]を日本語にしていると出現しない(分類6a)。
- ところがいくつか反例がある(分類6b)。エジプト映画「炎のアンダルシア」は、アラビア語映画、英語・フランス語字幕だが、私の環境では[ページの表示に使用する言語]を日本語にした状態でも出現する。
- 分類7について:
- 英語・日本語以外の映画で英語字幕はないが日本語字幕はあるという作品は、みつけることができなかった。Netflixにそんな作品はないんじゃなかろうか。
- 分類8について:
- 英語・日本語以外の映画で英語字幕も日本語字幕もない作品はおそらく少なからず存在するのだが、探し当てるのはなかなか難しい。手当たり次第に探した結果、ようやくトルコ映画「マジック・キャッスル: おとぎ話の国」を発見した。トルコ語映画、トルコ語字幕のみ。[ページの表示に使用する言語]を日本語にすると出現しないが、英語にすると出現する。
- なお反例として、かつてエジプト映画「The Treasure 2」があり、アラビア語映画・アラビア語字幕のみにも関わらず、[ページの表示に使用する言語]が英語でも日本語でも出現した。
この表を眺めていると、以下の3つの疑問が浮かぶ。
謎その1. 日本語字幕がついていないのに日本語題名がついている作品がある
いささか奇妙な話だが、[ページの表示に使用する言語]を日本語にすると出現しないのに(上表の2,6a,8)、日本語題名は持っている、という作品が少なくない。上表の「ラブラブ大騒動」「ピノイ・サンデー」「マジック・キャッスル: おとぎ話の国」はみなそうだ。
こうした作品の日本語題名は、[ページの表示に使用する言語]を日本語にして作品への直接のURLにアクセスすると表示されるものの、通常は目に触れることがない。
これはNetflixの方針が揺れ動いた結果として生まれた現象ではないかと思う。
後述するように、かつては[ページの表示に使用する言語]を日本語にしていても、日本語字幕のない外国語映画が検索結果に出現した。そのため、題名だけでも日本語にしておくのは筋が通っていたのである。
謎その2. [映画やドラマの視聴に使用する言語]にはたいした意味が無い
本来、検索結果は[映画やドラマの視聴に使用する言語]の設定によって規定されるべきではないか?
たとえば、日本語話者だが英語もわかる、という人がいたとしますね。[ページの表示に使用する言語]を日本語にして、[映画やドラマの視聴に使用する言語]として日本語と英語を指定したとします。この人がなにかを検索したとき、音声が日本語以外で英語字幕がある作品は、検索結果に表示されるべきじゃないですか? だって、「視聴に使用する言語」のひとつである英語の字幕がついているんだから。
理屈の上からはそうだし、実際のところ、ある時期まではそうなっていた。
たとえば台湾映画「ピノイ・サンデー」は主にタガログ語が用いられる映画で、中国語(繁体)と英語の字幕がついている。「華流映画」を検索してみよう。私の環境では、[映画やドラマの視聴に使用する言語]として英語, 中語, 粤語を選択しても、[ページの表示に使用する言語]が日本語である限り、この作品は「華流映画」の検索結果に表示されない。おかしいなあ。私のメモによれば、2021/01/27頃から2021/09/17頃までは表示されていたのですが。
このように、私の観察では、この点についてNetflixの仕様は揺れ動いているように思われる。もしかするとA/Bテストのようなことをやっていたのかもしれない。
謎その3. [ページの表示に使用する言語]を日本語にしたときだけ検索結果が制約される
上述のように、[ページの表示に使用する言語]を日本語にすると、日本語字幕がない非日本語映画を視聴できなくなるのに対して、[ページの表示に使用する言語]を英語にしても、英語字幕がない非英語映画を視聴できる。
なぜだろうか。英語という設定が特別なのか? つまり、[ページの表示に使用する言語]=英語という設定は、いわばワイルド・カードのように、視聴可能な作品の制約を取り除く働きを持っているのか?
おそらく、そうではないと思う。今度は英語とフランス語について調べてみよう。
分類 | 音声 | 英語字幕 | 仏語字幕 | 作品例 | 検索結果に表示されるか | |
---|---|---|---|---|---|---|
[表示言語]=英語 | [表示言語]=仏語 | |||||
1 | 英語 | - | あり | 「トップガン」 | 出現する | 出現する |
2 | なし | 「ジョン・ウィック」 | 出現する | 出現する | ||
3 | 仏語 | あり | - | 「バック・ノール」 | 出現する | 出現する |
4 | なし | 「アメリ」 | 出現する | 出現する | ||
5 | ほか | あり | あり | 「親友の結婚式」 | 出現する | 出現する |
6 | なし | 「ピノイ・サンデー」 | 出現する | 出現する | ||
7 | なし | あり | ? | ? | ||
8 | なし | 「マジック・キャッスル: おとぎ話の国」 | 出現する | 出現する |
ね? [ページの表示に使用する言語]を英語にしてもフランス語にしてもすべて表示される。むしろ日本語が特別なのである。
少なくとも日本国内からアクセスしているとき、[ページの表示に使用する言語]を日本語にすることは、検索結果に出現する作品を狭める働きを持っているのではないだろうか。
というわけで、Netflixの仕様にはいまいち腑に落ちない点があるなあと思う昨今である。