Dekimpe, M.G., Hanssens, D.M. (2010) Time-Series Models in Marketing: Some Recent Developments. Marketing ZFP – Journal of Research and Management. 32(1), 24-29.
MMMの近年の動向についての解説。
最近この著者の先生たちの書いたのばっかし読んでるので少々疲れてきた。えーと、Dekimpeさんはオランダ・ティルブルフ大、HanssensさんはUCLAの先生だそうです。
掲載誌はよくわかんないがドイツの雑誌だと思う。
いわく。
IJMRにマーケティング時系列モデルのレビューを書いて10年たった。あれから時系列モデリングはすっかりメジャーになったよね。
あのとき僕らは時系列モデルの普及に4つのキードライバーがあると書いた。その後どうなったかみてみよう。
- データサイズの拡大。時間の集計単位が細かくなった。変数の数も増えた(マルチカテゴリのデータも増え、これまで時系列分析といえばデータドリブンだったのがいくぶん仮説検証的にもなった)。多国データも増えた。態度データのような新しい指標も出てきた。データが利用できる期間も長くなった(おかげでビジネスサイクルの研究も進んだ)。
- 市場環境の変化が速くなった。モデルのパラメータをどんどん時変させていくという手もあるけど、大変なので、いろいろ工夫が生まれた。時系列の決定論的な部分にだけ構造ブレークを許しノイズ関数は変えないとか。VECモデルでラディカルなイノベーションを捉えるとか。カルマンフィルタとか動的線形モデルとか。経済危機を扱うモデルも出てきた。
- マーケティングと財務の関係の研究が増えた。ブランドエクイティや顧客満足のようなマーケティング資産を財務のモデルに取り込む研究が増えた(いっぽう、個々のマーケティング活動を取り込むというのはあまりない)。マーケティング研究者はマーケティング投資の財務指標への効果を調べるだけでなく、リスクへの効果も調べるべきだ。マーケティング支出がシステマティック・リスクを下げるとか。
- インターネットデータの勃興。[いろいろ書いてあるけど省略…]
モデリングの技術面で見ると、
- 2000年のときは主にVARモデルの応用を紹介したけど、カルマンフィルタ、スペクトラル分析、動的線形モデルが出てきた。ベイズ推定がさかんになった。
- 問題の幅が広がって、ブランドエクイティや企業価値への長期的効果とか、心理指標とかWOM指標とかも扱うようになった。
- 時系列モデルはこれまで予測か記述のためだったのに、規範的な目的のために使うことも増えた。VAR/VECMによる政策シミュレーションとか。規範的意思決定を状態空間モデルに組み込むとか。
云々。