論文」カテゴリーアーカイブ

読了: Lerner & Tetlock (1999) アカウンタビリティ研究レビュー

Lerner, J.S. & Tetlock, P.E. (1999) Accounting for the Effects of Accountability. Psychological Bulletin, 125(2), 255-275.

 仕事の都合で無理やりめくった奴。アカウンタビリティの社会心理学的研究のレビューである。探し方が悪いのかもしれないけど、2000年以降のレビュー論文は見つけられなかった。

 内容のメモは他のところでとったので省略。膨大な内容なのでしかたないんだけど、どうもいまいち理解しにくいなという箇所が多かった(英語力の問題もあると思う)。
 それにしても、アカウンタビリティについての包括的レビューであるにもかかわらず、自己アカウンタビリティについての言及が全然ないのはなぜだろう。研究の文脈が全然違うということだろうか。

読了: Tetlock & Boettger (1989) 意思決定者にアカウンタビリティを課すことで決定におけるバイアスがむしろ増大することがある

Tetlock, P. & Boettger. R (1989) Accountability: A Social Magnifier of the Dilution Effect. Journal of Personality and Social Psychology, 57(3), 388-398.

 仕事の都合で読んだ。意思決定における決定者のアカウンタビリティの効果についての実験研究。よく引用される有名論文だと思う。google様いわく被引用件数701。
 内容のメモは他のところでとったので省略。決定者にアカウンタビリティを課すと、まあふつうはバイアスは減るといわれているんだけど、希釈効果(予測の際に選択肢についての非診断的な情報のせいで予測がマイルドになってしまう効果)はむしろ増える、という話であった。ざっと目を通しただけだけど、シンプルでわかりやすい論文だと思う。なにより、実験がひとつしかないというのが助かる。疲れてるんです、私。
 

読了: 矢野 et al.(2024) 日本語の文埋め込みモデルを文書検索・RAGの文脈で比べる

矢野千紘, 塚越駿, 笹野遼平, 武田浩一 (2024) 日本語文埋め込みの文書検索性能と検索補助付き生成での評価. 言語処理学会発表論文集, 2024/03.

 理解できたかどうかは別にして、読んだものはなんでも記録しておこうということで…
 文書検索における文埋め込み手法の性能を比較したという発表。文埋め込みを使った密ベクトル検索、およびRAGに注目する。意外にも、日本語での評価は「ほとんど行われていない」由。えええ、そういうもんなんですか?
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読了: 堀川 et al.(2021) 「××にはまってます」のきっかけから引退までのモデル

堀川 将幸, 藤村 諒, 佐藤 浩一郎, 寺内 文雄 (2021) 習慣化に関する主体的行動に着目した経験価値変化モデルの提案. デザイン学研究, 68(4), 45-54.

 都合によりざっと目を通した。すいません、あんましちゃんと読んでないです。時間ができたら読み直そう。
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読了: Drolet & Wood (2017) 消費者行動論における習慣研究

Drolet, A. & Wood, W. (2017) Introduction to Special Issue: The Habit-Driven Consumer. Journal of the Association for Consumer Research, 2(3), 275–278.

 仕事の都合でパラパラめくってたやつ。
 この雑誌のこの号は習慣研究の特集号で、これはそのイントロ。たった4ページだけど、なんだか論旨をよみとりにくかったのでメモをとった。まあ、すべての掲載論文を均等に引き合いに出すという大喜利みたいな文章なので、そんなに真剣に読んでも仕方ないんだけど。でも、こういう一歩引いた巨視的な概観というのは、初学者にとってはありがたいものである。
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読了: Tran & Paparoidamis (2019) self-accontabilityが高いと倫理的製品への選好が高まるというPeloza et al.(2013)の実験は再現できるか

Tran, T.T.H., Paparoidamis, N.G. (2019) Taking a closer look: Reasserting the role of self-accountability in ethical consumption. Journal of Business Research, 126, 542-555.

 Peloza, White, & Shang (2013 J. Mktg.)という、消費者のself-accountabilityを高めると倫理的な製品への選好が高まる (つまり、「自分の行動を自分に説明できるようにしなきゃ」と感じると環境にやさしい製品とかを買いやすくなる)という実験研究論文があって、その再現・拡張をやった研究。
 著者らは元論文をPeloza, White, & Jingzhiって呼んでるんだけど、JigzhiってShanさんのファーストネームじゃないかなあ? 「田中・鈴木・花子(2013)によれば」みたいな感じになってない?
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読了: Stillman, Medvedev, & Ferguson (2017) セルフコントロール葛藤下の心的過程をマウスの軌跡で測る

Stillman, P.E., Medvedev, D., Ferguson, M. (2017) Resisting temptation: Tracking how self-control conflicts are successfully resolved in real time. Psychological Science, 28(9), 1240-1258.

仕事の都合でセルフ・コントロール葛藤下での正当化についていろいろ調べていて見つけた論文。正当化とは関係ないんだけど面白そうなので読んでみた。マウスのトラッキングで葛藤をリアルタイムに測りますという話。
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読了: Dhiman, Sen, Bhardwaj (2015): 自分の行為を自分に対して説明しなければならないと感じると自己制御は促進される

Dhiman, A., Sen, A., & Bhardwaj, P. (2015) Effect of self-accountability on self-regulatory behaviour: A quasi-experiment. Journal of Business Ethics, 148, 79-97.

 都合により大慌てで読んだ論文。自分の決定についてのself-accountability (自分の決定を自分に対して説明しなければならないという知覚) が自己制御に効くか、という話。
 なぜか仕事と称して、こういうビジネスの皮をかぶった心理学の論文をちくちく読んでいるのって、ほんとに奇妙な人生だ。冷静に考えると辛くなる。
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読了: van de Ven, Blanken, & Zeelenberg (2018) 強い誘惑に駆られるとなんだって誘惑に屈する理由になる

van de Ven, N., Blanken, I., Zeelenberg, M. (2018) Temptation-based reasoning: When tempted, everything becomes a (better) reason to indulge. Journal of Marketing Behavior, 3, 185-209.

 都合で読んだもの。セルフ・コントロール葛藤下での正当化の研究である。
 著者らはオランダ・ティルブルフ大所属。google様曰く被引用件数6件。さみしい。
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読了:野口(2016) 尾形光琳「紅白梅図屏風」の真ん中に流れている黒い川をどうやって作るのか

 読んだものはなんでも記録しておこうということで…

 先日、和歌山毒物カレー事件の冤罪説の立場に立ったドキュメンタリー映画「マミー」を観て、分析化学者たちが鑑定をめぐって対立する様子に、鑑定というのも一筋縄ではいかないものなのだなあ、と感心した。で、一方の化学者の方についてぼんやり検索していてたどり着いた文章。えーと、一方の化学者の方が講演したら、その講演をこの著者の方が聴いていて、もう一方の化学者の方をめぐって実はこんな対立もあるんですよと教えてくれたのだそうである。

野口康(2016) 金碧の真実 光琳の紅白梅図. 海洋化学研究, 29 (2), 59-78.
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読了: Loosveldt & Storms (2008) 「調査というものに対する一般的な態度」を調査で測るための尺度をつくったよ

Loosveldt, G., & Storms, V. (2008) Measuring public opinions about surveys. International Journal of Public Opinion Research, 20(1), 74–89.
 survey climate(調査一般に対する人々の態度)の尺度研究。先日読んだ Gengler, et al. (2021) で引用されていた。google様いわく被引用回数83。意外に少ないけど、でもテーマがマイナーだからね…
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読了: Kunda (1990) 動機づけられた推論

Kunda, Z. (1990) The case for motivated reasoning. Psychological Bulletin, 108(3), 480-498.

 都合により読んだ論文。「動機づけられた推論」概念を提唱した論文として広く引用されている。google scholar上の被引用件数は11422件。化け物だ。
 メモは別のところでとったので省略。

 よしひとつ読んでおくか、とめくり始めたのはよいが、掲載誌からも想像がつくように、文章が延々とつづくハードなレビュー論文で… 数ページ目から大後悔。なんとか読み終えるまでに何日もかかり、メモはpptで19ページに至った(一部を端折っているのに)。いちサラリーマンが気軽に読むようなもんじゃないよ、これ。

読了: Gengler, et al. (2021) 調査というものに対する態度と調査参加との関係 (カタールで調べました)

Gengler, J.J., Tessler, M., Lucas, R., Forney, J. (2021) ‘Why do you ask?’ The nature and impacts of attitudes towards public opinion surveys in the Arab world. British Journal of Political Science, 51, 115-136.

 調べ物の途中でみつけてなんとなくPDFを保存し、今回フォルダを整理していてなんとなく読み終えてしまった論文。現実逃避だ…
 調査参加者の調査に対する一般的態度と、調査参加行動との関係を調べた論文。そういう研究はほかにもあるが、中東のカタールでやったというのが売りである。
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読了: Taylor, Webb, & Sheeran (2013) 意図と行動がずれる理由のひとつは無節制の正当化だ

Taylor, C., Webb, T.L., Sheeran, P. (2013) ‘I deserve a treat!’: Justifications for indulgence undermine the translation of intentions into action. British Journal of Social Psychology, 53(3), 501-520.
都合により読んだもの。google様曰く、被引用件数72。
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読了: 山本(2023) キルケゴール「おそれとおののき」における信仰理解

山本隆久(2023) 『おそれとおののき』におけるキェルケゴールの信仰理解への神学的考察. 聖書と神学, 34, 23-47.

 ひょんな経緯で読んだもの。掲載誌は日本聖書神学校というところの紀要誌のようなものだと思う。DOIはついていないようだ。
 これはあれだな、やっぱりキルケゴール「おそれとおののき」というのを先に読んでないとわかんないな。調べたところ、キルケゴールの文庫はいまだ新刊で入手可能だが(まじか。すごいな)、この文章については全集にあたらないといけないようだ。

読了: De Witt Huberts, Evers, & De Ridder (2014) 節約したいのについぜいたくしたり痩せたいのについ食べちゃうのは、熟慮が衝動に負けたのではなくむしろ熟慮的な正当化の結果かも

De Witt Huberts, J.C., Evers, C., De Ridder, D.T.D. (2014) “Because I am worth it”: A theoretical framework and empirical review of a justification-based account of self-regulation failure. Personality and Social Psychology Review. 18(2), 119-138.

 ちょっと都合があって読んだもの。セルフ・コントロールの失敗(つまり、長期的な自己制御目標と短期的な誘惑目標が対立したときに後者を追及してしまうこと)を、自己制御資源の枯渇とかネガティブ感情下の衝動的行動とかで説明するのではなく、むしろ熟慮的システムによる正当化プロセスの結果として説明することができるのではないでしょうか。という、ガチに心理学な理論論文。
 メモは他の形でとったので省略。いやあ、疲れた… 勉強になったけど、そして面白かったけど(2014年の時点でバウマイスターさんたちに正面から喧嘩を売っている)、でもほんとに疲れた…
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読了: Vosgerau, Scopelliti, Huh (2019) 消費者が実用品より快楽品を選んだからといってセルフ・コントロールに失敗しているとはいえないのではないですか?

Vosgerau, J., Scopelliti, I., Huh, Y.E. (2019) Exerting Self-Control (not equal) Sacrificing Pleasure. Journal of Consumer Psychology, 30(1), 181-200.

 ぜいたく品購買の正当化について調べていてたまたま見つけた論文。食品消費におけるセルフコントロールについての理論的主張論文である。
 この雑誌にはResearch Dialogueという、招待論文と数人のコメントと返答をまとめて載せる企画があるようで、この号には、企画趣旨説明(Aradhna Krishnaさんによる)、この論文、LambertonとMochon & Schwartzという人のコメント、コメントへの返答が載っている模様。最初の説明をざっとみたところ、コメンテーターとの間で鋭い意見対立があるわけではなさそうなので、ま、これだけ読んでおけばいいかな。
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読了: Xu & Shuwarz (2009) 理由のないぜいたくをすると罪悪感のせいで心から楽しめないだろうな、と私たちは思うけど実際にはそうでもない

Xu, J., Schwarz, N. (2009) Do We Really Need a Reason to Indulge? Journal of Marketing Research, 46(1), 25-36.

 調べ物の一環で読んだやつ。てっきりぜいたく消費の正当化の論文かと思ったんだけど(題名からはそう思いますわね)、ちょっと毛色の変わった問題設定で… 途中から面白さに気づきメモを取った。
 あとで気が付いたんだけど、第二著者は調査法研究のシュワルツじゃん! そうか、本業は感情の認知的研究の人だもんね。マーケティング領域でも身体化認知の論文とか書いてたし。
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