論文」カテゴリーアーカイブ

読了: 矢野目(1997) 上海映画人・張善琨、その波乱の人生

 仕事とはぜんっぜん関係ないけど、読んだものはなんでもメモしておこう、というわけで…

 youtubeなどをぼんやり眺めていて(現実逃避)、昔のカンフー映画”Eagle’s Killer”(拜錯師父叩錯頭, 1979 香港)の製作会社が「新華影業公司」となっていることに気づき、へーそんな会社があったのか、だれが経営したんだろうか、とふと気になった(現実逃避)。HKMDB(有志による香港映画データベース)をみると、1934年から1983年まで製作作品がみつかる。えええ? 戦前から戦後まで続いているの? とさらに気になった(現実逃避)。

矢野目直子 (1997) 日中戦争下の上海に生きた映画人-張善琨 (上). 中国研究月報, 589, 1-9.
矢野目直子 (1997) 日中戦争下の上海に生きた映画人-張善琨 (下). 中国研究月報, 591, 14-32.
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読了: 坂地ほか (2024) 人工知能学会誌「ナラティブと人工知能」特集号

武富有香・須田永遠 (2024) 物語の読解技術とその応用 -文学研究におけるナラティブ-. 人工知能, 39(5), 588-594.
土井智暉・谷中瞳 (2024) 自然言語処理を用いたナラティブ分析の可能性. 人工知能, 39(5), 608-614.
坂地泰紀・塩野剛志・金田規靖・新谷元嗣 (2024) 経済におけるナラティブ. 人工知能, 39(5), 651-657.

昨年9月の人工知能学会誌「ナラティブと人工知能」特集号より。仕事の都合で読んだ。ほんとは所載の13本を全部読んだんだけど、全部書くのは手間なので、特に面白かった3本をメモしておく。

読了: Escalas (2007) 自己に結びつける広告メッセージであっても、それが物語的に処理される場合と分析的に処理される場合では効果が違う

Escalas, J.E. (2007) Self-referencing and persuasion: Narrative tranportation versus analytical elaboration. Journal of Consumer Research, 33(4), 421-429.

 ちょっと経緯があってざっと目を通したやつ。著者のEscalasさんは新製品のメンタル・シミュレーションについて調べていた時になんどか見かけた名前である。
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読了: Turner (2017) ユーザ経験としての時間つぶし

Turner, P. (2017) Killing Time with Technology. “A Psychology of User Experience“, Chapter 6. Springer

仕事の関連で、これって消費者が時間つぶしのために消費しているものですよね… という事柄があったのだけれど、不意に「いやまて、そもそも時間つぶしとはなんなのか」という哲学的な疑問にとらわれた。なにか役に立ちそうなものを探して読んでみた次第。
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読了: Baucells & Sarin (2010) 飽和と習慣形成を説明する効用モデル

Baucells, M., Sarin, R.K. (2010) Predicting Utility Under Satiation and Habit Formation. Management Science, 56(2), 286-301.
 研究会で経済学の先生が引き合いに出していた論文。なんだか面白そうだし、仕事と直接に関連しない論文を読むのは楽しいなあ(現実逃避)… と思って読み始めたんだけど、残念ながら途中で力尽きた。
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読了: Quinn & Bederson (2011) ヒューマン・コンピュテーションを分類する

Quinn, A.J., & Bederson, B.B. (2011) Human Computation: A Survey and Taxonomy of a Growing Field. CHI’11: Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems. 1403-1412.

ヒューマン・コンピュテーションについてのレビュー。誰かと話していてうっかりヒューマン・コンピュテーションという言葉を使ってしまい、自分もよく意味がわかっていないな… と思って読んだ奴。google様によれば被引用回数1182なんだけど、この分野では13年前の国際会議発表なんて古文書に近いでしょうね…
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読了:Jindal & Aribarg (2021) 消費者の価格探索についての研究において、消費者が真の価格分布を知っているとか信念をベイズ更新しているといった仮定はどのくらいクリティカルか

Jindal, P., Aribarg, A. (2021) The Importance of Price Beliefs in Consumer Search. Journal of Marketing Research, 58(2), 321-342.

 しばらく前に途中まで読んで放棄していたやつ。えーと、仕事の都合で価格知覚の実証研究を調べていて、その流れで読んだ奴だと思う。整理がつかないので最後までむりやりめくった。
 消費者の価格知覚についての実験研究とかだろうとと思ったら、そうではなくて、価格探索についての規範的モデルと探索行動に基づき探索コストを逆算するという研究であった。こういう分野があるんですね。はじめて聞くような話ばかりで、かなり戸惑った。
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読了: Lally, et al. (2010) 習慣形成を個人レベルで追跡する実験をやりました

Lally, P., van Jaarsveld, C.H.M., Potts, H.W.W., & Wardle, J. (2010) How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40, 998-1009.

 仕事の都合でめくった奴。
 えーと、Gardner & Lally (2018) いわく、人間の習慣形成を個人内で追いかけた定量研究はこの論文ともう一本しかない、のだそうである。現時点でもそうなのかどうかは知らんけど。
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読了: Best & Papies (2017) 「状況化された認知」の観点から見た消費者習慣への介入

Best, M., Papies, E.K. (2017) Right Here, Right Now: Situated Interventions to Change Consumer Habits. Journal of the Association of Consumer Research, 2(3), 333–358.

 仕事の都合で読んだ。習慣の特集号に載った論文のひとつ。
 長いしめんどくさそうだし、なによりタイトルに”situated”と入っていることに危険信号を感じ(すいません)、あとまわしにしていた。いやいやながら目を通してみたら、著者らの言うsituated cognitionとはBarsalouさんのいうそれで、少々ほっとした。不勉強ゆえの思い込みだろうけど、状況化された認知がどうたらこうたら…という能書きから始まった場合、たいてい社会学者とか哲学者とかの雲をつかむような話に流れていくことを覚悟しなければならないのに対し、Barsalouさん一派ならば実証研究に留まってくれるという謎の安心感がある。
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読了: 舟津(2019) 制度ロジックってなによ?

舟津昌平 (2019) 制度ロジック多元性下における組織のイノベーションマネジメント ―文献調査に基づく理論研究―. 赤門マネジメント・レビュー, 18(4).

 ときどき学会の大会とかに行って研究者の先生方の話をフガフガと拝聴していたりするんだけど、最近「制度ロジック」という言葉を何度か耳にしたことがあって(たしか消費者行動研究コンファレンスだ)、なんとなーくめくってみた論文。あんまし真剣に読んでないので、失礼な話ではあるのだが、読んだのは何でも記録しておこうという主旨です… すいません…
 いま調べたら、著者の先生は東大の講師になっておられる模様。
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読了:川端(2018) 日本国民道徳論における潔白性概念とお風呂

川端美季 (2018) 近代日本の国民道徳論における「潔白性」の位置づけ. 立命館人間科学研究, 37, 75-89.

 勤務先の同僚が「風呂キャンセル界隈」言説について調べていて、横で聴いてて面白い話だと思ったので、川端美季「風呂と愛国」と一緒に目を通したもの。
 明治後期、海外視察をした衛生専門家のあいだで日本の入浴習慣を美風と捉える言説が生まれる。で、教育勅語の下で構築された国民道徳論では(井上哲次郎とか)、日本の国民性のひとつとして潔白性が挙げられ、入浴習慣はその証拠とみなされるようになった… というような内容であった。
 大正・昭和期には国民道徳論も徐々に変容していき、潔白性はどんどんランクアップしていき、この論文のスコープを超えるけれど、お国のために潔く死に至るべしという戦時下の言説へとつながっていくわけである。へええ。

読了: Lerner & Tetlock (1999) アカウンタビリティ研究レビュー

Lerner, J.S. & Tetlock, P.E. (1999) Accounting for the Effects of Accountability. Psychological Bulletin, 125(2), 255-275.

 仕事の都合で無理やりめくった奴。アカウンタビリティの社会心理学的研究のレビューである。探し方が悪いのかもしれないけど、2000年以降のレビュー論文は見つけられなかった。

 内容のメモは他のところでとったので省略。膨大な内容なのでしかたないんだけど、どうもいまいち理解しにくいなという箇所が多かった(英語力の問題もあると思う)。
 それにしても、アカウンタビリティについての包括的レビューであるにもかかわらず、自己アカウンタビリティについての言及が全然ないのはなぜだろう。研究の文脈が全然違うということだろうか。

読了: Tetlock & Boettger (1989) 意思決定者にアカウンタビリティを課すことで決定におけるバイアスがむしろ増大することがある

Tetlock, P. & Boettger. R (1989) Accountability: A Social Magnifier of the Dilution Effect. Journal of Personality and Social Psychology, 57(3), 388-398.

 仕事の都合で読んだ。意思決定における決定者のアカウンタビリティの効果についての実験研究。よく引用される有名論文だと思う。google様いわく被引用件数701。
 内容のメモは他のところでとったので省略。決定者にアカウンタビリティを課すと、まあふつうはバイアスは減るといわれているんだけど、希釈効果(予測の際に選択肢についての非診断的な情報のせいで予測がマイルドになってしまう効果)はむしろ増える、という話であった。ざっと目を通しただけだけど、シンプルでわかりやすい論文だと思う。なにより、実験がひとつしかないというのが助かる。疲れてるんです、私。
 

読了: 矢野 et al.(2024) 日本語の文埋め込みモデルを文書検索・RAGの文脈で比べる

矢野千紘, 塚越駿, 笹野遼平, 武田浩一 (2024) 日本語文埋め込みの文書検索性能と検索補助付き生成での評価. 言語処理学会発表論文集, 2024/03.

 理解できたかどうかは別にして、読んだものはなんでも記録しておこうということで…
 文書検索における文埋め込み手法の性能を比較したという発表。文埋め込みを使った密ベクトル検索、およびRAGに注目する。意外にも、日本語での評価は「ほとんど行われていない」由。えええ、そういうもんなんですか?
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読了: 堀川 et al.(2021) 「××にはまってます」のきっかけから引退までのモデル

堀川 将幸, 藤村 諒, 佐藤 浩一郎, 寺内 文雄 (2021) 習慣化に関する主体的行動に着目した経験価値変化モデルの提案. デザイン学研究, 68(4), 45-54.

 都合によりざっと目を通した。すいません、あんましちゃんと読んでないです。時間ができたら読み直そう。
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