論文:心理」カテゴリーアーカイブ

読了: Lally, et al. (2010) 習慣形成を個人レベルで追跡する実験をやりました

Lally, P., van Jaarsveld, C.H.M., Potts, H.W.W., & Wardle, J. (2010) How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40, 998-1009.

 仕事の都合でめくった奴。
 えーと、Gardner & Lally (2018) いわく、人間の習慣形成を個人内で追いかけた定量研究はこの論文ともう一本しかない、のだそうである。現時点でもそうなのかどうかは知らんけど。
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読了: Best & Papies (2017) 「状況化された認知」の観点から見た消費者習慣への介入

Best, M., Papies, E.K. (2017) Right Here, Right Now: Situated Interventions to Change Consumer Habits. Journal of the Association of Consumer Research, 2(3), 333–358.

 仕事の都合で読んだ。習慣の特集号に載った論文のひとつ。
 長いしめんどくさそうだし、なによりタイトルに”situated”と入っていることに危険信号を感じ(すいません)、あとまわしにしていた。いやいやながら目を通してみたら、著者らの言うsituated cognitionとはBarsalouさんのいうそれで、少々ほっとした。不勉強ゆえの思い込みだろうけど、状況化された認知がどうたらこうたら…という能書きから始まった場合、たいてい社会学者とか哲学者とかの雲をつかむような話に流れていくことを覚悟しなければならないのに対し、Barsalouさん一派ならば実証研究に留まってくれるという謎の安心感がある。
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読了: Lerner & Tetlock (1999) アカウンタビリティ研究レビュー

Lerner, J.S. & Tetlock, P.E. (1999) Accounting for the Effects of Accountability. Psychological Bulletin, 125(2), 255-275.

 仕事の都合で無理やりめくった奴。アカウンタビリティの社会心理学的研究のレビューである。探し方が悪いのかもしれないけど、2000年以降のレビュー論文は見つけられなかった。

 内容のメモは他のところでとったので省略。膨大な内容なのでしかたないんだけど、どうもいまいち理解しにくいなという箇所が多かった(英語力の問題もあると思う)。
 それにしても、アカウンタビリティについての包括的レビューであるにもかかわらず、自己アカウンタビリティについての言及が全然ないのはなぜだろう。研究の文脈が全然違うということだろうか。

読了: Tetlock & Boettger (1989) 意思決定者にアカウンタビリティを課すことで決定におけるバイアスがむしろ増大することがある

Tetlock, P. & Boettger. R (1989) Accountability: A Social Magnifier of the Dilution Effect. Journal of Personality and Social Psychology, 57(3), 388-398.

 仕事の都合で読んだ。意思決定における決定者のアカウンタビリティの効果についての実験研究。よく引用される有名論文だと思う。google様いわく被引用件数701。
 内容のメモは他のところでとったので省略。決定者にアカウンタビリティを課すと、まあふつうはバイアスは減るといわれているんだけど、希釈効果(予測の際に選択肢についての非診断的な情報のせいで予測がマイルドになってしまう効果)はむしろ増える、という話であった。ざっと目を通しただけだけど、シンプルでわかりやすい論文だと思う。なにより、実験がひとつしかないというのが助かる。疲れてるんです、私。
 

読了: Tran & Paparoidamis (2019) self-accontabilityが高いと倫理的製品への選好が高まるというPeloza et al.(2013)の実験は再現できるか

Tran, T.T.H., Paparoidamis, N.G. (2019) Taking a closer look: Reasserting the role of self-accountability in ethical consumption. Journal of Business Research, 126, 542-555.

 Peloza, White, & Shang (2013 J. Mktg.)という、消費者のself-accountabilityを高めると倫理的な製品への選好が高まる (つまり、「自分の行動を自分に説明できるようにしなきゃ」と感じると環境にやさしい製品とかを買いやすくなる)という実験研究論文があって、その再現・拡張をやった研究。
 著者らは元論文をPeloza, White, & Jingzhiって呼んでるんだけど、JigzhiってShanさんのファーストネームじゃないかなあ? 「田中・鈴木・花子(2013)によれば」みたいな感じになってない?
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読了: Stillman, Medvedev, & Ferguson (2017) セルフコントロール葛藤下の心的過程をマウスの軌跡で測る

Stillman, P.E., Medvedev, D., Ferguson, M. (2017) Resisting temptation: Tracking how self-control conflicts are successfully resolved in real time. Psychological Science, 28(9), 1240-1258.

仕事の都合でセルフ・コントロール葛藤下での正当化についていろいろ調べていて見つけた論文。正当化とは関係ないんだけど面白そうなので読んでみた。マウスのトラッキングで葛藤をリアルタイムに測りますという話。
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読了: Dhiman, Sen, Bhardwaj (2015): 自分の行為を自分に対して説明しなければならないと感じると自己制御は促進される

Dhiman, A., Sen, A., & Bhardwaj, P. (2015) Effect of self-accountability on self-regulatory behaviour: A quasi-experiment. Journal of Business Ethics, 148, 79-97.

 都合により大慌てで読んだ論文。自分の決定についてのself-accountability (自分の決定を自分に対して説明しなければならないという知覚) が自己制御に効くか、という話。
 なぜか仕事と称して、こういうビジネスの皮をかぶった心理学の論文をちくちく読んでいるのって、ほんとに奇妙な人生だ。冷静に考えると辛くなる。
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読了: van de Ven, Blanken, & Zeelenberg (2018) 強い誘惑に駆られるとなんだって誘惑に屈する理由になる

van de Ven, N., Blanken, I., Zeelenberg, M. (2018) Temptation-based reasoning: When tempted, everything becomes a (better) reason to indulge. Journal of Marketing Behavior, 3, 185-209.

 都合で読んだもの。セルフ・コントロール葛藤下での正当化の研究である。
 著者らはオランダ・ティルブルフ大所属。google様曰く被引用件数6件。さみしい。
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読了: Kunda (1990) 動機づけられた推論

Kunda, Z. (1990) The case for motivated reasoning. Psychological Bulletin, 108(3), 480-498.

 都合により読んだ論文。「動機づけられた推論」概念を提唱した論文として広く引用されている。google scholar上の被引用件数は11422件。化け物だ。
 メモは別のところでとったので省略。

 よしひとつ読んでおくか、とめくり始めたのはよいが、掲載誌からも想像がつくように、文章が延々とつづくハードなレビュー論文で… 数ページ目から大後悔。なんとか読み終えるまでに何日もかかり、メモはpptで19ページに至った(一部を端折っているのに)。いちサラリーマンが気軽に読むようなもんじゃないよ、これ。

読了: Taylor, Webb, & Sheeran (2013) 意図と行動がずれる理由のひとつは無節制の正当化だ

Taylor, C., Webb, T.L., Sheeran, P. (2013) ‘I deserve a treat!’: Justifications for indulgence undermine the translation of intentions into action. British Journal of Social Psychology, 53(3), 501-520.
都合により読んだもの。google様曰く、被引用件数72。
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読了: De Witt Huberts, Evers, & De Ridder (2014) 節約したいのについぜいたくしたり痩せたいのについ食べちゃうのは、熟慮が衝動に負けたのではなくむしろ熟慮的な正当化の結果かも

De Witt Huberts, J.C., Evers, C., De Ridder, D.T.D. (2014) “Because I am worth it”: A theoretical framework and empirical review of a justification-based account of self-regulation failure. Personality and Social Psychology Review. 18(2), 119-138.

 ちょっと都合があって読んだもの。セルフ・コントロールの失敗(つまり、長期的な自己制御目標と短期的な誘惑目標が対立したときに後者を追及してしまうこと)を、自己制御資源の枯渇とかネガティブ感情下の衝動的行動とかで説明するのではなく、むしろ熟慮的システムによる正当化プロセスの結果として説明することができるのではないでしょうか。という、ガチに心理学な理論論文。
 メモは他の形でとったので省略。いやあ、疲れた… 勉強になったけど、そして面白かったけど(2014年の時点でバウマイスターさんたちに正面から喧嘩を売っている)、でもほんとに疲れた…
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読了: Spears (2006) 購買後後悔の最小化における計画購買 vs. ぶらぶらファクター

Spears, N. (2006) Just Moseying Around and Happening Upon It versus a Master Plan: Minimizing Regret in Impulse versus Planned Sales Promotion Purchases. Psychology & Marketing, 23(1), 57-73.

 仕事の都合で読んだやつ。計画購買vs. 衝動購買、販促、後悔最小化、そしてぶらぶらファクター(なにそれ)と、なかなかキーワードが多くて一言で説明しにくい論文である。
 google様いわく被引用件数64。掲載誌はメジャーとはいいにくいと思うが、そのわりにはちょっと多めかな。
 いやー、それにしても、超わかりにくい論文であった…
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読了: Dittmar, Beattie, & Friese (1995) 男と女の衝動購買

Dittmar, H., Beattie, J., Friese, S. (1995) Gender identity and material symbols: Objects and decision considerations in impulse purchases. Journal of Economic Psychology, 16, 499-511.

 そうそう、記録するのを忘れていたけど、これもしばらく前に読んだやつ。
 メモは他のところでとったので省略するけど、風呂敷としては、衝動購買についての社会構築主義モデルを提案する論文である。なんだかすごそうですね。
 でも、この研究が実際にやっていることって… 要するに、男と女で衝動購買する財がちがう、購買時の検討内容がちがう、という調査研究である。うーん。社会構築主義とおっしゃるからには、「消費者の衝動買いは消費社会にどのように支えられ、かつ消費社会をどのように支えているのか」とか、「女性の衝動購買において感情的側面が重視され、男性において機能的側面が重視されるという現象はなぜ生じているのか」とか、そういうことを説明なさるのかと思ったんですけど? いや、まあ、いいですけどね。私がなんか理解し損ねているだけかもしれないし。

読了: Mandolfo & Lamberti (2021) 衝動購買研究方法論システマティック・レビュー

Mandolfo, M., Lamberti, L. (2021) Past, Present, and Future of Impulse Buying Research Methods: A Systematic Literature Review. Frontiers in Psychology, 12:687404.

先日仕事の都合で読んだやつ。衝動購買の研究の方法論についてのシステマティック・レビュー。

 メモは他のところでとったので省略するけど、実のところ大多数の論文は定量調査&SEMなのだそうで、ちょっとげんなり。目に浮かびますね。いかにもアンケート一発で検証できそうな仮説を列挙しておいて、アンケート一発で検証する論文… いや、どんな研究にも価値があると思いますけど…
 面白そうだなと思ったのをメモしておくと、Vohs & Faber (2007 JCR)。自己制御資源が枯渇すると衝動購買しやすいという話らしいのだが、目的変数はただの購買意向とかじゃなくて、実際の購買行動をみているらしい。それからDe Vries & Fennis (2019 Int.Mktg.Rev.)ってのも面白そうだな。ローカルブランドは解釈レベルがどうのこうので衝動購買がどうのこうのという話らしいのだが(ふーん)、これも実際に購買行動をアウトカムに取っている模様。

読了: Payne, Bettman, & Johnson (1988) リスク下選択の方略は時間圧力のような文脈特性・課題特性によって適応的に変わる

Payne, J.W., Bettman, J.R., Johnson, E. (1988) Adaptive Strategy Selection in Decision Making. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition. 14(3), 534-552.

 仕事の都合で大慌てで読んだやつ。情報ボード法による情報探索実験の論文である。
 まさかのJEP:LMC。まさかこのトシになって、我ながらよくわかんない仕事で生計を立てつつ、なぜか80年代のJEP論文を読んでおるとは。若いころの自分が知ったらどう思うのだろうか。(どう思うのかもなにも… どっかから飛び降りてるよね)
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読了: Shaw, Wild, & Colquitt (2003) 組織における説明の効果のメタ分析

Shaw, J.C., Wild, E., & Colquitt, J.A. (2003) To justify or excuse? A meta-analytic review of the effects of explanations. Journal of Applied Psychology, 88(3), 444-458.

 ちょっと都合があって読んだ論文。説明の効果についてのメタ分析。タイトルからもっと認知心理学的な話を予想していたのだが、組織研究の文脈での話である。レイオフのニュースが流れて社内がざわついているときに経営陣がきちんと説明することの効果、みたいな話であろう。
 google様いわく、被引用件数636件。おおお、意外に多いな。
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読了: Cheema & Soman (2006) 心的会計は案外柔軟で、望む支出を正当化するために操作される

Cheema, A., & Soman, D. (2006) Malleable Mental Accounting: The Effect of Flexibility on the Justification of Attractive Spending Decisions. J. Consumer Psychology. 16(1), 33-44.

 そうそう、これもしばらく前に読んだんだけど、記録するのを忘れていた。心的会計の実験研究で、カテゴリがあいまいな魅力的購買は支出が正当化されやすいほうにカテゴリ化される、という実験。言われてみれば当たり前の話を小粋な実験で示して有名理論の隙を突く、というタイプの研究である。
 内容のメモは別のところでとったので省略。