メイン > 哲学・思想(2011-)
2019年7月 1日 (月)
ギリシア・ローマ-ストア派の哲人たち-セネカ、エピクテトス、マルクス・アウレリウス
[a]
國方 栄二 / 中央公論新社 / 2019-01-09
2019年1月28日 (月)
観音さま (講談社学術文庫)
[a]
鎌田 茂雄 / 講談社 / 2018-11-11
2019年1月 4日 (金)
往生要集―日本浄土教の夜明け (2) (東洋文庫 (21))
[a]
源信 / 平凡社 / 1964-06-01
新版 歎異抄 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)
[a]
/ 角川書店 / 2001-07-25
親鸞・普遍への道―中世の真実 (ちくま学芸文庫)
[a]
阿満 利麿 / 筑摩書房 / 2007-04-01
幸福とは何か - ソクラテスからアラン、ラッセルまで (中公新書)
[a]
長谷川 宏 / 中央公論新社 / 2018-06-20
チベット仏教入門 (ちくま新書)
[a]
均, 吉村 / 筑摩書房 / 2018-11-06
読了:「チベット仏教入門」「往生要集」「歎異抄」「親鸞・普遍への道」「幸福とは何か」
2018年9月17日 (月)
人間の条件 (ちくま学芸文庫)
[a]
ハンナ アレント / 筑摩書房 / 1994-10-01
正直なところ、後半の「活動」のあたりから全くついていけなくなった。ようやく読み終えてほっとしたけれど、読んだというよりめくったというのが正確なところ。
『碧巌録』を読む (岩波現代文庫)
[a]
末木 文美士 / 岩波書店 / 2018-08-18
ブッダの生涯 (岩波現代文庫 〈仏典をよむ〉)
[a]
中村 元 / 岩波書店 / 2017-12-16
2018年5月 3日 (木)
アレント入門 (ちくま新書1229)
[a]
中山 元 / 筑摩書房 / 2017-01-05
2017年8月22日 (火)
往生要集―日本浄土教の夜明け (1) (東洋文庫 (8))
[a]
源信 / 平凡社 / 1963-12-01
浄土真宗とは何か - 親鸞の教えとその系譜 (中公新書)
[a]
小山 聡子 / 中央公論新社 / 2017-01-17
日本精神史: 自然宗教の逆襲 (単行本)
[a]
利麿, 阿満 / 筑摩書房 / 2017-02-23
読了:「往生要集 日本浄土教の夜明け」「浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜」「日本精神史 自然宗教の逆襲」
2017年1月 4日 (水)
浄土三部経〈上〉無量寿経 (岩波文庫)
[a]
中村 元,紀野 一義,早島 鏡正 / 岩波書店 / 1990-08-16
浄土三部経〈下〉観無量寿経・阿弥陀経 (岩波文庫)
[a]
中村 元,紀野 一義,早島 鏡正 / 岩波書店 / 1990-12-17
えーっと、浄土三部経とは、無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経、を指すのだそうです。
なにかの気の迷いでフラフラと買っちゃった本なんだけど、それはそれで興味深い内容であった。ような気がする。サンスクリット語ないし漢文からの和訳しか読んでなくて、漢文書き下ろしのほうは飛ばしちゃったので、読み終えたとはいえないかもしれないけど。
しっかし、極楽浄土って黄金や宝石であふれているのね。どうやら比喩ではないらしい。びっくりした。解説によれば、浄土経典が成立したインドのクシャーナ王朝時代は、金貨の流通量がもっとも多かった時期で、ここに出てくる極楽浄土は、当時の富者の生活の誇張表現なのだそうである。
2016年12月31日 (土)
般若心経講話 (講談社学術文庫)
[a]
鎌田 茂雄 / 講談社 / 1986-09-05
カトリック入門: 日本文化からのアプローチ (ちくま新書 1215)
[a]
稲垣 良典 / 筑摩書房 / 2016-10-05
残念ながら、この本には全然ついていけなかった...
2016年5月23日 (月)
ブッダが説いたこと (岩波文庫)
[a]
ワールポラ・ラーフラ / 岩波書店 / 2016-02-17
仏教誕生 (講談社学術文庫)
[a]
宮元 啓一 / 講談社 / 2012-03-13
浄土思想論
[a]
末木文美士 / 春秋社 / 2013-07-22
日本仏教史
[a]
蓑輪 顕量 / 春秋社 / 2015-06-22
読了:「ブッダが説いたこと」「浄土思想論」「日本仏教史」「仏教誕生」
2016年4月13日 (水)
日本仏教入門 (角川選書)
[a]
末木 文美士 / KADOKAWA/角川学芸出版 / 2014-03-21
入門というタイトルだけど、著者の紀要論文などを集めた内容。アタリハズレがありうる怖いタイプの本だが、恐る恐る読んでみたら、とても面白かった。
最後のほうに出てきた話。
僧侶が修行から離れて社会的活動を展開することは古くからあるけれど、日本の中世において、社会的活動にもっとも積極的だったのはどの宗派か。
当然、鎌倉新仏教じゃないかと思うじゃないですか。浄土宗とかさ。しかし著者によれば、正解は南都六宗のひとつ、律宗であった。
彼らの活動は、死者の葬送、非差別民の救済、港湾管理、橋・道路の建設などに及んだ。出家と在家を峻別し修行と戒律を重んじる宗派がなぜ? その背景には、戒律は清浄であり、その力によって穢れを克服できる、という観念があったのだそうだ。だから僧侶たちは、非人と交わることもできるし、社会的なタブーを乗り越えることができた。
ううむ、そうか... 散歩の途中で見かけるカトリックの修道院のことなどを思い出し、考え込んでしまった。ここには、社会から離れることによって社会により深くコミットできることがある、というアイロニーがあるのかもしれない。
草木成仏の思想
[a]
末木文美士 / サンガ / 2015-02-25
味をしめて読んだ本。
プラトンとの哲学――対話篇をよむ (岩波新書)
[a]
納富 信留 / 岩波書店 / 2015-07-23
ヘーゲルとその時代 (岩波新書)
[a]
権左 武志 / 岩波書店 / 2013-11-21
こころはどう捉えられてきたか: 江戸思想史散策 (平凡社新書)
[a]
田尻 祐一郎 / 平凡社 / 2016-03-17
日本近世思想についてのエッセイ風の読み物。面白かった。
読了:「こころはどう捉えられてきたか」「日本仏教入門」「草木成仏の思想」「プラトンとの哲学」「ヘーゲルとその時代」
2016年2月29日 (月)
いと高き貧しさ――修道院規則と生の形式
[a]
ジョルジョ・アガンベン / みすず書房 / 2014-10-25
著者の「ホモ・サケル」シリーズ(という連作なのだそうだ)については、全然わからないのだが、中世の修道院規則の話が面白くて最後まで読み終えることができた。それは規範的であると同時に構成的であるというか、そうやって腑分けすることさえ難しいというか、ただ生きられているとしかいいようがないというか、そういうものだったらしい。ふうん。
2015年5月 8日 (金)
マックス・ウェーバーを読む (講談社現代新書)
[a]
仲正 昌樹 / 講談社 / 2014-08-19
2015年2月23日 (月)
空の思想史 原始仏教から日本近代へ (講談社学術文庫)
[a]
立川 武蔵 / 講談社 / 2003-06-11
『涅槃経』を読む (岩波現代文庫)
[a]
高崎 直道 / 岩波書店 / 2014-11-15
2015年1月19日 (月)
増補 ソクラテス (ちくま学芸文庫)
[a]
岩田 靖夫 / 筑摩書房 / 2014-02-06
本というのは読んでみないとわからないもので、これは意外なおもしろ本であった。「ゴルギアス」の問答って、比較的最近になってから読んだのでなんとなく覚えているんだけど、そういう展開だったのか... ぼけーっと読んでいるとわからないものだ。
特に後半で、ソクラテスの意外に神がかったというか、宗教的というか、超越的というか、そういう側面がクローズアップされるくだりが面白かった。
2014年12月31日 (水)
イエスという経験 (岩波現代文庫)
[a]
大貫 隆 / 岩波書店 / 2014-10-17
2014年12月 5日 (金)
イエス・キリストは実在したのか?
[a]
レザー アスラン / 文藝春秋 / 2014-07-10
しばらく前、自身はイスラム教徒である聖書研究者がイエス・キリストについての本を出版し、保守系TVメディアのニュースショーに呼ばれて「なぜイスラム教徒のあなたがキリストの本を?」「いや私は研究者ですから」「次の質問です。なぜイスラム教徒なのにキリストの本を書けると思ったのですか」「いやですから私は研究者でして...」と漫才のような可笑しなやりとりになり、その動画が話題になったことがあった。これがその本。あの動画のせいもあってベストセラーとなり、著者は今や名の知れたコメンテイターとなっているそうだ。よかったですね。
専門の人からみてどうなのかわからないが、面白い内容であった。
旧約聖書 ヨブ記 (岩波文庫 青 801-4)
[a]
/ 岩波書店 / 1971-06-16
意外や意外、とても面白かった。ヨブさんの問いは普遍的な問題として胸に刺さる。
しっかし、最後に神様が現れてワニとカバの話をするの、いったいどう捉えたらいいんだか...
ヨブ記講演 (岩波文庫)
[a]
内村 鑑三 / 岩波書店 / 2014-05-17
読了:「ヨブ記講演」「ヨブ記」「イエス・キリストは実在したのか?」
2014年8月17日 (日)
感情とは何か: プラトンからアーレントまで (ちくま新書)
[a]
清水 真木 / 筑摩書房 / 2014-06-04
こ、これは、ちょっと... 申し訳ありませんが、ちょっとついていけなかったです。
私の素養が足りないからなんだろうけど、たとえば総括として「すべての感情は『悦び』であり、すべての感情の経験は、快楽として受け取られることによりはじめて、その本当の姿を私たちの前に表します。なぜなら、感情とは、真理の記号だからです」なあんて断言されちゃうと、窓の外の空を眺めながら、いったい私たちがある事柄を論証するというのはどういうことなのだろう... という思いに浸ってしまうわけです。感情とは真理の記号だという見方が成立することは理解しました、それが哲学史のなかで由緒正しい見方であることも納得いたしました、でも断言されちゃうと困ります、という感じ。
ともあれ、認知社会心理学的な感情研究に大変批判的であることはよくわかりました。入出力関係のみに注目して感情を語るのは通俗的感情観を追認する知的パズルだ、というのは確かに仰せの通りだ。では、戸田正直みたいな大掛かりな適応論的議論はどうなのかしらね。感情の科学には違いないと思うんだけど。
まあいいや。ヒューム「人間本性論」のくだりが面白かったので、いつかきちんと読んでみたいと思う。
2014年4月 9日 (水)
道元の思想―大乗仏教の真髄を読み解く (NHKブックス No.1184)
[a]
頼住 光子 / NHK出版 / 2011-10-27
ぼんやり読んでいたもので、あまり頭に入らなかった。残念。
2014年2月24日 (月)
尼僧の告白―テーリーガーター (岩波文庫 青 327-2)
[a]
/ 岩波書店 / 1982-04-16
初期仏教の経典「テーリーガーター」の翻訳。
往生要集を読む (講談社学術文庫)
[a]
中村 元 / 講談社 / 2013-10-10
2014年2月12日 (水)
何が社会的に構成されるのか
[a]
イアン・ハッキング / 岩波書店 / 2006-12-22
よく考えてみると読んでなかった敷居の高い本に思い切ってチャレンジする「実をいうと読んでなかった」シリーズ、M.ウェーバーに続く第二弾。高名な哲学者ハッキングの本だという怖れがあって、買ってはみたものの本棚で眠っていたのである。
いざ手に取ってみたら、もともとカジュアルな書き方らしいし、(残念ながら)抄訳だし、訳文はくだけすぎじゃないかというくらいだし... さっさと読んでおけば良かった。
いわゆる社会構成主義、そして「○○は社会的に構成されたものだ」というときの社会的構成という概念そのものについて検討・解体するという内容。後半では、自然科学、精神医学、児童虐待をめぐる議論における構成主義的主張を取り上げる。
自然科学に関していえば、社会構成主義の主要なテーゼは次の3つだそうだ。
- 偶然性。例、「クォークという概念の出現は不可避ではなく、そんな概念なしの物理学だってあり得た」。
- 唯名論。わかりにくいけど、反-実在論というような意味ではなくて、世界の存在のありかたは我々の理解を超えており、我々の理解した構造など世界に属するものではない、という立場のこと。
- 安定性の外的な説明。科学的信念の安定性についての説明を、科学外の要因(たとえば社会的要因とか)に求める立場。
もっとも、社会構成主義にはこの3つの「係争点」についての主張だけでなく、反権威主義とか倫理的主張とかも含まれているし、3つの係争点におけるそれぞれの論者の立場もさまざまである由。ハッキングさんいわく、ご自身は3つの係争点に対して、5件法評定で2, 4, 3という立ち位置だそうです。ははは。
鎌倉仏教 (ちくま学芸文庫)
[a]
佐藤 弘夫 / 筑摩書房 / 2014-01-08
2014年1月12日 (日)
正月休みに本棚を眺めてて、これはちょっとまずいんじゃないか、買い込んだ本を読み終えることなく俺は死んでいくんじゃないか... と気が付いたのである。優先順位をつけなければならない。どうしても読みたい本、読んでいるはずなのに読んでいない本から読まなければ。明日失明するつもりで。
というわけで、「実をいうとこの本を読んでなかった」シリーズ、第一弾。
日経BPクラシックス プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
[a]
マックス・ウェーバー / 日経BP社 / 2010-01-21
プロ倫っていうんですかね。こんなの学生の時分に読んでいて然るべき、このトシ過ぎて読んでるのはいかがなものか... という引け目を感じるが、いやいや、この年齢だからこそ面白い、ということだって起きるはずだ。それにですね、今調べたところによれば、この本書いたときヴェーバーさんは四十歳ですよ。若造が読んでも仕方あるまい?
で、「やっぱしさっぱり頭に入らなかった」という落ちを覚悟しながら読んでみたのだが、これが意外にも面白い。ヴェーバーくんの文章は、論旨が整理されているとはいいがたいが、着想がユニークである。2章1節でプロテスタントのいろんな教派を比較するあたりはちょっとダレルが、なかなか読ませる文章を書く男だ。次回作にも期待したい。でも注が長すぎるのはどうかと思うよ。
何様だ。どうもすみません。まあ冗談は置いといて、どこが面白かったかと振り返るに、この本で「檻」と表現されているものが、2014年の極東に生きる私たちの社会を切開して見せたものであるようにも思われるからだ。
ピューリタンたちは職業人であろうと欲した。しかしわたしたちは職業人でなければならないのである。かつては修道院の小さな房のうちで行われていた禁欲が、現世の職業生活のうちに持ち込まれ、世俗内的な倫理を支配するようになった。そしてこの禁欲は、自動的で機械的な生産を可能にする技術的および経済的な条件と結びついて、近代的な経済秩序のあの強力な宇宙を構築するために貢献したのである。このコスモスは今や、直接に経済的な営利活動に携わる人々だけでなく、その機構のうちに生まれてくるすべての個人の生活のスタイルを、圧倒的な威力によって決定しているのである。そして化石燃料の最後の一塊が燃え尽きるまで、今後も決定し続けるだろう。
2013年12月22日 (日)
文明論之概略 (岩波文庫)
[a]
福沢 諭吉 / 岩波書店 / 1962-11
ちょっと思うところあって読んでみたんだけど、これが全然頭に入らなかった。明治の日本語に慣れていないせい、背景知識が足りないせいでもあると思うのだけど、細かいところが癇にさわる、というか。あとで丸山真男が「サーカスティック」という言葉で評しているのを読んで、そうだ、そうですね!と膝を打つ思いであった。福沢さんという人の、この本での文章は、すごく他人を侮蔑し馬鹿にするところがある。ある角度から見た愚かさにも、なんらかの必然性があるだろうに、なにもそこまで、と感じてしまう。もしかすると、文化的変革期の知識人の文章は、こういう風にならざるを得ないのかもしれない。
文明論之概略を読む 上 (岩波新書 黄版 325)
[a]
丸山 真男 / 岩波書店 / 1986-01-20
「文明論之概略」を読む(中) (岩波新書)
[a]
丸山 真男 / 岩波書店 / 1986-03-27
文明論之概略を読む 下 (岩波新書 黄版 327)
[a]
丸山 真男 / 岩波書店 / 1986-11-20
というわけで、ここ一ヶ月ほどは毎日毎日、丸山真男が敬愛する福沢さんについて熱く語り倒すのを、電車の中ですこーしずつ読む羽目になったのであった。いや、好きで読んでるんだし、面白かったけど、さすがちょっと疲れました。
キリスト教の歴史 (講談社学術文庫)
[a]
小田垣 雅也 / 講談社 / 1995-04-28
読み終えて時間が経っちゃったので、感想も記録できないのだが... 興味深かったところをメモしておく。大正年間のキリスト教についてのくだり。人格主義的に内面化したキリスト教と、賀川豊彦のように社会運動に対応したキリスト教の二つの流れについて述べたあとで、
そしてこのような状況のなかに輸入されたのがバルト神学である。バルトは「神の言」と、宗教としてのキリスト教を区別し、上記の対立を超えた絶対他者なる「神の言」に聞くことこそが信仰であるとしたのである。信仰は文化や社会と同一水準でそれらに対立したものではない。これは[...信仰的次元と社会的次元という]近代ジレンマへの回答でもある。バルト神学は日本のキリスト教にも大きな影響を与えたが、日本でのその受け入れられ方は皮相的であった面もある。すでに触れたように、ヨーロッパでは「神の言」の神学はナチズムへの抵抗を生み出した。しかし日本でのバルト・エピゴーネンの間ではそのような運動は起きなかった。[日本のキリスト教の戦時体制協力についておさらいし] そのことの言い訳の一つにバルト神学がある。バルト神学は[...] 信仰に関して文化や倫理に積極的な意味を認めない。このことは逆に人間の責任を喚起すべきはずのものであるのに、教会が教会の中に閉じこもり、この世界に対して無責任であることの言い訳にされた面がある。その結果は教会の主体性の喪失である。これはバルト神学に対するみじめな誤解であるが、それと共に、[内村鑑三の掲げた] 二つのJ的な心性、すなわち自分の国の文化や伝統を尊重する心性を欠いた、神学の直輸入は、なんの意味もないばかりか、逆に有害であることの例である。
うーん。著者の先生はきっと、正しい信仰は世界に対して正しい責任を果たす、と信じておられるのだ。特に信心を持たない私のような俗人としては、その前提自体が容易に受け入れがたく、どんな信仰者であれナチズムに加担したり抵抗したりするだろう、信仰の正しさは行為の正しさを保証してくれないだろうし、行為の正しさの側から信仰の正しさを基礎づけるのは話が逆転している、と思ってしまうのだけれど。
2013年11月11日 (月)
シェイクスピア: 言語・欲望・貨幣 (平凡社ライブラリー)
[a]
テリー・イーグルトン / 平凡社 / 2013-01-12
私でさえ名前を知っている高名なマルクス主義批評家が、シェイクスピアをこれでもかこれでもかと深読みしまくる、知的冒険の書。そうかぁ、リア王のコーデリアは構造主義言語学を深く理解していたのだなあ、などと思わず説得されたりなんかして...
一番面白かったのは「トロイラスとクレシダ」を読み解くくだりであった。「トロイラスとクレシダ」は落ちのはっきりしない不思議な悲劇なのだけれど、確かに、トロイラスの絶望は、物事の価値に対するトロイラスの捉え方のなかに、最初から胚胎していたのかもしれない...
2013年8月12日 (月)
プロタゴラス―ソフィストたち (岩波文庫)
[a]
プラトン / 岩波書店 / 1988-08-25
ここしばらくカバンに入っていた本。他の対話篇と比べて、丁々発止の緊張感があり、ちょっと戯曲に近い。個別の論点について、ソクラテス先生がどこまで本気なのかわからないところがあって、その点もなんだか怖い。
2013年7月29日 (月)
ハイエク - 「保守」との訣別 (中公選書)
[a]
楠 茂樹,楠 美佐子 / 中央公論新社 / 2013-04-09
先日、集合知についてのお話を伺う機会があった際に、この分野ではハイエクの業績が重要だ... という話をちらりと伺い、頭のなかが疑問符でいっぱいになった。えーっと、たしかハイエクって、リバタリアンの神様、サッチャリズムの権化、金持ちのアイドルみたいな経済学者じゃなかったっけ? それでもって、南米で秘密警察が無辜の市民を拉致虐殺しているときに、その独裁政権を支持した人じゃなかったっけ?
と不思議に思って、試しに読んでみた本の一冊。経済学の話はからきし苦手なので(「自然利子率」などといわれただけで頭が真っ白になってしまう)、冒頭の景気循環論のところで音をあげそうになったが、わからないところはとばして読了。
ハイエク先生は経済学から社会哲学にシフトした人で、自生的秩序というとても面白い概念を唱えた人だということがわかった。ついでにいえば、なんでもかんでも自由競争に任せればいいと主張したわけではないし、理性を信じず伝統を重んじたという点で保守的ではあったが、保守主義とは鋭く対立した人であったということも分かった。逆にいうと、そんだけ偉い人であっても、うっかりピノチェト政権を支持しちゃったりするもんなんだな、ということもわかった。
2013年7月27日 (土)
メノン (岩波文庫)
[a]
プラトン / 岩波書店 / 1994-10-17
久々にプラトンを読んだ。数年前に中公クラシクスで読んで以来だ。ソクラテス先生の空気読まないっぷりは相変わらずで、そりゃあこの人嫌われるよなあ、と改めて感心。
それにしても、この「メノン」という短編は美しい詩のような一面を持っていると思う。なにかを「学ぶ」とはそれを想起するということなのだ、という捉え方が、きっと美しいからだろう。
2013年7月 3日 (水)
丸山眞男――理念への信 (再発見 日本の哲学)
[a]
遠山 敦 / 講談社 / 2010-06-30
こんな評伝を読んでいるくらいなら、本人の書いた本を読めよ、と思いつつ...
丸山真男は福沢諭吉に深く私淑していたが、そのいっぽうで、ある論文で福沢を「ヒューマニズムの論理をぎりぎりの限界にまで押し詰めた」と評したのは、福沢の人間主義に対する批判なのだ、と話していたそうだ。福沢は「典型的なtough-minded型の思想家」であり、「具体的人間以上の超越的価値を認めない立場」に立っている。いっぽう著者によれば、丸山は人間の主体性を超越的価値に直面した精神によってのみ基礎づけられるものと捉えていた。だから福沢のヒューマニズムそれ自体は丸山の批判の対象となる。
しかし、丸山が人間の主体性のために、具体的にどのような普遍的理念や超越的絶対者へのコミットメントを求めていたかは、ついに明かされることがなかった。著者いわく、「それはあるいは研究者としての丸山の、自己抑制だったのだろうか」。へー。
2013年6月14日 (金)
仏典のことば さとりへの十二講 (講談社学術文庫)
[a]
田上 太秀 / 講談社 / 2010-05-12
平易に書かれた、ありがたい本なんだけど... なんというかその、信仰者の観点から語られてしまうと、不信心な私などは、ちょっと引いちゃうところがある。
2013年6月 4日 (火)
ストイックという思想
[a]
岡野守也 / 青土社 / 2012-12-19
マルクス・アウレリウスについての研究書かと思ったら、なんというかその、偉い先生による人生講話であった。ろくに確かめもせず読み始めてすいませんでした、失礼いたします。。。という感じ。
道元の考えたこと (講談社学術文庫)
[a]
田上 太秀 / 講談社 / 2001-06-08
道元 「小参・法語・普勧坐禅儀」 <全訳注> (講談社学術文庫)
[a]
大谷 哲夫 / 講談社 / 2006-06-09
読了:「ストイックという思想」「道元の考えたこと」「小参・法語・普勧坐禅儀」
2013年3月18日 (月)
なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記 (岩波現代文庫)
[a]
H.S. クシュナー / 岩波書店 / 2008-03-14
アメリカのユダヤ教のラビが、広く一般に向けて、人の苦しみと信仰について語った本。1981年のベストセラーだったのだそうだ。普段は絶対に読まないタイプの本だけど、岩波現代文庫に入っていたせいで、気づかずに手に取った。
非常に印象深い内容であった。いろいろ感想があるんだけど、うまく整理できない。
イスラムの神秘主義―スーフィズム入門 (平凡社ライブラリー)
[a]
レナルド・A. ニコルソン / 平凡社 / 1996-04
原著1914年、スーフィズムについての古典だそうだ。正直言って、ぜんぜん頭にはいらなかった。このたびはご縁がなかったということで...
2012年12月25日 (火)
饒舌について―他五篇 (岩波文庫 青 664-1)
[a]
プルタルコス / 岩波書店 / 1985-10-16
似て非なる友について 他三篇 (岩波文庫)
[a]
プルタルコス / 岩波書店 / 1988-06-16
プロタルコス「倫理論集」からの抜粋。前者は「いかに敵から利益を得るか」「饒舌について」「知りたがりについて」「弱気について」「人から憎まれずに自分をほめること」「借金をしてはならぬこと」の6編,後者は「似て非なる友について」「健康のしるべ」「怒らないことについて」「爽快な気分について」の4編を収録。
2冊読んでようやく得心したのだが,この人の文章はあんまり深くない。セネカのような洞察も,モンテーニュのような凄みもない。思想家というより,町内会長さんみたいな人だ。訳者解説には「常識が羽織を着たような人」という表現が出てくるが,言い得て妙である。
でも,そこんところが,妙に面白いんだよなあ。モンテーニュ伯爵が「倫理論集」を大好きだったというのも,なんとなくわかるような気がする。それに,こっちも凡人なので,こういう文章はかえって身に迫るところがある。「似て非なる友について」は,隠れた不誠実さをめぐる辛辣な人間描写なのだが,読んでいて辛かった。
正法眼蔵随聞記 (ちくま学芸文庫)
[a]
/ 筑摩書房 / 1992-10
原文と現代語訳の対照なのだが,めんどくさくてついつい現代語訳のほうを読んでしまった。時間があったら,もう一度読んでみたいけど。。。無理だろうなあ。
読了:「饒舌について」「似て非なる友について」「正法眼蔵随聞記」
2012年12月 4日 (火)
密教 (ちくま学芸文庫)
[a]
正木 晃 / 筑摩書房 / 2012-11-07
えーと,密教が台頭した5~6世紀のインドには強大な統一国家がなかった(グプタ朝はもはや衰えていた)。密教が伝わったチベットも同様。13世紀,チベットが強大なモンゴル族の支配下におかれると,絢爛豪華な儀礼を発展させてきたチベット密教はモンゴル族向けサービス産業と化し,チベットの政治経済を主導する。以来チベットでは宗教勢力が政治勢力を兼ねる。
いっぽう中国では,密教伝播の時点で唐帝国が確立しており,東アジアの密教は国家鎮護の道具となった。その教えを承けた日本の真言宗も然り... だそうだ。なるほどー。
2012年9月19日 (水)
道元―自己・時間・世界はどのように成立するのか (シリーズ・哲学のエッセンス)
[a]
頼住 光子 / 日本放送出版協会 / 2005-11
哲学者としての道元禅師についての入門書。あまり真剣に読んでなかったせいだとは思うが,時間論のところからさっぱりわかんなくなってしまった。。。
ハイデガー拾い読み (新潮文庫)
[a]
木田 元 / 新潮社 / 2012-08-27
ハイデガーの講義録を題材にした啓蒙読み物。
南無阿弥陀仏―付・心偈 (岩波文庫)
[a]
柳 宗悦 / 岩波書店 / 1986-01-16
なんでかしらないが,ここんとこ,仏教書づいているなあ。。。
かの柳宗悦さんが,浄土思想について在家の立場から熱く語る本。法然から親鸞を経て一遍へ,というある種の進歩史観に立っているところが,面白いといえば面白いし,妙な感じだとも云える。
2012年6月 1日 (金)
日本哲学小史 - 近代100年の20篇 (中公新書)
[a]
熊野 純彦 編 / 中央公論新社 / 2009-12-18
前半は題名通り,明治期から廣松渉・坂部恵に至る日本哲学の駆け足の歴史。なにしろポストが少なく,きわめて狭い世界なので,人事や人間関係がドロドロしてそうで,哲学者もいろいろ大変そうだなあ,と思った。
後半は重要論文20篇の紹介。パラパラ読み飛ばしてしまったが,田中美知太郎という人の本は読んでみたいなあと思った。この人,保守派の評論家かなんかかと思ったら,立派な学者だったんですね。すいませんでした。
増補 求道と悦楽――中国の禅と詩 (岩波現代文庫)
[a]
入矢 義高 / 岩波書店 / 2012-01-18
禅の研究者による論文・エッセイ集。難しい話はよくわかんないんだけど,董蘿石(とう・らせき)という明代のマイナーな詩人についての文章が心に残った。
『臨済録』―禅の語録のことばと思想 (書物誕生―あたらしい古典入門)
[a]
小川 隆 / 岩波書店 / 2008-11-18
上の本が面白かったんで,勢い余って読んだ本。「臨済録」の難解な語録について(あれですよね,坊さんが問答の最中にいきなり相手を殴ったりする奴ですよね),その意外な意味を実証的に説き明かす。
実は「求道と悦楽」という本は禅についての必読本で,入矢さんという人は禅研究に一時代を画した偉大な碩学だったんだそうだ。へー。
2012年4月20日 (金)
仏教とは何か―ブッダ誕生から現代宗教まで (中公新書)
[a]
山折 哲雄 / 中央公論社 / 1993-05
偉い先生による,「私が思うに仏教とはこういうものである,その根拠は私がそう思うということである」というタイプの本だった。
2012年4月11日 (水)
クワイン―ホーリズムの哲学 (平凡社ライブラリー)
[a]
丹治 信春 / 平凡社 / 2009-10
関係者の頭の良さだけでいえば,哲学こそが人文系諸学における最高峰,F1みたいなものだと思う。大学院の頃を思い出しても,哲学科の院生たちときたら,ほとんど化け物のようであった。分析哲学の世界的な研究者である丹治先生などは,さしずめセナだかシューマッハだかに相当するといえよう。そのF1レーサーが初心者向けに書いた,クワインの入門書。
こんなに平易なことばで,こんなにヤヤコシイ話を語ることができるのか... と,変な風に感銘を受けた。中身が完全に解ったとは言い難いのだが,とても楽しい読書であった。
いつも思うのだけれど,分析哲学の本を読んでいると,時折奇妙なユーモアのようなものを感じる。この本でいうと,たとえば指示の不可測性についての議論のなかで,日本語の「牛」は実は一般名辞ではなく物質名辞じゃないか(「一杯のミルク」というのと「一頭の牛」というのは同じなんじゃないか) という奇妙な説を紹介するくだり。この説における「牛」とは「生きた牛肉」として扱われることになる... と述べた上で,いや「一頭の死んだ牛」という言い方もできるから,正確には「生きていたり死んでいたりする牛肉」というほうがよいだろう,とわざわざ注釈をつけておられる。こういうところで,つい吹き出してしまうのである。
般若心経・金剛般若経 (岩波文庫)
[a]
/ 岩波書店 / 1960-07-25
2012年3月29日 (木)
世界リスク社会論 テロ、戦争、自然破壊 (ちくま学芸文庫)
[a]
ウルリッヒ・ベック / 筑摩書房 / 2010-09-08
96年と01年の講演を収録。ベックの考え方がコンパクトに理解できるかな,と期待していたのだが,コンパクトすぎてかえってよくわからない。ちゃんと著作を読んだほうがよさそうだ。
2012年2月29日 (水)
自由と社会的抑圧 (岩波文庫)
[a]
シモーヌ・ヴェイユ / 岩波書店 / 2005-03-16
最初はマジメに読んでいたのだけれど、これを書いたのはシモーヌ・ヴェイユが25歳のときなんだよな... などと考え始めたら、なんだか集中できなくなってしまった。器が小さい。残念だが、いつかまた読み直す機会もあるだろう。
慈悲 (講談社学術文庫)
[a]
中村 元 / 講談社 / 2010-11-11
2012年2月21日 (火)
ハイデガー『存在と時間』の構築 (岩波現代文庫―学術)
[a]
/ 岩波書店 / 2000-01-14
主に講義録「現象学の根本問題」を手がかりに,「存在と時間」の書かれなかった後半部分を再現してみましょう,という主旨の本。
読みながら風呂場でうとうとしていて,ついに本を湯の中にざぶんと落としてしまい,ゴワゴワになってしまった。木田先生,すみません。
2012年1月16日 (月)
「名づけ」の精神史 (平凡社ライブラリー (152))
[a]
市村 弘正 / 平凡社 / 1996-06
ずっと前から(たぶん20年ほども前から),みすず書房版の書名が気になっていた本。先日,平凡社ライブラリーに収録されていることを知って手に取った。てっきり命名の歴史についての本だと思っていたのだが,思想史家による短い文章の集成であった。
先生そんなに難しい書き方しなくても... と困っちゃうような章もあったのだが,ノーマ・フィールド「天皇の逝く国で」の書評と,渡辺哲夫という精神科医による精神分裂病についての本(「知覚の呪縛」)について論じたもの,それから鶴屋南北「東海道四谷怪談」について論じた文章が面白かった。
2012年1月12日 (木)
たいしこともしていないのになぜかバタバタしていて,なかなか思うように物事が進められないし,本もろくに読めない。。。口をつくのはボヤキばかりである。
丸山眞男セレクション (平凡社ライブラリー ま 18-1)
[a]
丸山 眞男 / 平凡社 / 2010-04-10
初期論文「国民主義の前期的形成」「超国家主義の論理と心理」「福沢諭吉の哲学」,それから有名な「日本の思想」,などなど14編を収録したアンソロジー。
内容はその時々の政治課題と切り離せないし,同時代から身を離すようにして批判する姿勢に,なんとなく時代がかった感じを受けてしまうのだけれど... それでも,考え方の鋭さと確かさに感銘を受けた。「超国家主義の論理と心理」なんて,まるで刃物のような論文である。
きっと同世代の人々にとっては,肯定するにせよ否定するにせよ,どうしても無視できない巨大な存在だったのだろう。いまこうして読む私たちは,時代がずれてるおかげで素直に読めて,ある意味で得しているかもしれない。
1952年の「『現実』主義の陥穽」という文章が特に印象深かった。背後で想定されている話題は再軍備問題なのだけれど,あたかも2012年の原発の問題について書かれた文章のような気がした。
2011年12月31日 (土)
ハイデガーの思想 (岩波新書)
[a]
木田 元 / 岩波書店 / 1993-02-22
先日からちょっとしたハイデガー・ブームが訪れているのだが,考えてみると,木田元さんの本を読む→面白い→他の人の解説書を読む→訳が分からない→木田元さんの別の本に撤退,の繰り返しである。ハイデガー・ブームというより,木田元ブームといったほうがいいのかもしれない。
贈与論 (ちくま学芸文庫)
[a]
マルセル モース / 筑摩書房 / 2009-02
残念ながら,この本,内容がさっぱり頭にはいらなかった。この時代の学術書の文体に慣れないせいだとおもうのだけれど,とっかかりがさっぱり掴めず,視線が文章の表面をつるつると滑っていく感じ。残念だが,このたびはご縁がなかったということで。。。
2011年12月19日 (月)
ハイデガー「存在と時間」入門 (講談社学術文庫)
[a]
渡邊 二郎,岡本 宏正,寺邑 昭信,三冨 明,細川 亮一 / 講談社 / 2011-11-11
「存在と時間」を複数の専門家が寄ってたかって解説する,という内容。きっと親切に書いて下さっているのだろうけれど,残念ながらハイデガー特有の奇妙な用語が邪魔をして,一割も理解できなかった。ま,本には読むタイミングってものがあるから,いまはしかたがない。
2011年12月10日 (土)
仏教、本当の教え - インド、中国、日本の理解と誤解 (中公新書)
[a]
植木 雅俊 / 中央公論新社 / 2011-10-22
著者はお経をサンスクリット語の原典と漢訳で比較する研究を行っておられる方なのだそうで,その成果を素人向けに書いた本。意図してのことであろう,世間話を織り交ぜたユルい感じの文章になっている。常勤の大学教員などではないようだが,なにをして生計を立てておられるのだろうか,などと余計なことを考えたりして...
「誤解」という強い言葉を使っているので,サンスクリット語の原典が正しい,あとは全部まちがった仏教理解である,という主張が展開されるのかと思ってびくびくしたのだが,たとえ誤解であってもその豊かさに目を向けようという立場であった。
日本における漢訳仏典の解釈はしばしば断片を取り出した恣意的なものになったのだそうで,たとえば日蓮は法華経のなかのあるくだりについて,これは「自我得仏来」からはじまって「速成就仏身」で終わっている,「自」ではじまって「身」で終わってるんだから,これは最初から最後までで自分自身のことなのだ,と説いたのだそうだ。しかし実際には,「自我得仏来」は正しくは「我れ仏を得てよりこのかた」,つまり「自」はfromを意味する。著者いわく,日蓮はそんなことはわかっていただろうし,これはただの語呂合わせ,でもそれを通して言っている内容は素晴らしい,とのこと。面白いなあ。
2011年11月24日 (木)
偶然性と運命 (岩波新書)
[a]
木田 元 / 岩波書店 / 2001-04-20
なんとなく手に取ったのだが,意外や意外,この本が!とてもオモシロイのであった!
碩学が偶然性の哲学について縦横無尽に語る,という本。登場人物は,ハイデガーと九鬼周造,ショーペンハウエルとニーチェ,ドストエフスキーと森有正,などなど。
ハイデガー―存在の謎について考える (シリーズ・哲学のエッセンス)
[a]
北川 東子 / 日本放送出版協会 / 2002-10
ハイデガー (岩波現代文庫)
[a]
木田 元 / 岩波書店 / 2001-11-16
ハイデガー入門 (SEKAISHISO SEMINAR)
[a]
ギュンター フィガール / 世界思想社 / 2003-10
木田元先生のせいでちょっとしたハイデガー・ブームが訪れてしまい,手当たり次第に何冊か読んでみた。上から順に難しくなり,3冊目に至っては,理解できたのはせいぜい1割というところ。いやいや,道は険しいですね。
読了:「偶然性と運命」「ハイデガー」「ハイデガー」「ハイデガー入門」
2011年9月25日 (日)
スペクタクルの社会 (ちくま学芸文庫)
[a]
ギー ドゥボール / 筑摩書房 / 2003-01
スペクタクルの社会についての注解 (エートル叢書)
[a]
ギー ドゥボール / 現代思潮新社 / 2000-06
「スペクタクル化社会」概念で知られるドゥボールの主著。ドゥボールは映画作家・評論家で,68年の五月革命の頃に活躍した人らしい。日本だとどういうポジションなのかしらん... 吉本隆明と大島渚を足して過激にしたような感じだろうか。
著者いわく,反革命勢力に全てを知られぬようあえてわかりにくい書き方をしているのだそうで,確かにものすごくわかりにくい。「スペクタクル化」の正確な定義を求めた私が馬鹿であった。
というわけで,内容の半分も理解できていないのだが,目からウロコが落ちるような部分もあった。ような気がする。
「スペクタクルの豊かさのなかでの偽の選択,つまり,排他的であると同時に相互に入り組んださまざまな役割[...]の羅列のように,互いに競合するとともに強く結びついたさまざまなスペクタクルの羅列のなかでの選択は,量的に少ないものに人々を熱狂的に執着させる目的で作られた幻想的な質と争いながら発展する。こうして,消費の序列における地位の低さを空想上の存在論的優越性に変形する務めを負った時代遅れの偽の対立や地域主義,人種主義が再生してくるのである。また,こうして,スポーツ競技から選挙に至るまで,亜流の遊びの利害を総動員した,延々と続く下らぬ衝突が再構成されるのである。豊かな消費のはじまったところでは,若者と大人の間のスペクタクル的な主要対立がさまざまな偽りの役割の前面に浮かび上がる。なぜなら,人生の師たる大人などというものはどこにも存在せず,既存のものの変革を意味する若さも,いま若い者の特性ではないからだ。若さとは,経済システムの特性であり,資本主義のダイナミズムなのである。支配するのはモノであり,若いのもモノである。モノこそが追い求められ,次々と自己を取り替えていくのである。(「スペクタクルの社会」62節)
スペクタクル的な対立の下に隠されているのは貧困の統一性である。[...] スペクタクルとは,不幸の揺るがぬ中心にあって悲嘆と不安に取り囲まれた幸福な統合のイメージにほかならない。(「スペクタクルの社会」63節)
読了:「スペクタクルの社会」「スペクタクルの社会についての注解」
2011年7月11日 (月)
消費社会の魔術的体系 (明石ライブラリー)
[a]
ジョージ リッツア / 明石書店 / 2009-04-09
リッツァという人は,社会科学分野で大ヒットした「マクドナルド化」という概念とともに生きる,なんというか一発屋的な社会学者なのかと思っていたのだが,実はエライ人だったんですね。存じ上げませんでした。
この本はそのリッツァさんが書いた,現代消費社会論概説といった感じの本。マルクスにウェーバー,ボードリアールにギ・ドゥボールまで,使える理論はなんだって使いますという折衷的な態度で,平易に書かれた本であった。
先日読んで感銘を受けたジュリエット・ショアの消費社会批判について,過剰な消費について人々に反省を促しても世の中変わりゃしないでしょう,人々を消費に駆り立てる構造に目を向けなければ... と書いている。確かにそれはそうなんだけど,でも,社会分析としての正しさと社会変革の駆動力とはちょっと別の問題で,世の中を変えるのは往々にして構造が見えてない人の声なんじゃないか,とも思う。「アンクルトムの小屋」は奴隷解放問題に大きな影響を与えたそうだが,ストウ夫人がアメリカ南部の社会構造に深く思いを致していたかどうかはわからない。その場に冷静な社会学者がいたら,いや奴隷制度はこの社会に深く組み込まれているのであり,そこだけ取り出して批判してもしょうがないですよ... などといったのではなかろうか。
2011年6月29日 (水)
「神道」の虚像と実像 (講談社現代新書)
[a]
井上 寛司 / 講談社 / 2011-06-17
著者は41年生まれの歴史学者。
著者は柳田国男の神道概念について詳細に批判した後,それらの問題点は柳田のみに属するのでなく,大正デモクラシー期の研究者に特有な歴史的限界に起因しているのだ,と述べている。すなわち,(1)独善的な日本中心主義,(2)天皇制支配との非対決,(3)日本の歴史や宗教についての不正確な理解。
そのあとで著者は,柳田の流れに属する議論として80年代の梅原猛の著作をとりあげ,こんなもん学問じゃねえ!と斬って捨てているのだが,いっちゃなんだが著者の本より梅原猛の本のほうが多くの読者を得ているだろう。その背景にある歴史的限界ってのはなんなんでしょうね。やっぱり(1)(2)(3)ですかね。だとしたら,それは大正デモクラシー期に特有な限界ではなかった,ということになってしまうけれども。
2011年3月30日 (水)
丸山眞男をどう読むか (講談社現代新書)
[a]
長谷川 宏 / 講談社 / 2001-05-18
ずいぶん前に読み始めて途中で挫折した本。そのときは,いったいどういうスタンスの本なのかがわからず混乱したのである。最初から読み直してみると,これは「丸山真男読書ノート」といった内容で,丸山の講義録や論文のいくつかをコメント付きで紹介する前後に,丸山をダシにして知識人と社会との関わりを問う章がくっついている,という構成なのであった。ふうん。
原因と結果の迷宮
[a]
一ノ瀬 正樹 / 勁草書房 / 2001-09
因果性に関する哲学の専門書。自分なりにシンケンに読みはじめたのだが,ほとんど理解できなかった。分析哲学らしくない,なんというか含みのある文章に面食らったせいもあるが,とにかく予備知識が足りないせいであろう。
それなりに面白く読めたのは,ハンソンにおける因果性概念についてのくだり(2章)であった。こういうとき,ハンソンやクーンが出てくると議論がぐっとラフになり,素人にわかりやすくなるような印象がある。気のせいかしらん。いっぽうさっぱりわかんなかったのは,マイケル・ダメットが提起した「結果は原因に先立ちうるか」という問題のあたり(3章)。いやもう,なにがなんだか...
2011年3月 9日 (水)
ここ2ヶ月ほどはほとんど本を読めない日々であった。過度に忙しかったり(突然の海外出張とかで),過度に暇だったり(諸事情により),電車のなかで文庫本を読まなくなったり(スマフォのせい)... いくつか理由はあったのだが,いずれにせよ,こんなに本を読まない日々を過ごしたのは久しぶりである。意図してのことではないので,なんだかちょっとストレスが溜まる。
有閑階級の理論―制度の進化に関する経済学的研究 (ちくま学芸文庫)
[a]
ソースティン ヴェブレン / 筑摩書房 / 1998-03
読書から縁遠くなっていた理由のひとつは,この本! 年明けからこの本がずっと鞄にはいっていたせいである。
もうとにかく!わかりにくいのなんの! 不必要にまわりくどい文章を必死に読み返してなんとか文意をつかむと,今度は前提としている文脈が全く理解できない。ちょっとでも気を抜くと,文章が視線の先をつつーっと滑っていく。実際,内容の9割5分がたは理解できていないと確信できる。
それでも,ごく稀にとても面白いと感じる部分があるし(「代行的閑暇」という概念とか),途中で投げ出すのも気持ち悪いと思ったので,ほとんど苦行のように頁をめくった。昨夕ついに最終頁にたどり着いたときは,心からほっとした。こんなにつらい読書は久しぶりであった。
2011年1月24日 (月)
ソーシャルメディア!激変するマーケティング環境!消費者インサイト!といった華やかな話題が溢れる中,なぜかひたすら朝から晩まで行列代数について考える日々である。それも到底胸を張れるようなレベルではなく,その辺の理系の学部生なら一瞬で理解できるような数行の数式に,「ターヘル・アナトミア」よろしく延々と頭を抱えたりしている次第である。あまり声を大にして言うべきことでもないのだが,ワタクシ,ホントに数学苦手なのです。高校生の頃などは,授業中に俺がたまたま黒板の方角を眺めながらぼんやりしていただけで,教壇の先生が驚いたものであった。「今日はなぜ寝ていないんだ,どうかしたのか」と。
そんな俺が一体なにを間違えてこんなことをやっておるのか,という悲哀と疎外感の反動で,空き時間にはますます世間様から縁遠い本を読んじゃったりして...
親鸞再考―僧にあらず、俗にあらず (NHKブックス)
[a]
松尾 剛次 / 日本放送出版協会 / 2010-02
親鸞の思想というより伝記的事実に焦点を当てた本。
「善人なおもて往生をとぐ,いわんや悪人をや」という有名なくだりは,親鸞のオリジナルというよりも,むしろ師・法然の思想の敷衍というべきだ,という説があるのだそうだ。
2011年1月17日 (月)
親鸞 (ちくま新書)
[a]
阿満 利麿 / 筑摩書房 / 2011-01-07
2011年1月13日 (木)
マルクス・アウレリウス『自省録』―精神の城塞 (書物誕生―あたらしい古典入門)
[a]
荻野 弘之 / 岩波書店 / 2009-07-17
マルクス・アウレリウス「自省録」の解説書。有名な神谷美恵子の訳は,ストア哲学の専門家の目からみるとちょっと大胆に訳しすぎているのだそうだ。