覚え書き:一対比較法関係の論文メモ

 今年の夏ごろだったか、仕事の都合で、調査における一対比較法について考えていた時期があった。で、このたび都合で再び一対比較法のことを考える羽目になったが、このブログを見返すと、あれ、こんな論文読んでたっけ? と思うものが多い。三歩歩くとすべてを忘れてしまうのだ。
 というわけで、このブログに記録したメモに限定し、一対比較法関連の論文メモをリストアップしておく。 

効用の個人差を組み込まないモデル
 主に刺激そのものに関心を持つ人向けの話題である。市場調査の文脈でひらたくいうと、メーカーのR&D部門がやる製品テストみたいな場面ね。

  • Johnston & Schwartz (1977) 不釣り合い型な一対比較実験データを重回帰で分析してみせよう
  • 佐藤(1985) 突然に、一対比較法について
  • Stern(1990) 一対比較データを扱ういろんなモデルを「2つの刺激がそれぞれ謎の得点を稼いでいきある得点に先に達したほうの刺激が勝つのだ」モデルで包括的に説明する
  • Agresti(1992) 一対比較への順序尺度型回答を分析するための2つのモデル
  • Hatzinger & Dittrich (2012) Rのprefmodパッケージで一対比較データを分析しよう
  • Turner & Firth (2012) BradleyTerry2パッケージ
  • Mattos & Ramos (2021) 一対比較データのベイジアンBradley-TerryモデルをStanで推定するbpcsパッケージというのを作ったよ

効用の個人差を組み込むモデル
 刺激に対する評価の個人差に関心を持つ人向けの話題。ひらたくいうと、K件法尺度のSAマトリクスの代わりに一対比較をやる、というような場面である。

  • Tsai(2000) 順位付けデータに選好の個人差があるThurstonianモデルを当てはめるときの識別性について
  • Bockenholt(2001) 一対比較データの階層モデル
  • Tsai & Bockenholt(2002) 2レベル線形一対比較モデルの推定と識別性
  • Tsai(2003) 一対比較データに選好の個人差があるThurstonianモデルを当てはめるときの識別性について
  • Bockenholt(2004) 比較判断で推定した効用に原点を持たせるための3つの工夫
  • Maydeu-Olivares & Bockenholt (2005) 順位付け・一対比較データをSEMで分析する(というかMplusで分析する)
  • Tsai & Bockenholt (2011) 順位付け・一対比較をSEMで分析する、ついでに共変量も別の結果変数も組み込む

効用の個人差の因子分析モデル
 刺激に対する評価というより、その背後にある少数の潜在変数に関心を持つ人向けの話題。ひらたくいうと、K件法SAマトリクスで因子分析をやるんじゃなくて一対比較で因子分析をやりたい、というような場面である。

  • Brown & Maydeu-Olivares (2012) 強制選択データのThurstonian IRTモデルをMplusで推定する
  • Brown & Maydeu-Olivares (2013) 強制選択課題を用いているおまえらリサーチャーが項目反応理論を勉強しなければならない理由
  • Brown (2014) 一対比較・順序づけ課題のいろんな因子分析モデル・理想点モデルをひとつの枠組みで整理する
  • Burkner, Schulte, Holling (2019) 順位付けや一対比較課題の回答にThurstonian IRTモデルをあてはめて対象者の潜在特性を推定するのはどのくらい現実的なのか
  • Pritikin(2020) 人々に評価項目ごとにモノとモノとの一対比較をしてもらったデータで評価項目の探索的因子分析をする(RのpcFactorStanパッケージ)
  • 野々田・分寺・岡田 (2021) 一対比較で2因子を測定するときの推定方法

レビュー

  • Cattelan (2012) 一対比較データのための統計モデル・レビュー

基礎知識

2023/01/03: その後のメモをいくつか追記。