論文」カテゴリーアーカイブ

読了: Downes& Carlin (2020) Mr.P (マルチレベル回帰・層化)ってやっぱり良いの? はい、良いみたいです

 代表性のない標本調査に基づいて母集団特性をうまいこと推測する、という話題のひとつに、Mr.P ことMRP(マルチレベル層化・回帰)というのがある。選挙予測で注目を集めた手法で(たしかYouGovがジョンソン勝利を当てたときに使ったんですよね)、私は面白がってGelman先生たちのarXivの論文のメモをとったりしてたんだけど、国内でもあれよあれよという間に有名になり、周囲から「MRPって知ってます?」と訊かれ、学会発表やそのへんの調査結果リリースでも見かけるようになり、なんと日本の伝統的大手メディアの方まで採用を検討しはじめ、ついには「MRPってできますか」と問い合わせが来たりするようになった。さすがにここまで来ると、個人的な熱は冷めてしまう。

 このたびちょっと思い立って検索してみたら、もはや心理学などの隣接諸分野で啓蒙論文が出るレベルにまで普及したようだ。2020年以降の論文は件数が少なく、とっくにハイプ・カーブの峠を越えたという感じである。
 そのなかから試しに一本読んでみた。疫学分野での手法検証研究である。
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読了: Wang, Yue, Faraway (2023) INLAで学ぶ時系列モデリング (モデル編)

 ここしばらく、時系列モデリングの解説書を頼りに、INLA(積分段階的ラプラス近似)の理屈を理解しようと試みていた。目当ての2章は読み終えたので、この本はこれでおしまいにするつもりにするつもりだったのだが、なんとなく3章も目を通してしまった。

Wang, X., Yue, Y.R., Faraway, J. (2023) Dynamic Time Series Models using R-INLA: An Applied Perspective. Chapter 3. Details of R-INLA for Time Series.

せっかくなので、各節のごくごく概要についてメモしておく。ちなみに本章は長いのだが、チャートが多く、実質的な内容はみかけほど多くない。
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読了: Wang, Yue, Faraway (2023) INLAで学ぶ時系列モデリング (概論編)

 前回に引き続き、時系列モデルについてのINLA(積分段階的ラプラス近似)の解説書。全14章だが、第1,2章だけはメモしながら読むことにした。いよいよ第2章。

Wang, X., Yue, Y.R., Faraway, J. (2023) Dynamic Time Series Models using R-INLA: An Applied Perspective. Chapter 2. A Review of INLA.
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読了: Wang, Yue, Faraway (2023) INLAで学ぶ時系列モデリング(準備編)

Wang, X., Yue, Y.R., Faraway, J. (2023) Dynamic Time Series Models using R-INLA: An Applied Perspective. Chapter 1. Bayesian Analysis.

 長く個人的懸案のひとつであったINLA(積分段階的ラプラス近似)について学ぶべく、このたびRue, Martino, Chopin(2019)にチャレンジし、学力不足により涙を飲んで撤退した次第だが、いきなり原典における一般的記述を読もうとしたのがいかんかったよな、というのが反省点であった。気を取り直し、今度は領域を絞った解説書をあたってみた。
 R-INLAについての解説本のうち、特に時系列モデルについての本。本の評判については知らないが、なんだかわかりやすそうだし、きちんとした感じだし、なにより全文が公開されている。ありがたい。
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読了: Laken, Scheel, Isager (2018) 諸君、もっと等価性検定をやれ

Lakens, D., Scheel, A.M., Isager, P.M. (2018) Equivalence Testing for Psychological Research: A Tutorial. Advances in Methods and Practices in Psychological Science. 1(2), 259-269.

 仕事の都合でごくたまに等価性検定の話が出てくることがある。消費財のマーケティングリサーチでは、たとえば原材料や製法をコスト削減しても製品知覚は変わんないことを確認したい、というような場面が典型的である。今回もちょっと似たような用事があって、話のついでにめくってみた。ときどき読まないと忘れてしまう。
 等価性検定や非劣性検定の話をマジメに勉強するならば、それはもう医学統計の教科書をあたるべきなんだけど、今回は心理学者向けの易しい啓蒙論文。週末の気分転換だからね、と自分に言い訳して…
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読了: Rue, Martino, Chopin (2009) INLAを使って楽しい楽しい潜在ガウシアン・モデル (後編)

 前回に引き続き、以下の論文のメモ。

Rue, H., Martino, s., Chopin, N. (2009) Approximate Bayesian Inference for Latent Gaussian Models by Using Integrated Nested Laplace Approximations. Journal of Royal Statistical Society, B. 71(2), 319-392.

 どうやら私の能力を超えている… 辛い…
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読了: 万, et al. (2020) 比例ハザード性を仮定しない生存時間Bump Hunting手法の提案

万可, 谷岡健資, 南弘征, 下川敏雄, 水田正弘 (2020) 治療効果が顕著なサブグループを抽出するための境界内平均生存時間に基づく生存時間Bump Hunting法の開発. 計算統計学, 33(1), 1-28.

 仕事の都合でめくった奴。
 どういう話かというと、観察データなり臨床試験のデータなりから、新治療と既存治療のアウトカムの差が特に大きいサブグループを抽出したいという話である。大変失礼ながら提案手法そのものには関心がなくて、この領域にはどういう手法があるのかな、という関心から斜め読みした次第。すいません、ちゃんと読んでないです…
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読了:小林・苗村・清水(2021) 科学的説明というのは必ず因果的説明なのか、そうでもないのか

 マーケティング・リサーチというよくわからない分野で細々と生計を立てていて、ときどきうんざりするのは、あまりに説明と理解が重んじられるという点である。「分析の結果が腹落ちすることが大事だ」とかね。その「腹落ち」ってなに? そんなに神聖なこと? 現実には、人は往々にして、いいかげんな説明によって浅薄な理解に陥ってしまい、それによってかえって視野を狭くしてしまうことだってある。むしろ、わからないことをわからないままに抱え込んでいく強靱さが大事なのではなかろうか…
 などとぐるぐる考えていると、ではそもそも説明ってなんなの? と不思議に思えてくる。広辞苑によれば説明とは、(1)事柄の内容や意味を、よく分かるようにときあかすこと、(2)記述が事実の描写や確認に留まるのに対して、事物や出来事が「なぜかくあるか」の根拠を示すこと。科学的研究では、個別事象を一般的法則と初期条件から因果的に導くこと。なのだそうである。しかし、差し障りがあるから細かく書けないけど、世のビジネス書に書いてあるアレも、マーケティングの偉い先生が仰るアレも、よくよく考えると、上記の意味での説明にはなってないよね? などと考え込んでしまう。

小林裕太・苗村弘太郎・清水雅也 (2021) 非因果的説明論の現在: 多元説・還元的一元説・非還元的一元説. フィスカル, 6(3), 146-174.
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読了:小川(1997) 沖縄の民俗宗教をまるごとキリスト教に鞍替えさせた牧師の話

 宮田登「弥勒」という本を読んでいて、宮古島に洞窟を崇拝するミロク教という新宗教があったと知り、へええ? と興味本位で検索したところ、下記の紀要論文をみつけた。論文の本題とは別に、登場する松森善正という人の人生があまりに面白いので、その点に絞ってメモしておく。

小川順啓(1997) 民俗宗教からキリスト教へ ある沖縄のキリスト教会の物語. 駒澤大学文化, 17, 45-74.
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読了: Rue, Martino, Chopin (2009) INLAを使って楽しい楽しい潜在ガウシアン・モデル (前編)

 流れ流れてデータ解析とかで生計を立てていますが、一日に三回くらい、なぜ私はこんなことをしているのか… もっとましな人生があったのではないか… という疑念に囚われる。もっとましな人生ってなに? よくわかんないけど。
 さらに、Stanのコンパイルでイライラするたび、なぜ私はこんな面倒なことをしているのか… これはMCMCじゃなくてなにか別の方法でも解けるのではないか… という疑念に囚われる。別の方法ってなに? 知らんけど。INLAとか?
 そんなこんなで、数年前から何度かINLAを実戦投入しようとし、その度に挫折している。検索すると2017年、R-INLAについての解説を読んでいるようだが、メモを読み返すと内容をあまり理解できていないことが丸分かりである。切ないのう。

Rue, H., Martino, s., Chopin, N. (2009) Approximate Bayesian Inference for Latent Gaussian Models by Using Integrated Nested Laplace Approximations. Journal of Royal Statistical Society, B. 71(2), 319-392.

 そういうわけで、先日も仕事の都合で発作的にINLAの勉強をはじめた(仕事のほうは時間切れでそれどころではなくなり、結局はStanで切り抜けた)。その際のメモ。長くなるので2パートくらいにわける。
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読了: Tierney & Kadane (1986) 事後分布の平均とか分散とか周辺密度とかをラプラス近似で得る

Tierney, L, Kadane, J.B. (1986) Accurate Approximations for Posterior Moments and Marginal Densities. Journal of the American Statistical Association, 82(393), 82-86.

 都合により調べ物をしていて(後日のためにメモしておくとRue, Martino, & Chopin(2009), INLAについての論文)、途中で話についていけなくなったので、引用を遡って読んでみた奴。
 こんなの読むなんて柄じゃないんですけどね。数学できないんですけどね。いったいどういう罰ゲームなのか。
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読了:合崎(2015) Rのsupport.CEsパッケージとsurvival::clogit()で選択型コンジョイント分析

合崎英男(2015) Rパッケージsupport.CEsとsurvivalを利用した離散選択実験の実施手順. 北海道大学農經論叢, 70, 1-16.

 離散型コンジョイント分析のRパッケージSupport.CEsの作者ご自身による解説。このたび離散型コンジョイント分析の実験計画についてのメモを作っていて、その都合で目を通した。
 Aizaki(2012 JSS), Aizaki, Nakatani, Sato(2014 書籍)の日本語解説版とのこと。ほんとは本を読むべきなんだけど。
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読了: 合崎・西村 (2007) 選択型コンジョイント分析の実験計画作成とパラメータ推定

合崎英男・西村和志 (2007) データ解析環境Rによる選択型コンジョイント分析入門. 農村工学研究所技報, 206, 151-173,

 選択型コンジョイント分析の実験計画作成・パラメータ推定についての手順解説。前に目を通していたのだけれど、このたび仕事の都合で選択型コンジョイント分析の実験計画作成について考えていて、メモを書いたりしていた関係で、ついでに再読した。
 第1著者の先生はこの後、選択型コンジョイント分析のRパッケージsupport.CEを公開し、日本語・英語で数多くの解説を書いておられるので、こんなに古いのを読むのは良くないのかもしれないけれど…
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読了: Davis, et al. (2021) カウント時系列モデリング・レビュー

Davis, R., Fokianos, K., Holan, S.H., Joe, H., Livsey, J., Lund, R. ,Pipiras, V. Ravishanker, N. (2021) Count Time Series: A Methodological Review. Journal of the American Statistical Association, 116(535), 1533-1547.

仕事の都合でカウント時系列について考えることになり、とりあえずRのtscountパッケージの解説に目を通したら、知らない話題がたくさんあることに気が付き、あわてて手に取った。
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読了: Liboschik, Fokianos, Fried (2017) カウント時系列の一般化線形モデル(tscountパッケージ)

Liboschik, T, Fokianos, K, Fried, R. (2017) tscount: An R Package for Analysis of Count Time Series Following Generalized Linear Models. Journal of Statistical Software, 82(5), 1–51.

 カウント時系列データ分析のRパッケージtscountの解説。このパッケージを実践投入する予定はないんだけど、カウント時系列の分析方法について知りたくて手に取った。
 本文だけで34ページある…
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読了: Ly, et al.(2017) 頻度主義・ベイジアン・MDLからみたフィッシャー情報量

Ly, A., Marsman, M., Verhagen, J., Grasman, R.P.P.P, Wagenmakers, E.J. (2017) A Tutorial on Fisher information. Journal of Mathematical Psychology, 80, 40-55.

 仕事の都合で選択課題の最適実験計画について調べていて、学力不足を痛感して読んでみた論文。題名のとおり、フィッシャー情報量だけに焦点をしぼったチュートリアルである。
 著者にWagenmakersさんが入っているから、頻度主義だけでなくベイジアンな話が出てくるのは予想がつくが、その2つに並ぶもう一つのパラダイムとしてMDLが出てくるところが、へええ? という感じである。
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読了: Agrawal & Maheswaran (2005) たとえば製品への評価がその製品に与えられた賞とかによって影響されてしまうことがあるけれど、どんな動機づけのもとでそうなりやすいか

Agrawal, N., Maheswaran, D. (2005) Motivated reasoning in outcome-bias effects. Journal of Consumer Research, 31, 798–805.

 仕事の都合でmotivated reasoningについて調べている際に手に取って、最初のパラグラフを読んだ瞬間に「これは読みたいのとちがう…」と思った奴なんだけど、せっかくなので最後まで目を通した。
 Google様いわく被引用数107。

 簡潔に書きすぎていてちょっと不親切な論文だと思うのだが、ここでいう帰結バイアスoutcome biasというのは、たとえば製品について評価する際、その製品そのものについてちゃんと調べて考えるのではなく、その製品のもたらしたなんらかの結果(「いま売れてます」とか)でもって評価してしまうバイアスのことである。そのバイアスがどんな動機づけの下で強くなったり弱くなったりするか、というのがお題である。
 イントロで事例を挙げてくれるとわかりやすいのにね。
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読了: Heyman & Mellers (2008) 価格が公正であると思われるのはどういうときか

Heyman, J.E., Mellers, B. (2008) Perceptions of Fair Pricing. Haugtvedt, C.P, Herr, P.M., & Kardes, F.R. (eds) “Handbook of Consumer Psychology“, Chap.27.

 価格の公正性の知覚についての解説。オフィスの本棚で幅を占めているわりにはあまり役に立ったことがない消費者心理学のハンドブックのなかに、価格に関する章がいくつかあることに気づき、ためしに読んでみた。
 イントロダクションと結論の2節しかないというなかなか斬新な構成である。見出し行が落ちているのかも。
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読了: Gabor & Granger (1966) 品質の指標としての価格

Gabor, A., Granger, C.W.J. (1966) Price as an Indicator of Quality: Report on an Enquiry. Economica, 33(129), 43-70.

 先日読んだ Gabor & Granger (1964)に引き続き、価格感受性測定の超・古い論文に目を通した。
 古い論文は、書き方が風雅すぎて困ってしまう…
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