論文」カテゴリーアーカイブ

読了:Haggstrom (1983) ロジスティック回帰係数を線形回帰のソフトで求める

Haggstrom, G.W. (1983) Logistic Regression and Discriminant Analysis by Ordinary Least Squares. Journal of Business & Economic Statistics, 1(3), 229-238.

 勤務先の仕事の都合で、多数の多項ロジスティック回帰モデルのパラメータ推定値を、ダミー変数に対する線形回帰モデルのパラメータ推定値へと大急ぎで変換しないといけないという謎の用事ができてしまい(自分でもこいつ何言ってんだと思う)、慌てて読んだ奴。事情はちょっと書けないけれど、なぜそんなシュールな事態に陥ったものかと、正直、途方に暮れた。ところが読んでいる途中で、さらなる別の事情によって必要性が消滅したもので、この論文のほうは続きを読む気が失せてしまった。整理の都合上、読了としておく。
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読了:松本(2019) コウホート分析の推定手法を比較する

松本雄大(2019) ベイズ統計モデリングによるAge-Period-Cohort分析: ランダム効果モデル, リッジ回帰モデル, ランダムウォーク. 理論と方法, 34(1), 99-112

 仕事の都合で読んだ。掲載誌は数理社会学会の発行。いわゆるコウホート分析の推定手法について解説し、簡単なシミュレーションで特徴を示す、という内容。
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読了:Hubbard, et al. (2010) 混合モデル vs. 母集団平均モデル: GEEすべきか、せざるべきか、それが問題だ

 仕事の話なので抽象化して書くけれど、被験者内1要因の実験計画、被験者x要因内でさらに反復測定(反復回数は一様でない)、目的変数は二値。検定したいんだけどやり方がよくわからん、どうすればいい? …という主旨のお問い合わせを、先日受けた。うーん、それは確かに、ちょっと困るかも。少なくとも市場調査のルーチンワークからは外れている。
 それはもうGLMMなんじゃないっすかね、と説明しかけて、いや待てよ、こういうときにはGEEってのもあるよな、というのが頭をよぎり、どんよりした気分になった。GEE(一般化推定方程式)、それは過去なんどか勉強しようとしては挫折した、私にとっての鬼門のひとつなのである。

Hubbard, A.E., et al. (2010) To GEE or Not to GEE: Comparing Population Avarage and Mixed Models for Estimating the Associations Between Neighborhood Risk Factors and Health. Epidemiology, 21(4), 467-474.
 というわけで、易しそうな文献で再チャレンジ。
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読了:Barnett (1988) 市場予測の4つのステップ

Barnett, W. (1988) Four steps to forecast total market demand. Harvard Business Review. Jul. 1, 1988.

 仕事の足しになるかと思って読んだ奴。HBRの記事で、別にメモを取りながら読まなきゃいけないような内容ではないんだけど、なんでも記録しておくに越したことはないと思って。
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読了:O’Gorman, et al. (1994) 層別分析で共通リスク差を推定するときWLS推定量とCMH推定量のどっちがいいか

O’Gorman, T.W, Woolson, R.F., Jones, M.P. (1994) A Comparison of Two Methods of Estimating a Common Risk Difference in a Stratified Analysis of a Multicenter Clinical Trial. Controlled Clinical Trials, 15, 135-153.

 仕事の都合で読んだ。層別された2×2クロス表について層を潰したリスク差を求めるとき、マンテル・ヘンツェルのアプローチだとどうなるか、という話。
 MHオッズ比についての解説はその辺の教科書に載っているけど、リスク差についての解説は少ないので、仕方なくめくった。勤務先の本棚にあるAgrestiの厚い本に書いてあったような気がするけど、いま自宅に閉じこもっているもので…
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読了:Lu, Chow, Loken (2016) 因子分析モデルで負荷行列のどこにゼロが埋まっているのか、ベイジアン変数選択の枠組みで考えよう

Lu, Z.H., Chow, S.M., Loken, E. (2016) Bayesian Factor Analysis as a Variable-Selection Problem: Alternative Priors and Consequences. Multivariate Behavioral Research, 51(4), 519–539.

 仕事の都合で因子分析モデルをベイズ推定するとき、いつも悩むのは因子負荷の事前分布の設定である。導師Muthenが提案するベイジアンSEMは確かにすごく有用な手法だと思うし、日本語での紹介が少ないことに義憤を感じて書籍で紹介させて頂いたりもしたんだけど(嗚呼、自己満足)、個別具体的な事例においては、どうしても困っちゃうわけです。いったい負荷の事前分布とはなんなのか… 我々はデータについて何を知っているのか… この世界のなりたちとは… 人生の意味とは… 眠い… 今日は寝よう… っていう風になります。
 
 というわけで、たまたまみつけた論文を読んでみた(目先の仕事からの現実逃避であるともいえる)。ベイジアン因子分析において、因子負荷にspike-and-slab事前分布を与えるのがよろしいのではないでしょうか、という論文。
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読了:Rudolph et al. (2014) 大規模調査の標本の一部について別のデータがあるとき、そこで推定された平均処理効果を母集団へと一般化する方法

Rudolph, K., Diaz, I., Rosenblum, M., Stuart, E. (2014) Estimating Population Treatment Effects From a Survey Subsample. Americal Journal of Epidemiology, 180(7), 737-748.

 これ仕事の役に立つんじゃないかしらんと思って読んでみた奴。Google様的な引用件数は20。
 自分の仕事に近づけて言うと、えーっと、大規模な消費者調査のデータがあり、そのなかの一部の対象者についてだけ広告接触有無と製品購買有無がわかっているとき、母集団における広告効果を推定したい、というような話である。RCTの結果を一般化するんじゃなくて観察研究の結果を一般化するというのがポイント。
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読了:Fattorini (2006) 標本抽出デザインが複雑すぎて、そこから推定しようにも抽出確率がわからない、よし電子計算機の力でなんとかしよう

Fattorini, L. (2006) Applying the Horvitz-Thompson criterion in complex designs: A computer-intensive perspective for estimating inclusion probabilities. Biometrika, 93(2), 269-278.

 仕事の関連で調べものをしていて、適切なキーワードがわからず迷走していたんだけど、この論文のイントロ部分にあまり期待せず目を通し、探していたタイプの研究がついに目の前に現れたことに気が付いた。長かった。Google様いわく引用回数93。
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読了:Wang, et al. (2006) 観察データからの因果効果推定に使うIPTW推定量は処理の割付についてのある仮定が破られていると歪むのでその歪みの大きさを推測する方法を考えたぞ

Wang, Y., Petersen, M.L., Bangsberg, D., van der Laan, M.J. (2006) Diagnosing Bias in the Inverse Probability of Treatment Weighted Estimator Resulting from Violation of Experimental Treatment Assignment. Working Papter 211, Division of Biostatistics, University of California, Berkeley.

 仕事の関係でこの1ヶ月近く延々と悩んでいることがあるんだけど、あまりにspecificな問題で、より一般的な問題として捉え直したいもののどう捉えたらいいのかわからず悶々としている。で、なんとジャスト・フィットなタイトルを持つ論文をみつけて大喜びし、アブストラクトは理解不能だったが、勢い込んで読んでみた。
 いや、動機は間違ってなかったと思うんだけど… たしかに私が抱えている問題は、ある種の実験条件の割付の話で、しかし割付は完全には無作為化できておらず、分析にあたって割付確率の逆数でウェイティングしようとしていて、でもそこにはある種のバイアスがあって、それを診断したい、という話なんだけど… 蓋をあけてみたら、求めていたのとはまるきり違う内容で、途方に暮れた。
 意地を張って少しだけ目を通したけど、もうね… 地獄でしたよ…
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読了:Andreadis & Kartsounidou (2020) 調査票が長すぎるときはむしろ2回の調査に分けたほうが完了率や回答品質が上がるのでは? 試してみました

Andreadis, I., Kartsounidou, E. (2020) The Impact of Splitting a Long Online Questionnaire on Data Quality. Survey Research Methods, 14(1), 31-42.

 仕事の調べものをしていて見かけ、要旨をざっとみて、あ、これは今探してるやつじゃないな… とわかっていたのだけど、面白いんでついつい全部めくっちゃった奴。
 著者らはギリシャの大学にお勤め。掲載誌はIF 0.9… シブイ…
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読了: Jia et al.(2014) 調査対象者に調査票の一部分だけ答えてもらう調査データで確認的因子分析するときに必要な標本サイズ

Jia, F., Moore, W.G., Kinai, R., Crowe, K.S., Schoemann, A.M., Little, T.D. (2014) Planned missing data designs with small sample sizes: How small is too small? International Journal of Behavioral Development. 38(5), 435-452.

 計画欠損データの分析は標本サイズがどのくらい小さいとやばいか、という論文。仕事の都合でざーっと目を通した。
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読了:Rust, et al.(2004) マーケティングの生産性をどうやって測るかレビュー

Rust, R.T., Ambler, T., Carpenter, G.S., Kumar, V., Srivastava, R.K. (2004) Measuring Marketing Productivity: Current Knowledge and Future Directions. Journal of Marketing, 68, 76-89.

 仕事の都合で調べ物しててめくったやつ。

 いわく… マーケティングの支出は株主価値を高めるのか。そのアカウンタビリティが欠けているせいで予算が減らされてしまっている。
 本論文ではマーケティング・アクションの生産性の測定について、幅広い枠組みをご提案しましょう。なおこの論文では、製品とかプライシングとか顧客リレーションシップとかじゃなくて、いわゆるマーケティング支出(コミュニケーションとかプロモーションとか)に注目する。

 … というイントロからはじまる論文なんだけど、取り扱う範囲があまりに広く、あまりに総説的なレビューなもので、読んでてそんなに面白いものではなかった(すいません)。
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読了:Groenen & van de Velden (2016) SMACOFアルゴリズムによるMDSについて解説しましょう

Groenen, P.J.F, van de Velden, M. (2016) Multidimensional Scaling by Majorization: A Review. Journal of Statistical Software. 73(8).

 仕事の都合でMDSについて考えていて(滅多にないことである)、Rのsmacofパッケージの実戦投入に先立つ儀式として読んだ論文。
 smacofパッケージについては開発者自身による紹介論文を読んだことがあるのだが、そのときはあまり理解できなかった。この論文はsmacofパッケージの紹介ではあるが、書いているのは第三者のようで、もっとわかりやすいかな、と思って。
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読了: Galinsky, Maddux, Galin, & White (2008) 交渉相手の立場に立って考えるべきか、交渉相手に共感すべきか

Galinsky, A.D., Maddux, W.W., Galin, D., White, J.B. (2008) Why it pays to get inside the head of your opponents: The differential effects of prespective taking and empathy in negotiations. Psychological Science, 19(4), 378-384.

 他者視点を取得させる手続きについて調べていて手に取った奴。
 著者らについてはよく知らないんだけど、第一著者はコロンビア大ビジネススクールの偉い人で、「競争と協調のレッスン」という翻訳書がある。表紙がいかにもなビジネス書っぽくて、なんかこう手が伸びない感じだけど…
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読了: Kim, Park, & Kim (2013) ブランドと強いリレーションシップを持つ顧客はブランド拡張をどう評価するか

Kim, K., Park, J., Kim, J. (2013) Consumer-brand relationship quality: When and how it helps brand extensions. Journal of Business Research, 67(4), 591-597.

 仕事の都合でめくった奴。Google様いわく被引用回数93。
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読了: Agarwal & Rao(1996) ブランドエクイティを測る調査項目ってどれがいいのか実験してみました

Agarwal, M.K., Rao, V.R. (1996) An empirical comparison of consumer based measures of brand equity. Marketing Letters, 7(3), 237-247.

 消費者ベースのブランド・エクイティ指標の妥当性を調べましたという論文。
 ずっと前に「必ず読むこと」とタグをつけ(たしかケラーの分厚い本で引用されていたのだと思う)、入手を試みたのだが成功しなかった。ところが、このたび調べものをしていてこの論文がreferされているのをみかけ、試しに検索してみたらPDFが一発で見つかった。仕方がないのでざっと目を通すことに。
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読了:Engel et al.(2012) 多変量データ視覚化のための次元縮約手法レビュー

Engel, D., Huttenberger, L., Hamann, B. (2012) A Survey of Dimension Reduction Methods for High-dimensional Data Analysis and Visualization. Visualization of Large and Unstructured Data Sets: Applications in Geospatial Planning, Modeling and Engineering – Proceedings of IRTG 1131 Workshop, 135-149.

 次元縮約についてのレビュー論文。ちょっと調べものがあって。
 Rdimtoolsというパッケージのマニュアルでお勧めされていたので読んでみたんだけど、Google様いわく被引用数63。だいじょうぶなんだろうか… いや、まあ、いいけどさ…
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読了:Josephy et al. (2016) ランダム切片プロビット回帰混合モデルでクラスタサイズがすごく小さい場合のRパッケージを品定め

Josephy, H., Loeys, Tom, Rosseel, Y. (2016) A Review of R-packages for Random-Intercept Probit Regression in Small Clusters. Frontiers in Applied Mathematics and Statistics. 13.

 題名の通り、一般化線型混合モデル、アウトカムは二値、リンクはプロビット、ランダム切片付き、クラスタサイズはめっちゃ小さい、という際のRに使えるパッケージを比較しましたという論文。
 正直なところ、そういう局面になったらそのとき悩めばいいわけで、別に読まなくてもいいんだけど、なんだかなあこんなんで論文一本書けちゃうんだなあ(すいません)…などと呟きながら眺めていて、つい最後まで読んでしまった。だって気楽じゃないですかこういう話題。いささか心がなごむのであります。
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読了:Hadeker et al. (2018) ロジスティック混合回帰モデルで得た回帰係数を集団レベルの係数に変換する方法

Hedeker, D., du Tout, S., Demirtas, H., Gibbons, R.D. (2018) A note on marginalization of regression parameters from mixed models of binary outcomes. Biometrics, 74(1), 354-361.

 ロジスティック回帰混合モデルからランダム切片を取っ払ったとき(marginalizeしたとき)、固定効果の係数をどう修正すれば良いかという解説。仕事の都合で必要になりそうな話題なので目を通した。
 第二著者の所属はScientific Software International。ここはたしかHLMの開発元だ。なんか関係あるのかな。
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読了:Leeper (2018) Rのmarginsパッケージで回帰モデルの平均限界効果を求める

Leeper, T.J. (2018) Interpreting Regression Results using Average Marginal Effects with R’s margins.

Rのmarginsパッケージのvignetteのひとつ(技術詳細編)。これまでこういうパッケージは全然使ってなかったんだけど、実戦投入しようかと思って目を通した。
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