去年の今頃は諸事情あってマーケティング・ミックス・モデリングのことばかり考えていたのだが、セミナー用資料を作っていてぎりぎりまで悩んだ点のひとつは、内生性に関する話題をどこまで扱うか、という点であった。結局、そういう問題があるんですよという紹介にとどめ、伝統的な伝達関数時系列モデルの定式化と推定に全力を注いだ。虻蜂取らずという言葉もあるし、正しい判断だったとは思うんだけど、いまでもちょっともやもやしている。
これは私の力量の問題ではなくて(言い訳)… マーケティング効果推定の実務においては、たぶん「内生性のことは触れないのが暗黙のお約束」になっているんじゃないかな、という気がするのである。もちろんアカデミックな文脈では実証研究がいっぱいあるんだけど、実務の文脈においては、あまりに深刻な問題なのにあまりにできることが少なくあまりにしんどいので、視線をそらして見えないふりをしているというか… これは「研究者はきちんとしているが実務家はいいかげん」という話ではなくて、問題解決を取り巻く状況の違いであろう。
いま試しにgoogleで「マーケティング・ミックス・モデリング」と検索してみたら、業界各社様の華やかな宣伝が目白押しであったが、「マーケティング・ミックス・モデリング 内生性」で検索すると、さっきは何ページめくっても出てこなかった私のしょぼいセミナー資料がいきなり最上位になった。ウケる。
Papies, D., Ebbes, P, Van Heerde, H.J. (2017) Addressing Endogeneity in Marketing Models. Leeflang, P.S.H., et al. (eds) Advanced Methods for Modeling Markets. Chapter 18. Springer.
これはセミナー準備の際に読みかけた奴。著者はどんな人たちなんだろう、よくわからない。→いま思い出したが、第三著者の論文は読んだことがあった。あ、販促で起きるブランドスイッチングは見た目よか小さいぜ論文もこの人だ。なんだよもう、俺らマブダチじゃん。(でかい態度)
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