書籍」カテゴリーアーカイブ

読了: 「平家物語 他六篇」「日本古典と感染症」「東方キリスト教の世界」「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」「叙任権闘争」

ノンフィクション、その1。

岩波新書版で読んでいたんだけど、このたび岩波文庫に入ったのを機に再読。
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読了:「イリオス」「Bye-Bye アタシのお兄ちゃん」

コミックス、その12。たぶんこれがラストだ。

いま一番続きが待ち遠しいマンガ。トロイア戦争あたりのギリシア神話を現代ヤクザの抗争に翻案したアクションマンガである。
 荒唐無稽な話ではあるんだけれど、胸を打たれるエピソードも少なくない。敵アキレウスへの愛に目覚めながらも倒れるアマゾネス国の女王ペンテシレイア、じゃなかった、変態的殺し屋テシベさんとか。
 なお、ホメロス「イリアス」でアキレウスの愛馬クサントスは一度だけ言葉を喋るが、本作で東名高速を疾走する馬クサントスは結構セリフが多い。喋るたびに周囲が死ぬほど驚くところが可笑しい。
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読了:「地元最高!」「ゴクシンカ」「私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記」「サツドウ」「ようきなやつら」

コミックス、その11。

短篇集。精神科入院患者たちの外出を描く表題作と、関東大震災の際の朝鮮人虐殺を描く「追燈」が特に良い。
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読了:「ゆりあ先生の赤い糸」「私が15歳でなくなっても。」「叡智なビデオは好きですか?」「「神様」のいる家で育ちました 宗教2世な私たち」「一ノ瀬家の大罪」

コミックス、その10。

著者は市井の平凡な女性の葛藤と解放を描き続けてきた、私が尊敬してやまないベテラン作家。とはいえかなり地味なマンガ家であって、本作はなかなか書店で見かけず毎度入手に困った(途中で大きな賞を受けて重版されたので助かったけど)。無事大団円に辿り着き、なによりである。
 いま検索したところ、テレ朝でドラマ化されるのだそうだ。まさか、五十代女性の介護物語が!? と驚いたが、そういう時代なんでしょうね。
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読了:「ハコヅメ」「ワイルダネス」「アルテ」「生活保護特区を出よ。」「ハンナ・アーレント、三つの逃亡」

コミックス、その9。

著者の病のため中断していた連載が10年以上を経て再開。誠に喜ばしい限り。しっかし、主役だと思っていたあの人を、まさか殺しちゃうとは思わなかった…
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読了: 「セシルの女王」「日々我人間」「戦争は女の顔をしていない」「しめっぽい話ですが」「砂の都」

コミックス、その7。

いま最も気になる連載のひとつ。ヘンリー八世期のイングランド宮廷を描く。
 失脚し死を目前にしたクロムウェルは、ロンドン塔の独房のドア越しに主人公ウィリアム・セシルに囁く。「生き延びろ。私のようにはなるな。お前の王を愛せ」お前の王とはもちろん、この時点では先の見通し真っ暗な少女エリザベスを指す。主人公のその後の人生と符合するセリフである。創作の醍醐味だなあ。
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読了: 「おかあさんの扉」「パリパリ伝説」「ウスズミの果て」「水の蛇」「みちかとまり」

コミックス、その6。

長く続いているエッセイマンガ。調べたところ2005年に第1巻を読んでいた。固定読者がついているんだろうな。
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読了: 「夏・ユートピアノ」「北北西に曇と往け」「写真屋カフカ」「341戦闘団」「再生のウヅメ」

コミックス、その5。

表題作の題名は佐々木昭一郎「四季・ユートピアノ」へのオマージュであろう。収録されている「あさがくる」は雑誌初出時に何度か読み返した作品で、深く心に残る。
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読了:「センチメンタル無反応」「父を焼く」「これ描いて死ね」「はじめてのひと」「世田谷イチ古い洋館の家主になる」

コミックス、その3。

「ひらやすみ」でブレイクした漫画家の短篇集。松本大洋エピゴーネンのマンガ家志望青年を描く短編が面白かった。
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読了:「淡島百景」「無尽」「おいおいピータン!!」「ペリリュー外伝」「ひらやすみ」

続いてコミックス。こうして一年分溜めるとずいぶん読んでいるように見えるが、すっかりペースが落ちてしまったし、以前から読んでいるシリーズが多い。世の中への関心が枯渇しているのだ。


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読了:「ウクライナ動乱」「ウクライナ戦争」「ウクライナ戦争の200日」「ウクライナ現代史」「アフター・アベノミクス」

こうして振り返ると、ウクライナ戦争をめぐる一般啓蒙書を読みまくっていたなあ。理解できない事態を目にすると本に頼るところは、あまり変わっていない。


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読了:「エルサレムの歴史と文化」「諜報国家ロシア」「統計分布を知れば世界が分かる」「ルポ プーチンの破滅戦争」「ホメロス」

そうそう、全く平坦に見える生活にも少しは変化があるもので、数ヶ月前にはホメロス「イリアス」にはまっていたのであった。
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読了:「社会主義前夜」「シモーヌ・ヴェイユ」「軍と兵士のローマ帝国」「ラテンアメリカ文学入門」「マルクス・アウレリウス」

 コロナ禍以降、生活にいろいろな、必ずしも理由のはっきりしない変化があったけれど、読書離れもそのひとつだ。以前ならページをめくっていたような場面でも、ぼんやり虚空を眺めていることが増えた。そのせいもあって、この一年近く、読んだ本の記録をつけていなかった。ようやく読み終えた本は、部屋の本の山の一角を占めて積み上がるままになっていた。
 昨年9月以降に読んだ本を記録しておく。まずは新書から。

本の内容とは関係ないが、この本をビジネス・リュックに入れていた日に水筒の栓が緩み、中味がコーヒー漬けになってしまったのであった。この本も茶色に染まり、コーヒーポットを煮詰めたような匂いを放っている。
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読了:「天幕のジャードゥーガル」「本気のしるし」「いたいお姉さんは好きですか?」「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」「アンダーニンジャ」

モンゴル帝国の支配下で復讐を胸に生き延びようとするイラン人女性を主人公にした歴史ドラマ。まだ一巻だけど、これは面白い…
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読了:「将棋の渡辺くん」「ヘルドッグス」「東京サラダボウル」「5080」「恋じゃねえから」

電子書籍で読んだコミックスも記録しておこう。

深町秋生の小説のコミカライズ。web連載を追いかけて読んでいた(連載終了)。
 原作のストーリーを忠実に追いながら、演出は原作の描写に縛られず、コミックの特性を生かした工夫を凝らしている。一例を挙げると、小説でもっとも印象的な格闘シーンがあるのだが、コミック版ではその直後に、主人公はひとり地下道を歩き、静かにくずおれ、見開きで雨の夜の新宿駅の遠景が映し出される。感情的クライマックスの設計が異なる。なるほどー。
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読了:「華厳経入法界品」「空海 三業指帰」

善財童子の遍歴譚とはいえ、近代的な読み物ではなくお経であるからして、無限に続くかとも思われる過剰な形容語と果てのない反復に圧倒されるのだが、ページをめくっているとかすかなトランス状態に入っていくような感覚がありますね。
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