読了:Heath, Tynan, & Ennew (2015) 「自分へのご褒美」消費についての本人の説明

Heath, T.P., Tynan, C., & Ennew, C. (2015) Accounts of self-gift giving: nature, context and emotions. European Journal of Marketing, 49(7/8), 1067-1086.

 都合により読んだ論文。「自分へのご褒美」消費についての質的研究である。インタビューをたくさんやって、感情への効果とか、今後の研究枠組みとかについて論じている。
 メモは別のところでとったので省略。しっかし、洋の東西を問わず、質的研究は方法論に関する能書きが多くて面倒くさい… (すいません)

読了:福島・向井・相澤・入山(2021) 裁判官は心理学者の鑑定を信用してない説は本当か、もし本当ならそれはなぜか

福島由衣・向井智哉・相澤育郎・入山茂(2021) 心理学的知見に対する裁判官の評価: 刑事裁判判決文の計量的研究. 心理学研究, 92(4), 278-286.

 仕事の調べ物をしていて、たまたま検索にひっかかり、途中で手を止めてついつい読みふけってしまったもの。本来の調べ物とはなんの関係もない。現実逃避ともいえる。
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読了: Williams, et al.(1998) ポアソン抽出デザインにおける母合計推定量を比較する

Williams, M.S., Schreuder, H.T., Terrazas, G.H. (1988) Poisson Sampling: The Adjusted and Unadjusted Estimator Revisited. Research Note, RMRS-RN-4. U.S. Department of Agriculture, Forest Service, Rocky Mountain Research Station.

別に読む必要は全然、全くないんだけど、標本抽出についての資料を作っていて悩んでいるときにぱらぱらめくったもの。ポアソン抽出での母合計推定量を比べるという話。なんであれ、めくったものはとりあえず記録しておこう、ということで…
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読了:「仏教の大東亜戦争」

大逆事件で死刑となったひとりに曹洞宗の僧侶・内山愚童がいるが、宗門はほんとに冷酷で、なにしろ刑が確定する前に永久追放してしまう。名誉回復は1993年とのこと。特赦で無期懲役に減刑された大谷派僧侶・高木顕明(獄中で縊死)も、公判開始とともに住職罷免、死刑判決とともに永久追放、名誉回復は1996年。臨済宗妙心寺派・峯尾節堂(獄死)の名誉回復も1996年。組織とはそのようなものなのだろう。

読了:「<ほんもの>という倫理」「浄土思想」「スーフィズムとは何か」「弥勒」

政治哲学者テイラーの講演録。わかりやすいかと思ったんだけど、1頁読むだけで話の流れを見失ってしまうような感覚があって、ほんとに頭に入らなかった。大著「自我の源泉」を机の横に積んでいるんだけど、歯が立つのだろうか…
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読了:「仁義なきヤクザ映画史」「鬼の筆」「トルコ 建国100年の自画像」「赤ちゃんポストの真実」「空からきた魚」

ノンフィクション、その2。

稀代の迷作「幻の湖」製作への経緯について関心があって読んだんだけど、失敗に至る要因が積み重なっていくくだり、胃が痛くなるような思いであった。辛いなあ。
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読了:「イーロン・マスク」「戦時下のウクライナを歩く」「ナチズムの美学」「台湾のアイデンティティ」「かたちには理由がある」「『伝える』ことと『伝わる』こと」「検証 ナチスは『良いこと』もしたのか?」

2023年末までに読んだ本のうち、ノンフィクション、その1。


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読了:「花の雨が降る」「詩歌川百景」「これ描いて死ね」「あらあらかしこ」「東京ヒゴロ」「おいおいピータン」

2023年末までに読んだコミックス、その3。

上記リンクは電子書籍だが、冊子体で読んだ。2022年に自費出版で発表された傑作「ROCA」の新作エピソード集。
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読了:「ロシア・ノート」「オール・ザ・マーブルズ!」「海が走るエンドロール」「ひらやすみ」「アルテ」「3月のライオン」「だんドーン」

2023年末までに読んだコミックス、その2。

作者はイタリアの漫画家。暗殺されたロシアのジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤを描く。
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読了:「きのう何食べた?」「みっしょん!!」「ダンジョン飯」「BLACK LAGOON」「贋 まがいもの」「はなうたレコード」「百姓貴族」

2023年中に読んだ本を記録しておく。まずはコミックスから。

私が尊敬してやまない名匠、入江喜和先生の新作は、平凡な54歳主婦の葛藤を描く。主人公の年代が徐々に上昇している…
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読了: Godambe & Thompson (1986) 推定関数の理論から見た母集団特性の推定 (難しい話をより難しく)

Godambe, V.P, & Thompson, M.E. (1986) Parameters of Superpopulation and Survey Population: Their Relationships and Estimation. International Statistical Review, 53(2), 127-138.

 調査データの分析について調べていると、母平均のHajek推定量 (標本の個々の値をその個体の標本包含確率の逆数で重みづけて平均した量)は母平均のデザイン不偏推定量ではないけれど、実はある種のモデルのもとでモデル不偏推定量なのだ… という話がでてきて、そこでこの論文がよく引用されている。
 第一著者のGodambeさんという人は推定方程式アプローチの理論で有名な人らしい。第二著者はHorvitz-Thompson推定量のThompsonとは別人の模様。
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読了: 柳本(1995) 推定方程式に基づく推定

 読んだものはなんでも記録しておこう、ということで…

柳本武美(1995) 推定方程式に基づく推定: 最尤法とモーメント法から. 応用統計学, 24(1), 1-12.

 別の論文に挑戦しようとして(メモしておくとGodambe & Thompson(1986)、有限母集団特性のモデルベース推定の話)、到底歯が立たず、せめてもの手がかりにならないかと思ってめくった。
 正直、これも難しくてよくわからんかった… 悲しい…
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読了: Dorfman & Valliant (1997) Hajek推定量再訪

Dorfman, A.H., Valliant, R. (1997) The Hajek Estimator Revisited. Proceedings of the Section on Survey Methods Research, American Statistical Association.

 標本ウェイティングについて調べ物をしていると、googleの検索結果にはいつもこれが上位に挙がってくる。内容は難しそうだし、そもそも論文ではないし、毎回「これはちがうだろう」と避けていたのだが、あまりによく見かけるので、これもなにかの勉強だろうと思い、メモをとりながら読んでみた。正直、かなり早い段階で後悔しはじめたのだが…
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読了: Delovoye & Savje (2020) Horvitz-Thompson推定量の一致性

 標本抽出について調べていると、値を抽出確率の逆数で重みづけて合計して母集団サイズで割ると(Horvitz-Thompson推定量)、それは母平均の不偏推定値だよ、いっぽう母集団サイズじゃなくて重みの和で割ると(Hajek統計量)、それは不偏じゃない、でも一致推定量だよ、なんていう話が出てくる。で、不偏性の証明は出てくるけど、一致性の証明は出てこない。おまえらユーザには理解できんだろうから省略するよ、というニュアンスがひしひしと伝わってくる。なんだかイライラする。いま文化大革命とか起きたら、私は紅衛兵となってキャンパスに突入し統計家を群衆のもとに引き出して自己批判を迫るかもしれない。(すいません冗談です)
 まあご配慮は正しいんだけどさ。推定量の漸近的挙動なんて途方に暮れるじゃないですか。聞かされても絶対理解できるわけないじゃないですか。でもちょっと覗き見したいんですよね。背伸びして大人の世界に触れてみたい、というか。(いいおっさんが… 我ながらキモイ)

Delovoye, A., Savje, F. (2020) Consistency of the Horvitz-Thompson estimator under general sampling and experimental design. Journal of Statistical Planning and Inference, 207, 190-197.

 そんなこんなで、本文が短いので読んでみた。HT推定量の一致性の一般的条件を示すのだそうです。Google様いわく、被引用件数11件。
 さあ、怖いものみたさでゴー!
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読了: Tille & Wilhelm (2017) 標本抽出デザインの良し悪しを決める三つの原理

Tille, Y., Wilhelm, M. (2017) Probability Sampling Designs: Princeples for Choice of Design and Balancing. Statistical Science, 32(2), 176-189

 Statistical Science誌の2017年の調査特集号に掲載された論文を全部読んじゃおうプロジェクト、その第4弾。この論文は標本抽出デザインの選択という話で、いまの私の関心からちょっと外れているので、メモは粗めである。
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読了: Skinner & Wakefield (2017) 標本抽出デザインと調査データ分析:イントロダクション

 仕事の都合で、調査データのウェイティングという複雑怪奇な問題について考える羽目になることがあるのだけれど、なにか役にたつ資料はないものかと探していると、Statistical Scienceの2017年の調査特集号に突き当たることが多い。去年目を通した Elliot & Valliant(2017)、先日読んだBreidt & Opsomer(2017)もこの号に掲載された論文だった。
 四の五の言わず、この号に載った9本の論文(残り7本)に片っ端から目を通しちゃえばいいのではないか、と思って、とりあえず(おそらくは編者によるのであろう)イントロをパラパラめくり始めたら、これが意外に面白く、かつ難しく… 結局、最初からメモを取りながら読み直すことになった。

Skinner, C., Wakefield, J. (2017) Introduction to the Design and Analysis of Complex Survey Data. Statistical Science, 32(2), 165-175.
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