読了:「言語哲学がはじまる」

面白かった。しばらく前に「言語哲学大全」トライアスロンというのをはじめて(飯田隆のあの4部作を通読しようという無謀な試み)、案の定1冊目で挫折していたのだが、再開するためのエネルギーを少し得たような気がする。

読了:「辻」「古都」「地球星人」「殺人出産」「エウロペアナ: 二〇世紀史概説」「城下 安政飢民抄」

今年に入って読んだ本、フィクション編、その2。

古井由吉の小説って文体が独特で、なんどか挑戦しては内心挫折していたのだけれど、このたびはじめて、少しだけ読み方が分かってきたかも、と思った。
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読了:「ギリシア悲劇 I アイスキュロス 」「ギリシア悲劇 II ソポクレス 」「スパイたちの遺産」「シェフチェンコ詩集」「好色一代男」「この世にたやすい仕事はない」「高熱隧道」

今年に入って読んだ本、フィクション編、その1。

ちくま文庫のギリシア悲劇シリーズ、ものすごく面白いわけでもないんだけど、なぜか読み進めてしまう。残るはエウリピデスの下巻のみとなった。
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読了:「日本人は漢文をどう読んだか: 直読から訓読へ」「石田徹也全作品集」

今年に入って読んだ本、単行本その3。

「石田徹也全作品集」, 求龍堂, 2010.
ちょっとお酒がはいった状態で、私鉄沿線駅前の閉店間際の小さな本屋さんを覗いたら、なぜか求龍堂のフェアをやっていて、すでに版元品切の石田徹也の全作品集が、なんと新刊で販売されていた。想定予算をはるかに上回る価格であったが、思わずレジに駆け込み、胸に抱えてふらふらと帰ってきた。ああ散財… 節約しなきゃ…
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読了:「スポメニック 旧ユーゴスラヴィアの巨大建造物」「埋木舎と井伊直弼」「MOCT 『ソ連』を伝えたモスクワ放送の日本人」「わたしと日産」「映画を追え: フィルムコレクター歴訪の旅」「ウクライナの夜: 革命と侵攻の現代史」

今年に入って読んだ単行本、その2。

マンガ「だんドーン」を読んでて井伊直弼さんに関心を持ち、たまたま見つけた本を読んでみた。版元は彦根にある地方出版社で、著者は彦根藩の家老の家柄の方。井伊直弼ゆかりの武家屋敷の保存にどれだけ苦労してきたかという話であった。戦前戦中に陸軍や県庁にいろいろ嫌がらせされたという話が興味深かった。
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読了:「ダンテ論: 『神曲』と『個人』の出現」「ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義」「21世紀の中国映画」「『モディ化』するインド」「1兆円を盗んだ男 仮想通貨帝国FTXの崩壊」「独裁が生まれた日」「シーア派: 起源と行動原理」

今年に入って読んだ単行本、その1。感想をメモしておく時間がない。なぜこんなにため込んでしまうのか…


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読了:「国家の危機」「中世ラテン語の辞書を編む」

今年に入って読んだ本、文庫編、その2。

こんなことを云うのは大変申し訳ないんだけど、他の国の政治が全然うまくいってないという話を読むと、なんだかちょっと救われる… いや、全く笑い事ではないんですが。
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読了:「豆腐の文化史」「ローマ帝国の衰退」「中国共産党 vs. フェミニズム」「ガザ紛争の正体:暴走するイスラエル極右思想と修正シオニズム」「『RRR』で知るインド近現代史」

今年に入って読んだ本、新書その2。

とても楽しい内容で、ページをめくっているあいだは至福の時間であった。こういう本ばかり読んで暮らしたいものだ。
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読了:「入門ユダヤ思想」「幕末から維新へ」「日本文化の歴史」「魔女狩りのヨーロッパ史」「暴力とポピュリズムのアメリカ史」「客観性の落とし穴」「大阪・関西万博『失敗』その本質」

今年に入って読んだ本、新書その1。


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読了:「スーパースターを唄って。」「おんなの窓」「戦争は女の顔をしていない」「ひらやすみ」「バクちゃん」

今年に入って読んだコミックス、その4。

音楽で貧困から這い上がろうとする少年たちの物語。
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読了:「ヴィンランド・サガ」「ペリリュー外伝」「北北西に曇と往け」「だんドーン」「みっしょん!!」「ツイステッド・シスターズ」「ぼっち死の館」

今年に入って読んだコミックス、その3。

私が尊敬してやまない名匠の新シリーズ、第二巻。市井の平凡な主婦が車の免許を取ろうとするという話だが、その背後には深い葛藤がうごめいている。
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読了: Kunda (1990) 動機づけられた推論

Kunda, Z. (1990) The case for motivated reasoning. Psychological Bulletin, 108(3), 480-498.

 都合により読んだ論文。「動機づけられた推論」概念を提唱した論文として広く引用されている。google scholar上の被引用件数は11422件。化け物だ。
 メモは別のところでとったので省略。

 よしひとつ読んでおくか、とめくり始めたのはよいが、掲載誌からも想像がつくように、文章が延々とつづくハードなレビュー論文で… 数ページ目から大後悔。なんとか読み終えるまでに何日もかかり、メモはpptで19ページに至った(一部を端折っているのに)。いちサラリーマンが気軽に読むようなもんじゃないよ、これ。

読了: Gengler, et al. (2021) 調査というものに対する態度と調査参加との関係 (カタールで調べました)

Gengler, J.J., Tessler, M., Lucas, R., Forney, J. (2021) ‘Why do you ask?’ The nature and impacts of attitudes towards public opinion surveys in the Arab world. British Journal of Political Science, 51, 115-136.

 調べ物の途中でみつけてなんとなくPDFを保存し、今回フォルダを整理していてなんとなく読み終えてしまった論文。現実逃避だ…
 調査参加者の調査に対する一般的態度と、調査参加行動との関係を調べた論文。そういう研究はほかにもあるが、中東のカタールでやったというのが売りである。
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読了: Taylor, Webb, & Sheeran (2013) 意図と行動がずれる理由のひとつは無節制の正当化だ

Taylor, C., Webb, T.L., Sheeran, P. (2013) ‘I deserve a treat!’: Justifications for indulgence undermine the translation of intentions into action. British Journal of Social Psychology, 53(3), 501-520.
都合により読んだもの。google様曰く、被引用件数72。
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読了: 山本(2023) キルケゴール「おそれとおののき」における信仰理解

山本隆久(2023) 『おそれとおののき』におけるキェルケゴールの信仰理解への神学的考察. 聖書と神学, 34, 23-47.

 ひょんな経緯で読んだもの。掲載誌は日本聖書神学校というところの紀要誌のようなものだと思う。DOIはついていないようだ。
 これはあれだな、やっぱりキルケゴール「おそれとおののき」というのを先に読んでないとわかんないな。調べたところ、キルケゴールの文庫はいまだ新刊で入手可能だが(まじか。すごいな)、この文章については全集にあたらないといけないようだ。

読了: De Witt Huberts, Evers, & De Ridder (2014) 節約したいのについぜいたくしたり痩せたいのについ食べちゃうのは、熟慮が衝動に負けたのではなくむしろ熟慮的な正当化の結果かも

De Witt Huberts, J.C., Evers, C., De Ridder, D.T.D. (2014) “Because I am worth it”: A theoretical framework and empirical review of a justification-based account of self-regulation failure. Personality and Social Psychology Review. 18(2), 119-138.

 ちょっと都合があって読んだもの。セルフ・コントロールの失敗(つまり、長期的な自己制御目標と短期的な誘惑目標が対立したときに後者を追及してしまうこと)を、自己制御資源の枯渇とかネガティブ感情下の衝動的行動とかで説明するのではなく、むしろ熟慮的システムによる正当化プロセスの結果として説明することができるのではないでしょうか。という、ガチに心理学な理論論文。
 メモは他の形でとったので省略。いやあ、疲れた… 勉強になったけど、そして面白かったけど(2014年の時点でバウマイスターさんたちに正面から喧嘩を売っている)、でもほんとに疲れた…
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