月別アーカイブ: 2023年4月

読了: Okada (1995) 消費者は購買を正当化しなければならない、そのせいでこんなことが起きる

Okada, E.M. (1995) Justification Effects on Consumer Choice of Hedonic and Utilitarian Goods. Journal of Marketing Research, 42(1), 43–53.

 仕事で読んだ論文。
 内容のメモは別の形でとったので省略するけれど…

 たとえばレストランのデザートメニューに、おいしそうだけどカロリー高めのやつともう少し低脂肪のやつがあるとして、もしどっちかしか載ってなかったらそれを頼むけど(カロリー高めだからやめとこうということにはならないけど)、両方載ってたら後者を選んじゃうでしょう?
 あるいは、高いカメラを買うとき、「離れた店で同じカメラがもっと安く売ってるよ」といわれたとして、必要に迫られてではなくて趣味で買うときのほうが、じゃあそっちの店まで歩くかってことになるでしょう?
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読了: Hitchcock (2003) MCMCの歴史

Hitchcock, D.B. (2003) A History of the Metropolis-Hastings Algorithm. American Statistician, 57(4), 254-257.

 仕事の都合で柄にもなくMCMCについて調べているのだけれど、なにしろ数学の知識がないので到底歯が立たない。いったいボレル測度ってなによ!? どれだけ短期間に値上げできるかってことですか!? (それはぼれる速度だ)

 ついつい現実逃避で、こんなのを読んじゃったりして、メモまでとっちゃったりなんかして…
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覚え書き:マルコフ連鎖の定常分布について

 以下は、Haggstrom(2017)「やさしいMCMC入門」(原著2002) の2-6章からのメモである。
 仕事の都合で、MCMCの基礎的な部分について考える羽目になり、いやいやちょっと待って、そもそもマルコフ連鎖がひとつの定常分布を持つってなぜいえるんだ? と疑問に思った次第である。学力がないもので、こういうところで躓くのです。

 それにしても、いったいみんなこういうのどこで覚えるの? 大学ってところで教えてるの? 俺も大学ってとこに在籍してたんだけど(それもずいぶん長い間)、全然習わなかったですけどね。参っちゃうなあ。
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読了:伊勢田(2013) ウィッグ史観のなにが悪い?

 調べものをしていて時々思うんだけど、たいていの学術書や論文はイントロで先行研究の限界を指摘する。それはいいんだけど、X学というすでに確立したディシプリンの入門書とか教科書とかのイントロ部分で、それに先行して確立していたディシプリンであるところのY学の限界をいちいち述べていることがあって、あれ、ちょっとうんざりするんですよね。あなたたちは既存体系との比較を通じてしか自らをアイデンティファイできないのかい? いつまで人をディスっているんだい? って思う。具体的にいうと行動経済学の話なんですけど… 素人の感想なので勘弁してください。
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読了: Brennan, Person & Priola (2015) 企業ブランドの内面化を通じた従業員のアイデンティティ形成(あるいは、未来の自己の動員を通じた規律権力の構築)

Brennan, M.J., Persons, E., Priola, V. (2015) Brands at work: The search for meaning in mundane work. Organization Studies, 36(1), 29-53.

 仕事の都合でコーポレート・ブランディングについて調べていて、実証とポエムとセールストークが奇妙に混淆した資料の山にほとほとうんざりしていたんだけど、たまたまこれをみつけ、あまりの面白さに読み耽ってしまった。こんなことをしている場合じゃないのに。
 記録のために書いておくけど、久保田・阿久津・余田・杉谷(2019, マーケティング・ジャーナル)のなかで、阿久津聡さん(有名な先生ですね)が、経営組織論におけるコーポレート・ブランディング研究としてこの論文を例示していたのがきっかけである。ありがとうございます。
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読了: Sanborn & Griffiths (2007) 人間MCMC

Sanborn, A.N., Griffiths, T.L. (2007) Markov Chain Monte Carlo with People. Advances in Neural Information Processing Systems 20 (NIPS 2007).

 しばらく前に読んで衝撃を受けた論文。カテゴリ判断の心理実験を一種のMCMCアルゴリズムとして捉える、という話である。被験者が課題を遂行する際の認知過程をモデル化してMCMCで推定する、という話ではなくて、課題遂行そのものがマルコフ連鎖になっているのである。
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読了:Urde (2013) コーポレート・ブランディングのフレームワークCBIMのご提案

Urde, M. (2013) The corporate brand identity matrix. Journal of Brand Management, 20(9), 742-761.

 仕事の都合で読んだ奴。コーポレート・ブランディングのためのフレームワークを提示するという話。カプフェレのブランド・アイデンティティ・プリズムみたいな壮大なポンチ絵(すいません)のコーポレート版である。
 google様いわく、被引用回数286。
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読了:De’ath (2002) 多変量回帰木のご提案

 Rで決定木・回帰木モデルをつくるとき、標準のrpart::rpart()を使ってもいいし、他にもパッケージが山ほどある。なのに、巷の解説をみると、なぜかmvpartパッケージを使って説明していることが多い。すでに公開停止されたパッケージなのに、なぜか今でも広く使われているように思う。なぜだろう? そんなに使いやすいわけでもないんですけど。
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