月別アーカイブ: 2024年4月

Berger & Tille (2009) 確率不均一な標本抽出

Berger, Y.G., Tille.Y. (2009) Sampling with Unequal Probabilities. Handbook of Statistics, Vol. 29A. Sample Surveys: Design, Methods and Applications. 39-54.

 ポアソン抽出みたいな感じの標本抽出についてあれこれ調べていたんだけど、基礎知識が足りないのに論文ばかり読んでいても… と思って、試しに読んでみたやつ。
 これもぼやきになっちゃいますけど、標本抽出論っていったいどこで学ぶんだ? 皆目見当がつかない。
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読了: Sever & Salehi (2013) 逆抽出デザインのための推定量

Seber, G.A.F., Salehi, M.M. (2013) “Adaptive Sampling Design: Inference for Sparse and Clustered Populations.” Springer. Chapter 5. Inverse Sampling Methods.

 ちょっと関心があって、適応的抽出デザインについてのモノグラフ(全6章)を読んできた(1章, 2章, 3章)。いよいよ、この本を読み始めた目的である第5章、逆抽出についての解説である。
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読了: Ohlsson (1998) 系列ポアソン抽出

Ohlsson, E. (1998) Sequential Poisson Sampling. Journal fo Official Statistics, 14(2), 149-162.

 いまやっている調べ物のついでに読んだやつ。標本サイズを固定した確率不均一抽出デザインのひとつ、系列ポアソン抽出を提案した論文である。
 標本抽出法について調べていると、考案したあなたしか使ってないんじゃないかというようなマイナーな新手法提案がちらほらあるんだけど、この論文はgoogle様曰く被引用回数116。実際に現役の抽出デザインだと思う。
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読了: Seber & Salehi (2013) 適応的抽出デザインに関心があるおまえが学ばなねばならないRao-Blackwell化

Seber, G.A.F., Salehi, M.M. (2013) “Adaptive Sampling Design: Inference for Sparse and Clustered Populations.” Springer. Chapter 3. Rao-Blackwell Modifications.

 適応的抽出デザインについてのモノグラフの第3章。実をいうと5章の逆抽出についての章を読みたいだけなんだけど、いきなり読んでも訳が分からないので最初から目を通している次第である。
 出たよ、Rao-Blackwellの定理… 恥ずかしながら、このあたりの話が理解できたためしがない。そもそも数学がからきしだめだから文系の学部に行ったのに、なんでこの年になってこんな目にあっているのだろうか。憂鬱だなあ。
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読了: Seber & Salehi (2013) 適応的クラスタ抽出デザイン、そして適応的抽出デザインでの母平均推定量

Seber, G.A.F., Salehi, M.M. (2013) “Adaptive Sampling Design: Inference for Sparse and Clustered Populations.” Springer. Chapter 2. Adaptive Cluster Sampling.

 適応的抽出についてのモノグラフ、全6章のうちの第2章。適応的クラスタ抽出についての章だが、この抽出デザインが主題というより、この抽出デザインを題材として適応的抽出の際の主要な推定量を導出する、という主旨だと思う。
 苦手分野だけど、たったの12ページだ。がんばろう! と気合をいれて…
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読了: Seber & Salehi (2013) 適応的標本抽出デザインの世界へようこそ

Seber, G.A.F., Salehi, M.M. (2013) “Adaptive Sampling Design: Inference for Sparse and Clustered Populations.” Springer. Chapter 1. Basic Ideas.

 適応的な標本抽出についての70ページくらいのモノグラフの第一章。
 著者らが書いた別の資料を読んでいて、理屈が全くわかんなかったので(特にMurthey推定量というのがわからんかった)、勉強のために読んでみた。不得意分野でもあることだし、細かくメモを取るぞ!と気合を入れて読み始めたのだが、まだイントロなもので、あんましややこしい話はない。
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読了: Greco & Naddeo (2007) 抽出確率が不均一な逆抽出デザインでの母合計推定量

Greco, L., Naddeo, S. (2007) Inverse Sampling with Unequal Selection Probabilities. Communications in Statistics: Theory and Methods. 36, 1039-1048.

 いま調べていることの足しになるかなと思ってめくったやつ。抽出確率が確率不均一な逆抽出デザインでの母合計推定の話。Google様いわく、被引用件数18件。さみしい。
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読了:Datta & Polson (2022) 標本調査におけるIPW推定量からモンテカルロ法におけるIPW推定量へ

Datta, J., Polson, N. (2022) Inverse Probability Weighting: from Survey Sampling to Evidence Estimation. arXiv:2204.14121v2.

 IPW推定量についての解説だというので、勢い込んでめくってみたんだけど、調査データ分析とか因果推論とかじゃなくて、シミュレーションの話で出てくる、重点サンプリングっていうの? ああいう角度からの話であった。わたくし、そういう難しい話ってよくわかんないので、なけなしの関心がかろうじて維持できた部分についてのみメモする。
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読了: Tille (2016) 包含確率が不均一な逆抽出

Tille, Y. (2016) Unequal probability inverse sampling. Survey Methodology, 42(2), 283-295.

 3年位前からずっとあれこれ思い悩んでいた問題があって、このたびその問題について自分なりにまとめた説明を作っていて、たまたま見つけた関連論文をなにかの足しになるかなと思って眺めていたところ、不意に、これじゃん! と気が付いた。一見そうは見えないけれど、まさにこれこそが自分が抱えている問題ではないか。ぞわぞわっと鳥肌が立ち、慌ててきちんと読み始めた。

 マーケティング・リサーチにおけるささやかな問題について悩んでいるはずだったのに、なんということでしょう、まさかの標本抽出法の論文である。できれば関わり合いを持ちたくない分野だ。
 二段目がポアソン抽出の逆抽出であるような標本抽出法についての解説。カナダにJob Vacancy and Wage Surveyというのがあり、そこでの標本抽出を例に挙げている。著者は先日読んだ標本抽出についての論文の著者である。
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読了:Herbison, et al. (2011) 臨床試験における「二重盲検化したといってはいるが実はいい加減な手続き」によるバイアス

Herbison, P, Hay-Smith, J., Gillespie, W.J. (2011) Different methods of allocation to groups in randomized trials are associated with different levels of bias. A meta-epidemiological study. J. Clinical Epidemiology, 63, 1070-1075.

 読み始めてすぐに「これは俺が探しているものではない…」と気が付いてしまったのだが、面白半分に読み終えてしまった。
 臨床試験で、患者を統制群と処置群に割り当てるとき、どちらに割り当てられたかは患者には知らせないわけだが、隠し方が甘いこともあるよね。そういうときどうなるか、というメタ分析。
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読了:Gambino (2009) 「デザイン効果」利用者諸君への注意事項

Gambino, J. G. (2009) Design Effect Caveats. The Americal Statistician, 63(2), 141-146.

 調査データ解析に関してときどき出てくる話題である「デザイン効果」についての資料を探していたら、2009年のAmerican Statisticianに解説が載っているのを見つけた。ありがたや。考えてみれば2009年は最近とはいえないが、話題自体がわりかし古いので、この話題の解説としては新しめであるといえよう。
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読了: Kish(1995) デザイン効果とはなにか

Kish, L.(1995) Methods for Design Effects. Journal of Official Statistics, 11, 55-77.

 調査データ解析のレジェンド、Kish大先生によるデザイン効果の解説。デザイン効果ってのはあれですね、推定量の分散が標本デザインのせいでどれだけ拡大したかってやつですね。調査に関わる多くの人にとってさえ、わりかしどうでもいい話かもしれないが、マーケティング・リサーチにおいては結構深刻な話題である。その深刻さに気付いているかどうかは別にして。
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