月別アーカイブ: 2023年5月

読了: Glickman & Jensen (2005) 一対比較の適応的実験計画 by ベイジアン最適計画アプローチ

Glickman, M.E., Jensen, S.T., (2005) Adaptive paired comparison design. Journal of Statistical Planning and Inference, 127, 279-293.

 仕事の都合で一対比較法の実験計画の動的最適化について考えていて(なぜこんな柄にもないことを考えているのか…)、タイトルがそのものずばりだったのでめくってみた。Google様いわく被引用件数73件。この分野では多いのだろうか、少ないのだろうか。

 本論文はあいにくトーナメント戦の設計を考えていて(大相撲の15日間の各日の取り組み表を決めるというような状況)、私が抱えているところの、調査における刺激の心理量の一対比較測定という問題とは、いっけん乖離が著しいのだが、でも本質的には同じ話なんだろうなと思う。
続きを読む

読了: Geyer (2011) MCMC入門 (前編)

 仕事の都合でMCMCについて考えていて、マルコフ連鎖が目標分布に収束する理由がやっぱりわかんなくなってしまった。説明を読んだときには「よし理解した」と思うんだけど、いざちょっと応用的な問題になると、実は本当はよく理解できていないということに否応なしに気づかされるのである。

Gayer, C.J. (2011) Introduction to Markov Chain Monte Carlo. in Brooks, S., et al. (eds) “Handbook of Markov Chain Monte Carlo“, CRC Press.

 諦めてはなるまい、というので、MCMCについての分厚い論文集の最初に載っている解説の章を読んでみた。
 全17節。さあ深呼吸。
続きを読む

読了: Hsu, Martin, Sanborn, & Griffiths (2019) 人間MCMC・離散バージョン

Hsu, A.S., Marting, J.B., Sanborn, A.N., Griffiths, T.L. (2019) Identifying category representations for complex stimuli using discrete Markov chain Monte Carlo with people. Behavior Research Methods, 51, 1706-1716.

 最近は仕事の都合で、朝から晩までMCMCのことばっかり考えているんだけど、本論文はSanborn & Griffiths (2007) の後続論文。彼らが考案した測定手法・人間MCMCに焦点を当てた解説論文である。
 掲載誌は、私が院生の頃はBRMICという誌名で、結構トンチキなのが平気で載っていたものであったが… 立派になったねえ…
続きを読む

読了: 西本・勝又(2018) WTP測定手法の比較(自由回答、第一価格オークション、Vickreyオークション、BDM)

西本章宏, 勝又壮太郎(2018) コンジョイントデザインを用いた消費者のWillingness to Pay測定方法の比較. 流通研究, 21(3), 15-25.

 仕事の都合で読んだ。WTP測定方法を比較する実験。日本でもこういうことをやっている方がおられるのね、ありがたいことであります。
続きを読む

読了: Sonner, Aislie, & Otther (2007) コンジョイント分析で属性のWTPを推定したいとき、価格の効用を真面目に推定したほうが良いか、いっそ傾き1に固定しちゃった方が良いか

Sonnier, G., Ainslie, A., Otther, T. (2007) Heterogeneity distributions of willingness-to-pay in choice models. Quantitative Marketing and Economics, 5, 313–331.

 仕事の足しになるかと思って読んだ奴。Googleさんいわく被引用件数223。経済学の論文としては、これって多いほうなんですかね?
 最初なにいってんだかわかんなくなって混乱したんだけど、ここでいっているWTPというのは製品そのものに対する支払意思額のことではなく、価格以外の属性の部分効用の増分を価格に換算した値のことである(たとえば、同じ製品がブランドBじゃなくてAだったらいくら多めに払うか)。
続きを読む

読了: Breidert, Hahsler & Reutterer (2006) 支払意思額の測定手法レビュー

Breidert, C., Hahsler, M., Reutterer, T. (2006) A review of methods for measuring willingness-to-pay. Innovating Marketing, 2(4), 8-32

 仕事の都合で読んだ。WTP(支払意思額)測定手法のレビュー。てっきりCVM(仮想評価法)のレビューだと思って放置していた。
続きを読む

覚え書き:MCMCの収束速度を求めてみよう

 相変わらずMCMCについてぐちぐちと考えている。以下、Haggstrom(2017)「やさしいMCMC入門」(原著2002) からのメモ、第二弾。今回は7-8章からのメモで、MCMCの収束速度について。

 この本の特徴なんだけど、有限状態・離散時間のマルコフ連鎖に話が限定されている。ときどき「これ状態が可算無限だったり非可算無限だったらどうなるんだろうか」と疑問に思う箇所があるんだけど、千里の道も一歩から、である。まあそうやって時間切れで死んでいくんだけどな。
続きを読む

読了: Sisson & Fan (2011) 尤度を使わないMCMC

Sisson, S.A., Fan, Y. (2021) Likelihood-Free MCMC. in Brooks, S., et al.(eds) “Handbook of Markov Chain Monte Carlo,”, CRC Press.

 尤度フリーMCMCについての解説。いま仕事の関係で悩んでいることについて、ちょっとした手がかりでも得られるかも、と思って目を通した。高い本を買っちゃったから無理にでもモトを取らなくちゃ、というのがもう一つの動機である。
続きを読む

読了: Chib & Greenberg (1995) Metropolis-Hastingsアルゴリズム解説

Chib, S., Greenberg, E. (1995) Understanding the Metropolis-Hastings Algorithm. American Statistician, 327-335.

 MCMCの古典的手法であるMetropolis-Hastingsアルゴリズムについての解説。Hitchcock(2003) によれば、この手法の普及させる立役者となった論文なのだそうだ。
 現在では日本語でも優れた解説が山のようにあるのに、いまになってこれを読んでいるのは無駄なような気もするんだけど… なんとなく目を通してしまった。
続きを読む

覚え書き: 私はもうε-δ論法を忘れない (たぶん)

 私のやっているようなささやかな仕事のなかでも、なにか技術的な説明を読まなければならないことがあって、たまに「任意の正の数\(\varepsilon\)に対して適当な正の数 \(\delta\)が存在して…」というような説明を目にすることがある。私はそういう難しい話がわからなかったせいで、流れ流れてここに至っているのに。なんでこのトシになってそんなのを読まねばならんのか。人生というのはなにか壮大な罰ゲームのようなものではないかと思うことがある。
 なんでも、こういうロジックは\(\varepsilon-\delta\)論法といい、頭のいい大学に行った学生さんはみんな習うんだってさ。みーーーんな!! 習うんだってさ!!! 知らんけど。
 というわけで、こういう説明を目にするたびに、私はだめだ… という胃液のような苦酸っぱい思いがこみあげてくる次第である。辛い。
続きを読む