読了:「知能低下の人類史」「『トランプ信者』潜入一年」「ルポ プーチンの戦争」「私たちが描いたアニメーション『平家物語』」「朝日新聞政治部」

ついうっかり買っちゃったから目を通したけど、次第に目が点に…。これってどうなの…? 真剣に読むに値する本なの? 知能研究の専門家の方、教えて下さらないでしょうか。
 → いま検索したら、著者のひとりについての最近のNYTの記事をみつけた。ああ、やはりなあ…
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読了:「全体主義の誘惑 オーウェル評論選」「物語 ウクライナの歴史」「ホモ・エコノミクス」「団地と移民」

オーウェルの評論集は岩波、光文社、平凡社など数社から出ていて、収録内容に重なりがあるような気がする。メモしておくと、本著に収録されているのは、「聖職者特権 サルバートル・ダリについての覚書」「ナショナリズムについての覚書」「文学を阻むもの」「政治と英語」「なぜ書くか」「作家とリヴァイアサン」「ガンジーについて思うこと」、ヒトラー「我が闘争」書評、サルトル「反ユダヤ主義者の肖像」書評。
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読了:「ヴァンデ戦争」「謎の独立国家ソマリランド」「タリバン台頭」「大俳優 丹波哲郎」「フェルメール デルフトの眺望」

フランス革命政府に抗してフランス西部で生じた民衆蜂起とその弾圧について述べた本。まさに大量虐殺である。こんなことがあったのね…
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読了:「香港秘密行動 『勇武派』10人の証言」「『オピニオン』の政治思想史」「ルネサンス 情報革命の時代」「サカナとヤクザ」「決戦!株主総会」

香港の民主化運動で、街頭での暴力を辞さない「勇武派」と呼ばれた青年たちへの生々しいインタビュー集。
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読了:「戦争はいかに終結したか」「物語 バルト三国の歴史」「家計簿からみる中国 今ほんとうの姿」「アガンペン読解」「カタコトのうわごと」

4月から8月にかけて読んだ本、ノンフィクション部門。

イタリアの哲学者アガンペンについての入門書なのだけれど、難しい… 法外に難しいよ…
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読了:「ROCA 吉川ロカストーリーライブ」「インド夫婦茶碗」「入江喜和画業30周年記念 キワ本」「ブランチライン」「深夜食堂」

 ギャグマンガの巨匠いしいひさいちさんの自主出版本。通販で入手。
 10年ほど前だろうか、朝日新聞朝刊の連載「ののちゃん」に、ファド歌手を目指す女子高生ロカとその相棒を描いたエピソードが時々掲載されていたことがあった。本書はその部分を取り出してストーリー4コマとして完成させたものである。
 頭でわかってはいたのだが、著者の絵の上手さといったらもう…。終盤は鳥肌が立つようであった。コマとコマのあいだに感情が溢れ出る傑作。
 2023/08/14追記: 電子化されたので、amazon kindleのリンクを張った。通販はこちら
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読了:「セシルの女王」「女の子がいる場所は」「タコピーの原罪」「チ。」「ワカコ酒」

のちにエリザベス一世の重臣となるウィリアム・セシルの少年期に視点を置いて、ヘンリー八世の宮廷と社会を描く歴史物語。面白い。
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読了:「あかり」「オール・ザ・マーブルズ!」「またのお越しを」「ダンジョン飯」「生き残った6人によると」

「傘寿まりこ」の連載を終えた著者の新連載は、着物が題材のようだ。類似作が多い分野だが、本作は現代の着物ビジネスの暗部も描く模様。
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読了:「緑の歌」「台湾の少年」「ひらやすみ」「BLUE GIANT EXPLORER」「戦争は女の顔をしていない」

台湾のマンガ家・イラストレーターが描く内気な少女の青春。正直いって好みのマンガではないのだけれど(きみの悩みはどうでもいいよ、と思ってしまう)、一頁一頁がとても美しい。
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読了:「タイムスリップ・オタガール」「おかあさんの扉」「吼えろペンRRR」「ツイステッド・シスターズ」「聖☆おにいさん」

4月頃から8月にかけて読んだ本。まずはコミックスから。

陰気でコミュ障なアラサー女が中学生にタイムスリップし、暗かった青春をやり直そうとするコメディ、最終巻。なかなか面白かった。
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読了:Mayer, Davies, Schoorman (1995) 組織における信頼とはなにか

Mayer, R.C., Davies, J.H., Schoorman, F.D. (1995) An integrative model of organizational trust. The Academy of Management Review, 20(3), 709-734.

 仕事の都合で読んだ奴。
 経営学における信頼(trust)の研究の古典らしい。ボッツマン「トラスト」の注でも引用されていた。google様いわく、被引用件数28473… まじか…。にもかかわらず、前に読んだ東大教育の院生さんの信頼研究レビューでは引用されていない。経営学と心理学のこのギャップってなんなの。
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読了: Little(2011) Calibrated Bayesアプローチからみた欠損データ分析

Little, R. (2011) Calibrated Bayes, for Statistics in General, and Missing Data in Particular (with comments and a rejoinder). Statistical Science, 26(2), 162-186.

 統計学者Little先生があちこちで提案している Calibrated Bayes アプローチについて調べていて、その一環として読んだ奴。
 良く引用されるLittle(2011)は2012年にメモをとりながら読んでいたのだが、私には話が大きすぎ、いまいち雲をつかむような感じでよく分からなかった。この論文は「欠損データ」と問題が狭く指定されているので、もう少しわかりやすいかと思ったのだが…
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読了: Sterba (2009) 母集団のモデルベース推論とデザインベース推論、そしてその統合

Sterba, S.K., (2009) Alternative model-based and design-based frameworks for inference from samples to populations: From polarization to integration. Multivariate Behavioral Research. 44(6), 711-740.

 仕事の都合で読んだ奴。心理学者のみなさん向けに、model-basedの統計的推論とdesign-basedの統計的推論を統合したアプローチを紹介するというもの。
 なお、本文中には統合的アプローチのためのソフトのレビューをonline appendixで提供していると書いてあるが、見当たらない(本文中のURLはリンク切れ)。Mplusとかが紹介してあったようだ。
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読了:Chaudhuri & Holbrook (2001) ブランドへの信頼とポジティブ感情がロイヤルティを経由してシェアや価格に効く

Chaudhuri, A., Holbrook, M.B. (2001) The Chain of Effects from Brand Trust and Brand Affect to Brand Performance: The Role of Brand Loyalty. Journal of Marketing, 65(2), 81-93.

 仕事の都合で読んだ。
 トップジャーナルの論文だしさ、なんらか仕事の足しになるかなあと思ったんだけどさ…
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読了: Elliot & Valliant (2017) 非確率標本に基づいて推測を行うふたつのアプローチ

Elliot, M.R., Valliant, R. (2017) Inference for nonprobability samples. Statistical Science, 32(2), 249-264.

 仕事の都合で読んだ奴。非確率標本からの統計的推測についての概観論文。
 市場調査実務家というのは「統計学の先生のいうことは無作為標本を前提とした綺麗ごとなので僕らの仕事にはあまり役立ちません」「それよりもビジネス理解が大事です」などと言い訳を繰り返していてもなんとかなる気楽な商売なのだが、実際には本論文のように仕事と直結する統計学の研究はたくさんあり、学びうることは多い。あまりに多い。真面目に考えるとなかなか辛い。言い訳を繰り返していた方が健康的かもしれない。
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読了:山本(2012) Majority Judgment解説

山本芳嗣 (2012) 1人1票からMajority Judgmentへ. オペレーションズ・リサーチ, 57(6), 295-301.

 Balinski & Laraki (2011) “Majority Judgment”の解説(あれ、この論文では2010年刊行となっているぞ?)。Balinski & Laraki のPNAS論文がとても難しかったので、この論文で復習した次第である。日本語で解説が読めるなんて、ありがたいことだ。
 PNAS論文を読んでて、「個々の判定者が一部の選択肢しか評価してない場合はどうすればいいの…」と思ってたのだが、著書のほうにはそういう議論もあるんだそうな。

読了:Balinski & Laraki (2007) Majority Judgement とはなにか

Balinski, M., Laraki, R (2007) A theory of measuring, electing, and ranking. PNAS, 104(21), 8720-8725.

 研究会で経済学の先生に、majority judgementという社会的決定ルールがあると教えて頂き、俺にもわかるだろうか?と探して読んでみた。たった6頁だけど、けっこうしんどい。
 定理の証明は著者らの近著 “One-Value, One-Vote: Measuring, Electing and Ranking” をみよとのこと。おそらく “Majority judgment: measuring, ranking, and electing“(2011)のことであろう。
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読了: Gelman (2007) ウェイティングと回帰モデリングを巡る悪戦苦闘 (質疑応答編)

引き続き、Gelman(2007) のメモ。

Gelman, A. (2007) Struggles with survey weighting and regression modeling. (with commentaries.) Statistical Science. 22(2), 153-164.

 論文に対して寄せられた5人の識者によるコメントと、Gelmanさんによる返答を読んでみた。
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読了: Gelman (2007) ウェイティングと回帰モデリングを巡る悪戦苦闘 (8年ぶり2回目)

 仕事の都合でGelmanらのMRP(マルチレベル回帰・事後層別)についてちょっとだけお話しする機会があって、資料を準備していてふと気がついたんだけど、Gelmanさんが前に書いた”Struggles…”という面白い論文があった。あれはMRPの萌芽だったんじゃないだろうか。あの論文ではそうは呼ばれていなかったけど。

Gelman, A. (2007) Struggles with survey weighting and regression modeling. (with commentaries.) Statistical Science. 22(2), 153-164.

 私は2014年にメモをとりながら読み終えている。メモを読み返してみると、手法提案論文というよりはもっと大きな枠組みを提示した論文なのだが、確かに、MRPの基本アイデア(非確率標本に対する階層回帰と事後層別)が提示されている。
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読了: Dutwin & Buskirk (2017) 回収率が低いRDD調査とネットパネルの調査、どっちがましか

Dutwin, D., Buskirk, T.D. (2017) Apples to Oranges or Gala Versus Golden Delicious? Comparing Data Quality of Nonprobability Internet Samples to Low Response Rate Probability Samples. Public Opinion Quarterly, 81, 213-249.

 これも2017年POQ「サーヴェイ調査の明日」特集号より。
 タイトル通り、確率標本ではないネットパネル調査と、確率標本ではあるが回収率が低い調査のどっちがいいかという地獄のような話題である。第一著者はSocial Science Research Solutionsという調査会社の人。もの知らずなものでタイトルの表現がよくわからなかったのだが、GalaとGolden Deliciousというのはリンゴの品種らしい。
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