九津見房子、声だけを残し
斎藤 恵子続きを読む
電子書籍で読んだコミックスも記録しておこう。
農婦譚
住井すゑの短編集(底本は1940年刊)。土浦市の出版社・筑波書林の1983年刊のハードカバーで、当然ながらISBNはついていない。本屋さんの自由価格本コーナーで見つけた。
意外にも、ちょっぴりピランデッロを連想させる硬質な農民小説であった。著者は「橋のない川」で知られる作家だが、戦争協力の逸話が記憶にあり、予断があったかもしれない。
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いろいろな場面でホーリネス弾圧について話す機会があります。そうしたときに、ひたすら同情して下さる方がいます。哀れな弾圧被害者に同情したいのか、同情できる自分に酔いたいのか、とさえ思うことがあります。意地悪な言い方に聞こえるかもしれませんが、[…] 物分かりが良すぎて、問題の本質まで考えようとしないことが起きるからです。
諸教派・諸団体から、いわゆる戦争責任告白が出され、いろいろな取り組みがなされていながら、物分かりの良すぎる自己批判と隣人愛が目を曇らせるのです。弾圧、沖縄、アジア、ハンセン病、政治、憲法、教育などなど、課題は多いのですが、同情するだけでも、義憤にかられ正義を主張するだけでも意味がありません。[…]
いまや私たちは、社会情勢について、教会の体質について、いくらでも分析し批判することができます。それでいて、自分自身に気づかないということが起きるのです。[…]私たちは、歴史を学びながら、感性を磨いていかなければなりません。そうしたことが必要な時代に踏み込みつつあるように感じるのです。
ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ
ギャグマンガの巨匠いしいひさいちさんの自主出版本。通販で入手。
10年ほど前だろうか、朝日新聞朝刊の連載「ののちゃん」に、ファド歌手を目指す女子高生ロカとその相棒を描いたエピソードが時々掲載されていたことがあった。本書はその部分を取り出してストーリー4コマとして完成させたものである。
頭でわかってはいたのだが、著者の絵の上手さといったらもう…。終盤は鳥肌が立つようであった。コマとコマのあいだに感情が溢れ出る傑作。
2023/08/14追記: 電子化されたので、amazon kindleのリンクを張った。
2025/04/30追記: amazonでの電子書籍販売は終了した由。
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Mayer, R.C., Davies, J.H., Schoorman, F.D. (1995) An integrative model of organizational trust. The Academy of Management Review, 20(3), 709-734.
仕事の都合で読んだ奴。
経営学における信頼(trust)の研究の古典らしい。ボッツマン「トラスト」の注でも引用されていた。google様いわく、被引用件数28473… まじか…。にもかかわらず、前に読んだ東大教育の院生さんの信頼研究レビューでは引用されていない。経営学と心理学のこのギャップってなんなの。
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Little, R. (2011) Calibrated Bayes, for Statistics in General, and Missing Data in Particular (with comments and a rejoinder). Statistical Science, 26(2), 162-186.
統計学者Little先生があちこちで提案している Calibrated Bayes アプローチについて調べていて、その一環として読んだ奴。
良く引用されるLittle(2011)は2012年にメモをとりながら読んでいたのだが、私には話が大きすぎ、いまいち雲をつかむような感じでよく分からなかった。この論文は「欠損データ」と問題が狭く指定されているので、もう少しわかりやすいかと思ったのだが…
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