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2017年12月10日 (日)
トラクターの世界史 - 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち (中公新書)
[a]
藤原 辰史 / 中央公論新社 / 2017-09-20
題名の通り、トラクターの歴史についての本。これは評判になるだろうなあと思いながら目を通した。案の定、売れている模様。
ハプスブルク帝国 (講談社現代新書)
[a]
岩崎 周一 / 講談社 / 2017-08-17
権力の空間/空間の権力 個人と国家の〈あいだ〉を設計せよ (講談社選書メチエ)
[a]
山本 理顕 / 講談社 / 2015-04-11
なんとなく手に取ったのだが、これは難解ながらも面白い本であった。建築家による、私はアーレントをこう読んだ、という本。
分解するイギリス: 民主主義モデルの漂流 (ちくま新書 1262)
[a]
近藤 康史 / 筑摩書房 / 2017-06-06
ナチスの「手口」と緊急事態条項 (集英社新書)
[a]
長谷部 恭男,石田 勇治 / 集英社 / 2017-08-19
文化大革命:〈造反有理〉の現代的地平
[a]
/ 白水社 / 2017-08-23
テーリー・ガーター 尼僧たちのいのちの讃歌 (角川選書)
[a]
植木 雅俊 / KADOKAWA / 2017-07-28
ブラック・フラッグス(下):「イスラム国」台頭の軌跡
[a]
ジョビー・ウォリック / 白水社 / 2017-07-26
ブラック・フラッグス(上):「イスラム国」台頭の軌跡
[a]
ジョビー・ウォリック / 白水社 / 2017-07-26
読了:「権力の空間/空間の権力」「ブラック・フラッグス」「テーリー・ガーター」「文化大革命 <造反有理>の現代的地平」「ナチスの『手口』と緊急事態条項」「分解するイギリス-民主主義モデルの漂流」
路地の子
[a]
上原 善広 / 新潮社 / 2017-06-16
歌うカタツムリ――進化とらせんの物語 (岩波科学ライブラリー)
[a]
千葉 聡 / 岩波書店 / 2017-06-14
習近平の中国――百年の夢と現実 (岩波新書)
[a]
林 望 / 岩波書店 / 2017-05-20
観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書)
[a]
亀田 俊和 / 中央公論新社 / 2017-07-19
人間の居場所 (集英社新書)
[a]
田原 牧 / 集英社 / 2017-07-14
バルカン―「ヨーロッパの火薬庫」の歴史 (中公新書)
[a]
マーク・マゾワー / 中央公論新社 / 2017-06-20
人口減少時代の土地問題 - 「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ (中公新書)
[a]
吉原 祥子 / 中央公論新社 / 2017-07-19
読了:「人口減少時代の土地問題」「バルカン」「人間の居場所」「路地の子」「歌うカタツムリ」「習近平の中国」「観応の擾乱」
杜甫のユーモア ずっこけ孔子
[a]
興膳 宏 / 岩波書店 / 2014-03-27
中国古典文学の研究者による軽いエッセイ集。
新しい中世 相互依存の世界システム (講談社学術文庫)
[a]
田中 明彦 / 講談社 / 2017-08-10
カラスの教科書 (講談社文庫)
[a]
松原 始 / 講談社 / 2016-03-15
新装版 キン・フー武俠電影作法
[a]
キン・フー,宏一, 山田,幸洋, 宇田川 / 草思社 / 2017-05-26
ユニコード戦記 ─文字符号の国際標準化バトル
[a]
小林龍生 / 東京電機大学出版局 / 2011-06-10
高倉健 七つの顔を隠し続けた男
[a]
森 功 / 講談社 / 2017-08-30
アルカイダから古文書を守った図書館員
[a]
ジョシュア・ハマー / 紀伊國屋書店 / 2017-06-15
読了:「アルカイダから古文書を守った図書館員」「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」「ユニコード戦記」「杜甫のユーモア ずっこけ孔子」「新しい中世」「カラスの教科書」「キン・フー 武侠映画作法」
2017年8月18日 (金)
THIS IS JAPAN――英国保育士が見た日本
[a]
ブレイディ みかこ / 太田出版 / 2016-08-17
宝くじで1億円当たった人の末路
[a]
鈴木 信行 / 日経BP / 2017-03-25
面白いコンセプトの本だとは思うんだけど... ビジネス誌連載だけあって、妙に説教くさい内容であった。
読了:「THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本」「宝くじで1億円当たった人の末路」
美少女美術史: 人々を惑わせる究極の美 (ちくま学芸文庫)
[a]
英洋, 池上,咲紀, 荒井 / 筑摩書房 / 2017-06-06
舞台をまわす、舞台がまわる - 山崎正和オーラルヒストリー
[a]
山崎 正和 / 中央公論新社 / 2017-03-21
全裸監督 村西とおる伝
[a]
本橋 信宏 / 太田出版 / 2016-10-18
恋愛を数学する (TEDブックス)
[a]
ハンナ・フライ / 朝日出版社 / 2017-02-21
ロベスピエール
[a]
ピーター・マクフィー / 白水社 / 2017-02-25
読了:「美少女美術史 人々を惑わせる究極の美」「舞台をまわす、舞台がまわる 山崎正和オーラルヒストリー」「全裸監督 村西とおる伝」「恋愛を数学する」「ロベスピエール」
「Gゼロ」後の世界―主導国なき時代の勝者はだれか
[a]
イアン・ブレマー / 日本経済新聞出版社 / 2012-06-23
抗うニュースキャスター
[a]
金平 茂紀 / かもがわ出版 / 2016-09-16
聞書き 遊廓成駒屋 (ちくま文庫)
[a]
宣武, 神崎 / 筑摩書房 / 2017-01-10
増補 モスクが語るイスラム史: 建築と政治権力 (ちくま学芸文庫)
[a]
正, 羽田 / 筑摩書房 / 2016-12-07
シェイクスピア・カーニヴァル (ちくま学芸文庫)
[a]
コット,ヤン / 筑摩書房 / 2017-02-08
読了:「「Gゼロ」後の世界 主導国なき時代の勝者はだれか」「抗うニュースキャスター」「聞書き 遊郭成駒屋」「増補 モスクが語るイスラム史 建築と政治権力」「シェイクスピア・カーニヴァル」
社会学入門―人間と社会の未来 (岩波新書)
[a]
見田 宗介 / 岩波書店 / 2006-04-20
プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書)
[a]
深井 智朗 / 中央公論新社 / 2017-03-21
身近な自然の観察図鑑 (ちくま新書1251)
[a]
盛口 満 / 筑摩書房 / 2017-04-05
ここからは単行本。
日本会議をめぐる四つの対話
[a]
菅野 完,村上 正邦,魚住 昭,横山 孝平,白井 聡 / ケイアンドケイプレス / 2016-12-11
ギリシャ危機と揺らぐ欧州民主主義――緊縮政策がもたらすEUの亀裂
[a]
尾上 修悟 / 明石書店 / 2017-03-10
本というのは読んでみないとわからないもので、私のような門外漢にも大変考えさせられる本であった。日本の明日と重ねて読み耽った次第。
シリーズ<本と日本史> 3 中世の声と文字 親鸞の手紙と『平家物語』 (集英社新書)
[a]
大隅 和雄 / 集英社 / 2017-01-17
ルポ 絶望の韓国 (文春新書)
[a]
愛博, 牧野 / 文藝春秋 / 2017-05-19
ドキュメント 日本会議 (ちくま新書1253)
[a]
藤生 明 / 筑摩書房 / 2017-05-09
偽りの経済政策――格差と停滞のアベノミクス (岩波新書)
[a]
服部 茂幸 / 岩波書店 / 2017-05-20
自民党―「一強」の実像 (中公新書)
[a]
中北 浩爾 / 中央公論新社 / 2017-04-19
読了:「中世の声と文字 親鸞の手紙と「平家物語」」「ルポ 絶望の韓国」「ドキュメント 日本会議」「偽りの経済政策 格差と停滞のアベノミクス」「自民党 「一強」の構造」
東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書)
[a]
大西 康之 / 講談社 / 2017-05-17
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
[a]
河合 雅司 / 講談社 / 2017-06-14
弘法大師空海と出会う (岩波新書)
[a]
川崎 一洋 / 岩波書店 / 2016-10-21
貧困と地域 - あいりん地区から見る高齢化と孤立死 (中公新書)
[a]
白波瀬 達也 / 中央公論新社 / 2017-02-19
バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)
[a]
前野ウルド浩太郎 / 光文社 / 2017-05-17
読了:「東芝解体 電機メーカーが消える日」「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」「弘法大師空海と出会う」「貧困と地域 あいりん地区から見る高齢化と孤立死」「バッタを倒しにアフリカへ」
シリア情勢――終わらない人道危機 (岩波新書)
[a]
青山 弘之 / 岩波書店 / 2017-03-23
新しい幸福論 (岩波新書)
[a]
橘木 俊詔 / 岩波書店 / 2016-05-21
ロシア革命――破局の8か月 (岩波新書)
[a]
池田 嘉郎 / 岩波書店 / 2017-01-21
経済学のすすめ-人文知と批判精神の復権 (岩波新書)
[a]
佐和 隆光 / 岩波書店 / 2016-10-20
パウロ 十字架の使徒 (岩波新書)
[a]
青野 太潮 / 岩波書店 / 2016-12-21
まさかの面白本。パウロさん、いろいろ大変だったんだなあ、と...
読了:「シリア情勢 終わらない人道危機」「新しい幸福論」「ロシア革命 破局の8か月」「経済学のすすめ 人文知と批判精神の復権」「パウロ 十字架の使徒」
応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)
[a]
呉座 勇一 / 中央公論新社 / 2016-10-19
日本と中国経済: 相互交流と衝突の100年 (ちくま新書1223)
[a]
梶谷 懐 / 筑摩書房 / 2016-12-06
ルポ 難民追跡――バルカンルートを行く (岩波新書)
[a]
坂口 裕彦 / 岩波書店 / 2016-10-21
夏目漱石 (岩波新書)
[a]
十川 信介 / 岩波書店 / 2016-11-19
ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)
[a]
金成 隆一 / 岩波書店 / 2017-02-04
読了:「応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱」「日本と中国経済 相互交流と衝突の100年」「ルポ 難民追跡 バルカンルートを行く」「夏目漱石」「ルポ トランプ王国 もう一つのアメリカを行く」
最近読んだ本。記録をさぼっていたので随分溜まってしまった。まずは新書から。
フィリピンパブ嬢の社会学 (新潮新書)
[a]
中島 弘象 / 新潮社 / 2017-02-16
これは本当に面白い本だった。読み終えたときにメモしとかんといかんな。
トランプが戦争を起こす日 悪夢は中東から始まる (光文社新書)
[a]
宮田 律 / 光文社 / 2017-03-16
「天皇機関説」事件 (集英社新書)
[a]
山崎 雅弘 / 集英社 / 2017-04-14
通貨の日本史 - 無文銀銭、富本銭から電子マネーまで (中公新書)
[a]
高木 久史 / 中央公論新社 / 2016-08-18
日本人なら知っておきたい 四季の植物 (ちくま新書1243)
[a]
湯浅 浩史 / 筑摩書房 / 2017-03-06
なんだか変な題名だなあ...
読了:「フィリピンパブ嬢の社会学」「トランプが戦争を起こす日 悪夢は中東から始まる」「「天皇機関説」事件」「日本人なら知っておきたい四季の植物」「通貨の日本史 無文銀銭、富本銭から電子マネーまで」
2017年1月 4日 (水)
年末年始で読んだ本。
欧州複合危機 - 苦悶するEU、揺れる世界 (中公新書)
[a]
遠藤 乾 / 中央公論新社 / 2016-10-19
ダメモトで読んでみたんだけど、私のようなど素人にもわかりやすく、興味深い内容であった。
著者の先生いわく、このたびの難民危機に対する反応を指して、EUの理念は地に堕ちたと人はいうけれど、もともとEUは移民の流入に対し警戒的であった。弁護するわけじゃないけど、一度入境した人に対してはできるだけEU市民に近い扱いを心掛けていた、ということにも目を向けないといけない。
ポスト・ナチスの人権時代にあって移民に直面する国家のほとんどは、それがリベラルでありつづける以上、アイデンティティのありかを自由と平等を重んずるリベラリズムに求めざるを得ないという一見奇妙な状況が現出しつつある。たとえば、ジハード主義的な価値観と対峙する際、[...] 当該国のナショナルな価値として持ち出されるのは、ジェンダーの平等や同性愛の認知といった、いたって普遍的なリベラルな価値である。こうした傾向は[...]当該国のアイデンティティをリベラルに再定位するのである。
デモクラシーは、原理的にも歴史的にも一定の領域と構成員を前提としている。[...]寛容なデモクラシーは、それ自体領域とメンバーシップの安定を要請する。とくにメンバーシップが移民の時代にあって領域より流動化しやすいなか、それは自身の寛容さを守るため、メンバーシップを管理する(つまり一定の不寛容さを示す)という倒錯した必要が生じることになる。
上の引用箇所で、ヨプケ「軽いシティズンシップ」(岩波書店)という本が紹介されていた。忘れないうちにメモ。
ホッブズ――リヴァイアサンの哲学者 (岩波新書)
[a]
田中 浩 / 岩波書店 / 2016-02-20
贖罪のヨーロッパ - 中世修道院の祈りと書物 (中公新書)
[a]
佐藤 彰一 / 中央公論新社 / 2016-11-16
消えゆく「限界大学」:私立大学定員割れの構造
[a]
小川 洋 / 白水社 / 2016-12-28
私恨を晴らすタイプの本ではなくて、データに基づく真面目な本なんだけど、弱小私大の経営陣・教員の悲惨な実像について縷々語るくだり(5章)で、記述がやたらに生き生きとしてくる...
読了:「欧州複合危機」「ホッブズ」「贖罪のヨーロッパ」「消えゆく限界大学」
2016年12月31日 (土)
ダンテ『神曲』講義
[a]
平川 祐弘 / 河出書房新社 / 2010-08-26
ダンテ「神曲」をついに読み終えた勢いで、図書館で借りて読んだ本。
ひょっとすると個人的にはあまり話が合わない先生かもしれないという気がしたけれど、お話を伺っている分には大変面白かったです。若い頃の思い出話がむやみに多いところも味わい深い。もとはカルチャーセンターでの連続講座だったとかで、きっと人気講座であったことだろう。
会計の歴史
[a]
賛, 友岡 / 税務経理協会 / 2016-09-01
東京国際ブックフェアではしゃいで買った本。あの空気のなかにいると、普段なら買わないような本もついつい買い込んでしまうのである。先に「帳簿の世界史」を読むべきであった。
熱狂する「神の国」アメリカ 大統領とキリスト教 (文春新書)
[a]
松本 佐保 / 文藝春秋 / 2016-06-20
興亡の世界史 イスラーム帝国のジハード (講談社学術文庫)
[a]
小杉 泰 / 講談社 / 2016-11-11
ガリバルディ - イタリア建国の英雄 (中公新書)
[a]
藤澤 房俊 / 中央公論新社 / 2016-12-19
読了:「会計の歴史」「熱狂する「神の国」アメリカ」「イスラーム帝国のジハード」「ガリバルディ」
2016年10月 6日 (木)
筑摩書房の三十年 1940-1970 (筑摩選書)
[a]
和田 芳恵 / 筑摩書房 / 2011-03-16
1970年に出版された、筑摩書房の社史だそうだ。
新版 バブルの物語
[a]
ジョン・ケネス・ガルブレイス / ダイヤモンド社 / 2008-12-19
ガルさん... 滅法面白いですよ、ガルさん...
ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢 (文春新書)
[a]
佐藤 伸行 / 文藝春秋 / 2016-08-19
日本会議 戦前回帰への情念 (集英社新書)
[a]
山崎 雅弘 / 集英社 / 2016-07-15
人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書)
[a]
吉川 洋 / 中央公論新社 / 2016-08-18
日本の将来への悲観論は害悪なり、人口が減っても経済成長は可能、なぜなら成長を支えるのはイノベーションだから... という内容。残念ながら著者の意図に反し、さらに悲観的な気分になってしまった。だって、イノベーションってめっちゃ難しいじゃん...
分裂から天下統一へ〈シリーズ日本中世史 4〉 (岩波新書)
[a]
村井 章介 / 岩波書店 / 2016-07-21
代議制民主主義 - 「民意」と「政治家」を問い直す (中公新書)
[a]
待鳥 聡史 / 中央公論新社 / 2015-11-21
最初はアメリカ建国史と憲法というような話が続くので、読み通せるのかどうか不安になったが、読み終えてみると面白い本であった。
本筋と全然関係ないけどメモ。政党の議席数は得票率と必ずしも対応しない。そのずれの程度を定量化する「非比例性指数」というのがあり、政党$i$の得票率を$v_i$、議席占有率を$s_i$として、$(1/2) \sqrt{ \sum_i (v_i - s_i)^2}$なのだそうだ。ずれの二乗和の平方根まではわかる、それをなぜ2で割るんだろう? 式をみて不思議に思い、ちょっと検索してみたら、他にもいろんな指数が提案されているようで、こりゃあきりがない、と慌ててブラウザのタブを閉じた。それにしても、ちょっと不思議だなあ。
読了:「日本中世史4 分裂から天下統一へ」「代議制民主主義」「筑摩書房の三十年」「バブルの物語」「ドナルド・トランプ」「日本会議 戦前回帰への情念」「人口と日本経済」
生き抜け、その日のために ―長崎の被差別部落とキリシタン―
[a]
高山 文彦 / 解放出版社 / 2017-04-25
長崎・浦上の被差別部落の解放運動と、キリスト教弾圧の歴史を辿るカトリックの神父を軸にしたノンフィクション。浦上のキリシタンの弾圧において被差別部落は権力に使嗾された加害者の立場であり、その和解までには関係者の大変な努力が必要であった由。知らなかった。
ガルブレイス:異端派経済学者の肖像
[a]
根井 雅弘 / 白水社 / 2016-08-27
旧著の再刊。同じ版元が「アメリカの資本主義」を再刊するのにあわせての出版だそうだ。ガルブレイスさんの本はもっと読んでみたいと思っていたところなのでうれしいんだけど、これ、なにがきっかけなのかしらん。単に没後10年というだけ?
YKK秘録
[a]
山崎 拓 / 講談社 / 2016-07-20
上方文化講座 曾根崎心中
[a]
/ 和泉書院 / 2006-09-01
武士道の誤解 捏造と歪曲の歴史を斬る
[a]
清水 多吉 / 日本経済新聞出版社 / 2016-07-09
堤清二 罪と業 最後の「告白」
[a]
博, 児玉 / 文藝春秋 / 2016-07-27
なぜ蚊は人を襲うのか (岩波科学ライブラリー)
[a]
嘉糠 洋陸 / 岩波書店 / 2016-07-15
いやー、面白かった。科学読み物の秀作であった。
読了:「なぜ蚊は人を襲うのか」 「堤清二 罪と業 最後の告白」「ガルブレイス 異端経済学者の肖像」 「武士道の誤解」 「生き抜け、その日のために」 「YKK秘録」 「上方文化講座・曽根崎心中」
2016年8月 4日 (木)
烈侠 ~山口組 史上最大の抗争と激動の半生
[a]
加茂田 重政 / サイゾー / 2016-07-21
山一戦争で知られる一和会の大物ヤクザが語る回想記。書誌情報にははいってないけど、企画は久田将義さん、聞き手は花田歳彦さんというライターの方。大事なところには関係者の証言も挿入していて、意外にきちんとした作りの本であった。
この国を揺るがす男:安倍晋三とは何者か (単行本)
[a]
朝日新聞取材班 / 筑摩書房 / 2016-06-08
プライベートバンカー カネ守りと新富裕層
[a]
清武 英利 / 講談社 / 2016-07-13
となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代
[a]
内藤正典 / ミシマ社 / 2016-07-17
さらばカリスマ セブン&アイ「鈴木」王国の終焉
[a]
/ 日本経済新聞出版社 / 2016-06-04
失敗の研究 巨大組織が崩れるとき
[a]
金田 信一郎 / 日本経済新聞出版社 / 2016-06-25
著者は日経BP出身で、現在は日経の編集委員という人。個別にはいろいろ意見があるかもしれないけど、やっぱり単著の本というのは面白いですね。
読了:「烈侠」「この国を揺るがす男」「失敗の研究」「プライベート・バンカー」「となりのイスラム」「さらばカリスマ」
満足の文化 (ちくま学芸文庫)
[a]
J.K. ガルブレイス / 筑摩書房 / 2014-05-08
最近ではNo.1の面白本であった。メモを取り出したら最後、どこもかしこも全部メモしないと収まらないというような。ガルブレイスさんの本は、古本屋で探してでも読まなければならない...
右手の優越―宗教的両極性の研究 (ちくま学芸文庫)
[a]
ロベール エルツ / 筑摩書房 / 2001-06
室町幕府と地方の社会〈シリーズ日本中世史 3〉 (岩波新書)
[a]
榎原 雅治 / 岩波書店 / 2016-05-21
シェイクスピア - 人生劇場の達人 (中公新書)
[a]
河合 祥一郎 / 中央公論新社 / 2016-06-21
日本会議の正体 (平凡社新書)
[a]
青木理 / 平凡社 / 2016-07-09
読了:「右手の優越」「満足の文化」「室町幕府と地方の社会」「シェイクスピア」「日本会議の正体」
2016年5月23日 (月)
大人の樹木学 (新書y)
[a]
石井 誠治 / 洋泉社 / 2013-10-05
著者いわく、木の名前に詳しくなる方法のひとつは、庭先で植木を世話している住人を見かけ次第、気軽に声をかけ会話すること、だそうだ。いやー、そんな対人スキルがあったらさ... もっと違う人生送っているよ...
丹下健三――戦後日本の構想者 (岩波新書)
[a]
豊川 斎赫 / 岩波書店 / 2016-04-21
溺れるものと救われるもの (朝日選書)
[a]
プリーモ・レーヴィ / 朝日新聞出版 / 2014-06-10
「憲法改正」の真実 (集英社新書)
[a]
樋口 陽一,小林 節 / 集英社 / 2016-03-17
日本会議の研究 (扶桑社新書)
[a]
菅野 完 / 扶桑社 / 2016-04-30
成熟と喪失 “母”の崩壊 (講談社文芸文庫)
[a]
江藤 淳 / 講談社 / 1993-10-04
村上ラヂオ3: サラダ好きのライオン (新潮文庫)
[a]
春樹, 村上 / 新潮社 / 2016-04-28
途中で気が付いたんだけど、この本、すでに単行本で読んでいた...
読了:「成熟と喪失」「丹下健三」「溺れるものと救われるもの」「『憲法改正』の真実」「日本会議の研究」「村上ラヂオ3」「大人の樹木学」
痴女の誕生 アダルトメディアは女性をどう描いてきたのか
[a]
安田 理央 / 太田出版 / 2016-03-30
興味深い本であった。「痴女」「熟女」といった概念がどうやって形成されてきたか、という考察にとても力がはいっているし、また面白い部分でもあったのだが、身体に装着した架空の男性器(張り子)を愛撫された女性が興奮するのをみてAV監督が新シリーズを決断する、というくだりにも不思議な面白さがある。心理学でやるゴムの手の実験を思い切り複雑にしたような話だ。
天正遣欧使節
[a]
松田 毅一 / 朝文社 / 1991-11
単行本を古本屋で入手したが、どうやら講談社学術文庫にはいっている模様。
著者の松田毅一さんは70年代に天正少年使節についての子供向けの本を何冊か書き(私が読んで感動したのもその一冊だったのであろう。「ふたつの使節」という本だった)、そのなかの「天正の少年使節」という本が読書感想文の課題図書に選ばれ二十万部も売れた由。実はそれらはヨーロッパ旅行の資金を貯めるために大急ぎで書いた本で、おかげですごく助かったのだそうだ。よかったですね。
自死: 現場から見える日本の風景
[a]
瀬川正仁 / 晶文社 / 2016-05-10
こどもの自殺、過労死、精神医療における薬害の問題など、それぞれに大きなテーマを一冊に詰め込んでしまって、なんだかピントがぼけちゃったような感じ...
公明党 - 創価学会と50年の軌跡 (中公新書)
[a]
薬師寺 克行 / 中央公論新社 / 2016-04-19
マルクス思想の核心 21世紀の社会理論のために (NHKブックス)
[a]
鈴木 直 / NHK出版 / 2016-01-22
闇経済の怪物たち グレービジネスでボロ儲けする人々 (光文社新書)
[a]
溝口 敦 / 光文社 / 2016-04-19
読了:「闇経済の怪物たち」「マルクス思想の核心」「天正遣欧使節」「痴女の誕生」「公明党」「自死: 現場から見える日本の風景」
階級都市―格差が街を侵食する (ちくま新書)
[a]
橋本 健二 / 筑摩書房 / 2011-12-01
興味深い本であった。いくつかメモ:
- 近年の経済的格差拡大の問題にいちはやく気づいていたのは都市問題を研究している人たちで、その代表例がサスキア・サッセンと、マニュエル・カステルという人なのだそうだ。カステルって人の本、面白そうだ、読んでみたい。
- 1925年の「婦人公論」の「塵芥掃溜場から観た新東京」という記事によれば、山の手のゴミには無駄がない。ミカンの薄皮はあっても表皮はない(乾かして蚊をいぶすのに使うから)。いっぽう古い下町のゴミをみると、まずいミカンは食べ残して捨ててある。新しい下町のゴミをみると、ミカンは表皮しかない(薄皮も食べてしまうから)。なお、ここでいう山の手とはプチブル層の住む世田谷・杉並など、古い下町とは日本橋・京橋などの商業地域、そして新しい下町とは本所・深川などの工業地域のこと。現在の「下町」イメージは70年代後半に形成されたものにすぎない。
もっとも、著者の先生には申し訳ないけど、後半の東京フィールドワークで関心を失い、パラパラと流し読みで済ませてしまった。なんというか、東京歴史散歩というような話には全く関心が持てないのである。いずこもいったん全部取り壊して更地にし、同じ規格の集合住宅で埋め尽くしちゃえばいいのに、と思うことさえある。東京に対する反発かもしれないし、もともと地元といえるような場所を持ち合わせていないせいかもしれない。
人はなぜ宗教を必要とするのか (ちくま新書)
[a]
阿満 利麿 / 筑摩書房 / 1999-11
現代人は無宗教じゃもう保たないじゃないかという問題意識を前提に、じゃあどうしたらいいのか考えようという本。具体的には、もちろん仏教の話。
テロルと映画 - スペクタクルとしての暴力 (中公新書)
[a]
四方田 犬彦 / 中央公論新社 / 2015-06-25
鎌倉幕府と朝廷〈シリーズ日本中世史 2〉 (岩波新書)
[a]
近藤 成一 / 岩波書店 / 2016-03-19
ガルブレイス――アメリカ資本主義との格闘 (岩波新書)
[a]
伊東 光晴 / 岩波書店 / 2016-03-19
経済学の本を読んでいるととたんに眠くなる。5分で爆睡できる。でもなぜかわからないが、制度学派ってんだろうか、ヴェブレンとかガルブレイスとか、(ちょっと違うのかもしれないけど)取引コストとか、そういうのだけはすごく面白く感じる。個人的性向の問題なのだけど、いったいなぜこうなっちゃったんだろうか、よくわからない。
寛容論 (中公文庫)
[a]
ヴォルテール / 中央公論新社 / 2011-01-22
読了:「階級都市」「人はなぜ宗教を必要とするのか」「テロルと映画」「鎌倉幕府」「ガルブレイス」「寛容論」
2016年4月13日 (水)
「聴くこと」の革命: ベートーヴェン時代の耳は「交響曲」をどう聴いたか (叢書ビブリオムジカ)
[a]
マーク エヴァン ボンズ / アルテスパブリッシング / 2015-10-24
ベートーベン前後のドイツ社会における、器楽曲・交響曲を聴くということの意味の変遷を辿る。知識不足でよくわからない点も多かったが、面白い本であった。
中国民族主義の神話―人種・身体・ジェンダー
[a]
坂元 ひろ子 / 岩波書店 / 2004-04-27
中世的世界とは何だろうか (朝日選書)
[a]
網野 善彦 / 朝日新聞社 / 1996-06
本屋図鑑
[a]
本屋図鑑編集部 / 夏葉社 / 2013-08
シャープ崩壊 ―名門企業を壊したのは誰か
[a]
/ 日本経済新聞出版社 / 2016-02-18
憲法入門
[a]
長谷部 恭男 / 羽鳥書店 / 2010-01-08
武士という身分―城下町萩の大名家臣団 (歴史文化ライブラリー)
[a]
森下 徹 / 吉川弘文館 / 2012-06
少年の名はジルベール
[a]
竹宮 惠子 / 小学館 / 2016-01-27
著者生涯の傑作「風と木の詩」に至るまでの、若き日の思い出。萩尾望都に対する微妙な感情を赤裸々に綴るところ、いかにもこの作家らしい。竹宮恵子さんって、ふとした拍子に心の表面に浮かび上がる暗い感情を描かせたら、そりゃもう、右に出る人がいない。
ラストの段落をメモしておこう。
若いころの友人たちというものは、振り返ればあの一瞬にも思える時間のなかで、なぜ巡り合えたのだろうか。それ自体がこの世の奇跡だ。駆け足で通り抜けた季節の熱い風であり、咲き誇る花であり、光る刃だ。でも同じ場所に同じかたちであるものはない。かつて訪れたヨーロッパの様々な色彩の街と同じように。
こんにちは、そして、さようなら。素晴らしい時間たち。
読了:「『聴くこと』の革命」「中国民族主義の神話 人種・身体・ジェンダー」「中世的世界とはなんだろうか」「本屋図鑑」「シャープ崩壊」「憲法入門」「武士という身分」「少年の名はジルベール」
2016年2月29日 (月)
神道 (ちくま学芸文庫)
[a]
トーマス カスーリス / 筑摩書房 / 2014-10-08
移動中や待ち時間に読み耽っていた本。ここんところのベストワン、非常に面白い本だった。読み終わってから調べてみたら、著者は比較宗教学の偉い人なのだそうだ。
神道についての解説書というより、実存的 vs. 本質主義的スピリチュアリティという軸を武器に、宗教性とはなにかという大きな問題を解きほぐす内容。なるほどねえ...
憲法と平和を問いなおす (ちくま新書)
[a]
長谷部 恭男 / 筑摩書房 / 2004-04-07
増補新版 法とは何か (河出ブックス)
[a]
長谷部 恭男 / 河出書房新社 / 2015-07-11
年始だったか、時間待ちかなにかで入った書店で何の気なしに新書のほうを買ったのだが、これがまた面白い本で、一気に読了。同じ著者の本をもう一冊探して読んだ。
自分で読もうとまでは思わないけれど、ケルゼンという法学者の話が面白かった。この人にいわせると、違憲の法律というのは無効ではないそうだ。なぜなら、無効ならそれは法律ではないから。ということは違憲の法律も憲法の授権を受けているわけで、従って、国会は憲法から違憲の法律を制定する権限を受け取っていることになる... 分析哲学の本を読んでいるときにも感じることだけど、徹底した議論というのは、そこはかとないユーモアを生むなあ。
ユーロ危機とギリシャ反乱 (岩波新書)
[a]
田中 素香 / 岩波書店 / 2016-01-21
菱田春草 (別冊太陽 日本のこころ 222)
[a]
鶴見香織 / 平凡社 / 2014-09-19
読了:「神道」「ユーロ危機とギリシャ反乱」「憲法と平和を問い直す」「法とはなにか」「菱田春草」
2016年2月15日 (月)
反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)
[a]
森本 あんり / 新潮社 / 2015-02-20
キリスト教からみたアメリカ近代史、という感じの本であった。面白かった。
数学が歩いてきた道 (PHPサイエンス・ワールド新書)
[a]
志賀 浩二 / PHP研究所 / 2009-09-19
「私」をつくる――近代小説の試み (岩波新書)
[a]
安藤 宏 / 岩波書店 / 2015-11-21
「日本国憲法」まっとうに議論するために[改訂新版]
[a]
樋口 陽一 / みすず書房 / 2015-09-19
駅をデザインする (ちくま新書)
[a]
赤瀬 達三 / 筑摩書房 / 2015-02-04
著者はかつての営団地下鉄、つくばエキスプレスなどのサイン計画に携わった方。本書の白眉はなんといっても第5章、日本の駅の構造とサインを豊富なカラー写真で示しながら、その無節操さを遠慮会釈なしに批判するところ。
著者いわく、マーケティング・デザインとパブリック・デザインは本来視点が全然違う。後者は誰をも排除しない。なるほどねえ、と感心した。
読了:「反知性主義」「『私』をつくる」「駅をデザインする」「数学が歩いてきた道」「『日本国憲法』まっとうに議論するために」
デフレーション―“日本の慢性病"の全貌を解明する
[a]
吉川 洋 / 日本経済新聞出版社 / 2013-01-19
よく知らないけど、著者は反リフレ派の大物経済学者として名前が挙がる人だと思う。細かいところはよくわかんないんですが、貨幣数量説批判のところが面白かった。
学部生のヒマなときに、経済学の講義でも受けておけばよかったな。少しは難しい話にも親しみが沸いたかもしれない。
魚の文化史 (講談社学術文庫)
[a]
矢野 憲一 / 講談社 / 2016-01-09
1983年刊。著者は魚についての著作が多い方だが、本業は伊勢神宮の宮司さんだったのだそうで、神道に関する記述がとても詳しい。楽しい本であった。
中世社会のはじまり〈シリーズ日本中世史 1〉 (岩波新書)
[a]
五味 文彦 / 岩波書店 / 2016-01-21
清朝と近代世界――19世紀〈シリーズ 中国近現代史 1〉 (岩波新書)
[a]
吉澤 誠一郎 / 岩波書店 / 2010-06-19
東芝 不正会計 底なしの闇
[a]
今沢 真 / 毎日新聞出版 / 2016-01-30
ううむ... この内容なら、読むのと同じ時間だけwebで無料記事を読み漁っても同じくらいの情報が得られたんじゃなかろうか... まあ、いいけどさ。
読了:「魚の文化史」「デフレーション」「中世世界のはじまり」「東芝 不正会計 底なしの闇」「清朝と近代世界」
2016年1月17日 (日)
縮小都市の挑戦 (岩波新書)
[a]
矢作 弘 / 岩波書店 / 2014-11-21
デトロイトとトリノ(どちらもかつての自動車の街)を題材に、都市の縮小政策について論じた新書。著者はもともと新聞社出身だそうで、取材を中心にした内容。どうせ外国の成功譚でしょ、と冷めた気持ちで読み始めたんだけど、なかなか面白かった。
数学が生まれる物語 第5週 関数とグラフ (岩波現代文庫)
[a]
志賀 浩二 / 岩波書店 / 2013-08-21
数学コンプレックスが昂じて、こんな本をふむふむと読んじゃったりして... しかも途中でわかんなくなっちゃったりして...
砂糖の通った道《菓子から見た社会史》
[a]
八百 啓介 / 弦書房 / 2011-12-12
砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)
[a]
川北 稔 / 岩波書店 / 1996-07-22
美の猟犬―安宅コレクション余聞
[a]
伊藤 郁太郎 / 日本経済新聞出版社 / 2007-10
散歩中に出くわした古本市がきっかけで読んだ本。
著者は新卒で安宅産業に入社、古美術コレクターとして知られた会長・安宅英一の側近として働き、倒産後は安宅コレクションを収めた美術館の館長を務めた人。安宅英一との日々の回顧を主軸にした古美術エッセイであった。
自分が理解できない世界の話を自分が理解できないということを理由に蔑むのは、厳として慎まないといけないと思う。また、安宅産業の末路を知っている立場から、敗者を後付けで鞭打つことも慎まないといけない。
しかし、一読してどうしても、憤りに近い感情を抑えきれない。安宅英一さんも著者の方も、見方によっては魅力的な人かも知れない。しかし、こういう人たちが組織を駄目にするのだ、と思う。もしくは、ある組織が駄目になるときにはこんな人たちが現れてしまうのだ、と思う。
読了:「縮小都市の挑戦」「砂糖の通った道」「数学が生まれる物語」「砂糖の世界史」「美の猟犬 安宅コレクション余聞」
ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか (集英社新書)
[a]
危険地報道を考えるジャーナリストの会 / 集英社 / 2015-12-17
フリーランスや通信社勤務など10人による共著。
戦場記者 「危険地取材」サバイバル秘話 (朝日新書)
[a]
石合 力 / 朝日新聞出版 / 2015-12-11
こちらは朝日の外信記者。海外取材のエピソードとノウハウを並べた比較的に軽い感じの読み物に仕立てているけれど、おそらくは最終章、危険地取材の必要性を訴えるくだりが、もっとも書きたかったことなのだろう。
〈文化〉を捉え直す――カルチュラル・セキュリティの発想 (岩波新書)
[a]
渡辺 靖 / 岩波書店 / 2015-11-21
しぐさで読む美術史 (ちくま文庫)
[a]
宮下 規久朗 / 筑摩書房 / 2015-12-09
読了:「<文化>を捉え直す」「ジャーナリストはなぜ『戦場』に行くのか」「戦場記者」「しぐさで読む美術史」
2016年1月 3日 (日)
【新版】西鶴と元禄メディア : その戦略と展開
[a]
中嶋 隆 / 笠間書院 / 2011-11-23
健さんと文太 映画プロデューサーの仕事論 (光文社新書)
[a]
日下部 五朗 / 光文社 / 2015-12-16
東映の往年の名プロデューサーとして知られる著者は1934年生まれ、怖いもののないご年齢で、後輩の社員プロデューサーの実名を出して「思うほど伸びてくれなかった」。女優・寺島しのぶの出演作を選ぶ嗅覚を称えて、「われわれから見れば左翼の三流監督にしか見えない若松孝二『キャタピラー』(2010)に出て、全編裸のような役を演じているのである」。言いたい放題だ...
世論調査とは何だろうか (岩波新書)
[a]
岩本 裕 / 岩波書店 / 2015-05-21
著者はNHKの方。現代における世論調査のあり方について深く掘り下げた論考が読めるか、と思ったのだが、どちらかというと岩波ジュニア新書向きの内容で、後半は統計学入門みたいな話になってしまう。ま、それはそれで価値のある本ではありましょう。
読了:「世論調査とはなんだろうか」「健さんと文太 映画プロデューサーの仕事論」「西鶴と江戸メディア その戦略と展開」
円周率が歩んだ道 (岩波現代全書)
[a]
上野 健爾 / 岩波書店 / 2013-06-19
頭のトレーニングのために丁寧に読もう、と気合をいれて手に取ったのだが、第一章、古代中国の算術の話で早くもギブアップ。数式はすっとばしてエピソードだけ読んだ。
円周率の計算というのは、3.1415...と上の桁から徐々に進めていくものなのだろうと想像していたのだが、一概にそういうものでもなく、任意の桁の数字だけをぴたりと言い当てる数式もあるのだそうだ。ただし、円周率を60進数で表現するならば、というところがミソ。不思議だなあ...
ルポ 老人地獄 (文春新書)
[a]
朝日新聞経済部 / 文藝春秋 / 2015-12-18
ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か (中公新書)
[a]
對馬 達雄 / 中央公論新社 / 2015-11-21
読了:「円周率が歩んだ道」「ルポ 老人地獄」「ヒトラーに抵抗した人々」
2015年12月21日 (月)
自発的隷従論 (ちくま学芸文庫)
[a]
エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ / 筑摩書房 / 2013-11-08
16世紀のフランス貴族、モンテーニュの無二の親友であったラ・ボエシの著書。なんでも16歳ないし18歳のときに書いたのだそうで、なんでそんなもん読まねばならんのよ... と思いながらうっかり買っちゃったんだけど、これがとても面白かった。
先日出張に行った地方都市で、商店街をふらふら歩いていて、たまたま通りかかった本屋さんに入ったら、おそらくその街に名だたる老舗書店なのだろうと思うのだけれど(岩波の本をずらっと並べているところなどから察するに)、広い店内は閑散としており、蛍光灯の光が虚ろに白かった。ああ、一つの文化の形がこうして消えようとしているのだな... と感傷に駆られて、つい買っちゃったのが上記のラ・ボエシである。いやいや、そんなら単行本買えよ。
一揆の原理 (学芸文庫)
[a]
呉座 勇一 / 筑摩書房 / 2015-12-09
ガリレオ裁判――400年後の真実 (岩波新書)
[a]
田中 一郎 / 岩波書店 / 2015-10-21
2015年12月14日 (月)
GDP――〈小さくて大きな数字〉の歴史
[a]
ダイアン・コイル / みすず書房 / 2015-08-26
軽い気持ちで手に取ったんだけど、この本はアタリであった。GDPのなりたちと限界についてコンパクトに語る啓蒙書。
気になったところをメモ:GDPではイノベーションを測るのが難しい、という話のなかで触れられていたのだが、商品の多様化そのものが消費者にもたらす価値を定量的に調べた研究があるのだそうだ。Hausman(1994, NBER Working Paper) というのが挙げられている。へー。
井上ひさしの劇ことば
[a]
小田島 雄志 / 新日本出版社 / 2014-09
井上ひさしの戯曲を辿るエッセイ。世田谷文学館での講演が基になっているとのこと。
著者によれば、井上ひさしの戯曲の第一のピークは「藪原検校」。これにはあまり異論がないと思うのだけれど、評伝劇で「頭痛肩こり樋口一葉」「組曲虐殺」、ほかに「化粧」「父と暮らせば」あたりを高く評価しておられて、興味深い。東京裁判三部作はあまり買っていない模様。そうかなあ、「夢の痂」は素晴らしいと思うし、評伝劇ならなによりもまず「イーハトーブの劇列車」じゃないかなあ... ま、こんな風にあれこれ考えるのもなかなか楽しい。
それにしても、著者が指摘するように、井上ひさしの戯曲は「父と暮らせば」あたりから大きく様相が変わる。著者の言葉を借りれば「テーマとことばがぴったり一致していきます。劇ことばは深い湖のようになってきたのです」(流石、素晴らしい表現だ)。こういう変化がこの段階で起こりうる、というところが不思議だ。すでに大作家なのにね。
イスラーム法とは何か?
[a]
中田 考 / 作品社 / 2015-10-31
日本外交への直言――回想と提言
[a]
河野 洋平 / 岩波書店 / 2015-08-29
誰が「橋下徹」をつくったか ―大阪都構想とメディアの迷走
[a]
松本 創 / 140B / 2015-11-13
橋下さんという現象についての腑に落ちる謎解きがようやく登場した、という印象。読んでいてだんだん気持ちが悪くなってきた。橋下人気は衰退するかもしれないけれど、きっとこれから、第二、第三の橋下さんが現れるだろう、そのときいったいどうすればいいのか...
読了:「GDP」「日本外交への直言」「イスラーム法とはなにか?」「井上ひさしの劇ことば」「誰が『橋下徹』をつくったか」
世界の辺境とハードボイルド室町時代
[a]
高野 秀行,清水 克行 / 集英社インターナショナル / 2015-08-26
発展途上国を得意とするノンフィクション作家と、日本史専門家の対談。とても面白かった。最後まで気がつかなかったけど、タイトルは村上春樹「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が元ネタなのであろう。
ステキな奥さん ぶはっ
[a]
伊藤理佐 / 朝日新聞出版 / 2015-10-20
自由を耐え忍ぶ
[a]
テッサ モーリス‐スズキ / 岩波書店 / 2004-10-15
米・百姓・天皇 日本史の虚像のゆくえ (ちくま学芸文庫)
[a]
網野 善彦,石井 進 / 筑摩書房 / 2011-01-08
「日本社会の歴史」を上梓したばかりの網野善彦と、碩学・石井進との対談集(原著は2000年刊)。私のような素人にはわからないくだりも多いんだけど、プロ同士の緊張感が感じられて面白い。
商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)
[a]
新 雅史 / 光文社 / 2012-05-17
読了:「ステキな奥さん ぶはっ」「自由を耐え忍ぶ」「世界の辺境とハードボイルド室町時代」「米・百姓・天皇」「商店街はなぜ滅びるのか」
損したくないニッポン人 (講談社現代新書)
[a]
高橋 秀実 / 講談社 / 2015-09-17
ヨーロッパ覇権史 (ちくま新書)
[a]
玉木 俊明 / 筑摩書房 / 2015-10-05
男は語る: アガワと12人の男たち (ちくま文庫)
[a]
阿川 佐和子 / 筑摩書房 / 2015-03-10
87-89年の作家インタビュー集。
ブルデュー 闘う知識人 (講談社選書メチエ)
[a]
加藤 晴久 / 講談社 / 2015-09-11
こういう評伝を読んでないで、本人の著書を読むべきなんだろうけど...
ヒョウタン文化誌――人類とともに一万年 (岩波新書)
[a]
湯浅 浩史 / 岩波書店 / 2015-09-19
ルポ コールセンター 過剰サービス労働の現場から
[a]
仲村和代 / 朝日新聞出版 / 2015-10-20
ううむ。これで本になっちゃうのか、とちょっと驚いた。ノンフィクションは冬の時代だろうとは思うが、著者は取材費に事欠くフリーの人ではないわけだし、もう少し突っ込んだ内容にできなかったものなのかしらん。
読了:「ヨーロッパ覇権史」「男は語る」「損したくないニッポン人」「ブルデュー 闘う知識人」「ルポ・コールセンター」「ヒョウタン文化誌」
2015年11月 2日 (月)
読んだ本をそのままため込んでいると記憶が薄れてしまう。これは少し前に読んだ本だけど、忘れないうちにメモしておこう。
シネマの極道: 映画プロデューサー一代 (新潮文庫)
[a]
日下部 五朗 / 新潮社 / 2015-10-28
往年の東映プロデューサーによる自伝。
一番面白かったのは、東映任侠映画で一時代を画した大プロデューサー、俊藤浩滋についての人物評。ヤクザの世界に詳しいどころか、元はその筋であったといわれる人である。えーと、富司純子のお父さん、寺島しのぶのお祖父さんですね。
わたしたちは職掌柄、やくざの親分さんのところへ挨拶や取材に出かけることが時折あるが、親分さんというのは人生訓話の好きな方が多い。ある日、俊藤さんと挨拶に伺った親分さんもおのれの人生訓を滔々と語って倦まなかった。わたしは御説ごもっとも拝聴しているだけだったが、ふと変な気配に気づいて横を見ると、俊藤さんが感極まって涙を流している。帰りの車の中でも、
「日下部、おやっさんの話、ホンマええ話やったなあ!」
まだ目を潤ませていた。わたしは吃驚したが、つまり、俊藤さんは本当の意味で庶民なのだ。だから、ある時期の俊藤プロデューサーは、庶民の期待する映画を何の衒いも躊躇いも気負いもなく、スッと差し出せたのだと思う。
この語り手・日下部五朗さんが、後に「仁義なき戦い」を制作し、俊藤浩滋と任侠映画の時代を終わらせることになる。
2015年11月 1日 (日)
安倍政権の裏の顔 「攻防 集団的自衛権」ドキュメント
[a]
朝日新聞政治部取材班 / 講談社 / 2015-09-16
「中国共産党」論―習近平の野望と民主化のシナリオ (NHK出版新書 468)
[a]
天児 慧 / NHK出版 / 2015-09-09
チャイルド・プア~社会を蝕む子どもの貧困~
[a]
新井直之(NHKディレクター) / ティー・オーエンタテインメント / 2014-03-15
仁義なき宅配: ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン
[a]
横田 増生 / 小学館 / 2015-09-02
岩波科学ライブラリー ハトはなぜ首を振って歩くのか
[a]
藤田 祐樹 / 岩波書店 / 2015-04-18
読了:「安倍政権の裏の顔」「『中国共産党』論」「チャイルド・プア」「仁義なき宅配」「ハトはなぜ首を振って歩くのか」
集合知とは何か - ネット時代の「知」のゆくえ (中公新書)
[a]
西垣 通 / 中央公論新社 / 2013-02-22
残念、この本は内容がうまく頭に入らなかった。このような、わざわざ「柔らかく」書いている文章は、かえって苦手なのかもしれない。著者の別の本を読もう。
「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)
[a]
エマニュエル・トッド / 文藝春秋 / 2015-05-20
「個人主義」大国イラン: 群れない社会の社交的なひとびと (平凡社新書)
[a]
岩崎 葉子 / 平凡社 / 2015-09-17
イスラーム圏で働く――暮らしとビジネスのヒント (岩波新書)
[a]
/ 岩波書店 / 2015-09-19
読了:「イスラーム圏で働く」「『個人主義』大国イラン」「『ドイツ帝国』が世界を破滅させる」「集合知とはなにか」
督促OL 奮闘日記 ちょっとためになるお金の話 (文春文庫 え 14-2)
[a]
榎本 まみ / 文藝春秋 / 2015-10-09
山口組動乱!! 日本最大の暴力団ドキュメント 2008~2015 (講談社+α文庫)
[a]
溝口 敦 / 講談社 / 2015-10-21
財務省と政治 - 「最強官庁」の虚像と実像 (中公新書 2338)
[a]
清水 真人 / 中央公論新社 / 2015-09-24
ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)
[a]
石田 勇治 / 講談社 / 2015-06-18
生身の暴力論 (講談社現代新書)
[a]
久田 将義 / 講談社 / 2015-09-17
ファシズム (岩波現代文庫)
[a]
山口 定 / 岩波書店 / 2006-03-16
読了:「ファシズム」「財務省と政治」「山口組動乱」「督促OL奮闘日記」「ヒトラーとナチ・ドイツ」「生身の暴力論」
2015年8月16日 (日)
豆腐と生きる 今、伝えたいリーダーの言葉 豆腐メーカー経営者インタビュー集
[a]
フードジャーナル編集部 / ㈱フードジャーナル社 / 2014-09-24
「豆腐と生きる」だって...?! と、あまりに魅力的なタイトルに胸を撃ち抜かれ、どうしても読んでみたくなり、版元に直接注文した。
「フードジャーナル」は大豆加工食品の業界誌。この本は雑誌に掲載された豆腐メーカー経営者のインタビュー記事をまとめたもの。オールカラー102頁、おそらく掲載社にどさっと買い上げてもらうのが目的であろうブックレットなのだけど、素人が読んでもなかなか面白かったです。
幻滅 〔外国人社会学者が見た戦後日本70年〕
[a]
ロナルド・ドーア / 藤原書店 / 2014-11-22
ハンナ・アーレント、あるいは政治的思考の場所
[a]
矢野 久美子 / みすず書房 / 2002-02-20
切り捨てSONY リストラ部屋は何を奪ったか
[a]
清武 英利 / 講談社 / 2015-04-10
読了:「豆腐と生きる」「幻滅 外国人社会学者が見た戦後日本70年」「ハンナ・アーレント、あるいは政治的思考の場所」「切り捨てSONY」
ぼくはスピーチをするために来たのではありません
[a]
ガブリエル ガルシア=マルケス / 新潮社 / 2014-04-30
久々に「百年の孤独」を読み返したくなった。本がどこかにあるはずなのだが...
本屋になりたい: この島の本を売る (ちくまプリマー新書)
[a]
宇田 智子 / 筑摩書房 / 2015-06-08
独裁者は30日で生まれた ヒトラー政権誕生の真相
[a]
H・A・ターナー・ジュニア / 白水社 / 2015-05-22
もじれる社会: 戦後日本型循環モデルを超えて (ちくま新書)
[a]
本田 由紀 / 筑摩書房 / 2014-10-06
増補 魔女と聖女: 中近世ヨーロッパの光と影 (ちくま学芸文庫)
[a]
池上 俊一 / 筑摩書房 / 2015-06-10
悲しみを抱きしめて 御巣鷹・日航機墜落事故の30年 (講談社+α新書)
[a]
西村 匡史 / 講談社 / 2015-07-23
読了:「本屋になりたい」「独裁者は30日で生まれた」「ぼくはスピーチをするために来たのではありません」「もじれる社会」「魔女と聖女 中近世ヨーロッパの光と影」「悲しみを抱きしめて」
2015年7月 6日 (月)
マホメット (講談社学術文庫)
[a]
井筒 俊彦 / 講談社 / 1989-05-08
のちの伝説的碩学による、昭和二十七年の著書。ええと、1914年生まれってことは、まだ三十代だったのか...
ここんところ、本を読む時間が全然とれない。。。
ヒトラーの国民国家――強奪・人種戦争・国民的社会主義
[a]
ゲッツ・アリー / 岩波書店 / 2012-06-07
評判を聞いて是非読んでみたいと思ったのだが、新刊では入手できず、図書館で借りて読んだ(あれ?いまみたらamazonに在庫があるけど)。
財政の知識が足りないせいで理解できない場所が多く、悔しい。
著者はナチの支配を「好感度独裁」と呼ぶ。有給休暇、子ども手当、借家人の保護、年金額の引き上げ。それを可能にした財源は、占領地域からの徹底した収奪、そしてユダヤ人絶滅政策であった。
ナチ指導部はドイツ人を狂信者に変えたのでもなければ、確信的支配人種に変えたのでもなかった。むしろ国民多数を、うまい汁を吸う者、体制の小受益者にすることに成功したといえよう。[...]全体としてみれば国家が巨大な強奪マシーンに変身したように、普通の人びとは体制の利益を受け取る、受動的な収賄者に成り果てたのであった。[...]
[...] 気がついてみれば、無学で質素な生活の経験しか持たない人間が、数年前にはその存在さえも知らなかったような者を我が手にし、ミルクと蜂蜜が潤沢に溢れるようなドイツの、命運全体がかかっている大戦争に参加していたのであった。それだけならば何ら説得的な戦う動機にならなかっただろう。しかし戦争そのものは、戦後の生活がいかに快適になるか、それがどんなに満足・歓びをもたらすか前もって味わえる機会を与え、『我々が今日戦い取ったところで明日はみんな生活できるのだ[今日の征服は明日の生活!]』というモットーに道を開いたのであった。そこから出てきたものは、たえず去来するやましい気持ちと、ありうべきは全面勝利のみ、さもなければ全面敗北という漠とした不安感であった。
うーん。。。ホロコーストとの対比に目眩がするけれど、落ち着いて考えてみると、そのような社会状況を我が事として想像するのも、そんなに難しくない。
ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力 (文春新書)
[a]
安田 浩一 / 文藝春秋 / 2015-05-20
神聖ローマ帝国 (講談社現代新書)
[a]
菊池 良生 / 講談社 / 2003-07-19
技術大国幻想の終わり これが日本の生きる道 (講談社現代新書)
[a]
畑村 洋太郎 / 講談社 / 2015-06-18
村 百姓たちの近世〈シリーズ 日本近世史 2〉 (岩波新書)
[a]
水本 邦彦 / 岩波書店 / 2015-02-21
入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる (光文社新書)
[a]
中村 和彦 / 光文社 / 2015-05-19
山岳信仰 - 日本文化の根底を探る (中公新書)
[a]
鈴木 正崇 / 中央公論新社 / 2015-03-24
読了:「ヒトラーの国民国家」「山岳信仰」「入門・組織開発」「ヘイトスピーチ」「村・百姓たちの近世」「技術大国幻想の終わり」「神聖ローマ帝国」
2015年5月13日 (水)
ヴェブレン
[a]
小原 敬士 / 勁草書房 / 1997-07
しばらく前に「有閑階級の理論」に目を通したが、想像を上回る難解さで、さっぱり理解できなかった。気がめいるので、せめて伝記でも読んでお茶を濁しておこうか、という...
表紙ではわからないが、実は1965年の本の新装版。ヴェブレンさんの生涯と業績をコンパクトにまとめた内容であった。
気になっていま調べてみたら、amazon様いわく、いま新刊で手に入るヴェブレンの訳書は、ちくま文庫「有閑階級の理論」、勁草書房「企業の理論」、の2冊だけのようだ。晩年の著書「特権階級と庶民」って、ちょっと面白そうなのになー。
2015年5月10日 (日)
歴史と私 - 史料と歩んだ歴史家の回想 (中公新書)
[a]
伊藤 隆 / 中央公論新社 / 2015-04-24
高名な日本近代史研究者の回想録。政治的には右の人で、初期の「新しい歴史教科書をつくる会」に参画したりしている。
面白い内容であった。どうやらけっこう性格のきつい方らしくて、言いたいことを云って波風を立てるというくだりが多い。一緒にオーラル・ヒストリー研究を進めていた弟子筋の御厨貴さんとも、いまは絶交状態であるとあっさり明かしている。
勘三郎、荒ぶる (幻冬舎文庫)
[a]
小松 成美 / 幻冬舎 / 2010-02
パリ・コミューン(下) (岩波文庫)
[a]
H.ルフェーヴル / 岩波書店 / 2011-10-15
残念ながら、これはさっぱり頭に入らなかった...
男は邪魔! 「性差」をめぐる探究 (光文社新書)
[a]
高橋 秀実 / 光文社 / 2013-04-17
地方議会には生協運動などを母体にした地域政党の議員さんがいることがあるけど(東京生活者ネットワークとか)、決まって女性であるような気がする。あれは女性じゃないといけないのかしらんと不思議に思っていたのだが、著者の高橋さんも疑問に思ったそうで、神奈川ネットワーク運動に取材している。取材に応じた議員さんと、男は別にいなくてもねえという会話になり(そういう主旨の本なのである)、「男性がいたら幅が広がるのかしらね」「どうなんでしょうね」と首をかしげていると、女性スタッフが「あれ、前、男性いたでしょ」「えっ」「あっ、いたね」「いた、いた」「いたことあるじゃん」「ごめんごめん」...「でも、いたからといって...」「幅は広がってないね」これには吹き出してしまった。
シャルリ・エブド事件を考える: ふらんす特別編集
[a]
/ 白水社 / 2015-03-07
読了:「歴史と私」「勘三郎、荒ぶる」「パリ・コミューン」「シャルリ・エブド事件を考える」「男は邪魔!」
高野山 (岩波新書)
[a]
松長 有慶 / 岩波書店 / 2014-10-22
(055)貧困の中の子ども: 希望って何ですか (ポプラ新書)
[a]
下野新聞子どもの希望取材班 / ポプラ社 / 2015-03-03
ドキュメント パナソニック人事抗争史
[a]
岩瀬 達哉 / 講談社 / 2015-04-02
内村鑑三の人と思想
[a]
鈴木 範久 / 岩波書店 / 2012-04-27
コケの自然誌
[a]
ロビン・ウォール・キマラー / 築地書館 / 2012-10-30
著者はコケを研究する植物学者にして、ネイティブアメリカン出身者として環境教育に関わっているという人。読み始めたら、自然の中で心のままに踊っているとエネルギーが満ちるのを感じます、とかなんとかといったくだりがあって、これはハズしたかなと危惧したんだけど、予想外に面白いエッセイであった。これも偏見かもしれないけど、精密な観察を旨とする自然科学者は文章も良くなるのかもしれない。中谷宇一郎とかさ。
謎の大富豪に、庭園にコケを植える手助けをせよと無理難題を押しつけられる章が面白かった。短編小説の趣がある。
読了:「高野山」「貧困の中のこども」「パナソニック人事抗争史」「内村鑑三の人と思想」「コケの自然誌」
2015年5月 9日 (土)
読んだ本を記録しないと溜まってしまう。とりあえず、最近読んだ本の中から...
空海はいかにして空海となったか (角川選書)
[a]
武内 孝善 / KADOKAWA/角川学芸出版 / 2015-02-24
唐に渡るまでの空海を辿る歴史書。
白隠禅画をよむ―面白うてやがて身にしむその深さ
[a]
芳澤 勝弘 / ウェッジ / 2012-12
あそぶ神仏: 江戸の宗教美術とアニミズム (ちくま学芸文庫)
[a]
辻 惟雄 / 筑摩書房 / 2015-04-08
禅画や浮世絵(北斎)など、江戸時代の仏教美術についての本。風外慧薫という江戸時代初期の禅僧の話が面白かった。平塚の博物館に達磨図があるらしい。
読了:「空海はいかにして空海となったか」「あそぶ神仏」「白隠禅画を読む」
2015年4月 9日 (木)
退屈 息もつかせぬその歴史
[a]
ピーター・トゥーヒー / 青土社 / 2011-09-21
西洋古典学者が、「退屈」をめぐる古今東西の文献を渉猟して語る、なんというか、格調高ーい読み物であった。
パリ・コミューン(上) (岩波文庫)
[a]
H.ルフェーヴル / 岩波書店 / 2011-08-19
先日から読んでいるのだが、予備知識がなさすぎて、さっぱり頭に入らない... 参ったな...
渡辺京二傑作選① 日本近世の起源 (新書y)
[a]
渡辺 京二 / 洋泉社 / 2011-07-06
督促OL 修行日記 (文春文庫)
[a]
榎本 まみ / 文藝春秋 / 2015-03-10
ビスマルク - ドイツ帝国を築いた政治外交術 (中公新書)
[a]
飯田 洋介 / 中央公論新社 / 2015-01-23
袁世凱――現代中国の出発 (岩波新書)
[a]
岡本 隆司 / 岩波書店 / 2015-02-21
シリア アサド政権の40年史 (平凡社新書)
[a]
国枝 昌樹 / 平凡社 / 2012-06-17
東京最後の異界 鶯谷 (宝島SUGOI文庫)
[a]
本橋 信宏 / 宝島社 / 2015-02-05
境界の民 難民、遺民、抵抗者。 国と国の境界線に立つ人々
[a]
安田 峰俊 / KADOKAWA/角川書店 / 2015-02-28
以前、ウイグル族の世界的に高名な指導者が靖国神社に参拝していて、いったいなにがどうなっているのだろうと思ったんだが、この本のおかげで少し事情がわかった。悲しい話だ...
読了:「境界の民」「パリ・コミューン」「退屈」「日本近世の起源」「督促OL 修行日記」「ビスマルク」「袁世凱」「シリア」「東京最後の異界 鶯谷」
2015年2月23日 (月)
イスラーム国の衝撃 (文春新書)
[a]
池内 恵 / 文藝春秋 / 2015-01-20
吉田松陰: 「日本」を発見した思想家 (ちくま新書)
[a]
桐原 健真 / 筑摩書房 / 2014-12-08
イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北 (集英社新書)
[a]
内藤 正典 / 集英社 / 2015-01-16
ユダ - 烙印された負の符号の心性史
[a]
竹下 節子 / 中央公論新社 / 2014-04-09
捏造の科学者 STAP細胞事件
[a]
須田 桃子 / 文藝春秋 / 2015-01-07
妄想彼女
[a]
地主恵亮(じぬし けいすけ) / 鉄人社 / 2014-10-27
なんというか... これは、奇書だなあ...
読了:「イスラーム国の衝撃」「イスラム戦争」「吉田松陰」「ユダ」「捏造の科学者」「妄想彼女」
2015年1月19日 (月)
イスラム国の正体 (朝日新書)
[a]
国枝昌樹 / 朝日新聞出版 / 2015-01-13
抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心
[a]
青木 理 / 講談社 / 2014-12-17
渦中の朝日新聞社関係者に取材した本。
未承認国家と覇権なき世界 (NHKブックス No.1220)
[a]
廣瀬 陽子 / NHK出版 / 2014-08-21
国家と革命 (講談社学術文庫)
[a]
レーニン / 講談社 / 2011-12-13
「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)
[a]
ジェームズ・スロウィッキー / 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2009-11-25
都合により再読。面白く、読みやすく、かつよくまとまっている。。。流石だ。
読了:「国家と革命」「未承認国家と覇権なき世界」「抵抗の拠点から」「イスラム国の正体」「『みんなの意見』は案外正しい」
2015年1月13日 (火)
角川短歌ライブラリー 体あたり現代短歌
[a]
河野 裕子 / 角川学芸出版 / 2012-08-24
2014年12月31日 (水)
振り返るに、今年はホントに本を読めない一年であった。反省...
ヴェールの政治学
[a]
ジョーン・w・スコット / みすず書房 / 2012-10-24
自民党政治の変容 (NHKブックス No.1217)
[a]
中北 浩爾 / NHK出版 / 2014-05-21
さいごの色街 飛田
[a]
井上 理津子 / 筑摩書房 / 2011-10-22
ジャスミンの残り香 ──「アラブの春」が変えたもの
[a]
田原 牧 / 集英社 / 2014-11-26
ペテン師と天才 佐村河内事件の全貌
[a]
神山 典士 / 文藝春秋 / 2014-12-12
文楽手帖 (角川ソフィア文庫)
[a]
高木 秀樹 / KADOKAWA/角川学芸出版 / 2014-08-23
文楽の入門書。古典芸能の素養は全くないんだけど、先日たまたま「女殺油地獄」の、人形たちが油屋の店先をツルツル滑るのを見て、文楽って意外に自由なんだなあ、と感心した。この本によると、かつては「夫婦善哉」の文楽化というのがあったんだそうで、なるほど、それは面白いかもしれない。
読了:「ヴェールの政治学」「自民党政治の変容」「さいごの色街 飛田」「ジャスミンの残り香」「ペテン師と天才」「文楽手帖」
2014年12月 6日 (土)
「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリー
[a]
高橋 秀実 / 新潮社 / 2012-09
第一次世界大戦 (ちくま新書)
[a]
木村 靖二 / 筑摩書房 / 2014-07-07
2014年12月 5日 (金)
教会領長崎 イエズス会と日本 (講談社選書メチエ)
[a]
安野 眞幸 / 講談社 / 2014-06-11
ファミリーレストラン 「外食」の近現代史 (光文社新書)
[a]
今 柊二 / 光文社 / 2013-01-17
西洋中世の男と女―聖性の呪縛の下で (ちくま学芸文庫)
[a]
阿部 謹也 / 筑摩書房 / 2007-10
シェイクスピアはわれらの同時代人
[a]
ヤン コット / 白水社 / 2009-07
黒幕: 巨大企業とマスコミがすがった「裏社会の案内人」
[a]
伊藤 博敏 / 小学館 / 2014-11-18
江戸幕府と儒学者 - 林羅山・鵞峰・鳳岡三代の闘い (中公新書)
[a]
揖斐 高 / 中央公論新社 / 2014-06-24
読了:「江戸幕府と儒学者」「黒幕」「シェイクスピアはわれらの同時代人」「西洋中世の男と女」「ファミリーレストラン」「教会領長崎」
2014年10月27日 (月)
ここのところ、全然本を読めていない。うううむ。
石の虚塔: 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち
[a]
上原 善広 / 新潮社 / 2014-08-12
岩宿遺跡の相澤忠広、縄文時代の権威・芹沢長介、そして旧石器捏造事件の藤村新一さんを軸に描いたノンフィクション。
旧石器捏造について、毎日新聞が動かぬ証拠を押さえて事件化する前から、ある遺跡発掘会社の人が「あれは怪しい」旨の文章をwebで公開していたのを覚えている。そのいきさつをこの本ではじめて知った。関係者全員に悲劇をもたらした、悲しい事件だったのだ...
スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか
[a]
池谷 孝司 / 幻冬舎 / 2014-10-08
共同通信の連載をまとめた本。特に子どもを持つ人にとっては、背筋も凍る内容だろう...
百人一首の歴史学 (NHKブックス)
[a]
関 幸彦 / 日本放送出版協会 / 2009-09
最貧困女子 (幻冬舎新書)
[a]
鈴木 大介 / 幻冬舎 / 2014-09-27
磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ
[a]
平松 剛 / 文藝春秋 / 2008-06-10
読了:「石の虚塔」「スクールセクハラ」「百人一首の歴史学」「最貧困女子」「磯崎新の『都庁』」
2014年9月 1日 (月)
革命と騒乱のエジプト:ソーシャルメディアとピーク・オイルの政治学
[a]
山本 達也 / 慶應義塾大学出版会 / 2014-07-19
エジプトの政変を題材に、ITと原油の生産減衰が社会にもたらす影響について述べた本。
本筋とは関係ないけど、日本の政治の計量分析で、選挙公約と当選後の国会活動に一致がない、かつ公約と活動の不一致がその次の選挙結果に影響しない、ということを示した研究があるのだそうだ。そ、そうなんだ?! 小林良彰さんという人の研究で、ミネルヴァ書房「現代民主主義の再検討」収録とのこと。
カクレキリシタンの実像: 日本人のキリスト教理解と受容
[a]
宮崎 賢太郎 / 吉川弘文館 / 2014-01-21
いわゆる「隠れキリシタン」の教えはキリスト教からはるかに隔たってしまっていた、とのこと。それはそうなんだろうけど、たとえば現代日本の(ないし、どこの国でもいいけど)キリスト教徒に質問紙調査をかけて、その結果に基づき信仰の教義的な正しさを評定したら、それなりの隔たりはあるのではないかしらん... と考えながら、興味深く読了。
本の魔法
[a]
司 修 / 白水社 / 2011-06-03
対独協力の歴史 (文庫クセジュ)
[a]
ジャン ドフラーヌ / 白水社 / 1990-06
フランスのナチスドイツに対する協力の実態。ヴィシー政権のような苦虫をかみつぶした追従の話かと思ったら、とんでもない、消極的協力から熱狂的暴走まで、大きな幅があるのであった。「フランス人のゲシュタポ」なんて、知らなかった...
読了:「本の魔法」「革命と騒乱のエジプト」「カクレキリシタンの実像」「対独協力の歴史」
2014年8月17日 (日)
善き書店員
[a]
木村俊介 / ミシマ社 / 2013-11-13
6人の書店員に対するロング・インタビュー。書店そのものというより、働くということ自体に焦点を合わせた内容で、いわばスタッズ・ターケル「仕事」の日本版(たまたま全員書店員)というところ。興味深い本であった。
「悪」と闘う (朝日新書)
[a]
宇都宮健児 / 朝日新聞出版 / 2014-08-08
スターリン - 「非道の独裁者」の実像 (中公新書)
[a]
横手 慎二 / 中央公論新社 / 2014-07-24
2014年8月 5日 (火)
沈みゆく帝国 スティーブ・ジョブズ亡きあと、アップルは偉大な企業でいられるのか
[a]
ケイン岩谷ゆかり / 日経BP社 / 2014-06-18
ルポ 終わらない戦争――イラク戦争後の中東
[a]
別府 正一郎 / 岩波書店 / 2014-03-15
読了:「沈みゆく帝国」「ルポ 終わらない戦争・イラク戦争後の中東」
2014年7月28日 (月)
やくざと芸能と 私の愛した日本人
[a]
なべおさみ / イースト・プレス / 2014-05-09
往年の人気コメディアン・なべおさみさんの回顧談、なんだけど、やくざとの交流とか、自民党の政治家の手先になって飛び回る描写とか、(著者としては極めて真剣な) 芸能民俗史の知識の披瀝とか... ううむ。一種の奇書であった。
ナショナリズム入門 (講談社現代新書)
[a]
植村 和秀 / 講談社 / 2014-05-16
世界のナショナリズムを俯瞰しようとするあまり、話が広範に渡ってしまい、ちょっとついて行けなくなってしまった。すいません。マイネッケって面白そうだ、というのが収穫。
メディア社会―現代を読み解く視点 (岩波新書)
[a]
佐藤 卓己 / 岩波書店 / 2006-06-20
本棚にあった本。2004年頃の新聞での時評連載を基にした本で、出てくる話は小泉劇場とかライブドア事件とか... このころはまだ震災がなかったんだよなあ、時間が経っちゃったなあ、と変な感慨を覚えた。
カペラ&ジェイミソンという人たちは、政治を解釈する前提に政治家の自己利益追求やマキャベリズムを置くタイプの報道が、政治家とメディアと大衆の三者が相互に不信感をぶつけ合う「冷笑の螺旋」を産み出している、と述べているそうだ。こうした冷笑主義と不信が、一般的信頼感という社会関係資本を減少させている、とのこと。なるほどー。<世の中が××なのはマスメディアのせいだ>流の悪口雑言にはもううんざりしているのだけれど、この視点には説得力があるなあ。「政治報道とシニシズム」という翻訳が出ているらしい。
儒学殺人事件 堀田正俊と徳川綱吉
[a]
小川 和也 / 講談社 / 2014-04-25
ミステリみたいなタイトルだけど、日本思想史の研究者による堅い真面目な内容の本。綱吉の代での大老・堀田正俊暗殺を軸に、儒学と権力との思想的緊張を描く。大変面白い本であった。
堀田正俊は朝鮮からやってきた使節に儒学の解釈を巡って教えを請う。両者の間には外交辞令を超えた知的交流が生まれていた。そんな国際交流があったのね...
娼婦たちから見た日本
[a]
八木澤 高明 / KADOKAWA/角川書店 / 2014-07-11
ルポ イチエフ――福島第一原発レベル7の現場
[a]
布施 祐仁 / 岩波書店 / 2012-09-28
読了:「儒学殺人事件」「娼婦たちから見た日本」「イチエフ」「ナショナリズム入門」「メディア社会」
シャルル・ドゴール:民主主義の中のリーダーシップへの苦闘
[a]
渡邊 啓貴 / 慶應義塾大学出版会 / 2013-07-14
ドゴールの評伝。フランス近代史なんてろくに知らないから、勉強になった本ではあったのだが(ドゴールっててっきり68年の学生の反乱で失脚したのだと思っていた)...
読み終えての最大の感想は、嗚呼、校正って本当に大事だなあ、ということであった。基本的に著者のいうことをそのまま信じるしかない一般読者としては、普仏戦争の敗北で公用語としてのフランス語を失うアルザスのフランス系住民の悲劇を描いた戯曲を「イヨネスコの有名な戯曲『最後の授業』」なんて書かれているのを見つけちゃうと、本の残りの部分まで全く信用できなくなってしまうのである。もし作者がイヨネスコだったら、生徒たちはフランス語を失うどころでは済まない、まさに命の危機だ。こういうのは優秀な校正者がいれば潰せたミスだろう。せっかくの碩学の著書が、もったいないことだ...
街の人生
[a]
岸 政彦 / 勁草書房 / 2014-05-31
社会学の若い研究者とその学生による聞き書き集。
魚で始まる世界史: ニシンとタラとヨーロッパ (平凡社新書)
[a]
越智 敏之 / 平凡社 / 2014-06-13
運悪く、考え事をしながら適当に読み飛ばしちゃった本なんだけど、なかなか面白かった。カソリックの「金曜日は魚の日」という伝統の背後には海軍力の問題があったりした由。
イギリス史10講 (岩波新書)
[a]
近藤 和彦 / 岩波書店 / 2013-12-21
シェイクスピアの史劇をちびちび読んでいる、その手助けにと思って読んだのだが、かの国の歴史のわかりにくいことといったら、もうね...
パンの文化史 (講談社学術文庫)
[a]
舟田 詠子 / 講談社 / 2013-12-11
大変面白い本だったのだが、しかし腹が減って困った。
読了:「パンの文化史」「街の人生」「魚で始まる世界史」「シャルル・ドゴール」「イギリス史10講」
2014年7月 2日 (水)
いま数えてみたら、最近はほんとに、本を読んでいない。いろいろ思い当たるフシはあるのだけれど、ひとつの理由は、やはりスマホにある。反省。移動時間中もこまめに本を読まないと。
瞽女うた (岩波新書)
[a]
ジェラルド・グローマー / 岩波書店 / 2014-05-21
明恵上人伝記 (講談社学術文庫 526)
[a]
平泉 洸 / 講談社 / 1980-11
学部生時代だと思うけど、河合隼雄「明恵 夢を生きる」がきっかけで読み始めて挫折していた本。このたび本棚を整理していてふと手にとり、さらりと読了してしまった。やはり、本の読み方に真剣さがなくなったのだと思う。仕方のないことではあるけれど...
イノベーション戦略の論理 - 確率の経営とは何か (中公新書)
[a]
原田 勉 / 中央公論新社 / 2014-03-24
MOTっていうんでしょうか。イノベーションを産み出す経営戦略とは、というような内容であった。
ヒトラー演説 - 熱狂の真実 (中公新書)
[a]
高田 博行 / 中央公論新社 / 2014-06-24
不干斎ハビアン―神も仏も棄てた宗教者 (新潮選書)
[a]
釈 徹宗 / 新潮社 / 2009-01
近松門左衛門名作文楽考1 女殺油地獄
[a]
豊竹 咲大夫,尾嵜 彰廣 / 講談社 / 2011-03-31
近松「女殺油地獄」についての豊竹咲太夫さんの芸談とDVD、文楽の見巧者の方(神宗という老舗の佃煮屋さんのご主人だそうだ)による解説をあわせた造りの本。「女殺油地獄」を読んですっかり心奪われ、あれに関する本なら何でも読む!と買いあさった本。
読了:「近松門左衛門名作文楽考・女殺油地獄」「不干斎ハビアン」「ヒトラー演説」「イノベーション戦略の論理」「瞽女うた」「明恵上人伝記」
2014年5月11日 (日)
ベケットと「いじめ」 (白水uブックス)
[a]
別役 実 / 白水社 / 2005-08
中野の中学校でのいじめ自殺事件(86年)を題材にして、ベケットと現代の演劇を論じる本。
別役実の評論の代表作ともいうべきとても有名な本だと思うけど、インテリが事件を題材に何事かを語るということ自体に私は強い拒否感を感じていて、どうしても手に取る気になれなかった。連休中にふと入った小さな本屋さんで白水社の在庫僅少本フェアをやっていて、深く考えずにふと手に取ったら、原著は87年刊、意外にも、すでに四半世紀が経過している。なんとなく、もういいかなあ...という気持ちになった。
彼と同じ事態のなかで、同じことを夢見て死に、しかしその自死が隠され、忘れ去られた子どもたちが、たくさんいたと思う。亡くなった少年は勝ったのだ。彼は命と引き替えに彼の欲した勝利を手に入れた。だから、彼を哀れむのではなく讃えるべきだ。彼がそのようにして勝利すべきであったかどうかは別にして。と、その頃私は思った。今でも少しだけそう思っている。
お菓子でたどるフランス史 (岩波ジュニア新書)
[a]
池上 俊一 / 岩波書店 / 2013-11-21
ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書)
[a]
矢野 久美子 / 中央公論新社 / 2014-03-24
読了:「ベケットといじめ」「お菓子でたどるフランス史」「ハンナ・アーレント」
青木昌彦の経済学入門: 制度論の地平を拡げる (ちくま新書)
[a]
青木 昌彦 / 筑摩書房 / 2014-03-05
タイトルを誤解して手に取ったのだが、ほんとは「『青木昌彦の経済学』入門」と呼ぶべき内容であった。でも勉強になりました。
黙示録――イメージの源泉 (岩波新書)
[a]
岡田 温司 / 岩波書店 / 2014-02-21
新約聖書のヨハネ黙示録を中心に、黙示録とそれを巡る文化史について述べた本。残念ながら、考え事をしながら読んでたせいで、いまいち頭に入らなかった。
社会学の歴史
[a]
奥井 智之 / 東京大学出版会 / 2010-09
あえて講談調で語る社会学史、という感じの本であった。
マーケットデザイン: 最先端の実用的な経済学 (ちくま新書)
[a]
坂井 豊貴 / 筑摩書房 / 2013-09-04
パレスチナとは何か (岩波現代文庫―社会)
[a]
エドワード・W.サイード / 岩波書店 / 2005-08-19
文楽の歴史 (岩波現代文庫)
[a]
倉田 喜弘 / 岩波書店 / 2013-06-15
ヘイト・スピーチとは何か (岩波新書)
[a]
師岡 康子 / 岩波書店 / 2013-12-21
読了:「社会学の歴史」「パレスチナとはなにか」「文楽の歴史」「黙示録」「マーケットデザイン」「ヘイト・スピーチとは何か」「青木昌彦の経済学入門」
2014年4月 9日 (水)
フェルメールになれなかった男: 20世紀最大の贋作事件 (ちくま文庫)
[a]
フランク ウイン / 筑摩書房 / 2014-03-10
フェルメールの贋作者として知られるファン・メーヘレンを中心にしたノンフィクション。
創作の極意と掟
[a]
筒井 康隆 / 講談社 / 2014-02-26
カラー版 - スキマの植物図鑑 (中公新書)
[a]
塚谷 裕一 / 中央公論新社 / 2014-03-24
雑草の図鑑。ときどきこういうのが無性に読みたくなる。
読了:「創作の極意と掟」「スキマの植物図鑑」「フェルメールになれなかった男」
2014年3月18日 (火)
定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険 2-4)
[a]
ベネディクト・アンダーソン / 書籍工房早山 / 2007-07-31
よく考えてみると読んでなかった敷居の高い本に思い切ってチャレンジする「実をいうと読んでなかった」シリーズ、M.ウェーバー、I.ハッキングに続く第三弾。なんだか有名な本だという知識だけが先行してしまい、どうも手に取りづらかった。
ところがどっこい、思い切って読み始めたら、これが稀にみる面白本で... 1991年刊の増補版で読んでいたのを中断し、わざわざ2006年刊の新版を買い直して読んだ。
題名から受ける印象に反し、単に「国民国家というのは想像された共同体なのですよ」という本ではない。その想像の共同体がいかにして成立したか、その複雑なプロセスを丁寧に説き明かす本なのであった。
一度手に取ったら止められない、実にエキサイティングな内容で、読み終えてからもしばらくは心のなかでブームが続き、適当な箇所を開いて読み返しては面白がっていたのであった。ここんところの一大ヒット。
禁欲のヨーロッパ - 修道院の起源 (中公新書)
[a]
佐藤 彰一 / 中央公論新社 / 2014-02-24
ローマ五賢帝 「輝ける世紀」の虚像と実像 (講談社学術文庫)
[a]
南川 高志 / 講談社 / 2014-01-11
チャーチル―イギリス現代史を転換させた一人の政治家 増補版 (中公新書)
[a]
河合 秀和 / 中央公論社 / 1998-01-25
見方によっては偉大な人であろうが、民主主義的な政治家とは言いがたい...
トクヴィルが見たアメリカ: 現代デモクラシーの誕生
[a]
レオ ダムロッシュ / 白水社 / 2012-11-23
「アメリカのデモクラシー」を読む前の景気づけに、と思って手に取った本。トクヴィルのアメリカ旅行を追跡する面白い内容であったが、やはりトクヴィル自身の本を読まないと、価値も半減であろう。
読了:「想像の共同体」「トクヴィルが見たアメリカ」「ローマ五賢帝」「禁欲のヨーロッパ」「チャーチル」
2014年2月24日 (月)
鯰絵――民俗的想像力の世界 (岩波文庫)
[a]
C.アウエハント / 岩波書店 / 2013-06-15
安政の大地震の後に流行した「鯰絵」についての古典的研究にして日本民俗学の名著、らしいんだけど、正直なところほとんど理解できなかった。構造人類学ってんですかね、なんだかわけのわからない図が出てくる。
それよりも、図版のなかにあった鯰絵の一枚が衝撃的で、ずっとその絵のことばかり考えていた。「切腹鯰」と呼ばれる鯰絵。巨大な鯰が、地震の責任をとって腹を切っている。その腹からは大判小判があふれ出している。千両箱を持った大勢の人々がそれを取り囲んでいる。死者たちの影もそれを見守っている。当時の人々は、どんな思いでこの絵を求めたのだろうか...
原発敗戦 危機のリーダーシップとは (文春新書)
[a]
船橋 洋一 / 文藝春秋 / 2014-02-20
小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏
[a]
小林 信彦,萩本 欽一 / 集英社 / 2014-01-24
小林信彦さんによる萩本欽一の聞き書きかと思ったら、そうではなくて、萩本欽一さん企画による小林信彦の聞き書きであった。
もう一度 天気待ち
[a]
野上 照代 / 草思社 / 2014-01-22
野上照代さんが黒澤について語ったエッセイ集「天気待ち」の復刊。旧著でも読んでいたのだが、かなりの増補があった。
読了:「鯰絵」「原発敗戦」「ふたりの笑タイム」「もう一度天気待ち」
2014年2月12日 (水)
国際メディア情報戦 (講談社現代新書)
[a]
高木 徹 / 講談社 / 2014-01-17
2014年1月27日 (月)
国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源
[a]
ダロン アセモグル,ジェイムズ A ロビンソン / 早川書房 / 2013-06-21
国家はなぜ衰退するのか(下):権力・繁栄・貧困の起源
[a]
ダロン アセモグル,ジェイムズ A ロビンソン / 早川書房 / 2013-06-21
今月はずーっとこの本にかかりきりであった。世界中を飛び回る長大な内容だが、主張は意外にシンプルで、要するに、多元的な権力構造を持つ政治システムがないと国家はいずれ衰退しちゃうよ、でもそういうシステムを持てるかどうかは歴史と運に左右されるよ... ということなのではないかと思う。
パスタでたどるイタリア史 (岩波ジュニア新書)
[a]
池上 俊一 / 岩波書店 / 2011-11-18
年末年始の息抜きに読んだ本。とはいえ、著者名が示すように(「身体の中世」を書いた本物の歴史家である)、ただのパスタについての蘊蓄本ではない。
イタリア各地のパスタのお国自慢を切り口に、統一国家としてのイタリアの形成について触れる章が非常に面白かった。地方ごとの名産料理なるものの生成は国家統一と裏表の関係にある、ということらしい。なるほどねー。
孤独な日銀 (講談社現代新書)
[a]
白川 浩道 / 講談社 / 2014-01-17
金融政策の話なんてテンで理解できないので、しかたなくこういう本を読んで、分かった気になろうとしているわけである。元日銀マンが、組織としての日本銀行について書いた本。
それはそれで面白かったのだけれど、日本をどうするかという話と、日銀という組織をどう守るかという話が、なんだかごっちゃにされているような気がして... どう捉えたらいいのか、よくわからない。
ところで、新聞などに「量的質的金融緩和」というような言葉が踊っていて、なにかが量的でありかつ質的であるっていったいどういうことを指しているのかなあ、と不思議に思っていたのだけれど、ひょっとするとあれって、「超!もンのすっっごい緩和っ!!」というような意味なのだろうか。参るなあ。
読了:「国家はなぜ衰退するのか」「パスタでたどるイタリア史」「孤独な日銀」
2014年1月12日 (日)
<中東>の考え方 (講談社現代新書)
[a]
酒井 啓子 / 講談社 / 2010-05-19
仕事と全然関係ない本を、突如として読みたくなったため。突如として、じゃないか。いつもか。
2014年1月 5日 (日)
ガルブレイスを読む (岩波現代文庫)
[a]
中村 達也 / 岩波書店 / 2012-08-18
数年前に「ゆたかな社会」を読んで、読んでいる最中はとても面白かったんだけど、読み終わったら結局どういう話だったのかわからなくなってしまい、自分の頭の悪さにうんざりしたのであった。
その仇討ちのつもりで読んだ本。著書をもう一冊読むとしたら「新しい産業国家」がよさそうだが、いずれにせよ体系を構築するタイプの研究者ではなく、むしろ「異議申し立て」型の学者であった由。なるほど。
章のあいまにコラム風に、ガルブレイス先生の名台詞集が挿入されていて、これがやたらに面白い。サムエルソンは「経済学者でない人たちはガルブレイスを重要視しすぎ、同じ分野の我々は彼を軽く扱いすぎる」と評したそうだが、たしかに先生の警句はあまりに面白すぎるのである。たとえばこんな台詞。
少なくとも経済学者にとって市場が魅力的に感じられる理由の大半は、市場がすべての事柄を単純化するようにみえるからにほかならない。こみ入った真理よりも秩序だった誤謬のほうがよいのだ。
忠臣蔵 もう一つの歴史感覚 (講談社学術文庫)
[a]
渡辺 保 / 講談社 / 2013-11-12
年末年始の息抜きに読んだ本。著者は高名な歌舞伎批評家で、私自身は歌舞伎には全然関心ないんだけど、この先生の文章はなんとなく味わい深いのである。
たとえばこんな箇所。「古今いろは評林」という江戸時代の研究書にあるという、仮名手本忠臣蔵についての評言を引いて、
「恋なくて恋の情を含みて」というのは名言だと思う。恋はもとより相手があって成り立つ。おかるには早野勘平がいて、おかるの恋は成り立っているが、実は勘平が死んだあとの七段目でもおかるは、恋をしている女の「恋の情」があざやかなのである。だから実際のラブ・シーンはないのに、あたかも恋があったような感じが見ているものにするのである。
これはおかるが勘平の死という現実を知らなかったからではない。おかる自身が恋をする女であり、おかるそのものが恋に生きる女だったからである。相手もいないのに恋する女なぞ世の中にいようがないが、つねに自分の体のうちに恋を持ち、恋に生きている女というのはいるだろう。おかるは、きびしい道徳の下の理想像だから、勘平一人との恋に生きたけれども、本当は師直が看破したように、恋の小間使いなのである。これは決して淫奔というのではない。そこがいわくいいがたく、むずかしいところであるが、恋に生きる、その恋を心にしている女の正体である。
こういう文章を読んで、20代の朧な記憶を振り返り、そういうことであったか、と感慨にふけったりして... 人生の先達の言葉は味読に値するなあ。などと思いながら読んだ。
で、いま気がついたんだけど、この本の初版は81年。数えてみたら、当時の著者はいまの私と同年代だ。あいたたた。。。
2013年12月22日 (日)
団地の空間政治学 (NHKブックス No.1195)
[a]
原 武史 / NHK出版 / 2012-09-26
高齢化問題に直面する公団住宅のなかでも、松戸の常盤平団地は異色で、自治会が建て替えを拒否、孤独死問題に積極的に取り組み、いまや入居希望者が殺到しているのだそうだ。へえー。
エジプト革命 - 軍とムスリム同胞団、そして若者たち (中公新書)
[a]
鈴木 恵美 / 中央公論新社 / 2013-10-22
最後の大独演会
[a]
立川 談志,太田 光,ビートたけし / 新潮社 / 2012-11
しんがり 山一證券 最後の12人
[a]
清武 英利 / 講談社 / 2013-11-14
読了:「エジプト革命」「団地の空間政治学」「立川談志 最後の大独演会」「しんがり」
2013年11月11日 (月)
カタロニア讃歌 (岩波文庫)
[a]
ジョージ オーウェル / 岩波書店 / 1992-05-18
オーウェルはスペイン共和政末期の大混乱に翻弄される。短い内容なのだが、読み終えるまでにとても時間がかかった。
連続講義・デフレと経済政策 アベノミクスの経済分析
[a]
池尾 和人 / 日経BP社 / 2013-07-11
サラリーマンのための現代経済学入門、という感じの本。私のような経済音痴のためにわざわざ講義形式にしてくださっているのだと思うけど、それでも残念ながらちょっと理解できないところがあった(45度線分析のところとか)。でもそれは私がこの種の話にとことん向いていないからで、きっと良書なのだろうと思う。それなりに勉強になったような気がいたします。
民主党政権 失敗の検証 - 日本政治は何を活かすか (中公新書)
[a]
日本再建イニシアティブ / 中央公論新社 / 2013-09-21
大坂の非人: 乞食・四天王寺・転びキリシタン (ちくま新書)
[a]
塚田 孝 / 筑摩書房 / 2013-10-07
ダルマの民俗学―陰陽五行から解く (岩波新書)
[a]
吉野 裕子 / 岩波書店 / 1995-02-20
ダルマさんについての本というより、陰陽思想から読み解く日本の習俗、という感じの内容であった。
ミケランジェロ (中公新書)
[a]
木下 長宏 / 中央公論新社 / 2013-09-21
関東連合:六本木アウトローの正体 (ちくま新書)
[a]
久田将義 / 筑摩書房 / 2013-09-05
不格好経営―チームDeNAの挑戦
[a]
南場 智子 / 日本経済新聞出版社 / 2013-06-11
読了:「連続講義・デフレと経済政策」「民主党政権 失敗の検証」「大阪の非人」「ダルマの民俗学」「ミケランジェロ」「関東連合」「カタロニア讃歌」「不格好経営」
2013年9月24日 (火)
フルシチョフ秘密報告「スターリン批判」 (講談社学術文庫 204)
[a]
フルシチョフ / 講談社 / 1977-12
古本屋で購入。フルシチョフのスターリン批判演説の全訳。すごーく長い演説だったと聞いたことがあるんだけど、確かにこれ朗読したら、結構な時間がかかるだろう。
西太后―大清帝国最後の光芒 (中公新書)
[a]
加藤 徹 / 中央公論新社 / 2005-09
昔の中国映画の「西太后」では(レオン・カーフェイが出てましたね)、ライバルの手足を切って甕にいれて飼うという場面が出てきたのだけれど、あれはもちろんフィクションだそうです。よかったよかった。
→いまふと調べたら、この本、2005年に読んでいるではないか。「面白かった」なんてメモしているぞ。確かに、ちょっと既読感があったのだけれど... 砂漠に水を撒くようなものだなあ。
『平家物語』の再誕―創られた国民叙事詩 (NHKブックス No.1206)
[a]
大津 雄一 / NHK出版 / 2013-07-26
戦士ジャンヌ・ダルクの炎上と復活
[a]
竹下 節子 / 白水社 / 2013-06-15
ジャンヌ・ダルクについての言説の歴史について語る内容。アヌイの「ひばり」があまりに面白かったので、勢い余って読んでしまった。
藤原道長の日常生活 (講談社現代新書)
[a]
倉本 一宏 / 講談社 / 2013-03-15
生活保護:知られざる恐怖の現場 (ちくま新書)
[a]
今野晴貴 / 筑摩書房 / 2013-07-10
読了:「生活保護」「ルポ・虐待」「戦士ジャンヌ・ダルクの炎上と復活」「『平家物語』の再誕」「西太后」「フルシチョフ秘密報告『スターリン批判』全訳解説」
2013年8月26日 (月)
消費税 政と官との「十年戦争」
[a]
清水 真人 / 新潮社 / 2013-08-23
小泉内閣から野田内閣まで、消費税増税へのプロセスを政治部的な視点で追ったノンフィクション。おそらく重要な情報源のひとりは与謝野さんだと思う。
増税ってのが政治的にいかに大変か、という話であった。
新・ローマ帝国衰亡史 (岩波新書)
[a]
南川 高志 / 岩波書店 / 2013-05-22
鉄炮伝来――兵器が語る近世の誕生 (講談社学術文庫)
[a]
宇田川 武久 / 講談社 / 2013-05-10
増補 ケインズとハイエク―“自由”の変容 (ちくま学芸文庫)
[a]
間宮 陽介 / 筑摩書房 / 2006-11
チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える (ちくま新書)
[a]
丸川 知雄 / 筑摩書房 / 2013-05-07
読了:「鉄砲伝来」「ケインズとハイエク」「チャイニーズ・ドリーム」「新・ローマ帝国衰亡史」「消費税 政と官との十年戦争」
2013年8月12日 (月)
NA選書 手すり大全 (日経BPムック NA選書)
[a]
/ 日経BP社 / 2008-10-30
文字通り、ひたすら「手すり」(あの、階段とか便器の脇の壁とかについている奴) について述べる本。日経アーキテクチャーの特集号を元にしたものだから、基本的には専門家向けなのだけれど、手すりに対する無闇にハイテンションな愛がつまっているところ、面白くて仕方がない。何でこんな本を読んでんだかわからないが、ついつい読み終えてしまった。
「大学セミナーハウス」などで知られる建築家の吉阪隆正は、手すりを大変重視し活用した人なのだそうだ(そうそう、お茶の水のアテネ・フランセの階段にはものすごく重厚で印象的な手すりがある)。で、この先生、階段の手すりを支える縦の桟(「手すり子」)の本数を少なく、間隔を空けて設計することが多かった。隙間から足を踏み外したりして危なそうだが、その背景には、建築は身体感覚を呼び覚ますべきだ、危ない場所は危なそうにみえるべきだ、というような信念があったのではないか、とのこと。
この信念に従い、自宅の外階段には手すりそのものをつけなかったが、「ちょっとヒヤッとするくらいのほうがかえって落ちないものだ」という見込みは正しく、そこから落ちたのは吉阪隆正本人だけだったそうである。
商店街再生の罠:売りたいモノから、顧客がしたいコトへ (ちくま新書)
[a]
久繁 哲之介 / 筑摩書房 / 2013-08-07
著者は「地域再生プランナー」という肩書きの方。全く知識のない方面の話で、興味深く読み終えたが、別の角度からの本も読まないといけないかもしれない。千葉県の民間図書館の話が面白かった。
民族紛争 (岩波新書)
[a]
月村 太郎 / 岩波書店 / 2013-06-21
ヤバい社会学
[a]
スディール・ヴェンカテッシュ / 東洋経済新報社 / 2009-01-16
数年前に大変な評判となった本。邦題はちょっと下品だが、これは別のベストセラーの邦題を踏まえたもので、原題は"Gang Leader for a Day." 社会学専攻のの院生がシカゴの団地に潜り込み、インフォーマントのギャングと奇妙な友情を結ぶ。参与観察のモノグラフというより、一種の青春小説として読めるところが、ベストセラーとなった理由だろう。
読了:「手すり大全」「ヤバい社会学」「民族紛争」「商店街再生の罠」
2013年8月 6日 (火)
北朝鮮秘録 軍・経済・世襲権力の内幕 (文春新書 932)
[a]
牧野 愛博 / 文藝春秋 / 2013-07-19
記録するのを忘れてたけど、先週読んだ本。著者は朝日の記者。
2013年8月 5日 (月)
生活保護リアル
[a]
みわよしこ / 日本評論社 / 2013-07-03
SWEET HOME CHICAGO(1) (ワイドKC)
[a]
ヤマザキ マリ / 講談社 / 2012-08-10
美しい昔 近藤紘一が愛したサイゴン、バンコク、そしてパリ (小学館文庫)
[a]
野地 秩嘉 / 小学館 / 2013-08-02
早世したジャーナリスト、近藤紘一さんの生涯をたどる紀行エッセイ。JALの機内誌に連載していたのだそうだ。
読了:「生活保護リアル」「スイート・ホーム・シカゴ」「美しい音」
2013年7月29日 (月)
スペイン内戦―包囲された共和国1936‐1939 (世界歴史叢書)
[a]
ポール プレストン / 明石書店 / 2009-09
イギリスの研究者によるスペイン内戦史。重厚な本でくたびれたけど、興味深い内容であった。
スペイン内戦中、反乱軍支配地域は表面的には平穏で、市民生活は快適であった。ナチス・ドイツからもイギリスからもバチカンからも支持され、食料は豊富で、共和制支持者の大量虐殺は組織的かつ隠密裏になされた。いっぽう共和国側では、ナショナリスト支持者の虐殺が非組織的に散発し、治安は悪化し、共産主義者とアナキストの内部対立はますます激化し、食料は不足し、生活はますます苦しくなり... ううむ。民主主義を維持するってのはほんとに大変なのだなあ。
スバらしきバス
[a]
平田俊子 / 幻戯書房 / 2013-06-26
現代詩人による、路線バス搭乗記エッセイ。バスのファン雑誌かなにかの連載かと思ったら、書下ろしだそうだ。うーん、変わっている...
日本型雇用の真実 (ちくま新書)
[a]
石水 喜夫 / 筑摩書房 / 2013-06-05
消されたマンガ
[a]
赤田 祐一,ばるぼら / 鉄人社 / 2013-07-22
読了:「スバらしきバス」「スペイン内戦」「消されたマンガ」「日本型雇用の真実」
2013年7月27日 (土)
「幸せ」の経済学 (岩波現代全書)
[a]
橘木 俊詔 / 岩波書店 / 2013-06-19
ざっと目を通しただけだけど、読了にしておく。市民セミナーの講義録が元になっているのだそうで、大変読みやすい内容であった。
2013年7月18日 (木)
若年者就業の経済学
[a]
太田 聰一 / 日本経済新聞出版社 / 2010-11-19
第一線の労働経済学者による、自分の実証研究の紹介を含めた専門書。大変に読み応えがある内容で、発刊時に読みかけて途中で挫折していた。このたび無理矢理読了。
主な内容は章の順に、若年雇用問題の定義と失業率の世代差(コホート・クラウディング)、学卒時の労働市場が与える長期的影響(世代効果)、企業が新卒を一括採用する理由、世代間・男女間の雇用の代替関係、若年労働市場の地域差、企業の若年者育成、若年雇用対策。
内容もさることながら、実証的分析の方法もとても勉強になった。正確にいうと、もっと丁寧に読めばもっと勉強になっただろうに、という後ろめたさがあるのだけれど。こういうのは、必要になったときに慌てて勉強したのでは間に合わないのである。
20世紀をつくった経済学―シュンペーター、ハイエク、ケインズ (ちくまプリマー新書)
[a]
根井 雅弘 / 筑摩書房 / 2011-12
ちょっと出来心で、ハイエク関連の本をどっさり買ってしまったので、まずは一番簡単そうな、高校生向けの新書から...
地方の王国 (講談社学術文庫)
[a]
高畠 通敏 / 講談社 / 2013-04-11
すでに亡くなった高名な政治学者による、80年代の地方政治のルポルタージュ。田中角栄のロッキード裁判一審判決後の魚沼に取材した文章が大変面白かった。
敗者の条件 (中公文庫)
[a]
会田 雄次 / 中央公論新社 / 2007-02
日本の戦国時代とヨーロッパを縦横に駆け巡る歴史講談、という感じの本であった...
読了:「若年者就業の経済学」「20世紀をつくった経済学」「地方の王国」「敗者の条件」
2013年7月 8日 (月)
股間若衆―男の裸は芸術か
[a]
木下 直之 / 新潮社 / 2012-03
日本近代の彫刻と写真における男性ヌードの歴史を、特に股間の表現に注目して辿った本。タイトルは「古今和歌集」のもじりだそうである。
めくったとたんに、赤羽駅前の男性裸体ブロンズ像の股間をアップにした写真がどどーんと。性器の部分が非常にあいまいである。井の頭公園にあるという北村西望という彫刻家の一連のブロンズ像に至っては、股間は「溶けている」としかいいようのない不思議な形で表現されている。なるほど。。。
ヘンな日本美術史
[a]
山口 晃 / 祥伝社 / 2012-11-01
正厳寺というお寺にあるという「光明本尊」、著者は「鶯谷のグランドキャバレーを思い出す」と評していて、またまた大げさな表現を。。。と思いながら頁をめくって図版をみたら、想像を遙かに超えるデザインで仰天した。今調べたら、滋賀県の東近江市というところにある寺らしい。
2013年6月26日 (水)
経済学に何ができるか - 文明社会の制度的枠組み (中公新書)
[a]
猪木 武徳 / 中央公論新社 / 2012-10-24
碩学が全力を投入して著した啓蒙書を、電車の吊革にぶら下がった状態でテキトーに読んでていいんだろうか、と多少後ろめたくなりました。えーっと、でも、これを機にひとつトクヴィルの書いた本を読んでみようかと思いましたんで(実際に岩波文庫で買いましたんで)、それに免じて、どうかご寛恕くださいまし。
聖書考古学 - 遺跡が語る史実 (中公新書)
[a]
長谷川 修一 / 中央公論新社 / 2013-02-22
聖書の時代のイスラエルについての考古学の本。申し訳ないけど、これもテキトーにめくってしまった。旧約についての予備知識の不足のせいである。
本題よりも、信仰者による(ときには予算潤沢な)探求と、実証研究との間の緊張関係の話が面白かった。すいません。でも、著者も述べているけど、近現代史でも似たような構図がありますね。
2013年6月19日 (水)
周五郎伝
[a]
齋藤 愼爾 / 白水社 / 2013-06-04
山本周五郎の評伝的エッセイ。大著だが、なにしろ話が絶えず脇道に逸れるので、あまり長さを感じなかった。
狷介で知られた周五郎だが、やはり奥さんは大変な苦労を重ねたそうだ。で、夫の没後に奥さんはこう語っている由。「あんな気むずかしい人ンところにお嫁にいっちゃって、損しちゃッたわ」
同情する以前に、うわあ、「おたふく」の天真爛漫なおしずさんそのものだ、とびっくり。。。
全然知らなかったんだけど、作家の上野暸さんが、山本周五郎の「その木戸を通って」についての評論を書いているそうだ。ぜひ読んでみたいと思って探したが(「われらの時代のピーターパン」)、さすがに新刊では見当たらない。
2013年6月14日 (金)
食糧の帝国――食物が決定づけた文明の勃興と崩壊 (ヒストリカル・スタディーズ)
[a]
エヴァン・D・G・フレイザー,アンドリュー・リマス / 太田出版 / 2013-02-01
大変興味深い本だったのだけれど、案の定、読み終えて大変に暗い気分になった。とはいえ、自分にできることなど限られているし...
北朝鮮――変貌を続ける独裁国家 (中公新書)
[a]
平岩 俊司 / 中央公論新社 / 2013-05-24
以下はしばらく前に読んで、記録しそこねていた本:
仏像: 日本仏像史講義 (別冊太陽スペシャル 創刊40周年記念号)
[a]
山本 勉 / 平凡社 / 2013-02-12
「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリー
[a]
高橋 秀実 / 新潮社 / 2012-09
2013年6月 4日 (火)
人はなぜ人を殺したのか ポル・ポト派、語る
[a]
舟越 美夏 / 毎日新聞社 / 2013-03-01
イエン・サリ、キュー・サムファンら、旧ポル・ポト派幹部へのインタビューを軸にしたノンフィクション。クメール・ルージュの恐怖政治と虐殺を生き延びた人々が、どのように過去と向き合い、人を赦していくか、という重いテーマを抱えた本であった。
夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち (中公新書)
[a]
橘木 俊詔 / 中央公論新社 / 2013-01-24
最終章、結婚行動の地域差の分析が面白かった。ここの章だけ文体が違うような気がする。共著の若いお弟子さんが書いた章なのだろうか(著者の先生には悪いけど...いや、教員冥利に尽きる、かな...)。
都市規模のちがういくつかの地域を採りあげて比較すると、女性の未婚率は大都市のほうが高いが、男性の未婚率は都市部と山間部で高く都市近郊で低い。いっぽう未婚者の交際状況についてみると(内閣府の調査)、異性との交際経験がないと答える人は地方のほうが多い。へえー。婚姻に対する圧力に地域差がある、都市部で低所得だと結婚に踏み切れない、(サーチ理論の観点から)都市部のほうがいまより魅力的な人に巡り会える機会が多いから結婚に踏み切れない、といった説明が可能である由。
正統と異端 - ヨーロッパ精神の底流 (中公文庫)
[a]
堀米 庸三 / 中央公論新社 / 2013-04-23
中世ヨーロッパのカトリック教会で、たとえば洗礼を授けてくれた聖職者があとで罪に問われて罷免されちゃったとき、その洗礼はいったいどうなるのか、やり直すべきか、いやいや秘蹟は神が与えたのだからそりゃおかしい... という論争があったのだそうだ。素人にはどうでもいいような話に聞こえるけれど、これが実は深刻な大問題なのである。
この論争を手がかりに、政治と宗教とのダイナミックなせめぎ合いが描かれる。難しくてわからない箇所が多かったけど、それでもとても面白い内容であった。
死との対面: 瞬間を生きる (知恵の森文庫 t や 6-1)
[a]
安岡章太郎 / 光文社 / 2012-08-08
原著は98年刊。エッセイというより、談話を構成したものじゃないかしらん。
日本型近代家族―どこから来てどこへ行くのか
[a]
千田 有紀 / 勁草書房 / 2011-03-29
韓国 葛藤の先進国 (日経プレミアシリーズ)
[a]
内山 清行 / 日本経済新聞出版社 / 2013-03-16
日本の転機―米中の狭間でどう生き残るか (ちくま新書)
[a]
ロナルド ドーア / 筑摩書房 / 2012-11
演出術 (ちくま文庫)
[a]
蜷川 幸雄,長谷部 浩 / 筑摩書房 / 2012-07
イメージ―視覚とメディア (ちくま学芸文庫)
[a]
ジョン バージャー / 筑摩書房 / 2013-01
わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)
[a]
平田 オリザ / 講談社 / 2012-10-18
雑草のはなし―見つけ方、たのしみ方 (中公新書)
[a]
田中 修 / 中央公論新社 / 2007-03
息抜きに読んだ本。空き地に生えてくるスギナ、抜いても抜いてもきりがないけれど、鉢植えで育てようとすると案外に難しいのだそうだ。根を張るまでが大変なのだそうである。へええ? 地球が滅びても奴らだけは生き残るんじゃないかというくらいしぶといのに、意外だ。
読了:「人はなぜ人を殺したのか」「演出術」「イメージ」「正統と異端」「わかりあえないことから」「死との対面」「日本の転機」「夫婦格差社会」「韓国・葛藤の先進国」「日本型近代家族」「雑草のはなし」
2013年4月17日 (水)
近代家族の成立と終焉
[a]
上野 千鶴子 / 岩波書店 / 1994-03-25
消費者調査に関連する仕事をして糊口をしのいでいるのだが、世の中知らないことやわからないことばかりで、ときどきなんだか他の惑星からやってきた宇宙人になったような気がすることがある。仕事の話なのであまり書けないけど、最近ひょんなことから、結婚というものは実に奇妙なモノだなあと、目を見開くような機会があった。知っている人にとっては当たり前の、結婚にまつわるあれこれのなかに、考えてみれば随分不思議なことが隠れている。たとえば、結婚指輪って、あれ、いったいなんなのでしょうね。指に金属の輪っかをはめるんですよ?いったいどういうわけでそんなことに。
いまさら世間の常識や業界事情を学んでも追いつかないし、本質には迫れない。もっと原理的なところから考えなければ。。。と思い立ち、本棚に死蔵していた上野千鶴子のハードカバーを手に取った。大きな賞をとった本だし、さぞや読みにくかろうと放置していたのである。読み始めてびっくりしたのだけど、これ、雑誌の寄稿などの短い文章の集成であった。ちゃんと目次と後書きくらい読んでから買えってことですね。読みやすくて助かったけど。
面白かった箇所、勉強になった箇所は多かったが。。。日本近代における「家」概念の成立について概観した「日本型近代家族の成立」、江藤淳『成熟と喪失』の文庫本解説として書かれたという「『母』の戦後史」、そして家電製品の普及が家事労働にもたらした(もたらさなかった)変化について述べた「技術革新と家事労働」、の三編が特に面白かった。
お伊勢参り - 江戸庶民の旅と信心 (中公新書)
[a]
鎌田 道隆 / 中央公論新社 / 2013-02-22
江戸時代の「おかげまいり」について述べた本編も面白かったのだが、最終章、著者の先生が学生たちと毎年行っていたというお伊勢参りの話が面白い。これはやっぱり、学生たちの徒歩ツアーを無償で支える、街道沿いの人々が偉い。。。
小さな建築 (岩波新書)
[a]
隈 研吾 / 岩波書店 / 2013-01-23
琳派のデザイン学 (NHKブックス No.1202)
[a]
三井 秀樹 / NHK出版 / 2013-02-23
琳派は偉大だ! 日本は素晴らしい! という内容であった。うぐぐぐ。
読了:「琳派のデザイン学」「近代家族の成立と終焉」「お伊勢参り」「小さな建築」
2013年3月18日 (月)
藝人春秋
[a]
水道橋博士 / 文藝春秋 / 2012-12
2013年3月13日 (水)
年明け以来、ほんとにばたばたしていて、本を読んでいる時間がないし、たまに読んでも記録する時間がない。嘆かわしいことだ。。。
建設業者
[a]
/ エクスナレッジ / 2012-10-01
宮大工からカーペット張りまで、建築業の職人36人のインタビュー。この本はほんとに面白かった。スタッズ・ターケル「仕事」を思わせる傑作。
カウントダウン・メルトダウン 上
[a]
船橋 洋一 / 文藝春秋 / 2013-01-27
カウントダウン・メルトダウン 下
[a]
船橋 洋一 / 文藝春秋 / 2013-01-27
吉田神道の四百年 神と葵の近世史 (講談社選書メチエ)
[a]
井上 智勝 / 講談社 / 2013-01-11
仲代達矢が語る 日本映画黄金時代 (PHP新書)
[a]
春日 太一 / PHP研究所 / 2013-01-17
30代の映画研究者による仲代達矢ロング・インタビュー。
イスラームから世界を見る (ちくまプリマー新書)
[a]
内藤 正典 / 筑摩書房 / 2012-08
紅の党 習近平体制誕生の内幕
[a]
朝日新聞中国総局 / 朝日新聞出版 / 2012-12-20
林彪春秋
[a]
姫田 光義 / 中央大学出版部 / 2009-07
近代中国史の研究者による、林彪に焦点を当てた本。前半は日本敗戦後の国共内戦についての細かい叙述。後半は71年にとんで、林彪事件の謎解き。なんというか、研究とエッセイがないまぜになったような文章であった。なにしろ最終章は、閻魔大王が開廷した毛沢東以下勢揃いの法廷による林彪裁判の実況中継である。なんで俺こんな本読んでんだろうと不思議に思いながらも、それなりに楽しく読了。
読了:「建設業者」「カウントダウン・メルトダウン」「吉田神道の四百年」「仲代達矢が語る日本映画黄金時代」「イスラームから世界を見る」「紅の党」「林彪春秋」
2013年1月 7日 (月)
まなざしの地獄
[a]
見田 宗介 / 河出書房新社 / 2008-11-07
見田宗介が'73年に発表した,永山則夫を題材に都市を論じた文章を薄い本にしたもの。去年か一昨年あたりにほとんど読み終えていたんだけど,あんまり面白いので憂鬱になって,そのままにしていた。整理の都合上,さきほど再読。
本筋と関係ない感想としては... 私はいま市場調査に関連した仕事をしていて,この分野では消費者調査を定性調査と定量調査に分類するのだけれど,本来はこれは手法のちがいに過ぎないのであって,だからある調査課題に対して定性的アプローチと定量的アプローチを混在させた分析があってもよいし,元来はそうあるべきだと思うのである。ところが実際には,このふたつを融合するのはとても難しい。
この本に収められた文章は,永山則夫というエクストリーム・ケース・スタディと,農村から都市に流入した人々についての定量調査の知見とを見事に融合させていて,これはさすがにすごいなあ,と感銘を受けたのだが... こういうのは,分析の力というよりも,むしろ理論的視座の力というべきだろう。
永山則夫は極貧の崩壊家庭に育ち,幼い兄弟たちだけで網走の冬を過ごしたことさえあった。
N.N [永山則夫] らが一冬を生き永らえたことは,「奇跡に近いこと」であったということを,再度確認しておかなければならない。ここにははっきりと,殺人の未遂が存在したのだ。[...] しかもN.Nの母親がとくに,冷酷な母親であったのではない。このとき私が,そしてあなたが,八人の子供をかかえたこの母親であったとしたら,何を選択しえたであろうか。現実に母親の選んだ道は,この分岐点で,ほとんど最上に近い選択であったのかもしれぬ。にもかかわらずN.Nにしてみれば,この母親は許されない。少なくとも彼が,情況に内在する限り許されない。
われわれはこの社会の中に涯もなくはりめぐらされた関係の鎖の中で,それぞれの時,それぞれの事態のもとで,「こうするよりほかに仕方がなかった」「面倒をみきれない」事情のゆえに,どれほど多くの人々にとって「許されざる者」であることか。われわれの存在の原罪性とは,なにかある超越的な神を前提とするものではなく,われわれがこの歴史的社会の中で,それぞれの生活の必要の中で,見すててきたものすべてのまなざしの現在性として,われわれの生きる社会の構造そのものに内在する地獄である。
現代日本の政党デモクラシー (岩波新書)
[a]
中北 浩爾 / 岩波書店 / 2012-12-21
プロメテウスの罠 2
[a]
朝日新聞特別報道部 / 学研マーケティング / 2012-07-03
読了:「まなざしの地獄」「現代日本の政党デモクラシー」「プロメテウスの罠2」
2012年12月25日 (火)
欲望を生み出す社会―アメリカ大量消費社会の成立史
[a]
スーザン・ストラッサー / 東洋経済新報社 / 2011-11-18
19世紀末から20世紀初頭にかけてのアメリカ消費社会の勃興期を,豊富な事例で描いた本。セグメンテーションにターゲティングにポジショニング,サンプリングやらクーポンやらプロモーション効果測定やら,近代的マーケティングの主な概念はすでにこの時期に出現していたのだそうである。へえー。
マーケティングに対する科学的な態度が必要であるという[20世紀初頭アメリカでの]主張は,ビジネスや社会生活の他の知的な流行と密接に関連していた。当時は,課業の設定や標準の設定を含む作業へのアプローチである「科学的管理法」を実践し唱導する能率専門家の全盛時代であった。効率という概念は,社会一般に関する考え方を家政や教育といった利益とはほとんど関係のない分野に関する規範的な記述にも浸透した。[...] 科学的マーケティングに関する議論は,人間性に関するより大きな疑問を反映していた。アダム・スミスに追従した経済学者たちは,個人が私利に従って合理的に活動する [...] 非人格的な自立的意思決定の王国としての『市場』の存在を信じるようになっていた。この『経済人』の見解に一致する人間性の概念は,十九世紀末の何人かの広告実務家の考え方の中に見られた。しかし,他の実務は購買者を非合理的なものとみなすようになりつつあった。この見解は1910年までには支配的となり,応用心理学の用語や手法が採用されるようになった。
そうか,この時期に近代マーケティングの黎明期があったとするならば,それはテイラー・システムの兄弟分のような科学主義でありつつ,合理的経済人モデルの否定でもあったわけだ。面白いなあ。
細かい話だけど... 6章に,パンケーキ・ミックスのトレードマーク「ジャマイマおばさん」として有名になったナンシー・グリーンという女性の話が出てくる。奴隷時代の思い出を語ったり歌ったりしながらパンケーキを焼いて見せ,大変な人気を博したらしい。で,「彼女は,お手伝いを辞め,シカゴで判事となり一生を終えた」と書いてあるんだけど...判事?! 驚いてwebで検索してみたけど,シカゴで交通事故で亡くなるまでジャマイマおばさん役を続けた,とある。判事ってどこから出てきたんだろう。
中国人民解放軍の実力 (ちくま新書)
[a]
塩沢 英一 / 筑摩書房 / 2012-11
中国の市民社会――動き出す草の根NGO (岩波新書)
[a]
李 妍${69D8} / 岩波書店 / 2012-11-21
建設業者
[a]
/ エクスナレッジ / 2012-10-01
建築業界の職人さんインタビュー集。とても魅力的で,面白い本であった。
読了:「欲望を生み出す社会」「中国人民解放軍の実力」「中国の市民社会」「建設業者」
2012年12月 4日 (火)
ナメクジの言い分 (岩波科学ライブラリー)
[a]
足立 則夫 / 岩波書店 / 2012-10-05
研究者による啓蒙書ではなく,ひょんなことからナメクジ・マニアとなった元日経記者によるエッセイであった。これだから岩波科学ライブラリーは油断できない。まあ,この本に関しては,それはそれで面白かったのでよかったけれども。
総統国家―ナチスの支配 1933―1945年
[a]
ノルベルト フライ / 岩波書店 / 1994-04-15
ナチスの知識人部隊
[a]
クリスティアン アングラオ / 河出書房新社 / 2012-01-25
読了:「総統国家」「ナチスの知識人部隊」「ナメクジの言い分」
2012年10月23日 (火)
ときめくきのこ図鑑 (Book for Discovery)
[a]
堀 博美 / 山と渓谷社 / 2012-09-21
きのこの図鑑,というよりも写真集,ならびに素人向けきのこ解説書。
詳しく知りたい人は,全国各地のきのこサークルが主催する観察会に参加するとよい,とのこと。そんなのがあるのか。
ハドリアヌス ─ ローマの栄光と衰退
[a]
アントニー エヴァリット / 白水社 / 2011-10-07
ローマ皇帝ハドリアヌスの伝記。著者はジャーナリスト出身の人だそうで,読み物として面白かった。
若松孝二11・25自決の日三島由紀夫と若者たち
[a]
若松孝二 / 游学社 / 2012-06
今月惜しくも事故で亡くなった若松孝二監督が昨年撮った,同題名の映画についての書籍。
映画のほうは,良い映画かどうかは正直言ってわからないのだけれど,その内容が劇場を出たあとの日常にも浸食してくる,というようなインパクトのある作品であった。
楯の会の青年達とともに死に向かう三島を,映画はぴったりと寄り添うようにして描写するのだけれど,あの市ヶ谷のバルコニーの演説の場面では,三島の叫び声だけがむなしく響き。。。こういっては大変失礼だけれども,やはりあのシーンは,かなりコミカルに感じられた。映画の見方にもちろん正解はないだろうけど,そういう見方でよかったのかなあ,と後であれこれ考えた。
読了:「ときめくきのこ図鑑」「ハドリアヌス」「11.25 自決の日」
2012年10月10日 (水)
勝てないアメリカ――「対テロ戦争」の日常 (岩波新書)
[a]
大治 朋子 / 岩波書店 / 2012-09-21
米軍の帰還兵のなかで,PTSDに並び外傷性脳損傷が問題となっているのだそうだ。戦場で路肩爆弾の爆風を受けた兵士が,外傷はないのに記憶障害や不眠などに悩まされるケースが多発していて,これは微細な脳損傷のせいではないか,と考えられている由。最新鋭の装備によって兵士が死ななくなった代わりに浮上した,新しい問題であるとのこと。
中世のパン (白水Uブックス)
[a]
フランソワーズ・デポルト / 白水社 / 2004-10-15
フランスを中心とした中世ヨーロッパの,パンとパン屋にまつわるあれこれについて述べた本。
パンの価格統制の話が興味深かった。いまの感覚からすれば,パンを規格化し原材料費の変動にあわせて価格を統制すればよいと思いがちだが,14世紀までは発想が逆で,パンの価格を決め,原材料費の変動に会わせてパンの重さを統制していたのだそうだ。パンは焼くと重さが変わるから,定期的に試作実験をしないといけないし,大変に面倒に思われるのだが...
2012年9月29日 (土)
どうも精神的に余裕がなくて,新書くらいしか読めない日々が続いている。困ったものだ。
原発危機 官邸からの証言 (ちくま新書)
[a]
福山 哲郎 / 筑摩書房 / 2012-08-08
北朝鮮と中国: 打算でつながる同盟国は衝突するか (ちくま新書)
[a]
五味 洋治 / 筑摩書房 / 2012-09-05
神道とは何か - 神と仏の日本史 (中公新書)
[a]
伊藤 聡 / 中央公論新社 / 2012-04-24
読了:「神道とはなにか」「北朝鮮と中国」「原発危機・官邸からの証言」
2012年9月19日 (水)
検証 福島原発事故 官邸の一〇〇時間
[a]
木村 英昭 / 岩波書店 / 2012-08-08
地域を豊かにする働き方: 被災地復興から見えてきたこと (ちくまプリマー新書)
[a]
関 満博 / 筑摩書房 / 2012-08-06
ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)
[a]
安田 浩一 / 講談社 / 2012-04-18
ファナティックなレイシズム的言辞で悪名高い,かの在特会についてのノンフィクションの労作。そのメンバーはしかし,どこにでもいる普通の人々なのである。ううむ。。。
お葬式―死と慰霊の日本史
[a]
新谷 尚紀 / 吉川弘文館 / 2009-01-30
読了:「地域を豊かにする働き方」「お葬式」「ネットと愛国」「官邸の100時間」
2012年8月20日 (月)
中国共産党 支配者たちの秘密の世界
[a]
リチャード・マクレガー / 草思社 / 2011-05-25
フィナンシャルタイムズの記者による,現代中国の政治についてのノンフィクション。原著は2010年で,だから薄熙来といった名前はまったく出てこないが,上海の汚職事件は登場する。
2004年時点で,都市の規模と世帯数に比べて民間企業の数が少ないのは,北京,チベット,上海だったのだそうだ。北京とチベットは政府や軍関連産業があるから。上海は,意外にも民間部門が小さく国有企業が多いのだそうだ。へー。
2012年8月17日 (金)
現代中国の政治――「開発独裁」とそのゆくえ (岩波新書)
[a]
唐 亮 / 岩波書店 / 2012-06-21
経済発展による中間層の増大は民主化を引き起こすのだという意見と,じゃあなにかい,スタバでコーヒーを飲めば気分もアメリカナイズされるってのかい,という意見とがあると思うが,著者の意見は,これからの経済発展次第じゃないですか,とのことであった。
2012年8月15日 (水)
足利義政と銀閣寺 (中公文庫)
[a]
ドナルド キーン / 中央公論新社 / 2008-11
2003年刊の本の文庫化。
室町幕府の八代目にして,美に耽溺し応仁の乱を傍観した史上最低の将軍・足利義政を,文化への貢献という面から再評価する内容であった。
銀閣寺は見学しておいたほうがいいかもしれないな。本ばっかし読んでないで。
サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3
[a]
村上 春樹 / マガジンハウス / 2012-07-09
アンアン連載の軽いエッセイ。
ひさし伝
[a]
笹沢 信 / 新潮社 / 2012-04-18
ここんところ井上ひさしさんの戯曲を立て続けに読んでいて,勢い余って読んだ本。著者は山形新聞に勤めた人。
恐山: 死者のいる場所 (新潮新書)
[a]
南 直哉 / 新潮社 / 2012-04-17
軽い気持ちで手に取ったのだが,これが意外に興味深い本であった。
著者は58年生まれ,脱サラして永平寺で約二十年修行したのち(これは例外的な長さだそうで,しまいには「永平寺のダースベーダー」と呼ばれたそうだ),いろいろあって恐山のお寺の住職代理になったという人。
お坊さんというより,哲学科を出て社会運動している人のような案配で,特に巻末の長いあとがきは,リミッターを外したかのように真摯な,読み手を選ぶ文章である。略歴をみると,永平寺時代からすでに何冊も本を書いているそうで,きっと知る人ぞ知る書き手なのだろう。
一見,死というものは死者に埋め込まれている,張り付いていると思われがちです。しかし[...] むしろそれは死者を思う生者の側に張り付いているのです。/なぜなら,死こそが,生者の抱える欠落をあらわすものだからです。その欠落があるからこそ,生者は死者を想う。[...] 私が恐山に来てつくづく思ったのは,「なぜみんな霊の話がこんなに好きなのだろうか」ということです。それは人間の中に根源的な欲望があるからです。そしてその欲望は不安からやってきます。/つまり,霊魂や死者に対する激しい興味なり欲望の根本には,「自分はどこから来てどこにいくのかわからない」という抜きがたい不安があるわけです。この不安こそがまさに,人間の抱える欠落であり,生者に見える死の顔であり,「死者」へのやむにやまれぬ欲望なのです。
死者の前に立つとき,自分の中の何かを死者に預けている,という感覚がある。亡くなって時間が経てば経つほど,そのような感覚が強くなっていきます。/一体,私たちは死者になにを預けているのか---。/それは,欠落したものを埋める何かだと私は考えています。[...] 私たちは生きている他者の前に立つとき,彼らからなるべく多くのものを得たいと思うでしょう。このとき,死活的なそれは,物などではありません。それは好意であり,愛情であり,優しさであり,共感であり,尊敬であり,結局のところは,他者から自己の存在を認められることです。欠落を埋めるものはそれなのです。[...] 相手が生者ならば,私たちはさらに働きかけて,得たいものを得ようとするでしょう。ですが,死者に対しては想起することしかできません。この上得られるものがなにもないままで,他者を想うとき,その思いは,当の他者,死者に預かってもらうほかありますまい。[...] もし,このような死者がリアルな存在でないというならば,生者もまたリアルな存在ではありません。
近代システムがどれほど拡大し深化しても,いや,すればするほど,死も死者も管理の及ばない場所を求めて移動していく。/突拍子もない新宗教や,「迷信」と呼ばれるような民間信仰へ,そして得体の知れない霊場へ。そのような場所で,我々が死者を欲望することで,死者は存在を回復し,我々は自らの死,根元における欠落を解き放つ。その欠落は欠落のまま許される。そこでは,死者も自らの死も悪ではなく,忌むべきものでもないのだ。/恐山に初めて来たという人が,異口同音に言うセリフがある。/「恐いところだろうと思って来たんですが,全然違いました。なにか,懐かしくなるようなところでした」/彼らは何が懐かしいのだろうか。それは,死である。
読了:「恐山」「ひさし伝」「足利義政と銀閣寺」「サラダ好きのライオン」
2012年8月 6日 (月)
競争の作法 いかに働き、投資するか (ちくま新書)
[a]
齊藤 誠 / 筑摩書房 / 2010-06-09
数年前に大変評判になった本。意外に寄り道の多い,くだけた内容であった。
別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判
[a]
佐野 眞一 / 講談社 / 2012-05-25
2012年8月 2日 (木)
北朝鮮で考えたこと (集英社新書)
[a]
テッサ・モーリス-スズキ,田代 泰子 / 集英社 / 2012-05-17
「北朝鮮へのエクソダス」を書いた,オーストラリアの日本近代史研究者による,北朝鮮・韓国の旅行記。20世紀初頭の,ケンプという西洋人女性による紀行文をなぞる度をする。
中世ヨーロッパ生活誌〈1〉
[a]
オットー ボルスト / 白水社 / 1998-10
目黒駅前の本屋さんでうっかり買い込み(たしか非常勤が終わってハイになっていたのだ),そのままずっと本棚に眠っていた本。全二巻なのだが,二巻目のほうはもう品切れになっている...参ったなあ。
実のところ,やはり同じように本棚の奥深くに積まれたままになっていたアリエス「子どもの誕生」と,どっちを先に読もうかとちょっと迷ったのである。この本によれば,西洋中世に子どもという概念がなかったというのは言い過ぎであり,「中世が『子供とは何の関係もなかった』(Ph. アリエス) などとはとんでもない話である」のだそうである。えーっ。
亡命 遥かなり天安門
[a]
翰 光 / 岩波書店 / 2011-06-16
中国からの亡命知識人インタビュー。著者は映画作家で,「亡命」というドキュメンタリー映画を撮っているそうだ。
読了:「亡命」「中世ヨーロッパ生活誌」「北朝鮮で考えたこと」
2012年7月18日 (水)
残念ながら,感想を書きとめる時間がないのだが...
マルティン・ルター――ことばに生きた改革者 (岩波新書)
[a]
徳善 義和 / 岩波書店 / 2012-06-21
君主論 (岩波文庫)
[a]
ニッコロ マキアヴェッリ / 岩波書店 / 1998-06-16
意外な面白本であった。文章に独特のリズムと力があって,読み飽きない。イタリア史の体系的な知識があれば,もっと面白いと思うのだが。
宮中のシェフ、鶴をさばく―江戸時代の朝廷と庖丁道 (歴史文化ライブラリー)
[a]
西村 慎太郎 / 吉川弘文館 / 2012-04
包丁道を題材に,近世の公家家職について論じる内容であった。
劇場型首長の戦略と功罪―地方分権時代に問われる議会
[a]
有馬 晋作 / ミネルヴァ書房 / 2011-11
読了:「宮中のシェフ,鶴をさばく」「劇場型首長の戦略と功罪」「君主論」「マルティン・ルター」
2012年6月12日 (火)
アルジェリア戦争 ─ フランスの植民地支配と民族の解放 (文庫クセジュ966)
[a]
ギー ペルヴィエ / 白水社 / 2012-02-16
アルジェリア戦争(50~60年代のアルジェリア独立戦争)についての解説書。全然知らなかったんだけど,アルジェリアとフランスの対立というだけではなく,アルジェリアのフランス人とフランスのフランス人の対立という軸もあって,大変こみいった問題なのであった。
2012年6月 1日 (金)
現代の貧困――リベラリズムの日本社会論 (岩波現代文庫)
[a]
井上 達夫 / 岩波書店 / 2011-03-17
貧困問題の本ではなくて,リベラリズムの法哲学者による日本社会批判。前半の天皇制についての議論が面白かった。しかし後半になってくると,なんだかよくわかんなくなってきてしまい... 小選挙区制が良いっていわれてもなあ,と。うーん。
漫画貧乏
[a]
佐藤 秀峰 / PHP研究所 / 2012-04-17
2012年5月 9日 (水)
フィレンツェ史(下) (岩波文庫)
[a]
マキァヴェッリ / 岩波書店 / 2012-04-18
ふと気が向いて読み始めたのだが,背景知識は足りないし,似たような名前の人が一杯出てくるし,途中からおんなじような戦争の繰り返しになるし。。。「読んだ」というより「めくった」というほうが近い。終盤にロレンツォ・メディチが出てきたところで,惣領冬実「チェザーレ」に出てくる登場人物を思い浮かべて,ようやく親しみがわいたりなんかして。
面白いことに、いつどの都市がなぜ栄えたかとか、メディチ家がどうやって儲けてたかとか、そういう話はほとんど出てこない。歴史叙述に経済の視点が必須になったのは,いつからなんだろうか?
NHKスペシャル 生活保護3兆円の衝撃
[a]
NHK取材班 / 宝島社 / 2012-04-14
2012年5月 5日 (土)
北朝鮮現代史 (岩波新書)
[a]
和田 春樹 / 岩波書店 / 2012-04-21
ルポ 賃金差別 (ちくま新書)
[a]
竹信 三恵子 / 筑摩書房 / 2012-04-04
フィレンツェ史(上) (岩波文庫)
[a]
マキァヴェッリ / 岩波書店 / 2012-03-17
メディチ家 (講談社現代新書)
[a]
森田 義之 / 講談社 / 1999-03-19
望遠ニッポン見聞録
[a]
ヤマザキマリ / 幻冬舎 / 2012-03-09
どん底 部落差別自作自演事件
[a]
高山 文彦 / 小学館 / 2012-04-02
福岡で起きた,同和地区出身の町職員が差別的言辞を連ねたハガキを自分に送りつけていたという事件についてのノンフィクション。
この事件の犯人について,著者は彼のような「物静かな恐ろしい獣を見たことがない」とまで書く。実際に事件を追ってきた人の,これは実感なのだろうけれど。。。
私もまた,自分でも理解できない愚かさと,不遜さと,獣性を備えているように思う。ただ涙し謝るだけで他者の理解を拒みつづける犯人の姿は,ある意味で,私自身の姿でもあるように思う。
読了:「どん底」「フィレンツェ史」「メディチ家」「望遠ニッポン見聞録」「北朝鮮現代史」「ルポ賃金差別」
2012年4月23日 (月)
成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書)
[a]
小野 善康 / 岩波書店 / 2012-01-21
新古典派もケインジアンも,生産力がありあまる成熟社会の経済をうまく捉えていない,という主旨の啓蒙書。著者は管政権のブレーンといわれた人。
経済の話はからっきし苦手なので,よく理解できたかどうか確信がないんだけど,経済学の考え方について学ぶところ大きかった。個人の実感を社会に拡大する,という風には考えないんですね。なるほどなあ。
2012年4月20日 (金)
物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書)
[a]
藤沢 道郎 / 中央公論社 / 1991-10
物語 イタリアの歴史〈2〉皇帝ハドリアヌスから画家カラヴァッジョまで (中公新書)
[a]
藤沢 道郎 / 中央公論新社 / 2004-11
マキャベリのフィレンツェ史を読み始めて,予備知識が足りないことに気づいて中断し,お手軽そうな入門本を適当に買って読み始めたのだが,これが意外にも含蓄深い内容であった。ただの読み物ではない,人物伝のかたちをとった歴史書である。
電機・最終戦争―生き残りへの選択
[a]
/ 日本経済新聞出版社 / 2012-01-25
読了:「電機・最終戦争」「物語イタリアの歴史」「物語イタリアの歴史II」
2012年4月11日 (水)
プロメテウスの罠: 明かされなかった福島原発事故の真実
[a]
朝日新聞特別報道部 / 学研パブリッシング / 2012-02-28
影の銀行―もう一つの戦後日本金融史 (中公新書)
[a]
河村 健吉 / 中央公論新社 / 2010-08
9割5分がた,理解不能であった。著者の責任ではなく,私が金融の話に皆目ついていけないということにすぎない。
2012年4月 3日 (火)
国語審議会─迷走の60年 (講談社現代新書)
[a]
安田 敏朗 / 講談社 / 2007-11-16
国語審議会の歴史を批判的に辿る本。本屋で虫が知らせたのだが,案の定,とても面白かった。
敗戦後すぐに,ソビエト言語学の影響のもとで敬語消滅論が唱えられたという話は,(タカクラ・テルの名とともに) 漠然と知っていたのだが,その背景には,敬語が天皇制とセットにして考えられてきたという歴史があるんですね。そうかー。
この本のおかげで知ったのだが,2004年の文化審議会答申「これからの時代に求められる国語力について」というのはなかなかすごい。webで探して読んでみたら,後半部分になるとなるほどもっともなことが書いてあったりもするのだが(司書教諭の活動時間を確保するとか),前半の突っ走りかたがただごとではない。「国語力の向上を目指す理由」という見出しの下では,
さらに,近年の日本社会に見られる人心などの荒廃が,人間として持つべき感性・情緒を理解する力,すなわち,情緒力の欠如に起因する部分が大きいと考えられることも問題である。情緒力とは,ここでは,例えば,他人の痛みを自分の痛みとして感じる心,美的感性,もののあわれ,懐かしさ,家族愛,郷土愛,日本の文化・伝統・自然を愛する祖国愛,名誉や恥といった社会的・文化的な価値にかかわる感性・情緒を自らのものとして受け止め,理解できる力である。この力は自然に身に付くものではなく,主に国語教育を通して体得されるものである。
なあんて,ものすごいことが書いてあるのである。なんという精神主義。あれもこれも背負い込まされた国語教育には深く同情する。
この答申を出した国語分科会の委員名簿には,いやまあそれはかの藤原正彦大先生なども入ってんだけど,私が敬愛している翻訳家の名前や,私がとてもお世話になった,とても理知的な,尊敬すべき心理学者の名前も入っている。ううむ,世の中いろいろあるんだなあ。
2012年3月23日 (金)
北緯10度線 ─ キリスト教とイスラームの「断層」
[a]
イライザ グリズウォルド / 白水社 / 2011-10-22
先月からずっと持ち歩いていた本。キリスト教とイスラム教の宗教対立が深まっていく情勢を,ナイジェリア,スーダン,ソマリア,インドネシア,マレーシア,フィリピンに取材した分厚いルポルタージュ。疲れた。。。
私の世界文学案内: 物語の隠れた小径へ (ちくま学芸文庫)
[a]
渡辺 京二 / 筑摩書房 / 2012-02-08
高名な近代史家の著者が,70年代末に雑誌で連載した,世界の文学作品の紹介。あとがきには,こんな本を出しちゃっていいのかとか,多少アルバイト意識があった仕事だとか,いろいろ言い訳が多いのだが,面白かった。チェーホフ「黒衣の僧」について語る文章が胸をうつ。
三里塚―成田闘争の記憶
[a]
三留 理男 / 新泉社 / 2008-02-27
2008年刊,三里塚闘争の記録写真集。
検証 福島原発事故・記者会見――東電・政府は何を隠したのか
[a]
日隅 一雄,木野 龍逸 / 岩波書店 / 2012-01-21
メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故
[a]
大鹿 靖明 / 講談社 / 2012-01-28
読了:「検証・福島原発事故記者会見」「メルトダウン」「私の世界文学案内」「北緯10度線」「三里塚 成田闘争の記録」
2012年2月29日 (水)
日本中世の民衆像―平民と職人 (岩波新書)
[a]
網野 善彦 / 岩波書店 / 1980-10-20
釜ケ崎有情 すべてのものが流れ着く海のような街で
[a]
神田 誠司 / 講談社 / 2012-02-17
大阪・釜ヶ崎に関わるさまざまな人々を描く。読んでいて、自分はなんてつまらないことに汲々として暮らしているのだろうかと、恥ずかしくなった。
2012年2月21日 (火)
バッハ=魂のエヴァンゲリスト (講談社学術文庫)
[a]
礒山 雅 / 講談社 / 2010-04-12
バッハは教会やお城勤めの人生を送った人のはずなのに,なぜ「コーヒー・カンタータ」のような作品があるのか(そしてなぜそれがまた魅力的だったりするのか),と不思議に思っていたのだが,この本のおかげで事情がわかりました。バッハご本人は教会音楽も世俗音楽も区別していなかった由。
2012年2月13日 (月)
マンガけもの道 まんだらけ中野店副店長の珍作発掘探訪
[a]
岩井 道 / 扶桑社 / 2010-08-11
昨年3月11日午後,都心のビルの上層階にいた私は,ざわめく人ごみの中で身動きもとれず、窓の下をぼんやり見下ろしていた。揺れが収まった直後からスマートフォンは無用の長物となっていたが、しばらく経って最初に接続が回復したのはなぜかtwitterで,震災直後の第一報として目に飛び込んできたのは,たまたまフォローしていたマンガ専門古書店のスタッフの方によるこんなふうな呟きだった。「きっと明日からスキャナがよく売れる」 崩れ落ちたマンガのなかで呆然と佇むマンガマニアはこれを機にスキャナを買いに走る,という意味であろう。あきらかな緊急時にも関わらずこの呑気なツイート,ちょっと可笑しくなった。
この本はそのスジガネ入りの古書店員の方(まんだらけ中野店副店長)が書いた,貸本マンガやB級劇画などの奇作・珍作を紹介する本。週刊SPA!で連載していたのだそうだ。私などが知っている作品はほんの数作だけ,残りはこの本で読まなかったら一生知らずに済んだ本ばかり。風呂のなかでクツクツと笑いながら目を通した。格闘マンガの敵役として登場した、どうみても身長5mはある大男が,脇役に「彼は体格に恵まれている」と紹介されるくだりとか、しみじみと可笑しい。
いやしかし,この本もなかなか面白いですが,この岩井さんという方がwebで書いているマンガ紹介コラムはその数倍の面白さです。「美味しんぼ」海原雄山の横暴さについて熱く語る文章など,悶絶ものである。
日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)
[a]
原 研哉 / 岩波書店 / 2011-10-21
あんぽん 孫正義伝
[a]
佐野 眞一 / 小学館 / 2012-01-10
週刊ポスト連載の単行本化。現象の理解にはいろいろな切り口がありうるから,孫さんの血族の歴史を丁寧に追跡するというのも、ひとつの価値ある仕事であろうと思う。でもこの本,事業家としての孫さんなり,ソフトバンクなり通信の未来なりについての本ではないから,それを知らずに買った人は,ちょっと失望するかも。
2012年2月 5日 (日)
子どもをめぐるデザインと近代―拡大する商品世界
[a]
神野 由紀 / 世界思想社 / 2011-04-02
日本近代における「子ども向け」商品の成立と展開を辿る内容。子どもに向ける社会の視線と,それを支え先導する商品ネットワークが,絡み合うようにして変容していく。
あまりの面白さに,せき立てられるようにして読み終えた。ここんところ随一の面白本。
2012年2月 3日 (金)
記憶の歴史学 史料に見る戦国 (講談社選書メチエ)
[a]
金子 拓 / 講談社 / 2011-12-10
日本史研究者が,記憶の観点から歴史史料について論じた本であった。
2012年1月31日 (火)
政権交代とは何だったのか (岩波新書)
[a]
山口 二郎 / 岩波書店 / 2012-01-21
著者は民主党のブレーンとして知られる政治学者。
話の本筋とは離れるが,あとがきによれば,「十数年を振り返ると徒労感に陥ることもあるし,革命家にとって革命の成就を見届けることは幸福ではないとうそぶくこともあった」とのこと(ここで革命とは政権交代のことを指している)。確かに。。。
2012年1月30日 (月)
イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告
[a]
ハンナ・アーレント / みすず書房 / 1969-02-20
アイヒマン裁判について書かれたとても有名な本だが,これはもともと「ニューヨーカー」誌の連載だったのだそうで,アーレントの他の本と比べれば読みやすいのではないかと思う。それでもなんだか読むのが気が重くて,ずっと本棚でずっと眠っていた。やっと読み終えてほっとしている。
なんでイスラエルで裁判したの? 西ドイツじゃなくて? と不思議だったのだが,やはりこれはいろいろ疑問が残る話らしい。ヤスパースは国際法廷を開くべきだと主張していたのだそうだ。
同時代の人々からは,この本は大変な批判を浴びたそうだ。この本の出版後に行われたミルグラムのアイヒマン実験やジンバルドーの監獄実験のエピソードはいまや広く知られているし,アーレントの「悪の陳腐さ」という指摘に現在の我々はある程度まで馴染んでいると思うのだが(本当に理解しているかどうかはともかく),そういう認識が形作られた一端はこの本にあるのかもしれない。
アイヒマンの死刑の際,マルティン・ブーバー(おそらくこの時点でのイスラエル最高の知識人だっただろう)は処刑が「ドイツの多くの青年たちが感じていた罪責を解消するのに役立つ」「歴史的な規模の失策」と批判した。アーレントは死刑そのものは支持しており,ブーバーが「アイヒマンと彼の行為の提起した本当の問題に触れずに済ましていることには失望させられた」と書く。
何も悪いことをしていないときに罪責を感じるというのはまことに人を満足させることなのだ。なんと高潔なことか! それに反して,罪責を認めて悔いることはむしろ苦しいこと,そしてたしかに気のめいることである。ドイツの青年層は職業や階級を問わず,事実大きな罪を犯していながら一向にそんなことを感じていない権威ある地位の人々や公職にある人々に取巻かれている。こうした事態に対する正常な反応は怒りであるはずだが,しかし怒ることは甚だ危険であろう-別に生命や身体にとっての危険ではなくとも,履歴のなかでのハンディキャップになるにはちがいない。時々-『アンネ・フランクの日記』をめぐる騒ぎやアイヒマン裁判などの場合に-われわれにヒステリカルな罪責感の爆発を見せてくれるドイツのあの若い男女たちは,過去の重荷,父親たちの罪のもとによろめているのではない。むしろ彼らや現在の実際の問題の圧力から安っぽい感傷性へ逃れようとしているのである。
日本の戦後についての話かと思った...
2012年1月24日 (火)
河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙
[a]
河北新報社 / 文藝春秋 / 2011-10-27
2012年1月16日 (月)
おしゃれ女子コレクション
[a]
ashimai / 大和出版 / 2011-11-16
昨春から原宿のオフィスに通っているのだけれど,朝の出勤時に私と一緒に原宿駅から吐き出されてくる女性たちが実にファッショナブルで,とても面食らった。あとで気がついたんだけど,彼女たちの多くはきっとショップの店員さんなんでしょうね。服装に気を遣うのも商売のうちなのであろう。
ともあれ,私のような門外漢がみても「あの人はオシャレだ」と感じる場合があるということは(その判断が正しいかどうかは別にして),なにをもってオシャレとみなすかという概念が,暗黙のうちに学習されているということであろう。これはなかなか気味の悪い事態だ。誰がいつどのようにして,私にそのような概念を刷り込んだのか? その由縁がわからないのなら,せめてオシャレという概念の内訳くらいは知っておきたい。
というわけで,本屋で見つけて買った本。 著者が街でみかけたオシャレな娘さんの「最強コーデ」を(誰と闘っているのだろうか),イラストにコメントを添える形で紹介している。帯に「リアルだからマネしやすい! 簡単にかわいくなれる!」とあるので,このくらいの初心者向けの本が俺には適しているだろうと思った次第である。なにか疑問を持つたびにこうして本を買いこむのは,悪い癖かもしれない。
いやあ,なかなか面白かった。まず,ファッション関係の文章は私にとっていつもそうなのだが,形態素のレベルでは理解できるのに文意が理解できない,というところが実に興味深い。「レザージャケット・ダメージデニムにネルシャツと辛くまとめたところに,足元はリボン付きのピンヒールで甘いってところがたまらん。バック,ジャケット,スカートがグレーで統一され,素材違いのグラデになっています。そこにグリーンの差し色。手が届く範囲のセンスのいいこういうコーディネートは大変参考になると思います」 ここでいう辛い,甘いとは何を指しているのか。素材違いのグラデ(グラデーションのことであろう)というのは良いことなのか,それ自体は中立的なのか。差し色とはなんのことか。グリーンの差し色がセンスが良いというのはなにかしら自明なことなのか。わざわざ宇宙や深海のことを考えなくても,未知の世界がすぐそこに広がっているのだ。
「あえてガーリーさを抑える」「靴だけくずして洗練されたスタイルに」というように,「あえて」「崩す」「外す」といった語が多用されているところも面白い。おそらくは,私には解らないなんらかの強固なスキーマがあって,そこから少しだけ意図的に逸脱することが,この著者のいうオシャレという概念と関係しているのだろう。たしか九鬼周造 「『いき』の構造」にそのような分析があったと思う。30年代の現象学が未だ現実を捉える力を失っていないと知ることは楽しいことだ。
うかつな表現で差し障りがあるといけないのでテクニカルな用語を使うと,女性の対人魅力を従属変数,顔の美醜や体型やファッションセンスやらを要因にとった分散分析なりコンジョイント分析なりを行えば,まあどの要因もF検定こそ有意かもしれませんが,実質的な大きさの効果量ないし部分効用を持つのは美醜と体型の2要因だけだろう,という気がしてならない。アパレル・ビジネスの関係者などを別にして,ファッションセンスに対する投資のROIはどれほどのものか,怪しいところだと思う。しかし,人は往々にして合理的期待効用で説明できないものを求めるものだ。この本の中にも,ステキな小物を持つと「気持ちがあがる」という表現があって,それは私には全く無い感覚だが,そのような感覚を想像することはできる。なるほど,我々は単純直接に自らの対人魅力の向上だけを目指しているわけではないんだよなあ,と感じ入った次第である。
2012年1月 6日 (金)
李鴻章――東アジアの近代 (岩波新書)
[a]
岡本 隆司 / 岩波書店 / 2011-11-19
洋務運動を先導した清代の政治家,李鴻章の評伝。
いまふとwikipediaをみて知ったのだが,映画「傾城之恋」の原作を書いた作家アイリーン・チャンは李鴻章のひ孫なんだそうだ。へえー。
2012年1月 3日 (火)
レーガン - いかにして「アメリカの偶像」となったか (中公新書)
[a]
村田 晃嗣 / 中央公論新社 / 2011-11-24
64年生まれの政治学者によるレーガンの評伝。面白くてつい一気に読んでしまった。
印象深いくだりをメモ:
- レーガンは父の放浪に従って幼少期から転居を繰り返した。成人して俳優となると,華やかなハリウッドにおいて中西部の純朴な青年だけをひたすら演じることになる。共和党保守派にあって元民主党員。政界にあって元映画俳優。レーガンは「常に所属社会の『よそ者』であり続けた」
- 「通常,保守派は歴史に社会の統合作用を求める。しかし,共通の記憶としての歴史が浅いだけに,共有できる希望としての未来に統合作用を求めるのが,アメリカの保守派の特徴である。大衆文化を熟知した『幸福な戦士』,『救済ファンタジー』に駆られたレーガンこそ,保守派の糾合そして過去と未来の架橋に適任であった。その意味で,レーガンは政治的タイムマシーンであった」
- (ある人の人生を後から振り返っていくつかのキーワードで整理しようとするのは,危険なことだとは思うのだけれど,) 著者いわく,レーガンの人生には特有の受動性と責任転嫁がある。最初の結婚の破綻についてレーガンいわく「妻に離婚された」。民主党から共和党に移ったのは,自分ではなく民主党の主張が転向したから。映画「カサブランカ」の主役として名前を挙げられていたのに結局出演できなかった,その理由を大統領時代に問われていわく「そうなんだ,イングリット・バーグマンに役を取られてね」 (先生,それはただの冗談だと思いますが)。確かに,本質的なところで受け身なのだけれど,人生の物語化にすごく長けていて,その物語化の力で人を巻き込んでいく人っていますね。そういう人だったのだろうか。
2011年12月31日 (土)
ソ連史 (ちくま新書)
[a]
松戸 清裕 / 筑摩書房 / 2011-12
オーウェル「1984年」ばりの統制社会というイメージは,ソ連の実情に即していない(スターリン期でさえも)。実際には,市民は手紙や投書によって私的利害に関わる要望や苦情を寄せるのに熱心だったし,政権の側もそれらの声を重視し,それに応えようとしていた。なるほど。。。全体主義というのは,案外そういう形をとるものかもしれない。
須賀敦子を読む (新潮文庫)
[a]
湯川 豊 / 新潮社 / 2011-11-28
須賀敦子さんの生前の担当編集者だった方が綴る評伝的エッセイ。これ,読売文学賞をもらったのだそうだ。へえ。。。
2011年12月26日 (月)
小澤征爾さんと、音楽について話をする
[a]
小澤 征爾,村上 春樹 / 新潮社 / 2011-11-30
音楽のことはからきしわからないんだけど,なんだか面白くて,めくりはじめたら止まらなくなってしまった。
2011年12月24日 (土)
北朝鮮の指導体制と後継――金正日から金正恩へ (岩波現代文庫)
[a]
平井 久志 / 岩波書店 / 2011-04-16
著者は共同通信の人。今年4月刊の書き下ろし。本屋でみかけて買い込んで,さあ読もうかという日に金正日が亡くなった。
覚悟はしていたのだけれど,読んでてだんだん暗鬱な気分になった。事態がどう転んでも,これからろくなことは起きなさそうだ。
2011年12月 4日 (日)
就職とは何か――〈まともな働き方〉の条件 (岩波新書)
[a]
森岡 孝二 / 岩波書店 / 2011-11-19
就活についての本というより,労働問題についての本。「まともな働き方」実現のための方策はワークシェアリングである由。
2011年12月 2日 (金)
ヒトラーの側近たち (ちくま新書)
[a]
大澤 武男 / 筑摩書房 / 2011-11-07
先ほどざっと目を通した。全体に緩い感じの,読みやすい内容であった。著者はドイツ在住なのだそうで,あとがきで最近の日本の政治行政の無能ぶりを憂えておられるのだが,本の内容となんら関連づけがないので,ちょっと笑ってしまった。
2011年11月30日 (水)
金融が乗っ取る世界経済 - 21世紀の憂鬱 (中公新書)
[a]
ロナルド・ドーア / 中央公論新社 / 2011-10-22
かのドーア先生(1925年生まれ)の最新刊は,「経済の金融化」がもたらす大いなる災いについて警鐘を鳴らす内容であった。でも先生,平凡で無力な一市民と致しましては,どうしたらいいかわかんないんですよ。。。
イラクは食べる―革命と日常の風景 (岩波新書)
[a]
酒井 啓子 / 岩波書店 / 2008-04-22
イラク情勢についての解説に,おそらく深い意図があってのことだと思うが,ところどころイラク料理の紹介が挟み込まれる体裁の本。これがほんとに美味そうな料理ばかりで,読んでいて困った。
2011年11月24日 (木)
井上ひさしの読書眼鏡
[a]
井上 ひさし / 中央公論新社 / 2011-10-07
晩年の書評集。
2011年11月 4日 (金)
味覚と嗜好のサイエンス [京大人気講義シリーズ]
[a]
伏木 亨 / 丸善 / 2008-04-17
農学部の栄養化学の先生が素人向けに書いた本。
「コク」概念の話がとても面白かった。著者の先生は,コク概念を「原型のコク」(油脂,糖,うま味などの複合),「学習のコク」(原型のコクとの関連の学習によって得られるコク),「比喩のコク」(より高度な連想や想像の結果として得られるコク),の3層の階層として考えているのだそうだ。面白いなあ。この考え方だと,コク概念の中心には特定の味覚特徴に根ざした本質的コク経験があることになるが,実はコク概念は家族的類似性に支えられていて(すべてのコク経験が互いに比喩的関係にあって),本質的なコクなどどこにもない,という考え方はできないものかしらん。
平家物語の読み方 (ちくま学芸文庫)
[a]
兵藤 裕己 / 筑摩書房 / 2011-10-06
題名とは異なり,平家物語の読み方指南書というより,平家の生成過程についての本格的な考察であった。細かいところはよくわからんが,面白かった。
血の日曜日―ロシア革命の発端 (中公新書 219)
[a]
和田 春樹,和田 あき子 / 中央公論新社 / 1970-05-25
東京国際ブックフェアの中公ブースで買った品切本。250円なり。
ロシア革命前夜,映画で有名な戦艦ポチョムキンの反乱の直前に,ペテルブルグで「血の日曜日」という民衆弾圧事件があったのだそうで,その指導者であったガポン司祭に焦点を当てた本であった。
子どもたちに語るヨーロッパ史 (ちくま学芸文庫)
[a]
ジャック ル・ゴフ / 筑摩書房 / 2009-09-09
ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録
[a]
西川 善文 / 講談社 / 2011-10-14
先ほど読了。敵の多そうな人だなあ。。。
ナポレオン3世とフランス第二帝政
[a]
高村 忠成 / 北樹出版 / 2004-10
しばらく前に読んで,記録するのを忘れていた本。マルクス先生のおかげでちょっとしたナポレオン三世ブームだったのである。
初出についての記述が見あたらなかったが,おそらく紀要論文などを集めたもので,章のあいだに重複が多く,素人にとってはちょっと不親切な内容であった。
シェイクスピアのたくらみ (岩波新書)
[a]
喜志 哲雄 / 岩波書店 / 2008-02-20
そうそう!と膝をうつところがあったり(例, マクベスはなんだかんだで雄々しい奴だ),いやあ先生畏れながらそれはよく分かりませんというところがあったり(例, オセローは嫉妬の悲劇とは言えない由。うーむ)。。。楽しいなあ。
仕事に関連する本はもともとあまり読み通すことがないのだが,それにしてもここんところは,西洋史とかシェイクスピアとか,全然関係ない本ばかり読んでいる次第である。やれやれ,どうしたものか。
読了:「味覚と嗜好のサイエンス」「平家物語の読み方」「血の日曜日」「子どもたちに語るヨーロッパ史」「ザ・ラストバンカー」「ナポレオンIII世とフランス第二帝政」「シェイクスピアのたくらみ」
2011年10月10日 (月)
虐待の家-「鬼母」と呼ばれた女たち(中公文庫)
[a]
佐藤 万作子 / 中央公論新社 / 2011-06-23
2003年に岸和田で起きた児童虐待事件についてのルポルタージュ。
文庫版の補章で取り上げられている親子再統合の問題が,なんというか,勉強になった。児相の権限が強化され,強制的な親子分離が可能になっても,それで万事解決というわけではない,親子再統合を視野に入れて考える必要がある由。なるほど。
次世代インターネットの経済学 (岩波新書)
[a]
依田 高典 / 岩波書店 / 2011-05-21
ポルノ雑誌の昭和史 (ちくま新書)
[a]
川本 耕次 / 筑摩書房 / 2011-10-05
かつては知る人ぞ知る写真家にして官能作家,いまではブロガーとして有名な著者が,自らが編集者として関わった自販機雑誌を中心に,70-80年代のエロ雑誌について回顧した本。この人が書かなかったら記録に残らなかったにちがいない内容である。
裏表紙の近影で著者の顔をはじめてみたのだけれど,いかにも一癖ありそうなふてぶてしいお姿で(失礼),ちょっと嬉しかった。そういう人を思い浮かべていたのです。
読了:「次世代インターネットの経済学」「虐待の家」「ポルノ雑誌の昭和史」
2011年10月 4日 (火)
二ヶ月ほど前から延々と持ち歩いている本が,しかしまだ読み終わらない。さすがにだんだん疲れてきた。以下は息抜きに浮気した本。
デザインの教科書 (講談社現代新書)
[a]
柏木 博 / 講談社 / 2011-09-16
デザイン論入門,という感じの本。セルトーという人の本,面白そうだ。
知識の社会史―知と情報はいかにして商品化したか
[a]
ピーター バーク / 新曜社 / 2004-08
社会制度としての知識をめぐる歴史。「アルファベット順に並べる」という考え方は歴史的には決して古くなく,定着までに時間がかかったのだそうだ。ふうん。
2011年9月25日 (日)
先日からかかりきりの専門書があって(Millsapの測定不変性についての本),なかなか他の本を読めない。たまに読む本は,その反動で,絶対に統計学が出てこない本ばかり。
血族の王―松下幸之助とナショナルの世紀
[a]
岩瀬 達哉 / 新潮社 / 2011-07
松下幸之助の非公式評伝。晩年は頑迷固陋になっておられた由。
ウォール・ストリート・ジャーナル陥落の内幕
[a]
サラ・エリソン / プレジデント社 / 2011-05-17
WSJがマードック傘下にはいるまでのドタバタが3/4,傘下に入ってからのWSJの変貌が1/4,という内容。著者はもとWSJの人で,在籍中から取材していたらしい。株主であったバンクロフト一族の描写の辛辣さといったら...
北アフリカ・イスラーム主義運動の歴史
[a]
私市正年 / 白水社 / 2004-11-25
数年前に,アルジェリアの内戦について知りたくて買ったのだが,読み進めてもマグレブ地域のイスラム教の歴史の話ばかりで,なかなか本題にたどり着かないので挫折してしまった本。今回たまたま手に取って目次をよく見たら,もう少しだけ我慢すればちゃんと近代にたどり着くことがわかり,最初から読み直した。
アルジェリアは過激なイスラム主義の国になってしまうのではないかと西欧の人々は恐れ,その恐怖から92年の軍事クーデターを支持したわけだが,その後悲惨な内戦を経て,結局イスラム主義運動は挫折する。その要因は,著者によれば,(1)イスラム国家の建設を急ぎすぎたこと,(2)権力の弾圧に対して暴力闘争に走ったこと,そしてなにより(3)内部対立,だそうだ。もしクーデターが失敗しイスラム主義勢力が合法なままだったら,どうなっていたのだろうか...
戦国水軍の興亡 (平凡社新書)
[a]
宇田川 武久 / 平凡社 / 2002-10
この本も,途中で挫折していた本。整理がつかないので,斜め読みではあるがとにかく最初から通読した。
村上水軍を中心にした本かと思いきや。最終章の主役は朝鮮水軍の悲劇の英雄・李舜臣という人で,この章はとても面白かった。
寺社勢力―もう一つの中世社会 (岩波新書 黄版 117)
[a]
黒田 俊雄 / 岩波書店 / 1980-04-21
前からタイトルが気になっていた本。案の定,面白かった。
読了:「北アフリカ・イスラーム主義運動の歴史」「ウォール・ストリート・ジャーナル陥落の内幕」「寺社勢力」「戦国水軍の興亡」
2011年9月13日 (火)
東京見物
[a]
和田 誠 / 講談社 / 2009-12-18
昭和12年・大日本雄弁会講談社刊の絵本「東京見物」の復刻と,2009年,それをなぞるようにして和田誠さんが一人で描いた絵本「東京見物」との合本。昌平橋から西を見た風景がそっくりなのに驚いた。
フランス・レジスタンス史 (文庫クセジュ)
[a]
J.=F. ミュラシオル / 白水社 / 2008-07
ふと訳もなく読みたくなって買った本。クセジュ文庫にしては読みやすかった。
占領下フランスについての知識はせいぜい「カサブランカ」や「海の沈黙」止まりなもので,ちっとも知らなかったのだが,独軍の占領当初,ヴィシー政府のペタン将軍は国民的支持を得ていたのだそうだ。へええ。
経済成長は不可能なのか - 少子化と財政難を克服する条件 (中公新書)
[a]
盛山 和夫 / 中央公論新社 / 2011-06-24
「心」と「国策」の内幕 (ちくま文庫)
[a]
斎藤 貴男 / 筑摩書房 / 2011-09-07
読了:「東京見物」「フランス・レジスタンス史」「経済成長は不可避なのか」「「心」と「国家」の内幕」
2011年8月28日 (日)
中東民衆革命の真実 ──エジプト現地レポート (集英社新書)
[a]
田原 牧 / 集英社 / 2011-07-15
著者は東京新聞の中東専門記者で,この人の書いたものはなるべく読むように心がけている。新聞ではたしか別の名前になっていると思う。
まさかエジプトで市民革命が成功するとは思わなかった由。専門家でもそうだったのか。
三陸海岸大津波 (文春文庫)
[a]
吉村 昭 / 文藝春秋 / 2004-03-12
なぜ人妻はそそるのか? 「よろめき」の現代史 (メディアファクトリー新書)
[a]
本橋信宏 / メディアファクトリー / 2011-06-29
著者は風俗ビジネスと新左翼運動に強いライターの方。戦後社会における人妻の意味の変遷を追うデスクリサーチと,著者得意の人妻風俗体験記とを組み合わせた内容であった。
ばかスイーツ
[a]
べつやくれい / アスペクト / 2011-08-25
かの人気webサイト「デイリーポータルZ」での記事をまとめたもの。ホットケーキが食べたくなってしまった...
読了:「中東民衆革命の真実」「三陸海岸大津波」「なぜ人妻はそそるのか」「ばかスイーツ」
2011年8月 8日 (月)
貧困を救うのは、社会保障改革か、ベーシック・インカムか
[a]
橘木 俊詔,山森 亮 / 人文書院 / 2009-11-20
こういうお手軽な対談本をめくって,わかったような気分になっているのは,恥ずかしいことなのだけれど...
この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)
[a]
西原 理恵子 / 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2011-06-23
先日倒産した理論社が末期に出したベストセラー。入手できない状態だったが,このたび文庫化。また,この本を含めて面白い本を連発していた「よりみちパン!セ」シリーズも,別の出版社に無事引き継がれるのだそうだ。
別役実のコント教室―不条理な笑いへのレッスン
[a]
別役 実 / 白水社 / 2003-11
この本を読んでからしばらく,日々の生活の中のなにかふとした瞬間に,別役実が耳元で「ここで男2が驚くのはまだ早い」「前振りに店長を出しておくべきです」などと指導してくれるような気がして,妙な気分であった。
別役実さんはいまハヤカワの演劇誌で素人のコント作品を批評する連載を持っていて,娘のべつやくれいさんがイラストを描いており,たしかワニとか鳥とかにむかってキリンが講義している絵柄だったと思う。なんだか可笑しい。
おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2
[a]
村上 春樹 / マガジンハウス / 2011-07-07
「anan」連載のごく軽いエッセイ集。「医師なき国境団」って,あなた。。。
読了:「貧困を救うのは,社会保障改革か,ベーシックインカムか」「この世で一番大事なカネの話」「別役実のコント教室」「おおきなかぶ,むずかしいアボカド」
2011年7月11日 (月)
ルイ・ボナパルトのブリュメール18日―初版 (平凡社ライブラリー)
[a]
カール マルクス / 平凡社 / 2008-09
意外や意外,最近では一番のオモシロ本であった。いったいなにが面白いか,手に取ってみないと予想もつかないものだ。
この本で描かれているのは,二月革命(1948)からナポレオン三世のクーデター(1851)にいたるいきさつであり,マルクスさんがこの作品を最初に書いたのはその翌年。きわめてジャーナリスティックな内容なのである。さらに,マルクスの過剰なまでの饒舌さときたら。いまの我々にとっては社会科学の古典だが,当時はちょっとしたキワモノだったのではないかしらん。
一番面白かった箇所をメモ。第二共和制下の1949年,小市民を支持基盤とする民主派が労働者と手を組むくだり。「資本と賃労働という二つの極をともに止揚するためではなく,それらの対立を和らげて調和へと変換させるための手段として,民主的=共和制的諸制度が要求されるのである」「この内容は,民主的方法での社会の改造であるが,小市民の枠内での改造である。小市民は原理的に利己的な階級利害を貫徹しようとするものだというような,視野の狭い思いこみをしてはいけない。彼らはむしろ,自分たちの解放の特殊な諸条件は普遍的な諸条件であり,その内部でのみ,近代社会は救われ,階級闘争は避けられるのだ,と信じているのである」 なるほどー。いいこというねカールくん。
「同様に,民主派の議員たちはみな商店主であるか,あるいは商店主を熱愛している,と思い描いてもいけない。彼らは,その教養と知的状態からすれば,商店主とは雲泥の差がある。彼らを小市民の代表にした事情とは,小市民が実生活において超えない限界を,彼らが頭の中で超えない,ということであり,だから物質的利害と社会的状態が小市民を実践的に駆り立てて向かわせるのと同じ課題と解決に,民主派の議員たちが理論的に駆り立てられる,ということである」 おおお。議員さんたちについて考えるときはこういう見方をしないといけないのか。目からウロコですカールさん。(←丁寧語に格上げ)
異形の日本人 (新潮新書)
[a]
上原 善広 / 新潮社 / 2010-09
人物ノンフィクション。劇画作家・平田弘史さんの「血だるま剣法」糾弾事件についての章を読みたくて手に取った。
平田劇画の初期傑作が描かれたのは学生運動の全盛期であり,読者層は運動から疎外された少年労働者だった。「60年,70年安保の学生運動についてどう思うか,平田に訊ねたことがあるのだが,彼は即『あんなのはジャリのお遊びだッ』と断じた。私はその断固とした物言いに,かえって平田の暗く陰鬱な青春を垣間見るような気がした」
ナポレオン帝国 (ヨーロッパ史入門)
[a]
ジェフリー エリス / 岩波書店 / 2008-12-18
ナポレオン期フランスの政治・経済・社会について幅広く論じた本。そんなに真面目に勉強する気はなくて,たまたま手に取っただけだったので,ついつい斜め読みになってしまった。
密閉国家に生きる―私たちが愛して憎んだ北朝鮮
[a]
バーバラ デミック / 中央公論新社 / 2011-06
北朝鮮の北部・清津の若者たちの姿を描いたノンフィクション。著者はLAタイムズの記者で,この本は脱北者への聞き取りに基づいて構成したもの。ページをめくりはじめたら止まらなくなり,半日つぶして一気に読み終えた。
読了:「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」「異形の日本人」「ナポレオン帝国」「密閉国家に生きる」
2011年6月29日 (水)
出版大崩壊 (文春新書)
[a]
山田 順 / 文藝春秋 / 2011-03-17
著者は光文社に長く勤めた方。「ロサンゼルスの若きIT起業家」であるという触れ込みの,とあるブロガーをこてんぱんに悪く描いているところが面白かった。PHP新書から電子出版についての本を出している方のことですね。
2011年6月24日 (金)
オバマの戦争
[a]
ボブ・ウッドワード / 日本経済新聞出版社 / 2011-06-18
ウッドワードの米政権内幕ものは,いつも俺の心を慰めてくれる。「優秀な人材をたくさん集めれば物事万事うまくいく」とは限らない,と教えてくれるからだ。優秀な人材ではない俺としては,大企業・大組織なにするものぞ,とカラ元気が出ますね。ま,害のない錯覚である。
ファッションから名画を読む (PHP新書)
[a]
深井 晃子 / PHP研究所 / 2009-02-14
2011年6月13日 (月)
世界の歴史 22 近代ヨーロッパの情熱と苦悩 (中公文庫 S22-22)
[a]
谷川 稔,鈴木 健夫,村岡 健次,北原 敦 / 中央公論新社 / 2009-03
すごく面白い本(「ルイ・ナポレオンのブリュメール18日」)を読み始めたのはいいが,背景知識があまりに足りないことに気づき,そちらは中断して,とりあえず19世紀欧州史の入門書を読んでおくことにした。しかし,こういう本を真剣に読んでいるおっさんって,現代日本のサラリーマンとしてはどうなんでしょうね。いかにも窓際族という感じで,ちょっと気が引ける。
無知を晒すようで恥ずかしいが,1848年という年は実に大変な年だったのだなあ。フランスでは王政が倒れ(二月革命),ルイ・ナポレオンが権力を握る。オーストリア,プロイセンにも革命が波及し,メッテルニヒは亡命するが,ウィーン三月革命は無惨に鎮圧される。ベネチア,ミラノでもオーストリア軍に対して市民が蜂起する。イギリスでは労働者階級の政治闘争(チャーチスト運動)が最後の高潮を迎える。ベルリンの壁崩壊を上回る大動乱だ。ええと,黒船来航の5年前,安政の大獄の10年前の出来事である。
新版 オサマ・ビンラディンの生涯と聖戦 (朝日選書)
[a]
保坂修司 / 朝日新聞出版 / 2011-06-10
9.11の直後に緊急出版された本に,1章だけ追加した内容であった... ちゃんと確認すればよかった...
シェイクスピアを観る (岩波新書)
[a]
大場 建治 / 岩波書店 / 2001-10-19
読了:「世界の歴史」「オサマ・ビンラディンの生涯と聖戦」「シェイクスピアを観る」
2011年6月 6日 (月)
レコンキスタの歴史 (文庫クセジュ)
[a]
フィリップ コンラ / 白水社 / 2000-01
記述がとことん単調で,ほとんど頭にはいらなかった。恐るべしクセジュ文庫。フランス人はこんなんでも文句言わずに読むんだろうか。
即戦力は3年もたない 組織を強くする採用と人事 (角川oneテーマ21)
[a]
樋口 弘和 / 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2010-12-10
人事コンサルタントによる本。
業務への情熱と愛社精神を二軸にとって,社員の散布図を描いて,それを経年で追跡したら面白かろう。。。なあんてことを妄想したことがあるのだが,驚いた,人事って,ホントにそういうことをやってるんですね。人材ポートフォリオというんだそうだ。へえええ。
2011年5月30日 (月)
Art 1 誰も知らない「名画の見方」 (小学館101ビジュアル新書)
[a]
高階 秀爾 / 小学館 / 2010-10-01
息抜きに読んだ本。著者は美術史の超ビッグネームだが,素人向けにものすごく易しく書いてくれている。カラー図版が多くて目に楽しい。
はじめて知ったんだけど,ベルト・モリゾという画家の絵,いいなあ。。。
2011年5月29日 (日)
深読みシェイクスピア (新潮選書)
[a]
松岡 和子 / 新潮社 / 2011-02
あまり文学作品の解説本を読むのは好きではないのだが,「ハムレット」を読んでいて,やはりシェイクスピアくらい古いものになると,ある程度まで背景知識があったほうが面白いのかな。。。と反省して手に取った本。ところがこの本,解説本というよりも,シェイクスピアの全作品を訳した高名な翻訳家の芸談であった。ついつい一気読み。
いろいろ面白かったのだが,一番印象に残った箇所をメモしておくと...
「リア王」で,狂気の王がかつての臣下と再会する場面,王のせりふを著者は以下のように訳したのだそうだ。
お前のことはよく知っている。お前の名はグロスター。
忍耐だ。我々は泣きながらこの世にやってきた。
知っているな,生まれて初めて空気を吸うと,
おぎゃあおぎゃあと泣くものだ。[...]
ところが,この訳に基づく舞台の読み合わせで,リア王を演じる山崎努がこのくだりを読むのを聞き,思わず「あ,ちがう!ここは」と叫んだ由。
「泣きながらこの世にやってきた」の「この世」はhither(hereの古語)。これまでの多くの訳が「この世」と訳している箇所だが,それでは次の行を先回りしてしまっている。ここは「泣きながらここへやってきた」と訳した方がいい。なぜならこのくだりは,まず観客に二人がひどい仕打ちにあったうえで「この場所」に泣きながらたどり着いたということを意識させておき,その直後に「この場所」と「この世」をダブルイメージさせる,という仕掛けなのだから。。。と気がついたのだそうだ。
あのとき私が思ったのは,『我々は泣きながらこの世にやってきた』なら名台詞どころか金言にだってなりそうだけれど,『ここへ』じゃ金言にはならないということ,残念だけど。でも[... シェイクスピアは] あくまで,二人の老人が悲惨な目にあっているという芝居を書いた。[...] そこを忘れてはいけない。意味がスムーズに通じて,しかも決め台詞になりそうだからといって,『この世』と先回りして訳してはいけない。たとえて言えば,山登りをするときにはえっちらおっちら歩いていくべきで,ヘリコプターでいきなり七合目まで先にあがってはダメ。ヘリコプター禁止。これは私,『リア王』の稽古場で悟った。以後,翻訳者としての私にとって,大きな教訓になりましたね。
ヘリコプター禁止か。深い... 翻訳のテクニックにとどまる話ではないように思う。
ご先祖様はどちら様
[a]
高橋 秀実 / 新潮社 / 2011-04
新潮社「考える人」で連載していた模様。
2011年5月25日 (水)
人間はガジェットではない (ハヤカワ新書juice)
[a]
ジャロン ラニアー / 早川書房 / 2010-12-16
「なるほどそういう見方があるか」と「いやそれは極論でしょう」と「この人なにいってんだかわかんない」がおのおの1/3くらいを占める,面白い本であった。
現代のデジタル・カルチャーを「サイバネティクス全体主義者」「デジタル毛沢東主義者」と批判するところが面白かった。ソーシャルメディアを活用しようとするマーケターなんかは,どういう扱いになるかしらん。相手にさえしてもらえないかな。
2011年5月23日 (月)
戦国誕生 中世日本が終焉するとき (講談社現代新書)
[a]
渡邊 大門 / 講談社 / 2011-05-18
「中世日本が終焉するとき」という副題に惹かれて読んでみたものの,登場人物が多すぎ,人間関係が複雑すぎて,ほとんど理解できなかった。すみません。
2011年5月19日 (木)
国家の崩壊―新リベラル帝国主義と世界秩序
[a]
ロバート クーパー / 日本経済新聞出版社 / 2008-07
著者はイギリスの外交官で,ブレア政権下の外交戦略の理論的支柱として知られた人。(読み終えてから知ったのだが,ピアニスト・内田光子の旦那さんである由。へぇー。)
この本,副題に「新リベラル帝国主義と世界秩序」とあり,きっとネオコンのエゲレス版なんだろうなあ,ブッシュ政権に追随した英国の外交官だもんなあ... と勘ぐって,怖いモノみたさで買ったのである。で,読みかけたものの内容についていけず,そのまま放置していた。先日読んだ細谷雄一「倫理的な戦争」のおかげでようやくコンテキストがわかり,最初から読みなおすことができた。ここでいう「帝国主義」とは,ある種の価値の普遍性を信じる,という程度の意味で,アメリカの新保守主義者の単独行動主義とは対極にあるもののようだ。
さほど長くない文章を3編所収。第一部の,世界秩序をプレ近代・近代・ポスト近代にわけて論じる文章が白眉なのだと思うが,他の文章もとても面白かった。
著者は現代の外交のありかたについて,5つの(すごく一般的な)提言を行っているのだが,そのひとつが「状況を拡大せよ」である。「ビスマルクが目指したのは,ヨーロッパ内部の現状維持だった。この目標を追求する家庭で,ビスマルクにとって最大の問題となっていたのは,ドイツがアルザス・ロレーヌ地方を併合したことが引き金となったフランス側の抜き差しならぬ敵意だった。[...] フランスと和解する望みはまったくない。そこでビスマルクは,問題となる状況を拡大し,フランスの帝国主義的野心を焚きつけ,[...] ヨーロッパを越えた帝国の世界を巻き込んでヨーロッパの国境問題を処理しようとした」「状況を狭めることは,さまざまな問題を発生させたり,悪化させたりすることが多い」ではなぜ,問題を大きくすることが問題の解決につながるのか? 「戦術レベルでは,[他の問題とリンクさせることで] 威圧や報償など何らかの一時的手法をみつけることになる。戦略レベルでは,より大きな利害を問題に加えることになる。実存主義のレベルでは,アイデンティティを変えることを意味する」「イギリス,フランス,ドイツが,1000年にもわたる敵対関係にもかかわらず,もはや戦争を起こさないのは,『われわれ』自身を再定義したことが理由である[...] 状況拡大の究極の形とは,状況だけでなく,われわれ自身についての定義を拡大することなのである[...] その答えが幅広いものになればなるほど,『われわれ』が平和に暮らせる可能性は高くなる」 なるほど。。。 この発想は勉強になった。問題を切り分ければいいってもんでもないですね。
2011年5月15日 (日)
俺には特に趣味といえるものがなくて,それが俺の人間的な幅のなさのひとつの要因にもなっていると思うので,せいぜい映画だけはなるたけこまめに観るように心がけている。走ったり跳んだりしなくていいので楽だし,安上がりだし。
で,先日から池袋の新文芸座で,高峰秀子や成瀬巳喜男の連続上映をやっていて,時間をみつけてイソイソと通っていた。いやもう,GWの混雑はすさまじかった。詰め掛けた善人男女が,ビルの3Fの劇場から階段を辿って表まで行列をつくっていたりして。観客のほとんどは団塊世代ないしそれ以上で,俺でさえ若い部類であった。
以下の2冊は,成瀬作品の関係者へのインタビューと作品紹介を中心にした本。どちらも存在は知っていたのだけれど,わざわざ読もうという気にはならなかった。映画もきちんと観ていないのに,ゴシップばかりに詳しくなるのも,なんだかイヤな感じではないですか。しかし,新文芸座という映画館は心得たもので,「流れる」のような不朽の傑作を観終え,余韻に浸りながらふらふらと暗闇から出てきたところに,こういう本が並べてあると,それはついつい買っちゃいますわね。
成瀬巳喜男―透きとおるメロドラマの波光よ (映画読本)
[a]
/ フィルムアート社 / 1995-01
成瀬巳喜男 演出術―役者が語る演技の現場
[a]
/ ワイズ出版 / 1997-07
前者は中北千枝子,須川栄三らのインタビューや,成瀬監督の文章・対談,未映画化シナリオ,作品紹介などを収録。後者は高峰秀子,香川京子,岡田茉莉子,杉村春子(!)ら出演者や,石井輝男,井出俊郎へのインタビューなどを収録。
特に面白かったところを抜き書きしておくと...
- 世評名高い「浮雲」では,森雅之演じる宿命的ダメ男と魔性の娘・岡田茉莉子が,温泉宿の炬燵で一瞬視線を交わす。それだけで観客には,ああこの二人は関係を持ってしまう,とわかる。成瀬さんは演出意図を説明しましたかと問われて,岡田茉莉子「おっしゃらなかったと思いますね。映画の人というのは,これはこういう役だというような説明はしないんじゃないですか」「それが一応,プロに対する礼儀というかエチケットだと思うんですけどね。でも,びっくりすることもありますよ,説明する人がいるんで」
- 成瀬監督は無駄のないスムーズな撮影で知られていた。助監督の須川栄三ははじめての監督作品として太陽族映画「青春白書・大人にはわからない」を撮る。撮影は快調に進んだが,「九割方できて,オールラッシュを観たら,愕然としたんだな。太陽族映画なんだけど,撮り方が成瀬調で,そぐわないほど淡々としている(笑)」 うわあ,なんだか観てみたい...
- 「流れる」映画化に際しての女優陣と対談のなかで,原作者・幸田文がこんなことをいっていて,衝撃的であった。花柳界に放り込まれた視点人物であり,作者の反映でもある女中の梨花について「梨花はあの社会の訓練,試練というものは一つもされていない。これからされていかなければならないと思う。佐伯という男に対しても当然もういっぺん芽をふいてこなければならないものを梨花は持っている」「女中さんがあそこで起用されて,一つの位置を持っていかれるかどうかというと,それだけじゃなくて,男も欲しくなり,金も欲しくなる。するともういっぺんやり出して,素人の世界に目が向けられなければならないはずで,そこから帰ってきたものは素人の世界で叩かれて,玄人の世界でもういっぺん叩かれなければ梨花はほんとうじゃないと思う」「いちばん未完成なものは梨花だということになる」 そんな風に考えていたとは...
- 平凡な女のイヤーな側面をにじませて,成瀬作品には欠かせないバイプレーヤーであった中北千枝子さん,出演作のひとつ「妻」での役柄について問われて「忘れましたねえ,そんな芝居どころがあるのに,無責任だわねえ(笑)。でも成瀬作品ていうのはみんな地味だし,調子も同じだから,忘れちゃうことが多いんですよね。黒澤作品のように強烈に憶えているってことはないですね」「(「山の音」について問われて)ああ川端先生の。どんな役だったかしら?」
- 成瀬監督との仕事を通じて俳優としてプラスになったと思うことはあるかと聞かれて,成瀬作品のミューズ・高峰秀子いわく「マイナスですね。何もおっしゃらないし,教えてもくれないし。だから役者もそこで止まっちゃって上手くなりません」
2011年5月 6日 (金)
連休につき,不要不急の本ばかり読んでみた... のだが,考えてみたら,普段からそうであった。
ローマ人への20の質問 (文春新書)
[a]
塩野 七生 / 文藝春秋 / 2000-01
かの「ローマ人の物語」執筆と並行して出版された,ローマ文化紹介の本。対話体で,比較的に軽めな内容であった。
増補新装 カラー版日本建築様式史
[a]
太田博太郎,藤井恵介,宮本長二郎,上野勝久,丸山茂,松崎照明,平山育男,後藤治,藤田盟児,光井渉,大野敏,中谷礼仁,松隈洋 / 美術出版社 / 2010-03-24
図版が山ほど載っていて楽しい本なのだが,解説の文章のほうは,どうもとっつきが悪くて...
この本に限らず,建築の世界はことばで損していると思う。たとえばこの本だと,近代の日本建築についての章にもっとも面白そうなことが書いてある。著者は建築様式を細部装飾のテンプレートとして捉える見方を「ひながた主義」と呼び,西洋建築受容の枠組みとして位置づける。コンクリの豆腐みたいな形のモダニズム建築だって,日本ではまず「ひながた主義」的に理解された,というのである。なんだか面白そうではないか。ところが,せっかく関心を持って読み進めても,建築の世界の独特の言い回しにじゃまされてしまう。「ひながた主義」の克服について論じたくだりで,戦中に北村捨次郎という棟梁が設計した数寄屋が紹介されるのだが,「貴人口外には中庭の池を引き込んだ庭があり,その縁の端の平の手すりが直交したディテールには束が立っていない。[...] その開放性,自由なディテールの処理は,十分に『ひながた主義』から脱却しているのである」 この描写には大きな写真が添えられているが,それと見比べても,俺にはさっぱりわからない。束が立っていないってどういうことだ? せっかく大事なことを言っているように思われるのに,もったいないことだ。
2011年5月 2日 (月)
倫理的な戦争
[a]
細谷 雄一 / 慶應義塾大学出版会 / 2009-11-11
最近では一番の面白本であった。本は読んでみないとわからない。
若手の国際政治学者による,トニー・ブレアの外交政策を辿った専門書なのだが,ただのジャーナリスティックな叙述ではなく,ブレア期の英国を支えたリベラル国際主義思想を素人にも読みやすく解説していて,お得感溢れる内容であった。米国の独走を阻止し国際協調を保とうと世界を駆け回り,一時的な成功を収めつつもやがて挫折していくブレアさんの姿は,日本人にとっても他人事ではないなあ,などと思う次第である。
パチンコがアニメだらけになった理由(わけ)
[a]
安藤 健二 / 洋泉社 / 2011-01-08
中国は、いま (岩波新書)
[a]
/ 岩波書店 / 2011-03-19
ルポ 餓死現場で生きる (ちくま新書)
[a]
石井 光太 / 筑摩書房 / 2011-04-07
凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)
[a]
/ 新潮社 / 2009-10-28
ネット大国中国――言論をめぐる攻防 (岩波新書)
[a]
遠藤 誉 / 岩波書店 / 2011-04-21
読了:「倫理的な戦争」「凶悪」「餓死現場で生きる」「中国は,いま」「ネット大国中国」「パチンコがアニメだらけになった理由」
2011年4月11日 (月)
秋葉原事件―加藤智大の軌跡
[a]
中島 岳志 / 朝日新聞出版 / 2011-03
秋葉原歩行者天国での無差別殺人事件についての本。著者はもはや若手論客として名を馳せている人だから、この本は事件を通した現代批評かと思っていたのだが、ニュージャーナリズム風の濃密なノンフィクションであった。いろいろ考えさせられる内容ではあったが、著者の犯人に対する思い入れが強すぎて、ちょっと損しているような気がする。
ユニクロ帝国の光と影
[a]
横田 増生 / 文藝春秋 / 2011-03-23
ユニクロ・柳井社長について、どちらかといえば批判的に取り上げた本。単なる悪口ではなく、わざわざスペインのZaraを見学に行って比較するところが面白かった。
若き芸術家たちへ - ねがいは「普通」 (中公文庫)
[a]
安野 光雅:佐藤 忠良 / 中央公論新社 / 2011-04-08
先日亡くなった彫刻家・佐藤忠良と、安野光雅さんとの何度かの対談をまとめた本。ずいぶん直截な題名だが、これは文庫化にあたっての改題で、もとは「ねがいは「普通」 」という題名であった由。
安野光雅さんはもう座談の名手だから、読んでいてとても楽しい。よくよく読んでみると二人の話は全然かみ合っていなかったりして、そこもなんだか良い。
カラー版 地中海都市周遊 (中公新書)
[a]
陣内 秀信,福井 憲彦 / 中央公論新社 / 2000-07
2000年の出版時にほとんど読み終えていたはずなのだが、このたび風呂の中で改めて読み直した。建築史家と歴史学者が、地中海周辺の都市の建築について語りあう対談集。写真がたくさんついていて、目に楽しい。
読了:「秋葉原事件」「ユニクロ帝国の光と影」「若き芸術家たちへ」「地中海都市周遊」
2011年4月 5日 (火)
ボン書店の幻―モダニズム出版社の光と影 (ちくま文庫)
[a]
内堀 弘 / 筑摩書房 / 2008-10-08
戦前のごくわずかな期間に詩の出版を手がけた,いまでは忘れられたある青年の人生を,古書店店主の著者が執拗に追跡する。良質の推理小説のようにエキサイティングな本であった。「文庫版あとがき」でついにその青年の最期の数年にたどり着くくだり,感動的である。
日本神判史 (中公新書)
[a]
清水 克行 / 中央公論新社 / 2010-05-25
神判というのは,熱湯に手を突っ込んで火傷しなかったら勝訴とか(湯起請),焼けた鉄を握って火傷しなかったら無罪とか(鉄火起請),そういう裁判のこと。面白い本であった。世の中にはいろんな研究者がいるものだ。
東京電力・帝国の暗黒
[a]
恩田 勝亘 / 七つ森書館 / 2007-10
フリージャーナリストによる,原発の問題を中心に据えた東電批判本。2007年刊,中越沖地震で起きた柏崎原発の事故の隠蔽が問題になっていた頃の本。ふうん。
読了:「ボン書店の幻」「日本神判史」「東京電力 帝国の暗黒」
2011年3月30日 (水)
精神科医がものを書くとき (ちくま学芸文庫)
[a]
中井 久夫 / 筑摩書房 / 2009-04-08
心理学を勉強していたわりには精神医学方面にからきし疎いので,著者についてはせいぜい「サリヴァンやハーマンを訳した偉い人」という程度の認識しかなかったのだが,どうやら当該業界のカリスマ的存在の一人らしい。この本は著者の短い文章を集めたもの。とても面白い本だった。
「公的病院における精神科医療のありかた」という講演録のなかに出てきた話だが,国際的合意が成り立っている診断基準を持っている科は精神科くらいじゃないか,とのこと。そういうものですか。
日本中世都市の世界 (ちくま学芸文庫)
[a]
網野 善彦 / 筑摩書房 / 2001-01
記念碑的著作「無縁・公界・楽」の前後に書かれた論文を集めたもの。細かいところはよくわからないので,ふがふがと読み飛ばすしかないのだが,無責任にめくっているぶんには面白かった。
世紀の空売り
[a]
マイケル・ルイス / 文藝春秋 / 2010-09-14
自分の信念に基づきサブプライム債の崩壊に賭け,結果として大儲けした,ごく少数の(奇矯な)投資家たちを主人公にしたノンフィクション。どうやって賭けるのかというと,サブプライム債ではなく,サブプライム債の債務不履行の保険を買うのである。そんなことができるのか。
面白い本なんだけど,だんだんサツバツとした気分になってきたぞ。
読了:「精神科医がものを書くとき」「日本中世都市の世界」「世紀の空売り」
2011年3月 9日 (水)
以下の本は,ウェブレンの悪夢から抜け出したくて,途中で割り込んで読んだ本。
エロティック・ジャポン
[a]
アニエス・ジアール / 河出書房新社 / 2010-12-18
フランス人ジャーナリストによる日本のエロ産業ガイドブック(風俗産業とか,日本の男がどれだけ白いパンティが好きかとか)。突っ込みどころ満載。俺は面白おかしく読んだし,なにはともあれ注目して頂けるだけありがたいと思うのだが,真面目な方はお怒りになるかも。
A3【エー・スリー】
[a]
森 達也 / 集英社インターナショナル / 2010-11-26
高校生のための経済学入門 (ちくま新書)
[a]
小塩 隆士 / 筑摩書房 / 2002-03
これは年初に読んだ本で,記録を忘れていた。
とにかく経済の話は苦手で苦手で,頭が痛くなってくる。これではいかんのかなあという不安に駆られて,わかりやすい入門書を求めて下降を続けた結果,ついには高校生になってしまいました。
それはともかく,この本はほんとにわかりやすかった。ながらく胸に抱いていた疑問もようやく氷解。やれやれ,ようやく俺に適した本にたどり着いた。
恥ずかしながら書きとめておくと... 需要供給曲線は横軸に数量,縦軸に価格をとるが,いったいなぜあんなわかりにくいチャートを描くのだろう? 普通は「価格が下がると需要が増える」というように説明するのだから,横軸に価格をとるのが自然ではないか。と前々から気持ち悪く感じていたのである。
さて,著者いわく,「高校生のみなさんなら,この需要曲線の考え方に戸惑いを感じるはずです」 ありがとう先生! 自分が高校生レベルであることがよくわかりました。で,注目のお答えは:「(歴史的事情により) 逆にすることが経済学の流儀になっているのです」 ありがとう,ありがとう先生! 目からウロコです!
都知事―権力と都政 (中公新書)
[a]
佐々木 信夫 / 中央公論新社 / 2011-01
ウェブレンから解放された喜びのあまり,一晩で読了。
2000年の地方分権一括法施行にともない,地方の自治権は飛躍的に拡大しており,地方議会はいまや立法機関として強大な権限を握っている。にもかかわらず,地方議員はそれにまだ気がついておらず,いまだ行政の監視・批判役だと勘違いしている由。なるほど。
読了:「エロティック・ジャポン」「A3」「高校生のための経済学入門 」「都知事」
2011年1月24日 (月)
マイ・バック・ページ - ある60年代の物語
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川本 三郎 / 平凡社 / 2010-11-26
評論家の川本三郎さんはかつて過激派学生の起こした殺人事件に関わって朝日新聞社をクビになっているのだが,そのいきさつを自ら発表していたとは知らなかった。原著は88年刊,このたび映画化されるので復刊された由。
前半は70年前後の東京の日々を描いたエッセイ。「大学はますます遠くなり,反比例して町が『私の大学』になった」なあんて大真面目に書かれてしまうと,全身が痒くなって困る。この世代の人のこういう感傷にはかなわんなあ,と溜息をつきながらめくっていたのだが,事件から逮捕・懲戒免職に至るくだりになって俄然引き込まれた。ジャーナリストの倫理云々の問題というより,20代の青年がある状況の中で不器用に苦闘するという話として,共感を持って読んだ。20年近く経ってからの回想とはいえ,書くのはしんどかっただろうなあ。
2011年1月17日 (月)
ルポ 若者ホームレス (ちくま新書)
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飯島 裕子,ビッグイシュー基金 / 筑摩書房 / 2011-01-07
そういえば,最近はちくま新書ばかり読んでいるなあ。テーマがタイムリーで中身にハズレが少ないせいだと思う。
2011年1月13日 (木)
ユーロ――危機の中の統一通貨 (岩波新書)
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田中 素香 / 岩波書店 / 2010-11-20
通貨と金融の話なんてもうさっぱりわからんのだが,まあなにかの役に立つかと思って目を通した。全然頭に残ってない。
ダメになる会社企業はなぜ転落するのか? (ちくま新書)
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高橋 伸夫 / 筑摩書房 / 2010-11-10
正しき資本主義の精神を持った経営者が大事です,という本。著者は「虚妄の成果主義」を書いた経営学者。組織の制度的同型化の事例として経済学の悪口を書き連ねるところで,突如として文章が躍動しはじめる。いろいろ溜まっておられるのであろう。
2011年1月 2日 (日)
光の領国 和辻哲郎 (岩波現代文庫)
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苅部 直 / 岩波書店 / 2010-11-17
新年最初に読みおえたのは,政治思想史の若い先生が書いた和辻哲郎の評伝であった(博士論文を基にしている由)。和辻哲郎といわれても,学生時代に「風土」を読んだ程度で,ほとんどなじみがない。なのになぜこんな本を読んでいるのか自分でもよくわからないが,まあ,面白かったからよしとしよう。
「光の領国」とはずいぶん文学的な題名だが,これは和辻の倫理学が<民族の一員としてひたすら生を希求する>という人間観に支えられていたことを指している。和辻にとっては近代国家権力もまた光に満ちた生の権力であって,だから権力のコントロールはあまり問題にならない。ふうん。。。
本の本筋とは離れるが,印象に残った部分をメモしておくと: 関東大震災は知識人達に大きな衝撃を与えた。和辻の哲学は震災とともに大きく変貌したし,そのほかにも,たとえば紀平正美というヘーゲル研究者は,助け合いながら避難する人々の姿に感激し,国粋主義者に転じたのだそうである。
関東大震災が大変な出来事だったことはわかるけど,いったい思想というものは,個別具体的な体験によってそのように変貌してしまうものなのか。もしそうならば,各領域の優れた研究者や芸術家やビジネスマンを無作為に拉致し,LSDとか電気ショックとかでもってとんでもない目にあわせると,まあ多くは死んじゃったり廃人になっちゃったりするけれど,なかには生き延びて革新的な思想を確立しイノベーションを起こす人が現れるのではないだろうか。品種改良のために放射線で人為突然変異を起こすようなものだ。人倫に反する? 社会の発展のためだ,ここはひとつ我慢してもらおう。
我ながら良いアイデアだと思ったのだが,よく考えてみると,各界の優れた人々を拉致するのは社会的コストが大きすぎるから,むしろ各界のぱっとしない人々を拉致しましょう,ということになるかもしれない。いかん,俺の身に危険が迫る。やはり人倫に反することをしてはいけませんね。
というようなことをつらつらと考えて過ごした元旦であった。ああ忙しい忙しい。